番外編：師弟・3　作：光芒

☆TURN01（結衣）

「先攻は私です。私は魔法カード《雪花の光》を発動します」

《雪花の光》
通常魔法
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)：自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。このカードの発動後、このデュエル中に自分は「雪花の光」以外の魔法・罠カードの効果を発動できない。
(2)：墓地のこのカードを除外して発動できる。手札のモンスター1体を相手に見せ、デッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキから1枚ドローする。

「デッキから2枚ドロー。これ以降私はデュエルで雪花の光以外の魔法・罠カードを発動できなくなります。そして墓地へ行った雪花の光を除外してもう一つの効果を発動。手札のモンスター《彩宝龍》を見せてデッキに戻しシャッフル。更に1枚ドロー。私はチューナーモンスター《深海のディーヴァ》を召喚します！」

《深海のディーヴァ》
チューナー・効果モンスター（制限カード）
星2/水属性/海竜族/攻200/守400
(1)：このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキからレベル3以下の海竜族モンスター1体を特殊召喚する。

「召喚に成功した深海のディーヴァの効果を発動します。デッキからレベル3以下の海竜族モンスター1体を特殊召喚します。チェーンはありますか？」
「……ないよ」
「そうですか。ではデッキよりレベル1の海竜族モンスター《海皇子 ネプトアビス》を特殊召喚します」

《海皇子 ネプトアビス》
効果モンスター
星1/水属性/海竜族/攻800/守0
「海皇子 ネプトアビス」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)：デッキから「海皇子 ネプトアビス」以外の「海皇」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。デッキから「海皇子 ネプトアビス」以外の「海皇」カード1枚を手札に加える。
(2)：このカードが水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合、「海皇子 ネプトアビス」以外の自分の墓地の「海皇」モンスター1体を対象として発動する。そのモンスターを特殊召喚する。

　結衣のデッキは水属性モンスターを主体とした【海皇水精鱗】。水属性を代表する強力なデッキであり、遊希の師事を仰いだころから彼女はこのデッキを使い続けている。そして遊大は彼女が召喚した深海のディーヴァの効果を《灰流うらら》などで止められなかったことで、彼女にこのターンでの大量展開を許してしまうことを理解していた。

「海皇モンスター《海皇の竜騎隊》を墓地へ送り、ネプトアビスの1つ目の効果を発動します。デッキからネプトアビス以外の海皇1体を手札に加えます。私が手札に加えるのは2体目の竜騎隊。そして水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた竜騎隊の効果を発動します」

《海皇の竜騎隊》
効果モンスター
星4/水属性/海竜族/攻1800/守0
(1)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分のレベル3以下の海竜族モンスターは直接攻撃できる。
(2)：このカードが水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合に発動する。デッキから「海皇の竜騎隊」以外の海竜族モンスター1体を手札に加える。

「墓地へ送られた竜騎隊の効果で私はデッキから海竜族モンスター《水精鱗-ディニクアビス》を手札に加えます。そして手札の水属性モンスターである竜騎隊1体を墓地へ捨てて、手札のディニクアビスの効果を発動！」

《水精鱗-ディニクアビス》
効果モンスター
星7/水属性/水族/攻1700/守2400
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)：手札からこのカード以外の水属性モンスター1体を墓地へ捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：このカードの(1)の効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキからレベル4以下の「水精鱗」モンスター1体を手札に加える。

「ディニクアビスを手札から特殊召喚します。そして墓地へ送られた竜騎隊と自身の効果で特殊召喚に成功したディニクアビスの2つ目の効果を発動します！」

　ディニクアビスの2つ目の効果は任意効果であり、海皇の竜騎隊のサーチ効果は強制効果。故にチェーンを組む順番は自動的に決定する。遊大にチェーンするカードがない場合は結衣のカードの効果のみが適用される。

チェーン2：水精鱗-ディニクアビス
チェーン1：海皇の竜騎隊

「チェーン2のディニクアビスの効果で私はデッキからレベル4以下の水精鱗モンスター《水精鱗-アビスマンダー》を手札に加え、チェーン1の竜騎隊の効果で《氷霊神ムーラングレイス》を手札に加えます」
（ムーラングレイスの召喚条件は墓地の水属性が5体ちょうど……今白幡さんの墓地には竜騎隊が2枚だけだからあと3枚必要になる……）
「私はレベル1の海皇子 ネプトアビスに、レベル2のチューナーモンスター、深海のディーヴァをチューニング。“青き海に漂う小さき竜よ、珊瑚の如く美しき命の源となれ！” シンクロ召喚！ レベル3、シンクロチューナー！《たつのこ》」

《たつのこ》
シンクロ・チューナー・効果モンスター
星3/水属性/幻竜族/攻1700/守500
チューナー＋チューナー以外のモンスター1体以上
S召喚したこのカードを素材としてS召喚をする場合、手札のモンスター1体もS素材にできる。
(1)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはこのカード以外のモンスターの効果を受けない。

「そしてS召喚したたつのこはS素材にするとき、手札のモンスター1体を素材にすることができます。私は手札のレベル4、水精鱗-アビスマンダーにレベル3のたつのこをチューニング！ “閃光の覇者は人々の想いを乗せて駆け抜ける。栄光の旗の下に集いなさい！” シンクロ召喚！ 発進、《F.A.ライトニングマスター》！」

