第１０４話：盤外戦術　作：チュウ

ツカサ：ＬＰ７０００

【手札】４枚　※公開情報《悪魔嬢コリス》

【フィールド】
●モンスター
攻撃表示：《闇黒の呪縛魔王ディアボロス・カースド》
守備表示：《悪魔嬢リリス》《シャドウトークン》×２

●フィールドゾーン
《闇黒世界－シャドウ・ディストピア－》

●魔法・罠
なし

【墓地】
《無限抱擁》《幼魔竜ディアボロス》《悪王アフリマ》《悪魔嬢の囁き声》×３《闇黒の魔王ディアボロス》《闇黒の影王デュークシェード》《悪魔嬢の誘い手》

【除外】
《闇黒呪縛－シャドウ・カースド－》

【裏除外】
《奈落の落とし穴》《悪王アフリマ》《悪魔の技》《天龍雪獄》《闇黒世界－シャドウ・ディストピア－》


ダキム：ＬP５４００

【手札】３枚

【フィールド】
●モンスター
なし

●フィールドゾーン
《六世壊＝パライゾス》

●魔法・罠
なし

【墓地】
《クシャトリラ・パーピアス》《クシャトリラ・ユニコーン》《クシャトリラ・ライズハート》《クシャトリラ・アライズハート》《クシャトリラ・オーガ》《クシャトリラ・ハヌマン》《クシャトリラ・シャングリラ》

【除外】
《クシャトリラ・ビックバン》

　「俺様のターン、ドロー！手札から永続魔法《クシャトリラ・バース》を発動し、そのままその効果を発動するぜ！俺様の墓地から《クシャトリラ》モンスターを復活させる！」
　「悪いがそうはさせない！《闇黒の呪縛魔王ディアボロス・カースド》の効果を《シャドウトークン》１体をリリースして発動！」

《闇黒の呪縛魔王ディアボロス・カースド》
融合・効果モンスター
星１０/闇属性/ドラゴン族/攻３５００/守２５００
「闇黒の魔王ディアボロス」＋フィールドの闇属性モンスター
このカード名の②③の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はこのカードをリリース及び効果の対象にできず、カード名を「闇黒の魔王ディアボロス」として扱う。
②：相手の魔法・罠カードの効果が発動した時、自分フィールドの闇属性モンスター１体をリリースして発動できる。その効果を無効にして持ち主のデッキの一番下に戻す。自分フィールドゾーンに「闇黒世界－シャドウ・ディストピア－」が存在する場合、相手フィールドの闇属性モンスター１体をリリースしてこの効果を発動する事もできる。
③：自分・相手のエンドフェイズに発動できる。相手フィールドの闇属性の通常モンスターのコントロールを可能な限り得る。

　「その効果を無効にしてデッキに戻してもらう！」
　「クソがぁ！余計な事ばかりしやがって！！だが、蘇生カードなら他にもあるんだよ！手札から魔法カード《死者蘇生》を発動！《クシャトリラ・アライズハート》を復活させる！」

　俺のデッキは墓地を利用するものばかりで、《クシャトリラ・アライズハート》とは相性が悪い。なら、早々に退場して貰う他あるまい。

　「《悪魔嬢リリス》の効果をお前の《クシャトリラ・アライズハート》をリリースして発動！デッキから《ディストーション・ピアシング》《悪魔の技》×２を選択。さぁ、選べ！」
　「左だぁ！」

　《ディストーション・ピアシング》か。ディアボロスもいるし悪くない。

　「なら、残りのカードをデッキに戻し、選択されたカードをセットする」

　これで次の妨害も少し余裕ができる。

　「クソォ！立て直しができねーカードを１枚セットしてターンエンドだ」
　「《クシャトリラ》は永続系のカードがないと立て直しがキツイデッキなのよ！ツカサ、今がチャンスなのよ！」

　成程、かなり苦しそうなのはそういうことか。これなら次で決められそうだな。

　「なら、このエンドフェイズに、お前の場に《シャドウトークン》を１体生成するが、そのトークンは俺の《闇黒の呪縛魔王ディアボロス・カースド》の効果でコントロールを奪わせて貰う！そして俺のターン、ドロー！」

　これで決める！

　「待ちやがれ！！」

　なっ！？アイツ！
　ダキムが懐からナイフを取り出すと、椅子に縛られている少女に突きつけた。

　「なんの真似だ！」
　「分かるぜ？テメェら、王女様が欲しいんだろ？テメェらがこの女を探しているのは情報として掴んでいるんだよ。だからよぉ、取り引きしねーか？」

　取り引きだと？この期に及んで……諦めの悪い！

　「この場を見逃してくれたらこの王女様はくれてやるぜ。だが、もしそうしねーなら、コイツをここで殺す！！」
　「俺がその王女を見捨てるって判断をするって考えないのか？」

