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第79話:壊れかけの人形 作:チュウ
「さて、と」
「身支度は終わったの?」
「今終わったよ」
ここに来て、今日で四日目か。まだ慣れないが、クロリムとのこのやり取りが日常化しつつあるな。
「チェックしとくか」
俺はおもむろにテーブルに置いてあるデッキを確認した。
「もう《デビルフランケン》は入ってないのよ……」
クロリムの言う通り、勝手に入っていた《デビルフランケン》は抜いてある。昨日の闇の尖兵とのデュエルでは、まさかの初手に3枚も引いたからな。軽くトラウマだ。
「当たり前だ!入っててたまるか」
さて、今日はどうするか……昨日、フィオラ様にまた明日なんて言ったからな……様子でも見に行くか。気は乗らないが……
「はぁー……クロリム、一緒にフィオラ様のところに行くぞ」
「親睦を深めるって真に受けているのよ?別に律儀にしなくてもいいんじゃないの?」
「確かにそうだが、仕事は仕事だろ?何かあった時のためにも多少なりとも意思疎通がスムーズにできた方がいいだろ?昨日の感じだと、普通の会話も怪しいからな」
ただ、昨日と同じ感じで話され続けられたら、俺も流石に会話が続かない。なにかきっかけを掴まないとな。
「ん?」
俺がドアを開けた時に、フィオラ様の使っている部屋の前に二食分のお盆がそのままの状態で床に置かれているのが見えた。
「ご飯が置いてあるのよ?」
ここにはフィオラ様一人しかいない筈……朝食が二人分って誰かいるのか?
俺は少し悩んだが、何となく気になってノックをして確かめた。
コンコンコン
返事はなかった。それどころか、生活音もしない。寝ているのだろうか?
「返事がないのよ?」
「フィオラ様?朝食が来ていますよ?」
やはり返事がない。俺はおもむろにドアノブを捻った。すると、鍵がかかってないのか簡単に開いた。
「鍵かかってないぞ!?」
俺は不安になって部屋に入った。そこにはベッドに座ったまま、微動だにしない彼女の姿があった。生きてはいるが、生気が感じられない。顔の綺麗さもそうだが、動かない感じがより一層人形感を強くしていた。それにしても……
「なんか変な臭いがするのよ……」
クロリムの言う通り、この部屋に入った時から感じていた変な臭い……この臭いもしかすると……何日も身体を洗っていないんじゃないか?昨日会った時は割ときつめの香水の匂いがしたし、胡麻化していたんだろう。何よりも今は密室だ。昨日は部屋の外だったってのもありそうだ。
そんな事を考えていると、ドアの外から物音がした。恐らくはご飯を下げに来たメイドさんだろう。丁度いい!
「すみません!」
俺は急いで部屋を出て、メイドさんに声を掛けた。
「なんでしょうか?」
「あの、フィオラ様の身の回りの世話って誰かがするんじゃないでしょうか?」
俺の勝手なイメージだが、こういった高貴な貴族って身の回りの世話を侍女とかにやらせているイメージなんだよな。俺は的外れでもいいから取り敢えず言ってみた。
「いませんよ?」
いない?
「ですが、フィオラ様はとても自分一人で身の回りの事ができる様には見えないのですが……」
「時々濡れタオルをお渡ししていますが、基本誰もお世話していません。父君であらせる国王様からのお達しです」
お達し?
「どういったお達しなのでしょうか?」
「フィオラ様は、言ってしまえば期待ができないそうです。無気力で愛想もない。政治的にもなにも価値がないと普段から仰られています。ここに連れて来られたのも、言わば厄介払いなのでしょう。なので、フィオラ様には侍女はいません」
どういう事だよ……実の娘じゃないのか?貴族ってそういうもんなのか?いや、だとしても!
