第６３話：這いよるモディファーの魔の手　作：チュウ

　「ロッソ領の町に着きましたよ！」

　エルミアの言葉を聞き、外を眺めた。少し前に来た時と変わらないロッソの町がそこにはあった。特に変わったところはなく、人々が普通に生活している。

　「青の国の兵士はいないようですね」

　「だな、ここが国境の中で一番近い町なんだもんな……司に限らず青の国が本当に攻めてきてもおかしくはないんだよな」

　フレアが警戒するのも無理はない。だけど、今回は司が待っているだけだ。特にこれ以上の危ない事はないんじゃないか？

　「城前にとうちゃーく！」

　「エルミア、何だか機嫌いいな」

　「久しぶりに動物に触れ合えたから、森に帰って来たような気がしてね」

　そうか、もうずっとエルフの森に帰ってないんだよな……今回の件が済んだら一旦森に戻ってもいいかもしれないな。

　「ツカサはお城にいる筈なのよ！とっとと会いに行くのよ！」

　「……やっとツカサに会える」

　だな！ってあそこにいるのは……

　「シャルルじゃないのよ！こんな所で何をしているのよ？」

　黄色い髪に狐の耳と尻尾……間違いない。あの時会ったシャルルさんだ。何で門の前にいるんだ？出迎えか？

　「久しぶりじゃな！クロリム！ここに来たって事は万事上手くいったのだな！」

　「フィオラの魔法は解けたのよ！ツカサにも早く知らせるのよ！」

　「残念じゃが、そうはいかないんじゃよ……」

　何だ？急に雰囲気が変わった様な……

　「ここを通りたくば、妾とのデュエルに勝利する事じゃ！」

　「な、なんでなのよ！？そんな事予定にはなかったのよ！」

　どういう事だ？クロリムは何も知らないみたいだし……

　「察してくれると助かるんじゃがな……」

　察するって何か事情があるのか？

　「見えました！これは……【余計な事を言ったら心臓が爆発する】……書き換えの魔法が掛けられてます！」

　「なっ！？どういう事だよ！」

　「もしかすると、ツカサ様の作戦がモディファーに知られたと考えるのが妥当ね」

　嘘だろ……だけど、フレアの言う事は最も考えられる事だよな。

　「なら、ここは私が戦った方がいいね」

　「エルミア？」

　「たぶんだけど、この先にツカサがいるんでしょ？もしかしたら戦う事になるかもしれない……なら、ユウキには力を温存してもらわなきゃ」

　最悪、司とまた戦わないといけないのか。

　「ほう……お主が相手かの？この城では顔を合わせていたな。だが、改めて名乗ろう！妾は黄の国の王女シャルル・シャルトルーズだ！シャルルで構わんぞ」

　「私はエルミアよ！貴女を倒して通させてもらうから！行くよ！」

　「「デュエル！！」」


エルミア：ＬＰ８０００

シャルル：ＬＰ８０００


※ここからエルミア視点になります


　「私の先攻だよ！《ローンファイア・ブロッサム》を召喚！」

《ローンファイア・ブロッサム》
効果モンスター
星３/炎属性/植物族/攻５００/守１４００

　「《ローンファイア・ブロッサム》の効果を発動！このカード自身をリリースしてデッキから《森羅の神芽 スプラウト》を特殊召喚するよ！」

《森羅の神芽 スプラウト》
効果モンスター
星１/光属性/植物族/攻１００/守１００

　「このカードが特殊召喚した場合の効果を発動！デッキの上から２枚をめくり、その中にある植物族モンスターを全て墓地へ送る。残りのカードはデッキの一番下に戻す……私がめくったカードは、《薔薇恋人》（バラ・ラヴァー）と《森羅の施し》の２枚。《薔薇恋人》（バラ・ラヴァー）は墓地へ送り、《森羅の施し》はデッキの一番下に戻すよ」

　やった！《薔薇恋人》（バラ・ラヴァー）には墓地効果で手札から植物族モンスターを特殊召喚できるから、展開の強化ができる！

　「でも、まずはこのカードからかな？《森羅の神芽 スプラウト》１体でリンク召喚！召喚条件はリンクモンスター以外の森羅モンスター１体！来て！《森羅の神幼樹 コニファー》！」

