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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第134話:決戦・1

第134話:決戦・1 作:光芒






『虹彩竜と歩むもの』   最終章









 遊大が遊希のDホイールであるドラグーンを駆ってTWOの日本支部のある都心の一等地に着いた時、時計の短針は既に11の数字を指そうとしていた。セントラル校を出た時間が遅かったとはいえ、ここまで時間がかかってしまうというのは彼にとっても想定外だったと言えよう。
 遊大はTWO日本支部のビルから少し離れたところにドラグーンを停車する。都心一等地で、駅前の繁華街から少し離れているこのオフィスビル街はまばらな街灯とビル屋上の航空障害灯が小さく輝くだけの闇の世界であった。

「……遊希さん、ドラグーンを勝手に使ってすいませんでした。後で好きなだけ叱ってくれていいですからね」

 そう言って遊大はドラグーンのシートを撫でる。いくらそれが遊大とはいえ、自分のオーダーメイドのDホイールを勝手に乗られては遊希もいい気分ではないだろう。Dホイールは最新の機能を多く搭載している分精密機器が多く、その分一度のデュエルの後に複数回のメンテナンスも必要になるデリケートなものなのだ。そのことについて遊希から雷を落とされるのを覚悟の上で遊大はTWOへと向かった。

「まあ、そうだよね。時間的に」

 TWO日本支部ビルの正面入口はシャッターで閉ざされていた。当然のことながら、遊厳の行為を知らないであろう一般の職員はとっくに帰宅している時間である。当直の社員や警備員がいるならいざ知らず、まず来客などあり得ないこの時間なら施錠されているのは当然のことであった。

―――遊大、俺に任せろ。
(ダーク・リベリオン。どうするつもり?)

 ダーク・リベリオンからの要請を受けて、遊大の身体が全身黒ずくめの若い青年のものへと変化する。その腕にはダーク・リベリオンの牙や翼の意匠が見られる一本の槍が握られていた。
 彼の精霊としての力の最たるものが、槍や剣などの武器を自由自在に扱えるというものであり、そしてそれに付随した力が攻撃・破壊する物体の強度を弱くする、というものであった。
 彼は周囲に人目がないことを確認すると、その手に持った自身の身長以上はある槍を軽々と振り回してはシャッターを一文字状に切り裂いた。上下に切断されたシャッターはまるで蛇腹のおもちゃを折りたたむかのようにカタカタと音を立てて畳まれていった。

―――音は立てないようにした。これで中に入れるぞ。
「ありがとう……と思ったら自動ドアにもロックがかかってる」
―――ではそれも開けるまでだ。

 自動ドアのロックも槍の先で突くようにして断ち切ってはビルの中に侵入する。TWOビルの広々としたロビーもやはり真っ暗であり、雑誌やHPの写真で見るような煌びやかさはすっかり鳴りを潜めていた。

(義父さんの部屋は確かビルの60階……階段で登っていくのは現実的じゃないな)
―――だったらアレ使おうぜ! あの……なんだったっけな。中に入ってスイッチ押すと自動的に動く奴!……あっ、エスカレーター!
―――エレベーターよ、名前は似てるけど全然違うわ。

 脳裏でクリアウィングとスターヴ・ヴェノムのそんな会話を聞きながら、遊大は60階へと向かうエレベーターの上ボタンを押す。しかし、スイッチ自体が切られてしまっているのか、エレベーターは1階まで降りてくる気配はなかった。

―――私の出番のようね。
―――おいおい、お前が何するってんだよ?
―――私は“毒”を自在に操る。このエレベーターを動かしているコンピューターにとっての毒も……ね。

 コンピューターにとっての毒、ということは所謂コンピューターウイルスのことであろう。それを毒に例えていいものか、と思いつつも遊大がエレベーターのスイッチに手をかざすと、スターヴ・ヴェノムの力が働いたのか止まっていたエレベーターが動き始めた。エレベーター入口上部、右端の60の数字に光が灯り、それが少しずつ左端の1へと向かって移動していく。

―――こういうのはアリなのか?
―――まあ、別にいいのではないか? 助かることには変わりはない。
―――だったらあんただけでも階段で駆け上っていく?
―――冗談言うなよ。
(……それにしても脳内が騒がしい。遊希さんも精霊を宿していた時はこうだったのかな)

 頭の中で自分以外の誰かに会話をされるというシチュエーションに慣れていない遊大は、やってきたエレベーターに乗り込んだ。遊大が眠っている時に見た映像が確かであれば、遊希も今から数時間前にこうやって遊厳の下へ向かっていた。この時の彼女は一体何を考えていたのだろうか。そして今自分が遊厳によって捕まってしまうなどと想像していたのだろうか。どちらにしても遊大がすべきことはただ一つ。遊希を無事救い出すことだけであった。

