第９５話：逃げたい者と逃げない者　作：チュウ

ツカサ：ＬＰ８０００

【手札】１枚　

【フィールド】
●モンスター
攻撃表示：《悪魔嬢リリス》《炎麗蝶アカネヒメ》
守備表示：《シャドウトークン》

●フィールドゾーン
《闇黒世界－シャドウ・ディストピア－》

●魔法・罠
セットカード２枚　※公開情報《天龍雪獄》

【墓地】
《魔界発現世行きデスガイド》《悪魔の技》《闇黒の影王デュークシェード》《悪魔嬢の誘い手》

【除外】
なし


フレア：ＬP８０００

【手札】２枚

【フィールド】
●モンスター
攻撃表示：《炎麗蝶ベニヒメ》※攻１５００/守１８００
守備表示：《シャドウトークン》

●フィールドゾーン
《炎麗蝶の舞園》

●魔法・罠
セットカード２枚

【墓地】
《炎麗蝶の繭》《炎麗蝶の舞踊》《炎麗蝶レッド・モナーク》

【除外】
なし


　「俺のターン、ドロー！手札から魔法カード《おろかな埋葬》を発動！デッキから《闇黒の魔王ディアボロス》を墓地へ送る。次に、墓地に存在する《闇黒の影王デュークシェード》の効果を発動！」

《闇黒の影王デュークシェード》
効果モンスター
星６/闇属性/悪魔族/攻２０００/守２０００
このカード名の①③の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：自分フィールドの闇属性モンスター１体をリリースして発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードがフィールドから離れる場合にデッキに戻る。この効果の発動後、自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。
②：このカードの攻撃力は自分フィールドの闇属性モンスターの数×３００アップする。
③：自分・相手のメインフェイズに、以下の効果から１つを選択して発動できる。
●自分の墓地・除外状態の「闇黒世界－シャドウ・ディストピア－」または「闇黒の影王デュークシェード」以外のそのカード名が記されたカード１枚を手札に加える。
●デッキから「闇黒の魔王ディアボロス」１体を墓地へ送る。

　「コストとして、俺の場の《シャドウトークン》をリリースし、このカードを特殊召喚！更に自分フィールドの闇属性モンスターがリリースされたため、墓地の《闇黒の魔王ディアボロス》の効果を発動！このカードを特殊召喚する！」

《闇黒の魔王ディアボロス》
効果モンスター
星８/闇属性/ドラゴン族/攻３０００/守２０００

　「《闇黒の魔王ディアボロス》の効果をフレア王女の場の《シャドウトークン》をリリースして発動！相手は自身の手札１枚をデッキの一番上か下に戻さなければならない。フレア王女の手札はその１枚のみ。そのカードを戻してもらいましょうか」

　「くっ！……では、下に戻します」

　これで場ががら空きだ。全てのモンスターで攻撃して勝ちだ。だが、まだ伏せカードが反応していない。ブラフの可能性もあり得るが……いや、ここは勝機があるなら行くべきだな。

　「バトルだ！モンスターで総攻撃！」

　「この瞬間を待っていましたよ！相手モンスターの攻撃宣言時、罠カード《業炎のバリア－ファイヤー・フォース》を発動！」

　攻撃反応系の罠カード！？

　「や、ヤバいのよツカサ！」

　クロリムも焦っているが、ヤバいのは言われなくても分かっている！

　「これにより、攻撃表示の相手モンスターを全て破壊し、そのモンスターの元々の攻撃力の合計の半分のダメージを私は受け、その後に貴方にも同じダメージを受けて貰います！」

フレア：ＬP８０００→ＬＰ３６５０

ツカサ：ＬＰ８０００→ＬＰ３６５０

　クッソ！バカみたいにダメージを受けてしまった。攻撃反応系の罠とは思わなかった……　クロリムとデッキ調整をしてきだが、そういったカードも採用しようとした事もあったが、話し合いの結果、採用しなかった。理由は簡単、発動前に破壊される事が多いからだ。だったら攻撃前に処理ができるカードの方が使い勝手がいいと判断した。そういった理由から、採用している人も少ないと思っていたが、まさか実際に使っている奴に当たるとは……それに使われるとかなり強力だな……

　「これで仕切り直しになりましたね」

　「余計な事を……バトル終了、メインフェイズ２に入る！手札から《悪魔嬢ロリス》を召喚！」

《悪魔嬢ロリス》
効果モンスター
星３/闇属性/悪魔族/攻１５００/守５００

　「更に、墓地の《悪魔嬢の誘い手》の②の効果を発動！」

《悪魔嬢の誘い手》
通常罠
このカードが「悪魔嬢」モンスターの効果でセットされた場合、このカードはセットしたターンでも発動できる。このカード名の①②の効果は１ターンに１度、いずれか１つしか使用できない。
①：自分フィールドの闇属性モンスター１体をリリースして発動できる。相手フィールドのモンスター１体のコントロールを得る。この効果を発動するために「悪魔嬢」モンスターをリリースした場合、そのリリースしたモンスターをエンドフェイズに墓地から特殊召喚できる。
②：このカードが墓地に存在し、自分フィールドにレベル３の悪魔族モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを自分フィールドにセットする。この効果でセットされたこのカードがフィールドから離れる場合に除外される。

　「俺の場にレベル３・悪魔族がいるため、墓地のこのカードを再セットする。これでターンエンド！そして、このエンドフェイズに《闇黒世界－シャドウ・ディストピア－》の効果でフレア王女の場に《シャドウトークン》１体を守備表示で特殊召喚する」

