第７４話：否定された世界　作：チュウ

ユウキ：ＬＰ８０００

モディファー：ＬＰ８０００


　「僕の先攻で行くね！」

　一体どんな戦術を使って来るのか……いつも以上に慎重にならないと。

　「僕は手札を１枚墓地へ送り、手札から《幻惑の見習い魔術師》（ナイトメア・アプレンティス）を特殊召喚する！」

《幻惑の見習い魔術師》（ナイトメア・アプレンティス）
効果モンスター
星６/闇属性/幻想魔族/攻２０００/守１７００

　「このカードが特殊召喚した事で、僕はデッキから幻想魔族モンスター１体を手札に加える事ができる。僕は《世改者ノワール》（モディファーノワール）を手札に加える」

　モディファー？……アイツの名前と同じ名前のモンスターだと？

　「僕は今手札に加えた《世改者ノワール》（モディファーノワール）をペンデュラムゾーンに設置する！」

《世改者ノワール》（モディファーノワール）
ペンデュラム・効果モンスター
星４/闇属性/幻想魔族/攻１０００/守１０００
【Ｐスケール：青０／赤０】
このカード名の①②のＰ効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：自分のメインフェイズに発動できる。Ｐゾーンのこのカードを特殊召喚し、デッキから「Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ」１枚を手札に加える。
②：自分フィールドゾーンに「Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ」が存在する状態で、相手がモンスター効果を発動した時に発動できる。その効果は「相手は自身のデッキ・墓地から「Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ」のカード名が記されたモンスター１体を手札に加えるか特殊召喚する」となる。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：このカードが墓地へ送られた場合またはＥＸデッキに表側で存在する場合に発動できる。このカードを自分のＰゾーンに置く。
②：自分・相手ターンに、発動できる。モンスターゾーンのこのカードを自分のＰゾーンに置く。
③：このカードがモンスターと戦闘を行う場合、その２体はその戦闘では破壊されない。

　仮面を付けた黒い衣装の少女？仮面以外は、まるでモディファー自身みたいに見える。

「《世改者ノワール》（モディファーノワール）のペンデュラム効果を発動する。ペンデュラムゾーンのこのカードを特殊召喚してデッキから「Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ」１枚を手札に加える」

　デッキからカードを加えたモディファーは不敵な笑みを浮かべていた。いったい何をするつもりなんだ？……

　「では、遊輝君に見せてあげよう。あらゆるものを手にしたこの僕が世界を見て出した答え……僕は世界を書き換えるためのはじめの一歩として、世界を否定する！発動せよ！フィールド魔法《Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ》！」

《Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ》
フィールド魔法
このカード名の①③④の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：このカードの発動時の効果処理として、デッキから「Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ」以外の「Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ」のカード名が記されたカード１枚を手札に加える事ができる。
②：このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分フィールドの「世改者ノワール」は効果では破壊されない。
③：自分のモンスターゾーンに「世改者ノワール」以外のモンスターが存在しない場合に発動できる。フィールドのこのカード以外のカードを全て破壊する。
④：自分の墓地のレベル１０の融合・Ｓモンスターを１体ずつ対象として発動できる。そのモンスターの効果を無効、攻撃力・守備力を０にし、召喚条件を無視して特殊召喚する。

　辺りが一面真っ暗になった。見えるのは黒一色……その黒い空間内に俺達は立っていた。黒一色のせいで方向感覚がおかしくなりそうだ……自分がまっすぐに立っているのかだんだん分からなくなってくる。

　「今、世界は黒に塗りつぶされた……世界は僕によって否定されたのさ！」

　「何言ってやがる！ひとりの人間が世界を否定したところで実際はこんなことにならないだろ！」

　「それを可能にする力を僕は手にしようとしているんだよ！もう直ぐそこまで来ているんだよ！否定した世界のその先！僕が書き換えた新たな世界が！」

　本気で言ってやがる……

　「さぁデュエルの続きをしようじゃないか！僕は《Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ》の発動時処理で、デッキから《世改従魔ノワール・メフィスト》を手札に加える！」

《世改従魔ノワール・メフィスト》
効果モンスター
星７/闇属性/悪魔族/攻２４００/守１５００
このカード名の、①の方法による特殊召喚は１ターンに１度しかできず、②③の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：自分フィールドゾーンに「Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ」が存在する場合またはそのカード名が記されたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
②：このカードが特殊召喚した場合に発動できる。自分の墓地から「世改従魔ノワール・メフィスト」以外の「Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ」のカード名が記されたモンスター１体を手札に加えるか特殊召喚する。
③：自分のモンスターゾーンに「世改者ノワール」が存在する状態で、相手がカード効果を発動した時、墓地のこのカードを除外して発動できる。相手に１０００ダメージを与える。

