第156話 鹵獲された船の行方　作：ヒラーズ

「それとだけどあんた、噂の船を探してるの？」
そうだから何だと言うんだ。何か情報でも持ってるのか？
「場所くらいなら知ってるわ」
「！？（何だと！？）」
俺はランの胸ぐらを掴み、揺する。
「ちょっと！落ち着きなさいって・・・今のあんたじゃ行けないわ！」
・・・それはどう言う事だ？
「ここから港エリアの方に基地があるけど警備は厳重よ。外側だけでも警備兵が10人単位でうろついていたわ」
見事なザル警備じゃないか、どこが厳重だよ。
「きゅ・・・（情報提供ありがとう）」
俺は手を離し、駐車場へ走って行った。
「・・・って、待ちなさーい！！」
それに続き、ランも走って行った。













そして港エリア、海岸基地手前。
俺とランは草むらに隠れ、基地の様子を見ていた。
「・・・（ふむ、警備が5分ごとに交代されている・・・にしては空の警備がなってないな。地上から来ることしか予測してないんだろうか？）」
置いてあるのは固定式の銃座、迫撃砲。警備兵の装備はドイツ製の銃「MP5」とハンドガンの「マカロフ」、グレネードに睡眠グレネード。予備弾数は120発とみたな。
「きゅ・・・（よし、作戦を思いついたぞ。だが作戦決行時間は夜だな）」
そう言って俺は身を引く。
基地を離れ、街に戻る。








さて、どうしよう。クォーツ達とは合流してもいいが、ランが同行したいと言ってるから、仲間にしてるが・・・。
「・・・」
「え？何こっち見てんの？」
「・・・」
「まさか・・・私がスパイだと思って警戒してる？悪いけど、私は違うわ」
違う、お前さんの後ろの武器は何だと言ってるんだ。
「・・・？これ？これは知り合いの探偵に紹介されたガンスミスに作って貰ったハンドガンよ、黒い方は「コルトパイソン」で白い方は「SAA（シングル・アクション・アーミー）」よ、しかも跳弾入りを持ってるわ」
誰だよ、知り合いの探偵って・・・。
その時だった。
「あれ？誰かと思えばオルテンシアさんじゃないですか」
突然後ろからシャルの声が聞こえ、振り向くと・・・全員集合したままシャル達が立っていた。
「あ！この探偵よ！私にこの武器持たせてくれたの」
へぇ・・・シャルとランは知り合いだったのか・・・初耳だぞ。
「きゅ・・・（拠点は見つかったのか？）」
「はい・・・、この近くのホテルにしました」
そうか、仕事が早いな。もっと時間がかかると思ったんだが、早くて助かる。
「それで、百騎兵は何か情報は掴んだか？」
「・・・（ああ、船が鹵獲されている場所を見つけた）」
「「「え・・・早っ！？」」」
クォーツ達は驚きつつも俺に作戦の事を聞いてきた。














「なるほど・・・確かに厳重ですね。10人もいるんです。ザルとは言えませんよ百騎兵さん」
そうかぁ？せいぜい15人以上が厳重だと言うんだが・・・。
「俺の技術が必要と言うことか、分かったぜ百騎兵、決行時間は夜だな！」
「うにぇ！（声がでかいぞ！阿呆が！！）」
「ごめん・・・」
そうして俺達の半日はトウマ達のグルメ巡りで費やされ、夜を迎える。
そしてランともコミュニケーションで良くなり、俺の言葉が若干通じるようになっていった・・・。















「きゅ・・・（一応、作戦を言うぞ。先ずはトウマが上空から召雷弾を撃って、注意を空に向けさせる。その後、俺とラン、ルナで基地に侵入する）」
「俺は誘導役か、大丈夫かな・・・？人を殺めたりはしないよな？」
「ふきゅ（安心しろトウマ、魔法生物が殺めても罪にならんこの世界だ、天使や悪魔が殺めても罪にはならんだろう。それにお前さん、恐らく堕天しかけてるしな）」
「え・・・？」
冗談はさておき、俺はトウマに武装の説明をした。
召雷弾－B型改について：
この武装はタイプが2つに分かれており、召雷弾は超電子溶解砲の役割を持っている。この弾が戦車や装甲系の武装、車両に直撃すると装甲と武装を一瞬で溶かす強力無比の装備で全方位撃ちが可能。無論、生身の人体に当てると分子レベルで体が消滅する。大変危険なものとなる。射程距離は5㎞。
2つ目のタイプの武装について：
通称《サンダーフォース－滅殺型》。勿論サンダーフォースのように強力な電撃光線を放つ・・・訳ではない。追放世界の技術《ハイパーレールガン》をセットしただけである。威力は4000万ボルト以上の超電流の光線を放つ強力な武装、フルチャージで撃つと大陸一つが黒焦げにする、ある意味では超兵器に入る武装。1度撃つとリチャージ（再使用）に3分間時間をかけてしまうが、その間に召雷弾を撃つなど、戦術を組みやすく設計されている。

以上がこの装備の説明だ。ふらふらと走っているトウマには空飛ぶ要塞になってもらった。敵全員きっと驚くぞ。

「よし・・・行くぜ！」
トウマのDホイールは空を飛び、目標へと進んでった。
「ボクたちは？」
「きゅ・・・（リュウカ達は港エリアで待機だ。出来れば奴らに見つからないように隠れててくれ）」
「了解・・・」
「わかりました・・・」
よし・・・作戦開始だ！












しばらくして、俺達は基地の近くにある草むらで身を潜めていた。
そして・・・。
ﾄﾞｵｫｫｫﾝ！

トウマの攻撃が始まった、どうやら召雷弾で辺りの武装を壊し回ってるようでトウマらしい行動だ。
「敵襲だ！」
「上空にいるぞ！迫撃砲とセントリーガンを使え！」
警備兵達の攻撃は全くもってトウマのDホイールには通用せず、外したり、弾かれたりもした。
「おおい！ロケットランチャーかミサイルを持ってこい！」
「了解！」
そうやって慌ただしくなっている中、俺達は敵の警備を突破し、内部に侵入した。
それと同時にトウマは基地の外側の武器庫に召雷弾を当てる。
「よっしゃ！大当たり！！」
楽しそうで何よりだがね・・・。









変わって基地内部、俺達はやや敵と交戦しながら内部を進んでいた。
「きゅ（ここまで侵入されれば何も出来まい）」
「あっけない敵にゃ、もっと強い奴いないかにゃ？」
「冗談はやめて欲しいわ・・・タダでさえ弾薬が消費されているのに」
そう言う雑談をしながら俺達は扉のセキュリティを解除し、船が保管されている大広間へ着いた。そこには俺の船―――――巨大な木造帆船の姿をした時空船―――――






―――――クロノス・ノア号が・・・―――――







―――――保管されていた―――――











「ふきゅ（よし！情報通り（ビンゴ）だ！！）」
「後はセキュリティを破るだけでいいのよね？大丈夫かしら？」
「後ですけどにゃ、敵さんがどんどん私達の所に集まってくるんにゃけど、どうしますにゃ？」
無論！セキュリティを解いて中に入れば勝ちだ。
そう思ったとたん、俺達は多数の警備兵に囲まれ、銃口を向けられる。
「本当にどうするの？」
「・・・（言っただろう？強行突破だ）」
俺は武器を取り出し、クロノス・ノアめがけて突き進んだ。








次回、奪還戦！前半
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