《シャドウトークン》
トークン・通常モンスター
星３/闇属性/悪魔族/攻１０００/守１０００

　「では、私のターンですね。ドロー！……手札から《炎麗蝶ハレギヒメ》を召喚」

《炎麗蝶ハレギヒメ》
効果モンスター
星４/炎属性/昆虫族/攻１０００/守１９００
このカード名の、①の方法による特殊召喚は１ターンに１度しかできず、②の効果は１ターンに１度しか使用できない。
①：自分フィールドに昆虫族・炎属性モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
②：自分フィールドの昆虫族モンスター１体を墓地へ送って発動できる。デッキから「炎麗蝶ハレギヒメ」以外の昆虫族・炎属性モンスター１体を特殊召喚する。この効果の発動後、自分は昆虫族モンスターしか特殊召喚できない。
③：「炎麗蝶の舞踊」の効果によって、自分の手札・フィールドの昆虫族モンスターをリリースする場合、墓地のこのカードを儀式素材として除外できる。

　キーとなりそうなモンスターを引かれてしまったか。だが、さっきのターンで手札を０にしたのがここで活きてくる！

　「俺は罠カード《天龍雪獄》を発動！フレア王女の墓地の《炎麗蝶アカネヒメ》を俺の場に特殊召喚！その後、同じ種族のモンスターをお互いの場から１体ずつ除外できる！《炎麗蝶アカネヒメ》と《炎麗蝶ハレギヒメ》を除外する！」

　「そうなりますよね……」

　分かっている様な口ぶりだな。それもそうか、《天龍雪獄》を俺が持っている事は分かっている事だ。なら、モンスター１体ではどうしたって突破ができない事は想像がつくか。

　「ターンエンドです」

　「ならこのエンドフェイズに罠カード《悪魔嬢の誘い手》を《悪魔嬢ロリス》をリリースして発動！フレア王女の場の《シャドウトークン》のコントロールを得る。そして、リリースされた《悪魔嬢ロリス》は《悪魔嬢の誘い手》の効果により、このエンドフェイズに帰還し、再セットされた《悪魔嬢の誘い手》は除外される」

　これで場のモンスターがリリースされた。

　「墓地の《闇黒の魔王ディアボロス》の効果により自身を蘇生！そして、フィールド魔法により、俺の場に《シャドウトークン》が１体生成される」

　「せっかく罠で一掃しましたのにあまり意味なかったですね」

　「俺のデッキに息切れを期待する方が間違っている。いくらフレア王女の儀式デッキが強くても、リソースが無限にある訳じゃない。持久戦になった時点で、継続的に妨害罠を使いまわせる俺の方が圧倒的に有利になるのは必然だ」

　俺のデッキは一発の火力や１ターン目の制圧力が低い。その代わりに持久戦になればどんなデッキにも対等以上に渡り合えるスペックを持っているのが特徴だからな。罠で一掃されても、ある程度は元に戻る。

　「俺のターンだ、ドロー！バトル！場のモンスターで総攻撃！」

フレア：ＬＰ３６５０→ＬＰ０

　「うぐっ！……きゃぁ！！」

　モンスター攻撃による爆風によりフレア王女が少し後方へ飛んだ。

　「フレア様！」

　「フレア様！大丈夫ですか！」

　メイドさんらしき女性と甲冑を装備している男性がフレア王女に駆け寄った。

　「ごめんなさい……負けてしまったわ……」

　「かくなる上は、この私がお守り致します！みなは早く御逃げください！」

　甲冑の男性がこちらに剣を向けながらそう言った。
　こっちとしては全員逃げて欲しいところだ。今のところ、周りに青の国の人はいない。俺がカードに封印するもしないも俺の自由だ。裏切り行為判定がまだ分からないが……

　「逃げるのなら逃げるといい。今回は特別に逃がしてやる」

　俺はこっちに向かってこない様に逃げ道ができる言葉を使った。
　正直、悪役ムーブ全開だが、この際しょうがない。これ以上話して情報が相手に渡った場合、次に会った時にフィオラがいたら何がきっかけでモディファーの魔法が暴発するか分かったものではない。

　「あら？随分と、お優しいんですね？闇の尖兵なる未知の存在まで持ち出しているのですから、見境なく封印すると思いましたが？」

　フレア王女の意見はもっともだな。何かしらの見逃す理由が必要か。

　「もう十分な数のエルフ族を封印している。ノルマは達成したという事だ。それにこんな火事なんだ。これ以上はここに留まるのも危険だし、お互いに退散した方がいいんじゃないか？」

　これで納得してくれるといいんだが……

　「十分な数って……いったい何人封印したんですか？……なんとも思わないんですか？」

　エルフの女性が只ならぬ雰囲気で前に出てきた。

　「思うところはある。が、やらなければならない事情がある。あと、何人封印したかは覚えていない」

　「ッ！……」

　明らかにこちらを敵視している目だ。言葉選びをミスったか？というか、何を言ってもダメな気はするが。それに火事も酷くなっているし、じっくりと言葉を選んでいる余裕はないからな。

　「私とデュエルよ！私が勝ったら封印したカードを全部返して！」

　「エルミア様！危険です！」

　フレア王女の静止の言葉を無視してどんどん俺との距離を詰めて来た。そして、デュエルを行える距離で止まった。

　「本気なのか？引くなら今だぞ？」

　「くどい！同胞を救えるかもしれないのに、黙っている事なんてできないよ！」

　こうなったらしょうがない。

　「分かった。デュエルだ。俺が勝ったらとっとと引いてもらう」