「誰もなんとも思わないのですか?」
俺は少々棘のある言い方をした。
「国王様のお達しですので。わたくし共は言われた事を忠実に遂行するだけです。それが、国王様が求めるものですので。では」
無関心過ぎるだろ……フィオラ様の事を人形って思ったが、ここのメイドさん達も大概人形なのかもしれないな。仕事内容的には問題ないんだろうが、指示に従っているだけって感じだ。もしかして、この国の人達ってこんな感じなのか?
俺はメイドさんは諦めてフィオラ様の部屋に戻った。
「ツカサ、どうだったのよ?」
「ダメだった……このままだと、フィオラ様はずっとこの状態で過ごす事になると思う」
どうする、か……まだ、彼女とは顔見知りくらいの関係だ。これ以上なにかのお節介を焼く必要はない……そんな事は分かっている。フィオラ様とはいわゆるビジネスパートナーだ。彼女の状態的に仕事ができるとは思えないが、最悪、俺一人でやればいいだけの事……
俺は自分に何かを言い聞かせる様に心でそんな事を考え続けていた。そして、俺が出した考えは……
「はぁー……クロリム。この部屋にある物をまずは調べる。手伝ってくれ」
「わ、分かったのよ!」
結局お節介を焼く事を選んでしまった。自分で何をしているんだと思っている。こんなのは自分のためにはならない事だ。損をする事を分かっていて人のためになにかをするなんて……遊輝に影響されたか?アイツなら自分が後悔しない選択をするためにここで見捨てるなんて事はしないだろうからな。俺が向こうの世界でダークネスの手に掴まれていたところを自分の危険を顧みずに助けに来る様な奴だしな。
はぁー……まずは何があって何ができるかだ。そんなに広くない部屋だ。調べるのにそれ程時間は掛からなかった。調べるのに一応断りは入れたが、案の定反応はない。ボーッとしているだけだ。
「着替えはあったの!ただ、今着ている様な立派なやつじゃなくて簡単な衣装だけど……」
簡単とは言うが、それでも外に着ていくには充分に綺麗で可愛らしい洋服が揃っている。部屋着もあるし、まずは部屋着に着替えて貰おう。その前に……
「まずはシャワー……じゃなくて湯掛けだな……フィオラ様、湯掛けをしましょう。このままだと、流石に外に出れません」
「…………な、んで?」
やっと反応があった。
「何でって……必要だからです。三日後には仕事に行かなければなりません。その前に身なりを整えないと」
「…………いみ、ない。私は、いらない子だから……」
「父親にそう言われたのですか?」
フィオラ様は頷いた。随分と酷い言われようだな……
「だとしても、この状況は良くありません。実の父親に言われた事は悲しい事ですが、それでも明日は来ます。自分を変えていかなければ、その明日も今日と同じ結果になってしまいます。なら、少しでも良くなる様に行動しないと」
「……うる、さい。何が分かるの?私が物心ついた頃からずっと言われてきた。愛想が良くない、取り柄がない、社交性もない……顔が良いだけの人形。それが私なの」
何とも酷い内容だ。実際に言われた身からしたらショック以外の何者でもないよな。
「だからって殻に閉じこもったままでいいと?どうしてです?」
「……動く気が起きないの。それに、怖い……」
漠然としているが、"怖い"……これが、恐らく彼女の心の奥底で楔になっているんじゃないか?詳しくはないが、無気力な感じといい鬱っぽさがある気がする。心の病を患っている可能性は充分にありえる。
「どうするの?ツカサ?」
クロリムもどうしていいか分からないって感じだな……俺だって分からない。医者でもなければ、心理学者でもない。ただの高校生だ。
俺が考えた末に出した言葉は……
「貴女はどうなりたい?」
どうしたいかじゃない。どうなりたいかが大事だと思った。方法ではなく求める結果にこそ、彼女の本質がある筈だ。
「……分からない」
「違う。フィオラ様は分かっている筈です。今は怖くて分かっていないフリをしているだけなんだと。もし、変わりたいのであれば俺の手を取れ。俺が……助ける!」