　「今手札に加えた《世改従魔ノワール・メフィスト》の効果により、このカードを特殊召喚する！そして、特殊召喚時の効果を発動！それにチェーンして《世改者ノワール》の効果も発動！」

チェーン１：《世改従魔ノワール・メフィスト》
チェーン２：《世改者ノワール》

　「《世改者ノワール》の効果で自身をペンデュラムゾーンに再設置し、《世改従魔ノワール・メフィスト》の効果でデッキから《世改従魔ノワール・イリュージョニスト》を特殊召喚！」

《世改従魔ノワール・イリュージョニスト》
効果モンスター
星２/闇属性/幻想魔族/攻７００/守２００
このカード名の①②の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「世改従魔ノワール・イリュージョニスト」を２体まで特殊召喚する。
②：自分フィールドゾーンに「Ｎｏ Ｗｏｒｌｄ」が存在し、相手がカード効果を発動した時に発動できる。その効果は「相手は自身のフィールドのモンスター１体をリリースしてデッキから１枚ドローする」となる。
③：このカードがモンスターと戦闘を行う場合、その２体はその戦闘では破壊されない。

　「このモンスターが特殊召喚した場合に同名モンスターを２体まで呼び寄せる！」

　同じモンスターが３体……いったいどうする気だ？

　「僕は《世改従魔ノワール・メフィスト》と《世改従魔ノワール・イリュージョニスト》の２体でリンク召喚！召喚条件はリンクモンスター以外のモンスター２体！リンク２！《Ｉ：Ｐマスカレーナ》！」

《Ｉ：Ｐマスカレーナ》
リンク・効果モンスター
リンク２/闇属性/サイバース族/攻８００
【リンクマーカー：左下/右下】

　「また随分と汎用性の高いカードを使ってきましたね……」

　「シャイニーは知っているのか？」

　「モディファーカードは知りませんが、《Ｉ：Ｐマスカレーナ》は実在するカードです。しかもかなり汎用性が高い妨害モンスターとして重宝されています。気をつけてください」

　可愛い見た目に反してかなりやれるカードみたいだな。

　「解説は終わったかな？僕は更に、《幻惑の見習い魔術師》ともう１体の《世改従魔ノワール・イリュージョニスト》でリンク召喚！召喚条件は効果モンスター２体。リンク２《影法師トップハットヘア》」

《影法師トップハットヘア》
リンク・効果モンスター
リンク２/闇属性/幻想魔族/攻１５００
【リンクマーカー：左下/右下】

　「《影法師トップハットヘア》がリンク召喚した事で、デッキから自身をモンスターとして特殊召喚できる永続罠カード１枚を自分フィールドにセットする！僕は《碑像の天使－アズルーン》をセットする！」

　「僕はカードを１枚セットしてターンエンドだ」

　「随分と魔力を投資しましたね？モディファー」

　「仕方ないさ。この世界ではデュエルの強さがものを言うのだろう？だったらなるべくデッキを強くするのは最優先事項だ。ダークネスを呼ぶための魔力だったけど、ある程度は僕自身のために使わせてもらったよ。まぁ、手痛い出費だったけどね」

　「どういう事だよシャイニー？」

　「前からちょこちょこ言ってましたが、ツカサの《無限抱擁》然り、魔人族だったサリエラが使った《禁じられた一滴》然り、汎用性があって強いとされているカードは契約に大量の魔力を消費します。しかも、契約できるかは結局ランダムですから無駄に魔力がかかってしまうんです」

　そういえばそうだったな。ある程度の相性から選ばれるとはいっても、狙ったカードが手に入る事は中々ないみたいだし。

　「モディファーが出した《Ｉ：Ｐマスカレーナ》や《影法師トップハットヘア》も狙って契約できるものでもないですし、ちょっとやそっと粘った程度ではお目にかかる事もできません」

　それだけ強くて貴重なカードって事だよな。

　「まぁ、僕には粘るだけの時間も魔力もあった訳さ。それでも、かなり厳しいものだったけどね」

　なら、モディファーのデッキは今まで戦って来た奴の中でもトップクラスにヤバいデッキって事だな。気を引き締めないとな。

　「さぁ、次は遊輝君のターンだ。カードを引きたまえ」

　「分かってる！行くぞモディファー！」