第１０話：貴族の洗礼　作：チュウ

今いる国……赤の国と呼ばれているらしい場所の第２王女であるフレアさんを野盗達から守ったお礼として首都ヴァーミリオンの城に招かれたが、そこで出会ったイアンという貴族の青年にここから帰れと追い返されそうになってしまった。交渉によりデュエルで解決しようみたいな流れになってしまったが、フレアさんが折角デュエルをする流れまでお膳立てしてくれたんだ……負ける訳にはいかないよな。

　「平民よ！貴族のデュエルを見せてやろう！さぁ我が帝王の前に膝をつくがいい！」

　随分と偉そうに口上を述べてくる奴だな……って実際貴族だから偉い奴なのか。

　「……ユウキ、ちょっと」

　「どうしたシャイニー？」

　シャイニーが急に呼んできたがどうしたんだ？

　「これでいいです。さぁ始めましょうか」

　「ん？あ、あぁ！」

　俺のデッキにシャイニーが触れると直ぐにシャイニーは切り替えるようにデュエルの催促をした。なんだったんだ？


ユウキ：ＬＰ８０００
手札：５枚

イアン：ＬＰ８０００
手札：５枚


　「行くぞ平民！デュエル！」

　「行くぜ貴族様！デュエル！」

　色々と小難しい事が山積しているが、とにかく今はこのデュエルに勝つ事だけを考えよう。

　「僕の先攻で行かせて貰うぞ！」

　先攻は貴族様であるイアン……さん、様？いや、アイツに敬称を付けるのは癪だな……付けなきゃいけないのは何となく分かるんだけど……印象悪くて苦手意識が……っていかんいかん、集中しなきゃな。さて、どんなデッキなのかを見極めないと。

　「僕は手札から魔法カード《汎神の帝王》を手札の《真源の帝王》１枚を墓地へ送って発動！デッキから２枚ドローする！」

　帝王ってまさか……

　「僕は《天帝従騎イデア》を召喚！」

《天帝従騎イデア》
効果モンスター
星１/光属性/戦士族/攻８００/守１０００

　「《天帝従騎イデア》の場に出た時の効果により、デッキから《冥帝従騎エイドス》を守備表示で特殊召喚する！」

《冥帝従騎エイドス》
効果モンスター
星２/闇属性/戦士族/攻８００/守１０００

　「《冥帝従騎エイドス》の場に出た時の効果により、僕はこのターンに通常召喚とは別にアドバンス召喚を行う権利を得た！さぁ出でよ！２体のモンスターをリリースし、アドバンス召喚！《天帝アイテール》！」

《天帝アイテール》
効果モンスター
星８/光属性/天使族/攻２８００/守１０００

　やっぱり帝モンスター……帝デッキじゃねーか！
　だけど、野盗の男が使ってた帝カードなんかよりもずっと強い効果を持ったカードばっかりだ……これが貴族って事なのか……

　「《天帝アイテール》の効果発動！デッキから《真源の帝王》２枚目と《帝王の凍気》の２枚を墓地へ送り、デッキから《光帝クライス》を特殊召喚！」

《光帝クライス》
効果モンスター
星６/光属性/戦士族/攻２４００/守１０００

　「《光帝クライス》の場に出た時の効果により、このカード自身を破壊し僕は１枚ドローさせてもらうよ」

　めちゃくちゃドローするじゃねーか……ヤバいぞこれ。

　「更に！墓地の《汎神の帝王》を除外してその効果を発動！デッキから「帝王」魔法・罠カード３枚を相手に見せ、相手はその中から１枚を選ぶ。選ばれたカードは僕の手札に加わり、残りはデッキに戻る……さぁ！この中から選びたまえ！」

　《真帝王領域》《真帝王領域》《真帝王領域》

　「全部同じカードじゃねーか！」

　「当たり前だろう？平民に選択肢などない！これはそういうデュエルなのだよ！」

　クソ！本当に人をイラつかせる天才だな……苦手意識どころか嫌いになりそうだよ。

　「全て同じカードのため、君が選択するまでもなく僕はこのカードを手札に加えるよ？」

　ドローもして特定のカードを手札に加えて……やりたい放題だな……明らかに今まで見たカードと比べてカードパワーが違い過ぎる……

　「僕は最後に今加えたフィールド魔法、《真帝王領域》を発動してターンエンドだ！」

　ようやく俺のターンが回ってきたか。１ターンに色々やりすぎて長く感じるのは気のせいか？とにかくここからどうやって相手の布陣を切り崩して行くかを考えないとな。とはいえ、俺だけだといい案も浮かばないので、もっぱらシャイニー頼りになってしまうところは情けない話しではあるが……

　「シャイニー、アドバイスを頼むぜ」

　「もちろんですよ！勝ちに行きますよ！」

　「フン！平民の悪足掻きを見せて貰おうか！」