自分で言ってて呆れてくる。何の根拠も勝算もない。何て無責任な言葉だ……考えた末に行き着いたのが感情論とは……自分が情けない。だが、アイツなら……遊輝なら、きっとここで諦める選択はしない筈だ。
ゆっくりとだが、彼女は自分の手を恐る恐る伸ばしてきた。だが、最後の最後で手を引いてしまう。
「……」
迷っているなら脈ありだな。きっと心の底では助かりたいと願っている筈だ。
俺は長期戦を覚悟して、ベッドに座っている彼女の直ぐ隣に腰掛けた。
「クロリム、しばらく向こうの部屋で待機していてくれ」
「わ、分かったの。何かあったら声をかけるのよ」
そう言い残してクロリムを部屋に帰した。
その行動に対してフィオラ様はチラチラと俺の方を見ている。どういう意味の行動なのか分からないって感じだな。
「今日は、俺もしばらくここにいる。無理に何かを話さなくていい。ただ、助けて欲しいなら、俺の手を取ってくれ」
それから何時間居たのか分からないが、夕食が運ばれて来た少し前くらいに、前触れもなくフィオラ様は俺の手を取った。それは俺が再三言っていた助けての合図だ。きっと彼女の心の中には様々な葛藤や考えがあっただろう。それが今になっただけだ。物語の様に感動的な話しの流れでの心変わりなんて現実には早々ない。実際はきっとこうやって物語は唐突に進んで行くんだろう……俺は自分の言った事の責任を取るために彼女の手を握り返した。
正確な時間は分からないが、朝から夕方にかけてのこの長期戦は、俺的には良い形で終わったと思う。しかし、俺はこの時知らなかった。自分が如何に大変な選択をしたのかを……
「身支度は終わったの?」
「今終わったよ」
ここに来て、今日で四日目か。まだ慣れないが、クロリムとのこのやり取りが日常化しつつあるな。
「チェックしとくか」
俺はおもむろにテーブルに置いてあるデッキを確認した。
「もう《デビルフランケン》は入ってないのよ……」
クロリムの言う通り、勝手に入っていた《デビルフランケン》は抜いてある。昨日の闇の尖兵とのデュエルでは、まさかの初手に3枚も引いたからな。軽くトラウマだ。
「当たり前だ!入っててたまるか」
さて、今日はどうするか……昨日、フィオラ様にまた明日なんて言ったからな……様子でも見に行くか。気は乗らないが……
「はぁー……クロリム、一緒にフィオラ様のところに行くぞ」
「親睦を深めるって真に受けているのよ?別に律儀にしなくてもいいんじゃないの?」
「確かにそうだが、仕事は仕事だろ?何かあった時のためにも多少なりとも意思疎通がスムーズにできた方がいいだろ?昨日の感じだと、普通の会話も怪しいからな」
ただ、昨日と同じ感じで話され続けられたら、俺も流石に会話が続かない。なにかきっかけを掴まないとな。
「ん?」
俺がドアを開けた時に、フィオラ様の使っている部屋の前に二食分のお盆がそのままの状態で床に置かれているのが見えた。
「ご飯が置いてあるのよ?」
ここにはフィオラ様一人しかいない筈……朝食が二人分って誰かいるのか?
俺は少し悩んだが、何となく気になってノックをして確かめた。
コンコンコン
返事はなかった。それどころか、生活音もしない。寝ているのだろうか?
「返事がないのよ?」
「フィオラ様?朝食が来ていますよ?」
やはり返事がない。俺はおもむろにドアノブを捻った。すると、鍵がかかってないのか簡単に開いた。
「鍵かかってないぞ!?」
俺は不安になって部屋に入った。そこにはベッドに座ったまま、微動だにしない彼女の姿があった。生きてはいるが、生気が感じられない。顔の綺麗さもそうだが、動かない感じがより一層人形感を強くしていた。それにしても……
「なんか変な臭いがするのよ……」
クロリムの言う通り、この部屋に入った時から感じていた変な臭い……この臭いもしかすると……何日も身体を洗っていないんじゃないか?昨日会った時は割ときつめの香水の匂いがしたし、胡麻化していたんだろう。何よりも今は密室だ。昨日は部屋の外だったってのもありそうだ。
そんな事を考えていると、ドアの外から物音がした。恐らくはご飯を下げに来たメイドさんだろう。丁度いい!