　ダキムの取った行動は勝算の低いギャンブルだ。彼女と俺達になんの接点もない。俺達がここにいるのはこの町の戦いを早く終わらせて、自分達の手柄をあげるためのものだ。つまり、欲しいのはここを牛耳っている奴であって王女じゃなくてもいい。

　元々は王女を探してはいたが、コイツの持ってる情報って古いんじゃないか？どうにも獣人達は互いに連携が取れているとは思えないんだよな。

　「ケッ！生き残れんなら何でもするさぁ！それに、テメェみたいなガキは情に訴えかけると弱くなる奴が多いからな……どうなんだ！！」

　ダキムの刃物の切っ先が彼女の皮膚を微かに傷つけ血が滴る。

　「なら、覚えておけ！そういうガキっていうのは、悪知恵が大いに働くって事をな！手札から速攻魔法《サイクロン》！お前のフィールド魔法を破壊する！」

　《サイクロン》の突風でダキムは体勢を崩した。

　「クロリム！」
　「そのナイフを離すの！くらえ【念導魔法】！ほい！」

　クロリムの正確な魔法でナイフだけを飛ばした。

　「チッ！！こうなったらぁ！！」

　やはり殴りかかろうとするか！！

　「ディアボロス！！鎖で跳ね飛ばせ！！」

　俺の命令通り、ディアボロスが持つ鎖をダキムに向けて飛ばしてくれた。その鎖は見事、ダキムに命中し、後方へ吹っ飛んだ。

　「ぐはぁ！！！」

　ダキムは壁に激突し、痛みで動けずにいた。

　「全てのモンスターを攻撃表示にしてバトルだ！一斉攻撃！」

ダキム：ＬP５４００→ＬＰ０

　ふぅー……最後はかなりヒヤッとした展開だったな。

　「今のうちに封印するのよ！ほい！」

　クロリムがダキムをカードに封印した。
　流石に暴れられたら俺達じゃ対処できないからな。

　さて、縛られている彼女だが……どうするか。ダキムは王女様って言っていたが、まさかこんな所にいるとは。
　俺は少し悩んだが、縛られている紐を解いた。

　「おっと！」

　紐を解いた瞬間、彼女が力なく倒れそうだったため、俺は慌てて受け止めた。意識はあるようだが、身体の状態も酷いし疲弊もしている。とてもじゃないが話せる状態ではない。

　モディファーに見つかると面倒だし、青の国の連中はもっと面倒になるよな。
　だが、彼女をこの先どうするかと言われたら、言葉に詰まる。俺はどうしたいんだ？このまま彼女を引き渡した方がいいんだろうか……

　「うぐ……」
　「大丈夫か？」

　狐の少女が何かを話そうとしている。

　「か、帰らないと……お、ねがい……帰らせて……かあさまが……」

　かあさま？母親の事か。帰るって……

　「……きっと首都の王宮じゃないかな？」
　「そうか、元々そこから来たって事か」

　フィオラの冷静な意見で狐の少女の言葉が理解できた。
　やはりその王宮へ連れて行こう。どうにも不審な事が多い。なんで彼女は同族に襲われて監禁されていたんだ？獣人同士の協力のなさも不可解だし、彼女から情報を得るという意味でも一時的に強力してもいいかもしれない。

　そうなれば、やる事は一つ。

　「クロリム、一度彼女を封印してくれ」
　「分かったのよ！ほい！」

　狐の少女はカードに封印された。しばらくの辛抱だ。早く安全な場所で治療しないとな。

　「……そこにいるの誰？」

　フィオラのその言葉に俺は出入り口の方を見た。
　そこにいたのはモディファーだった。

　不味い、今の会話を聞かれたか？

　「フィオラ、そんなに敵意を出さないでくれよ。上まで行ったけど何もなかったから戻ってきたんだよ。で、何か収穫はあったかい？」

　あれ？聞かれてはないみたいだな。今来たばっかりって感じだ。

　「あぁ、ここの戦闘隊長を封印した。どうやら、今はこいつがここを牛耳っていたみたいだ」
　「それは朗報！司、ありがとう！これで僕らの戦果は上々ね。さぁ、堂々と凱旋と行こうか」

　モディファーは上機嫌で外に出て行った。
　とにかく俺達もここから出るか。

　モディファーの後に付いて、この城を出る事にした。