《森羅の神幼樹 コニファー》
リンク・効果モンスター
リンク１/地属性/植物族/攻５００
【リンクマーカー：左下】
Ｌモンスター以外の「森羅」モンスター１体
このカード名の①②③の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：このカードがＬ召喚した場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から「森羅の霊峰」１枚を自分のフィールドゾーンに表側表示で置く。
②：フィールドのこのカードが墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを永続魔法カード扱いで自分の魔法＆罠ゾーンに表側表示で置く。
③：このカードが永続魔法カード扱いの場合に発動できる。自分のデッキの上からカードを３枚めくる。その中に植物族モンスターがあった場合、その内の１体を手札に加えるか特殊召喚できる。残りのカードは墓地へ送る。

　「《森羅の神幼樹 コニファー》のリンク召喚した時の効果を発動！デッキから《森羅の霊峰》を自分のフィールドゾーンに表側表示で置くよ！そして、《森羅の霊峰》の効果で《森羅の神幼樹 コニファー》をリリースし、デッキから《森羅の栄華 ユキユリ》をデッキの一番上に置く」

　後はユキユリを墓地へ送るだけだね。

　「リリースされて墓地へ送られた《森羅の神幼樹 コニファー》の②の効果を発動！このカードを永続魔法カード扱いで自分の魔法＆罠ゾーンに表側表示で置くよ！そして、《森羅の神幼樹 コニファー》の③の効果でデッキの上から３枚めくるよ！めくったカードは、《森羅の栄華 ユキユリ》《森羅の実張り ピース》《サイクロン》の３枚！《森羅の栄華 ユキユリ》《森羅の実張り ピース》は墓地へ送り、《サイクロン》はデッキボトムに戻すよ！」

《森羅の栄華 ユキユリ》
効果モンスター
星１/水属性/植物族/攻１１００/守６００
このカード名の①の効果は１ターンに１度しか使用できない。
①：手札・フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。自分のデッキの上からカードを３枚めくる。その中に植物族モンスターがあった場合、その内の１体を特殊召喚できる。残りのカードは墓地へ送る。この効果の発動後、自分は植物族モンスターしか特殊召喚できない。
②：デッキのこのカードが効果でめくられて墓地へ送られた場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から「森羅」魔法・罠カード１枚を手札に加える。

　「墓地へ送られた《森羅の栄華 ユキユリ》と《森羅の実張り ピース》の効果を発動！」

チェーン１：《森羅の栄華 ユキユリ》
チェーン２：《森羅の実張り ピース》

　「《森羅の実張り ピース》の効果で墓地から《ローンファイア・ブロッサム》を特殊召喚し、《森羅の栄華 ユキユリ》の効果でデッキから《森羅の彩葉》を手札に加えるよ。そして、今加えた《森羅の彩葉》を発動！」

《森羅の彩葉》
速攻魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：デッキから「森羅」モンスター１体を特殊召喚する。
②：墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の手札・墓地から「森羅」モンスター１体をデッキの一番上に戻す。

　「デッキから《森羅の番人 オーク》を特殊召喚！」

《森羅の番人 オーク》
効果モンスター
星６/地属性/植物族/攻２４００/守１５００

　「蘇生された《ローンファイア・ブロッサム》の効果を発動！自身をリリースしてデッキから２体目の《森羅の番人 オーク》を特殊召喚！」

《森羅の番人 オーク》※２体目
効果モンスター
星６/地属性/植物族/攻２４００/守１５００

　「１体目の《森羅の番人 オーク》の効果発動！デッキトップ３枚をめくってその内に植物族モンスターがいる場合はそれらを全て墓地へ送り、残りはデッキの一番下に戻す。私がめくったのは、《ローンファイア・ブロッサム》《森羅の姫芽御前 スプラウト》《森羅の恵み》の３枚。《ローンファイア・ブロッサム》《森羅の姫芽御前 スプラウト》は墓地へ送り、罠カードの《森羅の恵み》はデッキボトムへ」