「すみません!」
俺は急いで部屋を出て、メイドさんに声を掛けた。
「なんでしょうか?」
「あの、フィオラ様の身の回りの世話って誰かがするんじゃないでしょうか?」
俺の勝手なイメージだが、こういった高貴な貴族って身の回りの世話を侍女とかにやらせているイメージなんだよな。俺は的外れでもいいから取り敢えず言ってみた。
「いませんよ?」
いない?
「ですが、フィオラ様はとても自分一人で身の回りの事ができる様には見えないのですが……」
「時々濡れタオルをお渡ししていますが、基本誰もお世話していません。父君であらせる国王様からのお達しです」
お達し?
「どういったお達しなのでしょうか?」
「フィオラ様は、言ってしまえば期待ができないそうです。無気力で愛想もない。政治的にもなにも価値がないと普段から仰られています。ここに連れて来られたのも、言わば厄介払いなのでしょう。なので、フィオラ様には侍女はいません」
どういう事だよ……実の娘じゃないのか?貴族ってそういうもんなのか?いや、だとしても!
「誰もなんとも思わないのですか?」
俺は少々棘のある言い方をした。
「国王様のお達しですので。わたくし共は言われた事を忠実に遂行するだけです。それが、国王様が求めるものですので。では」
無関心過ぎるだろ……フィオラ様の事を人形って思ったが、ここのメイドさん達も大概人形なのかもしれないな。仕事内容的には問題ないんだろうが、指示に従っているだけって感じだ。もしかして、この国の人達ってこんな感じなのか?
俺はメイドさんは諦めてフィオラ様の部屋に戻った。
「ツカサ、どうだったのよ?」
「ダメだった……このままだと、フィオラ様はずっとこの状態で過ごす事になると思う」
どうする、か……まだ、彼女とは顔見知りくらいの関係だ。これ以上なにかのお節介を焼く必要はない……そんな事は分かっている。フィオラ様とはいわゆるビジネスパートナーだ。彼女の状態的に仕事ができるとは思えないが、最悪、俺一人でやればいいだけの事……
俺は自分に何かを言い聞かせる様に心でそんな事を考え続けていた。そして、俺が出した考えは……
「はぁー……クロリム。この部屋にある物をまずは調べる。手伝ってくれ」
「わ、分かったのよ!」
結局お節介を焼く事を選んでしまった。自分で何をしているんだと思っている。こんなのは自分のためにはならない事だ。損をする事を分かっていて人のためになにかをするなんて……遊輝に影響されたか?アイツなら自分が後悔しない選択をするためにここで見捨てるなんて事はしないだろうからな。俺が向こうの世界でダークネスの手に掴まれていたところを自分の危険を顧みずに助けに来る様な奴だしな。
はぁー……まずは何があって何ができるかだ。そんなに広くない部屋だ。調べるのにそれ程時間は掛からなかった。調べるのに一応断りは入れたが、案の定反応はない。ボーッとしているだけだ。
「着替えはあったの!ただ、今着ている様な立派なやつじゃなくて簡単な衣装だけど……」
簡単とは言うが、それでも外に着ていくには充分に綺麗で可愛らしい洋服が揃っている。部屋着もあるし、まずは部屋着に着替えて貰おう。その前に……
「まずはシャワー……じゃなくて湯掛けだな……フィオラ様、湯掛けをしましょう。このままだと、流石に外に出れません」
「…………な、んで?」
やっと反応があった。
「何でって……必要だからです。三日後には仕事に行かなければなりません。その前に身なりを整えないと」
「…………いみ、ない。私は、いらない子だから……」
「父親にそう言われたのですか?」
フィオラ様は頷いた。随分と酷い言われようだな……
「だとしても、この状況は良くありません。実の父親に言われた事は悲しい事ですが、それでも明日は来ます。自分を変えていかなければ、その明日も今日と同じ結果になってしまいます。なら、少しでも良くなる様に行動しないと」
「……うる、さい。何が分かるの?私が物心ついた頃からずっと言われてきた。愛想が良くない、取り柄がない、社交性もない……顔が良いだけの人形。それが私なの」
何とも酷い内容だ。実際に言われた身からしたらショック以外の何者でもないよな。
「だからって殻に閉じこもったままでいいと?どうしてです?」
「……動く気が起きないの。それに、怖い……」
