第144話 暴食のアクセル　作：ヒラーズ

「レヴィアタンの召喚成功時に『激流葬』を発動！互いのモンスターを破壊する！」
「！（いかん！！俺の場がガラ空きだ！！）」
「くくっ・・・どうした？もう終わりか？」
畜生・・・モンスターがいないから何もできない。
「・・・（カードを3枚伏せて、ターン終了）」
「ついに諦めたか？ドロー！」
キュリム
手札3→4

「魔法カード『天よりの宝札』を発動！互いのPLは手札が6枚になるようにデッキからカードをドローする！」
キュリム
手札3→6

百騎兵
手札0→6

「さらに『サイクロン』を発動！奈落経典を破壊！」
召喚のライフラインを破壊された・・・ますます不利になった。
「さぁ行くぞ！手札のヴァスキオ、『方界業』、『方界合神』を見せて、出でよ！暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ！」
暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ　ATK3000　☆10

げぇっ！！もう来たのか！！早すぎる！
「バトルだ！暗黒方界神でダイレクトアタック！」
その瞬間だった。
「！？（何だ！？手札が！）」
俺の手札の1枚が急に動き出し、実体化する。
「！何だ？この毛玉のような小さい悪魔は？・・・バトルフェイズが終了しただと！？」
毛玉・・・というより綿毛の方が正しいのか？
いきなりのことで俺達は少し動揺するが、俺にとっては助かったも当然である。
「ふきゅ（経典魔法生物ケサランパサランのモンスター効果！相手の直接攻撃宣言時、このカードを手札から捨てる事でその攻撃を無効にし、バトルフェイズを強制終了させる！）」
バトルフェイズが強制終了し、キュリムはメインフェイズ2に移行した。
「ちっ・・・カードを2枚伏せてターンエンド、エンドフェイズ時にクリムゾン・ノヴァが表側表示で存在する時、互いのPLは3000のダメージを受ける！」
互いに削られるなら引き分けに持っていける。ここまでは・・・。
「我も痛手を負うと思ったか？前に伏せたカードをオープン！『地獄の扉越し銃』！ダメージをお前に押しつけ、合計して6000のダメージだ！」



・・・へ？




そう言えば方界デッキってこれ入ってたなぁ・・・。
こりゃあ負けたな・・・。
「我の勝ちだ！」
せめて最後の足掻きをさせて貰おう。
「うにぇ！（罠カード『ダメージ・ダイエット』！このターン、俺が受けるダメージは全て半分になる！よって3000は受ける！）」
手札はほとんど全滅並みに弱いモンスターしかいない、完全にサレンダーしないといけない状況。
そう考えていた時だった。

ｶｯ！

「「！！」」
いきなり俺のエクストラデッキが光った。
その色はアクセル召喚と同じ色。
ドラゴニック・サタンは出せるが・・・何か違う。
俺がそのカードに触れた瞬間・・・







飛んでくる効果ダメージのエネルギーが綿飴のようなものに変化し、触れたカードの中に吸い込まれていったと同時に俺のライフがとんでもないくらいに回復した。
百騎兵　LP5000→2000→8000

「・・・（アクセル条件達成！自分が3000以上の戦闘、効果ダメージを受けた時、受けたダメージの倍LPを回復させ、エクストラデッキからこのカードをアクセル召喚する！アクセルゲートオープン！！さらなる罪が自身にかかる災いを喰らい、天変地異を揺るがす最強の存在となれ！アクセル召喚！サブエースよ進化せよ！美食経典魔王神ベルゼブブ）」
現れるのはきっとでかいハエだろう。
















そう思っていた。

「？何だこのモンスターは？少女のようなモンスターだが？」
俺の前に現れたのは・・・黒髪のロングで赤眼の少女・・・のようなモンスターだった。
美食経典魔王神ベルゼブブ　ATK4500　☆12

攻撃力高っ！だがこれでクリムゾン・ノヴァを葬れる！
ベルゼブブが召喚されたとたん、相手フィールド上のカードが全て吹き飛び、何かさらにLPが回復した。
百騎兵　LP8000→11000

回復しすぎ・・・俺なら泣いているところだ。
「もきゅ？（あれ？テキストとデザインが出来上がってる？効果は・・・えげつなっ！！）」
「我の場がガラ空きになっただと！？カードを2枚伏せてターンエンドだ！」
ここでしくじれば俺は完全に負ける。
負ける訳にはいかん！
「きゅ・・・（俺のターン！）」
百騎兵
手札5→6

「・・・（永続魔法『美食経典-暴食解禁の書-』を発動！そしてLPを1000払い、このカードの攻撃力は俺のライフを倍にした数値分アップし、このカード以外のカード効果を受けない！）」
百騎兵　LP11000→10000
美食経典魔王神ベルゼブブ　ATK4500→24500

「なっ・・・！？」
「うにぇ！（とどめだ！ベルゼブブでダイレクトアタック！パンデミックバースト！！）」
ベルゼブブの放った魔法の弾丸がキュリムに直撃し、入場入り口まで吹き飛ぶ。
キュリム　LP8000→0

「ぐあああっ！！！」



WIN
百騎兵















「馬鹿な・・・これでは計画の意味がない・・・」
「ふきゅ（計画は失敗に終わった。俺の旅路の阻害も全てな）」
「いや・・・まだだ！！」
キュリムが起爆スイッチを押し、辺りから爆発音が響いた。
そう・・・爆発したのだ。あの爆弾が。
「はは・・・例え観客全員逃げ切っても、お前と我で心中だ！精々・・・あがくが良い！！」
キュリムはそう言って気絶した。
悪党のやり口とはいえ、エグいことやってくれたよ。
「ふきゅ（生憎、今ここでくたばる訳にはいかないんでな。脱出させて貰うぞ）」
俺は急いで元来た道を進み、待機室の中を確認する。
「・・・（いない・・・上手く逃げ切れたようだな）」
観客の避難誘導をしてくれれば良いのだが。
俺は待機室を出て、広場に出た時だった。
「開けて！まだ人が！」
「そんな…置いて行かれるなんて…」
夜会の会場入り口の扉が硬く閉ざされ、そこで扉を叩く二人の少女がいた。
一人はボブショートの金髪少女。
もう一人は黒髪のスレンダーな体型をした少女だった。
恐らく取り残されたんだろう。

俺は二人の少女に近づき、声をかける。
「ふきゅ」
「！キミは…リペアラーズのリーダー！」
知ってるみたいだな。言葉は通じないが、態度で示すしかないか。
「・・・」
俺は階段に指をさし、上へ行けとちょっとしたジェスチャーをした。
どうやらスレンダーな体型をした少女は盲目らしいので、ボブショートの金髪少女に引っ張ってもらうことにした。
「ふきゅ・・・」
「名前…？フィーナ・ブライトよ」
「二階堂…詩音です…」
フィーナに詩音か…よし。
俺は後に続くとフィーナに伝え、先に二人には階段を上がらせた。

「・・・（さて、鏡は諦めよう）」
そう思い、俺は二人の後に続いた。








次回、夜会の終わり、朝の訪れ
※タイトルが変わる可能性があります。