「さて着いたけど……」

 チーン、という音と共に開いたドアから遊大がエレベーターから降りる。TWOビルの60階はロビーや他のフロア同様に闇の帳に覆われていた。暗い世界には非常口の緑色のランプが不気味に輝くだけ。精霊の力も相まって夜目が利くといえば利くが、義父の職場であるここには今まで一度も来たことがなかったため、どこに何があるのかは当然わからなかった。
―――虱潰しに探すしかない、そう思った遊大は壁の案内表示やドアを見逃さないように慎重に探索する。とはいえ、ホテルの廊下のようにどこにどのような部屋や施設があるかといった案内があるわけでもなく、人の気配も何処からも感じないため捜索活動は難航を示した。そうして60階を歩き回って10分ほど経つか経たないかした頃である。「支部長室」と書かれたドアを見つけたのは。

「ここは……義父さんの部屋?」

 鍵が掛けられていなかった部屋を開けると、そこは遊希と遊厳がデュエルをしていた部屋であった。あの時、この部屋で繰り広げられたマスタールール4、そしてリンク召喚なる未知のデュエルに遊希が膝を屈したのだ。もし自分が共にいれば、遊希にあのような辛い思いをさせることなどなかったのではないか。遅きに失した後悔の念が遊大の胸を締め付ける。そんな時、誰もいないはずの部屋に備え付けられた電話が鳴った。突然のコールに遊大の身体がビクッ、と反応するも、彼は意を決してデスク備え付けのその電話を取った。

「……こちらを訪ねてくるのであれば、事前にアポイントメントを取るべきだな。彼女はしっかりこちらに事前連絡をよこしてきたぞ」

 電話口からは今一番聞きたい人間の声が聞こえてきた。

「それはご無礼を働きました。義父さん」
「よもやこんな早くやってくるとは思わなかったぞ。病院に入院していたのではなかったのではないか?」
「遊希さんが……天都 遊希さんが最後に伝えてくれました。義父さん、彼女をどちらへ?」
「悪いがそれを教えるわけにはいかない。どうしても探したければ自分で突き止めるのだな」

 ゴオオッ、という大きな音と共に電話が切られた。低く重たい音、まるで強風のような音が親子の会話を遮った。

(今の音は……風? そういえば今日は妙に風が強かった気がする)

 ここに来るまで遊大はスターヴ・ヴェノムに厚手のライダーススーツを生成してもらうように頼んでいた。デュエルが行えるということを除けば通常のバイクとそうは変わらないDホイール。夜はもちろん昼間であろうと防寒装備もなしに乗ればまず間違いなく風邪をひいてしまうのだ。

(風がある……ビルの中ではまずない。ということは、義父さんは外にいる?)

 遊大は思い立ったように、支部長室を出ると、途中で見つけた一つのドアを開けた。そこは非常階段へと繋がるドアであり、彼はその階段を急いで駆けあがっていく。風がある、ということは自然と室内ではなく屋外となり、電話で会話ができなくなるほどの強風が吹くというのはそれだけ高度が高いということでもある。そうなれば必然的に遊厳の居場所が突き止められる。





「……よく私がここにいることを突き止めたな。男子、三日会わざれば刮目して見よとはよく言ったものだ」

 非常階段のドアを開けて出たのは、ビルの屋上。ヘリポートだ。その中心部で遊大を待つかのように遊厳はデュエルディスクを装備して立っていた。

「お久しぶりです、義父さん」
「お前も息災そうで何よりだ。ああ、入院していたのだから息災という表現は相応しくないな」
「全くです。それよりも……あなたに聞きたいことがあります」
「何だ? 遊章たちに命じて特別なカードを贈っていたことか?」
「それについても聞きたいですが、今俺が一番聞きたいことは、遊希さんのことです。デュエルの後、遊希さんを何処に連れて行ったんですか?」
「……お前もそのようなことを聞くのか。彼女もお前について色々と聞こうとしてきたよ。相思相愛……彼女は相手を選ぶ目は無いようだ」
「質問をしているのは俺です。真面目に答えて下さい!!」

 遊大は怒気の籠った声で遊厳を怒鳴りつける。今まで厳格で厳しい義父に対して彼は常にその機嫌を伺うようなことばかりをしてきた。しかし、今の遊大に遊厳を恐れる気持ちはなかった。今の彼は一人の“人間”として対峙していたのである。