《F.A.ライトニングマスター》
シンクロ・効果モンスター
星7/光属性/機械族/攻0/守2000
チューナー＋チューナー以外のモンスター1体以上
(1)：このカードの攻撃力はこのカードのレベル×300アップする。
(2)：このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(3)：「F.A」魔法・罠カードの効果が発動した場合に発動できる（ダメージステップでも発動可能）。このカードのレベルを1つ上げる。
(4)：1ターンに1度、相手が魔法・罠カードの効果を発動した時に発動できる。このカードのレベルを2つ下げ、その発動を無効にし破壊する。

「ライトニングマスターの攻撃力はレベル×300アップします。よって攻撃力は2100になります」

F.A.ライトニングマスター　ATK0→ATK2100

（ライトニングマスターはレベルを2つ下げることで1ターンに1度、俺の魔法・罠カードの発動を無効にして破壊する。これでPゾーンにカードを置くのも厳しくなった……）

　このターン、ディーヴァとネプトアビス、そしてたつのことアビスマンダーが墓地へ送られたことで結衣の墓地に存在する水属性モンスターの数は6枚にまで一気に増えていた。しかし、前のターンでサーチしたムーラングレイスを特殊召喚できない……というのはあくまで素人目線である。

「私は墓地のアビスマンダーの効果を発動します」

《水精鱗-アビスマンダー》
効果モンスター
星4/水属性/魚族/攻100/守2000
墓地のこのカードをゲームから除外し、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分フィールド上の全ての「水精鱗」と名のついたモンスターのレベルを1つ上げる。
●自分フィールド上の全ての「水精鱗」と名のついたモンスターのレベルを2つ上げる。

「墓地のこのカードをゲームから除外し、私のフィールドの水精鱗モンスターのレベルを1つ上げます。ディニクアビスのレベルは8になります」

水精鱗-ディニクアビス　星7→星8

「そしてアビスマンダーが除外されたことで、私の墓地に存在する水属性モンスターは海皇の竜騎隊2体、深海のディーヴァ、海皇子ネプトアビス、たつのこの計5体。よって氷霊神ムーラングレイスを特殊召喚します！」

《氷霊神ムーラングレイス》
特殊召喚・効果モンスター
星8/水属性/海竜族/攻2800/守2200
このカードは通常召喚できない。自分の墓地の水属性モンスターが5体の場合のみ特殊召喚できる。このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)：このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。相手の手札をランダムに2枚選んで捨てる。
(2)：表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合、次の自分ターンのバトルフェイズをスキップする。

「特殊召喚に成功したムーラングレイスの効果。あなたの手札をランダムに2枚選んで捨てて貰います。そうですね……では真ん中の2枚をお願いします」

　ムーラングレイスの放った冷気によって遊大の5枚の手札のうち2枚の手札が墓地へ捨てられる。墓地送りになったのはオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンと貴竜の魔術師であった。貴竜の魔術師は墓地から効果を発動できるモンスターであるが、Pゾーンに置いておきたいオッドアイズが墓地へ送られてしまったのは遊大にとっては痛かった。

「っ……」
「オッドアイズ……かなりのレアカードと聞いていますが、本当にあなたが持っているんですね。さて、ムーラングレイスはフィールドから離れた場合、次の私のターンのバトルフェイズをスキップさせられてしまいます。なので、そのデメリットを回避させてもらいます。私はレベル8となったディニクアビスとムーラングレイスでオーバーレイ！ 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚！ 現れなさい《神竜騎士フェルグラント》！」

《神竜騎士フェルグラント》
エクシーズ・効果モンスター
ランク8/光属性/戦士族/攻2800/守1800
レベル8モンスター×2
(1)：1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。このターン、対象のモンスターは効果が無効になり、このカード以外の効果を受けない。この効果は相手ターンでも発動できる。

　結衣のフィールドにはオーバーレイユニットを消費することでモンスターの効果を無効にできる神竜騎士フェルグラントとレベルを2つ下げることで魔法・罠カードの発動を無効にして破壊することができるライトニングマスターが並ぶ。いずれも【海皇水精鱗】デッキとはシナジーのない水属性以外のモンスターであるが、単純な制圧力の高さは先攻で立てるモンスターの中ではトップクラスと言えるだろう。

（できればもう1体……《餅カエル》あたりは用意したかったのですが、無理は言えませんね）
「私はこれでターンエンドです。さあ、あなたのターンですよ」

結衣　LP8000　手札5枚
デッキ：27　モンスター：2（神竜騎士フェルグラント ORU：2、F.A.ライトニングマスター）魔法・罠：0　墓地：5　Pゾーン：青/赤　除外：2　EXデッキ：13（0）
遊大　LP8000　手札3枚
デッキ：39　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：2　Pゾーン：青/赤　除外：0　EXデッキ：15（0）





「ねえ、あの子本当にあの結衣ちゃんなの……？」

　遊希の隣で結衣の1ターン目を見ていた綾香は驚きの表情を浮かべながらそうつぶやいた。彼女からしてみれば結衣は遊希の後をしっかりと付いて回る妹のような存在であり、遊希の一挙一動からデュエリストとして求められるものを必死で読み取ろうとする何処か子犬のように思える存在だった。そのため、このような先攻1ターン目を送るほどの成長を見せていたことに驚きを隠せなかったのである。

「ええ、これがプロデュエリスト・白幡 結衣の腕。でも、これだけで終わるほどデュエルは甘くない」
「……そうね。さて、高海君はどう返すのか」
（高海くん、デュエルはまだ始まったばかりよ。落ち着いていきなさい）