第27話 探偵と百騎兵　作：ヒラーズ

「何やらお困りの様子ですね？」
えーと・・・確かに困ってはいるが、別に探偵さんに頼むほどでは・・・。
「あっ、自己紹介がまだでしたね！」
なんて身勝手な人なんだ・・・。
「私はシャーロット＝クラウス、シャルと呼んでください」
あれぇ～・・・なんか勝手に物事進んでない？
「ぼくは・・・クォーツ＝ヴァレス、シャルさんが話しかけている魔法生物はあるじさまの百騎兵・・・です」
「百騎兵・・・確か絵本でしか登場しない伝説の魔神ですね・・・」
えっ？俺って絵本でしか存在しないの？
「・・・」
なんだよ・・・俺をジロジロみて・・・。
「ふーん・・・実に興味深いですねぇ」
その言葉を聞いた俺は一瞬背筋が凍った、
俺は・・・悪いことをしたんだろうか？
「・・・（どうしよう・・・嘘をつくべきか・・・）」
「あっ、私には嘘は通じないので無駄ですよ？」
マジか・・・心理学持ちかよ・・・。
それに、人語が喋れない俺はどう話せと・・・？
「あるじさま・・・本当の事、言った方が良いと思います・・・」
「！（なんと！クォーツでもお手上げなのか！）」
「この人・・・悪い人じゃなさそう・・・です」
「そうそう！悪い人じゃないですよ～」
なんだこの状況・・・俺が一方的に悪いと見えるじゃないか・・・。
俺が何をしたっていうんだ・・・。
「むきゅ・・・（仕方ない、本当の事を話してやるか・・・）」
俺はシャルに全てを話した・・・人語は話せないが、クォーツが通訳をしてくれて助かる。





「なるほど・・・・自分が死んだ原因を探すと共に記憶を取り戻す旅をしていると・・・」
カリカリとメモを取っているようだが、興味をそそるような話ではない気がするが・・・。
普通の人はこの話は信じないぞ？
「たぶん・・・普通じゃない人だからだと思う・・・」
何この解釈・・・不思議だ・・・。
「それで、現にこの都市に来て、新しい活動拠点を探すと・・・ふむふむ・・・」
まぁ、クォーツの吹っ飛んだ案はないな・・・仮にクォーツが入れたとしても問題は俺だ。
魔法生物でも入れるのだろうか・・・。
「いい案だと思いますよ？社会も学べて、友達も増える、悪くないと思いますよ」
「！（なん・・・だとぅ・・・）」
ちょっと待て、なんで俺はシャルに依頼を頼むような流れになっているんだ？
「・・・・」
「！」
しまった・・・どうやら俺は探偵さんの口車に乗らされたようだ・・・。
「なるほど・・・分かりました、この名探偵にお任せを。私の興味が尽きない限り、必ず『真実』へ辿り着いて見せましょう」
「・・・」
待て・・・待て待て・・・！？なんで依頼したようになったんだ！？
「手続きはお任せください！後はそちらの方でお願いしますね！」
おいっ！依頼した覚えはないぞ！
シャルは大急ぎで走り去っていった・・・。
「・・・・（行ってしまった・・・）」
「よかったですね・・・あるじさま・・・」
良くなあああぁぁぁい！！
そんなわけで俺はシャルという探偵と出会い、新たな拠点は早々見つける事となり、
いつの間にか依頼をしたという形となった・・・。
これからどうなってしまうんだ・・・・。
俺は頭の中が不安でいっぱいになった・・・。
「・・・（悩みの種が増えそうだ・・・）」
「あるじさま・・・」
「もきゅ？（なんだ？）」
「前向きになった方がいい・・・です」
ごめんクォーツ・・・今なれないぞ・・・前向きに・・・。



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