「そう焦るな、彼女はここにいる。彼女には私の願いを手伝って貰っているんだよ」
「義父さんの……願い?」
「ああ。私の、いや人類の未来を変える願いだ。生憎私一人で願いを叶えるのには力が足らなくてな。どうしても彼女の力が必要なのだ。そして今彼女をお前に引き渡すわけにはいかない」
「……あなたの願いが何であるかは知りません。ですが、俺は遊希さんに会いたい。そして遊希さんの無事を確認して連れて帰ります」
「そうか……わかった。ではもう取れる手段は一つしかないな」

 そう言って遊厳はデュエルディスクを構える。遊大は遊厳とデュエルをしたことがあるのは数回ほどであるが、過去のデュエルでは1のライフも奪えずに負けてしまっている。しかし、それも過去の話だ。今の遊大は幼い頃の弱かった彼とは違う。遊大は恐れることなく、同じようにデュエルディスクを構えた。

(こうなることは予想していたからデッキの調整は済ませてある。でも、今の塔さんのデッキが遊希さんを倒したデッキと同じものなら……)
「ああ、お前は遊希君とのデュエルを知っているんだったな。残念ながらあのデッキはこのデュエルでは使えない。マスタールール4を適用したコンピューターが壊れてしまったからな。だからお前には私の最強のデッキで戦わせてもらおうか」

 遊厳は遊希にとって未知のルールであるマスタールール4と未知の存在であるリンクモンスターを使って彼女を倒した。しかし、それはあくまで相手が精霊の力を使う遊希だったからである。そのため遊大クラスの相手であればそのようなカードを使わずとも十分に勝つことができる、という自信の表れであった。

(義父さんはデュエリストとしても超一流。でも、俺はセントラル校で過ごしたことで人としてもデュエリストとしても……精霊としても成長することができた。だから俺は……恐れない!)
―――その意気よ、遊大君。
―――おうよ! 相手がお前のオヤジだろうと俺らの力を合わせれば負けはしねえ!
―――我らが付いている、思い切り戦うんだ。
「みんな……わかったよ。俺は負けられない!」
(ほう……とても遊大とは思えない眼差しだ。失敗作だと思っていたが……精霊を目覚めさせることで力を得たようだな。だが……不完全だ。そしてお前が不完全なために彼女がその身を捧げなければならない。それに気づけないお前は……やはり罪深い存在だ。遊大)
「「デュエル!!」」

 遊希を救いたい―――という気持ちだけでここまでやってきた遊大。真っすぐな彼の気持ちを義父は理解せず、そして遊厳の真意もまた血の繋がりのない息子は掴めなかった。血の繋がりのない偽りの親子―――そんな二人が初めて真剣に向き合うデュエルが始まった。



先攻:遊厳
後攻:遊大

遊厳 LP8000 手札5枚
デッキ:40 モンスター:0 魔法・罠:0 墓地:0 Pゾーン:青/赤 除外:0 EXデッキ:15(0)
遊大 LP8000 手札5枚
デッキ:40 モンスター:0 魔法・罠:0 墓地:0 Pゾーン:青/赤 除外:0 EXデッキ:15(0)


☆TURN01(遊厳)

「先攻は私か。私は手札より速攻魔法《手札断殺》を発動」

《手札断殺》
速攻魔法
(1):お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローする。

「互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、その後それぞれデッキから2枚カードをドローする。私はこの2枚を墓地へ送ろう」

 遊厳が墓地に送ったのは《聖刻龍-トフェニドラゴン》と《聖刻龍-シユウドラゴン》の2枚。遊大が墓地に送ったのはグローアップ・バルブとネクロ・ガードナーの2枚だった。

(義父さんのデッキは……やっぱり昔と同じか)
「そして私は魔法カード、ソウル・チャージを発動。墓地の聖刻龍2体を特殊召喚し、特殊召喚したモンスターの数×1000のライフを失う。舞い戻れ。トフェニドラゴン、シユウドラゴン」

 手札のモンスターを自ら墓地へ送り、ソウル・チャージで召喚権を使わずに蘇生。当然遊大は既視感を覚えずにはいられなかった。

「そして永続魔法《冥界の宝札》を発動」

《冥界の宝札》
永続魔法
(1):自分がモンスター2体以上をリリースしたアドバンス召喚に成功した場合に発動する。自分はデッキから2枚ドローする。

「2体以上のモンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した時、私はカードを2枚ドローする。私はトフェニドラゴンとシユウドラゴンの2体をリリース。《轟雷帝ザボルグ》をアドバンス召喚だ」