漠然としているが、"怖い"……これが、恐らく彼女の心の奥底で楔になっているんじゃないか?詳しくはないが、無気力な感じといい鬱っぽさがある気がする。心の病を患っている可能性は充分にありえる。
「どうするの?ツカサ?」
クロリムもどうしていいか分からないって感じだな……俺だって分からない。医者でもなければ、心理学者でもない。ただの高校生だ。
俺が考えた末に出した言葉は……
「貴女はどうなりたい?」
どうしたいかじゃない。どうなりたいかが大事だと思った。方法ではなく求める結果にこそ、彼女の本質がある筈だ。
「……分からない」
「違う。フィオラ様は分かっている筈です。今は怖くて分かっていないフリをしているだけなんだと。もし、変わりたいのであれば俺の手を取れ。俺が……助ける!」
自分で言ってて呆れてくる。何の根拠も勝算もない。何て無責任な言葉だ……考えた末に行き着いたのが感情論とは……自分が情けない。だが、アイツなら……遊輝なら、きっとここで諦める選択はしない筈だ。
ゆっくりとだが、彼女は自分の手を恐る恐る伸ばしてきた。だが、最後の最後で手を引いてしまう。
「……」
迷っているなら脈ありだな。きっと心の底では助かりたいと願っている筈だ。
俺は長期戦を覚悟して、ベッドに座っている彼女の直ぐ隣に腰掛けた。
「クロリム、しばらく向こうの部屋で待機していてくれ」
「わ、分かったの。何かあったら声をかけるのよ」
そう言い残してクロリムを部屋に帰した。
その行動に対してフィオラ様はチラチラと俺の方を見ている。どういう意味の行動なのか分からないって感じだな。
「今日は、俺もしばらくここにいる。無理に何かを話さなくていい。ただ、助けて欲しいなら、俺の手を取ってくれ」
それから何時間居たのか分からないが、夕食が運ばれて来た少し前くらいに、前触れもなくフィオラ様は俺の手を取った。それは俺が再三言っていた助けての合図だ。きっと彼女の心の中には様々な葛藤や考えがあっただろう。それが今になっただけだ。物語の様に感動的な話しの流れでの心変わりなんて現実には早々ない。実際はきっとこうやって物語は唐突に進んで行くんだろう……俺は自分の言った事の責任を取るために彼女の手を握り返した。
正確な時間は分からないが、朝から夕方にかけてのこの長期戦は、俺的には良い形で終わったと思う。しかし、俺はこの時知らなかった。自分が如何に大変な選択をしたのかを……
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51 | 第78話:真実への先導者トゥルーマン | 436 | 0 | 2025-03-04 | - | |
53 | 第79話:壊れかけの人形 | 325 | 2 | 2025-03-06 | - | |
32 | 第80話:クズと人形に振り回される者 | 228 | 0 | 2025-03-08 | - | |
32 | 第81話:子供の負け惜しみ | 336 | 2 | 2025-03-11 | - | |
47 | 第82話:情報共有 | 281 | 0 | 2025-03-16 | - | |
40 | 第83話:理想高き完璧主義者 | 324 | 0 | 2025-03-19 | - | |
36 | 第84話:史上最悪のパーティー結成 | 230 | 0 | 2025-03-21 | - | |
32 | 第85話:逃れられぬ負のスパイラル | 212 | 0 | 2025-03-25 | - | |
34 | 第86話:最弱魔王VS勇者っぽいなにか | 273 | 4 | 2025-03-27 | - | |
44 | 第87話:激突する闇黒と凶雷の魔王 | 282 | 0 | 2025-03-31 | - | |
35 | 第88話:破滅への円舞曲 | 267 | 0 | 2025-04-02 | - | |
34 | 第89話:戦乙女の円舞曲 | 173 | 0 | 2025-04-06 | - | |
33 | 第90話:立場が変われば見方も変わる | 325 | 0 | 2025-04-09 | - | |
39 | 第91話:少しばかりの抵抗 | 195 | 0 | 2025-04-11 | - | |
37 | 第92話:命を握る責任 | 300 | 2 | 2025-04-13 | - | |
