第108話 生き残りの魔法生物　作：ヒラーズ

ネロムを倒したと同時に宝石のようなものが俺の目の前に落ちる。
「あるじさま・・・これって・・・」
「・・・（間違いない、メモリーストーンだ）」
俺がメモリーストーンを取ろうとした瞬間だった。
ﾋｭﾝｯ！

「「「！」」」
「「！？」」
突然メモリーストーンが消えたのであった。
だがそれをはっきり見ていたのはリュウカだった。
「今、何か通らなかった？」
「きゅ・・・（何か見えたのか？）」
「何か・・・百騎兵と同じ大きさの何かが通り過ぎたけど」
俺と同じ大きさの何かか・・・。
「・・・（どこに行ったかは？）」
「たしか・・・」
リュウカは閉ざされていた扉を見て、答えた。
「恐らく・・・この先」
マジか・・・絶対何かあるよな・・・盗んだ奴以外に。
「・・・行きます？」
「・・・」
どう考えても行くしか無い。
俺は扉の取っ手に手を伸ばし、扉を開ける。



中は先程の部屋と同じく広いが、部屋の中央にローブを纏った小さい何かの生物がいた。
「・・・（あいつか？）」
「うん、あいつ」
あいつか・・・とりあえず話しかけ・・・。
「・・・こいつが欲しいか？」
俺と同じ大きさをした生物が、自分から俺に話しかけた。
「ふ・・・こんな石ころが欲しいとは、変わった奴だな」
何だあいつ、物を見せたとたんに煽りか？
「まずは名を言って貰おうか」
「もきゅ？（？・・・百騎兵だが？）」
「違うな、お前の本名だ」
「・・・」
何だ？まるで俺の事を知ってるような言い方だな。
「何でこんな世界に落ちた記憶が無くても思い出せているだろう？」
「！」
「あるじさまの・・・」
「本当の・・・」
「名前・・・ですか」
待て、考えろ・・・罠だったらどうする・・・。
（ここは正直とは言わず、誤魔化してみるか）
「ふきゅ・・・（例え本名を思い出したとしても言わない主義でな、少なくともこの世界にいるときの俺の名は「百騎兵」だ、そう言う前にお前さんも名を名乗れ）」
その事に応じたのか名を名乗り、ローブを脱ぐ。
その姿を見た俺達は驚いた。なぜなら・・・





姿が俺と・・・同じだったからだ。
だが兜の色と頭の灯の色も違う。
深紅に輝く兜に血液のように赤い灯。
まるでそれは死神を連想させるような奴だった。
「俺の名は「マナイバ＝ゼロン」、マナイバは魔法生物語で「死神」、ゼロンは「虚無」と読む、言ったぞ」
さて、どうしたものか・・・本名を言わないと話が進まない。
名乗ったとしてもこいつに何の利益があると言うんだ・・・。
「・・・」
「・・・」
仕方ない、どのみち言わないといけないからな。否定のしようがない。
「きゅ・・・（俺の転生前の名は「白皇 陸也（はくおう　りくや）」、だが、この世界にいる時は「百騎兵」だ！それ以上でも無ければ、以下でも無い）」

「それが・・・あるじさまの・・・本名」
「きゅ・・・（確かに何故この世界に転生してしまった理由や自分が転生する前に行った使命や大切な人との約束は未だ思い出せないままだが、俺の名を聞いたところでお前さんに何の得があるんだ？）」
その時、マナイバは少し笑う。
「ふっ・・・簡単だ、戦う相手の名も覚えられる。何より俺の目的は、お前の力を・・・











試しにきた！」
「！」
俺を試す・・・だと？

次回、　深紅のマナニア

※タイトルが変わる可能性があります。