《森羅の姫芽御前 スプラウト》
効果モンスター
星１/光属性/植物族/攻５００/守１００
このカード名の①の効果は１ターンに１度しか使用できない。
①：手札のこのカードを相手に見せて発動できる。このカードを特殊召喚し、自分のデッキの上からカードを３枚めくる。その中に植物族モンスターがあった場合、その内の１体を特殊召喚できる。残りのカードは墓地へ送る。この効果の発動後、自分は植物族モンスターしか特殊召喚できない。
②：デッキのこのカードが効果でめくられて墓地へ送られた場合に発動できる。自分の手札・墓地から「森羅」モンスターを２体まで特殊召喚する（同名カードは１枚まで）。その後、自分フィールドのモンスター２体のレベルを１〜９にできる。この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターン攻撃できない。この効果の発動後、自分は植物族モンスターしか特殊召喚できない。

　「墓地へ送られた《森羅の姫芽御前 スプラウト》の効果発動！私の墓地の《森羅の栄華 ユキユリ》と《森羅の実張り ピース》をレベル９にして特殊召喚！」

　「レベルを調整して同じレベルを揃える……エクシーズ召喚を得意とするデッキなのじゃな！」

　「これから見せてあげる！レベル９の《森羅の栄華 ユキユリ》と《森羅の実張り ピース》の２体でエクシーズ召喚！ランク９！《神樹獣ハイペリュトン》！」

《神樹獣ハイペリュトン》
エクシーズ・効果モンスター
ランク９/地属性/植物族/攻２６００/守１９００

　「私は墓地の《森羅の彩葉》を除外して②の効果を発動！墓地から《森羅の姫芽御前 スプラウト》をデッキトップに置くよ！」

　これで《森羅の姫芽御前 スプラウト》がデッキトップに固定された！

　「私は２体目の《森羅の番人 オーク》の効果発動！めくったカードは、《森羅の姫芽御前 スプラウト》《死者蘇生》《森羅の滝滑り》の３枚。《森羅の姫芽御前 スプラウト》は墓地へ送り、魔法カードの《死者蘇生》と罠カードの《森羅の滝滑り》はデッキボトムへ」

　「なんじゃ？同じ動きではないか？」

　「その通りだよ！これでまた《森羅の姫芽御前 スプラウト》の②の効果を発動できる！今度は《森羅の姫芽御前 スプラウト》自身と《ローンファイア・ブロッサム》をレベル１にして特殊召喚するよ！」

　レベル１が揃った！これで私の切り札が出せる！

　「行くよ！レベル１の《森羅の姫芽御前 スプラウト》と《ローンファイア・ブロッサム》の２体でエクシーズ召喚！来て！《森羅の姫芽宮》！」

《森羅の姫芽宮》
エクシーズ・効果モンスター
ランク１/光属性/植物族/攻１８００/守１００

　「更に！《森羅の姫芽宮》１体でエクシーズチェンジ！来て！《森羅の姫芽神 スプラウト》を守備表示で特殊召喚！」

《森羅の姫芽神 スプラウト》
エクシーズ・効果モンスター
ランク２/光属性/植物族/攻２５００/守２５００
レベル２モンスター×３
「森羅の姫芽神 スプラウト」は１ターンに１度、自分フィールドの「森羅の姫芽宮」の上に重ねてＸ召喚する事もできる。このカード名の①②の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：相手がモンスター効果を発動した時、このカードのＸ素材を１つ取り除いて発動できる。その効果を無効にしてそのカードを持ち主のデッキに戻す。その後、自分のデッキの上からカードを３枚めくる。その中に植物族モンスターがあった場合、その内の１体を特殊召喚できる。残りのカードは墓地へ送る。
②：このカードが相手によってフィールドを離れた場合に発動できる。自分の墓地からレベル８以下の「森羅」モンスターを含む植物族モンスターを２体まで特殊召喚する。このターン、自分は植物族モンスターでしか攻撃できない。

　墓地に《薔薇恋人》（バラ・ラヴァー）がいるけど、今使ってもあんまりだしな……展開を強化できると思ったけど中々上手くはいかないか。森羅カードはめくったカード次第で動きも変わってくるし、難しいんだよね……

　「弱気になっちゃダメだよね！私はカードを１枚セットしてターンエンド！」