第125話　ゴスロリ悪魔の影　作：ヒラーズ

「あるじさま・・・？」
「・・・」
落ち着け、ネクロの野郎がこの大会に参加しているとなるとノイエの言う通り、裏が問題だな。
「・・・」
「あるじさま？」
「むきゅちゃん？」
ハナコ達が心配そうに俺を見つめる・・・。
仕方ない事だ、取りあえず・・・。
「きゅ（ちょっとだけ頭冷やしてくる、次に出る人を決めていてくれ）」
「？はい・・・」
俺は扉を開け、廊下に出る・・・。
「あるじさま・・・いきなりどうしたんでしょう？」
「恐らく、前世の百騎兵の敵対関係の人物の名が載っていたから、怒ったんじゃないか？」















一方、俺は誰も居ない、無人の広場で考え事をしていた。
「きゅ・・・（ネクロ・・・俺はお前さんの名を1秒たりとも忘れた事がない。たった一人の敵だ。何を考えている・・・？この世界には少なくとも奴の望むものはないぞ？）」
もしかして奴は俺の船の奪還を邪魔しに来たのか？ならば近いうちに排除しないとな。
そう考えている時だった。
「！」
俺は強い殺意を感じ、咄嗟に後ろへ振り向いた。
「もきゅ？」
「・・・」
俺が振り向いた先には、黒髪ロングの赤眼の少女、服装は黒いゴスロリ。
コスプレイヤー？かと思い、近づく。
「殺害対象発見・・・殺す・・・」
「！？」
さ・・・殺害対象！？俺が殺害対象になるような事したか？
「・・・」
何も言わず、無表情な少女。
俺をじっと見つめているが、俺が刀剣を取り出そうとした瞬間だった。
ﾋｭｲﾝ！！

魔力でできた何かが俺の頬をかすって飛んでいった。
「・・・」
「・・・」
同じ殺しの得意なもの同士、沈黙が続く。
俺も負けじと動き、魔力の弾丸をかわす。
どうやら少女の指先から魔力の弾丸が発射されているようだ。
正直危ない・・・。

「うにぇ！（やられたら、やり返す！）」
俺は刀剣で少女の首を切りに行こうとした時、詠唱魔法の言葉が聞こえた。
「甘い・・・【マハジオンガ】・・・」
少女の目が赤く光り始め、辺りに雷を起こす。
「！（危ねぇな、こいつ魔法も使えるのかよ・・・ん？背中に翼が・・・）」
俺は少女の雷の魔法をかわし、様子をみる。
「・・・」
「・・・」
どうやら見逃してもらえそうにないな。
俺は刀剣から電磁鈍槌を取り出し、構える。
「・・・見逃して欲しいなら、私とデュエルして勝ってみなさい・・・もし勝てたなら、見逃してあげることも考えてあげる」
殺害対象（キリングターゲット）の最後の足掻きを聞いてやるってのか、余裕にもほどがあるだろ・・・。
「・・・（いいだろう、お前さんをボコボコにしてやる）」
「・・・本来、私にとってデュエルの勝敗は関係ない・・・だってその後殺せば良いだけだからね」
勝っても地獄、負けても地獄。上等じゃないか、丁度良くギャラリーも仲間もいない。
二人だけのデュエルだ・・・気を抜く気はない。
俺と少女はディスクを構え、言う。
「デュエル・・・」
「・・・（デュエル）」

ゴスロリ少女　LP4000
手札5

百騎兵　LP4000
手札5

「先攻・・・ドロー」
ゴスロリ少女
手札5→6

「・・・手札から魔法カード『トレード・イン』・・・スペルピアを捨てて2枚ドローする」
ゴスロリ少女
手札4→6

「・・・悪王アフリマを手札から捨てて、デッキから闇黒世界－シャドウ・ディストピア－1枚を手札に加える・・・」
さっきから手札が減ってない。こいつ・・・かなりの猛者だな。
「フィールド魔法『闇黒世界－シャドウ・ディストピア－』を発動、さらにクリバンデットを召喚」
クリバンデット　ATK1000　☆3

「・・・先攻は攻撃できない、ターンエンド・・・」
そしてエンドフェイズ時にそのモンスターをリリースし、デッキからカードを5枚めくるんだったな。
「・・・『堕天使の戒壇』を手札に加え、残りは墓地に送る。チェーンにして、ディストピアの効果で私の場にシャドウトークン1体を守備表示で特殊召喚する・・・」
何か色々と堕天使モンスターが墓地に落ちてるな・・・。
ディザイアにイシュタムにスペルピアと良いカードが墓地に・・・。
シャドウトークン　DEF1000　☆3

「きゅ（俺のターン、ドロー）」
百騎兵
手札5→6

手堅く攻めるしかないか？
「ふきゅ・・・（俺は手札から永続魔法『奈落経典-呪いの書-』を発動、LPを払ってデッキから闇属性の悪魔族、天使族モンスター1体を召喚条件無視して特殊召喚する。俺が出すのは・・・邪神ドレッド・ルートだ）」
百騎兵　LP4000→3000
邪神ドレッド・ルート　ATK4000　☆10

「きゅ・・・（俺もこのターンは攻撃しない。カードを2枚伏せて、ターン終了）」
さて、相手はどんな実力か見せてもらおう。
「・・・」
そういえば少女と言うよりこいつ、悪魔か？普通の人間は魔法なんぞ撃ってこない。
何者なんだこいつは？


次回、今宵、悪魔は踊る。
※タイトルが変わる可能性があります。