39 | 第93話:交錯し始める物語 | 274 | 0 | 2025-04-15 | - | |
37 | 第94話:闇に絡め捕られていく蝶 | 241 | 0 | 2025-04-17 | - | |
36 | 第95話:逃げたい者と逃げない者 | 277 | 0 | 2025-04-20 | - | |
31 | 第96話:再開への序章 | 333 | 0 | 2025-04-22 | - | |
30 | 第97話:恵みの雨の裏で | 182 | 2 | 2025-04-24 | - | |
34 | 第98話:頼れる仲間はみんな変人 | 217 | 0 | 2025-04-26 | - | |
44 | 第99話:隷町01 | 364 | 0 | 2025-04-29 | - | |
41 | 第100話:弱き獣達 | 219 | 0 | 2025-05-03 | - | |
40 | 第101話:ファンタジーな奇襲と鍵開け | 348 | 0 | 2025-05-06 | - | |
33 | 第102話:ボロボロな狐耳の少女 | 309 | 2 | 2025-05-09 | - | |
48 | 第103話:衝突する憤怒と魔王 | 470 | 0 | 2025-05-13 | - | |
51 | 第104話:盤外戦術 | 343 | 0 | 2025-05-16 | - | |
42 | 第105話:首振り人形との大事な約束 | 356 | 0 | 2025-05-20 | - | |
37 | 第106話:もう一人のトゥルーマン | 232 | 0 | 2025-05-24 | - | |
40 | 第107話:対決する闇の力と霊墓の守護者 | 204 | 0 | 2025-05-27 | - | |
37 | 第108話:氷の妖精姫 | 287 | 2 | 2025-06-03 | - | |
34 | 第109話:異世界ヒモ生活 | 229 | 0 | 2025-06-09 | - | |
37 | 第110話:予期せぬ再会の裏事情 | 199 | 0 | 2025-06-14 | - | |
34 | 第111話:城への招待(裏) | 226 | 0 | 2025-06-30 | - | |
21 | 第112話:会談の前の密談 | 225 | 0 | 2025-07-08 | - |
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- 10/08 20:37 一言 「公平性のない議論を元に公共の場のルールを変えてはいけない」が社会…
- 10/08 20:34 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 10/08 20:10 評価 10点 《巳剣降臨》「デッキから儀式召喚できる、デッキからリリースで…
- 10/08 19:48 一言 僕は引っ込みます。余計なお世話だし。じゃあ自分の意見を社会正義と思…
- 10/08 19:28 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 10/08 19:21 一言 ファンデッカス4号さんの意見を社会正義だなんていってないですよね。 …
- 10/08 19:21 評価 10点 《蝕の双仔》「既に墓地にウロボロスがいる状態でエクスから落と…
- 10/08 19:20 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 10/08 19:19 一言 匙川さん凄く真面目でファンデッカス4号さんの意見を社会正義とまで言…
- 10/08 19:02 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
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しかしデビフラ3枚は死刑宣告そのものなんよ。 (2025-03-06 13:31)
遊輝の方は割と王道な展開を意識しましたが、司の方は敵サイドで動いていましたので遊輝よりも色々な意味でハードモードな異世界転移となってます。 (2025-03-06 20:40)