《轟雷帝ザボルグ》
効果モンスター
星8/光属性/雷族/攻2800/守1000
このカードはアドバンス召喚したモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。
(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのモンスター1体を対象として発動する。そのモンスターを破壊する。破壊したモンスターが光属性だった場合、その元々のレベルまたはランクの数だけ、お互いはそれぞれ自分のEXデッキからカードを選んで墓地へ送る。
このカードが光属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、その時の効果に以下の効果を加える。●墓地へ送る相手のカードは自分が選ぶ。

(義父さんのデッキはプロ時代と同じ【帝王】……でも、ザボルグはっ……)
「アドバンス召喚に成功したザボルグ、冥界の宝札、そしてリリースされた2体の聖刻龍の効果を発動」

チェーン4(遊厳):聖刻龍-シユウドラゴン
チェーン3(遊厳):聖刻龍-トフェニドラゴン
チェーン2(遊厳):冥界の宝札
チェーン1(遊厳):轟雷帝ザボルグ

《聖刻龍-トフェニドラゴン》
効果モンスター
星6/光属性/ドラゴン族/攻2100/守1400
(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。この方法で特殊召喚したターン、このカードは攻撃できない。
(2):このカードがリリースされた場合に発動する。自分の手札・デッキ・墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を選び、攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。

《聖刻龍-シユウドラゴン》
効果モンスター
星6/光属性/ドラゴン族/攻2200/守1000
このカードは自分フィールド上の「聖刻」と名のついたモンスター1体をリリースして手札から特殊召喚できる。1ターンに1度、このカード以外の自分の手札・フィールド上の「聖刻」と名のついたモンスター1体をリリースする事で、相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。
このカードがリリースされた時、自分の手札・デッキ・墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を選び、攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。

「チェーン4そしてチェーン3の聖刻龍2体の効果が発動。デッキからドラゴン族の通常モンスター1体を攻守の数値を0にして特殊召喚する。私が特殊召喚するのは、青眼の白龍と《竜核の呪霊者》だ」

《竜核の呪霊者》
チューナー・通常モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻2300/守3000
永きに渡って狩り続けたドラゴンの返り血により、常人ならざる力を宿した女戦士。その魂は斃されたドラゴンの怨嗟に染まり、疫病を撒き散らす邪悪な竜核へと成り果てた。もはや帰る故郷もなく、本能のままに刃を血に染めたその目的は、彼女自身にも思い出せない・・・。

青眼の白龍 ATK3000/DEF2500→ATK0/DEF0
竜核の呪霊者 ATK2300/DEF3000→ATK0/DEF0

(青眼の白龍に竜核の呪霊者……狙いはランク8のエクシーズ召喚?)
「チェーン2の冥界の宝札の効果で2枚ドロー。そしてチェーン1のザボルグの効果。フィールドのモンスター1体を破壊する。そのモンスターが光属性だった場合、モンスターのレベルまたはランクの数だけ互いのEXデッキのカードを選んで墓地へ送る。そして光属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、そのカードは私が選ぶ。自害せよ、ザボルグ」

 アドバンス召喚されたザボルグは雷を自分の身体に落として自らその命を落とす。しかし、2体のモンスターをリリースしてまでアドバンス召喚されたモンスターを自ら破壊するだけの価値がザボルグにはあった。

「遊大、お前は精霊の力を覚醒させたのだろう? だが、その力には弱点がある」
「弱点……」
「それはその精霊のカードがいずれもEXデッキのカードということだ! 私はお前のデッキから8体のモンスター―――ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン、クリアウィング・シンクロ・ドラゴン、スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン、オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン、オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン、オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン、真紅眼の鋼炎竜……そして覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴンを墓地へ送らせてもらう!!」

 ザボルグの遺した破壊の雷が遊大のEXデッキを焼きつくす。EXデッキのモンスターは基本的に召喚条件を満たさない限りは墓地から特殊召喚することはできない。貪欲な壺のような墓地のカードをデッキに戻すカードがなければ再活用できないのだ。
 遊大のデッキは墓地に送り辛いペンデュラムモンスターを多めに採用しているデッキのため、墓地のカードを再利用するカードにデッキの枠を割いていなかった。

「っ……!!」
「これでお前は翼を捥がれた鳥も同然。私のデッキについて知らないお前ではあるまい。対策を怠ったお前はやはり失敗作だ。ああ、私はEXデッキからこれらのカードを墓地へ送らせてもらう」

 そう言って遊厳が墓地に送ったのは、捕食植物キメラフレシア2体、《虹光の宣告者》2体、《ナチュル・ビースト》《ナチュル・パルキオン》、WW-ウィンター・ベル2枚の計8枚であった。

「墓地へ送られた虹光の宣告者2体の効果を発動」

《虹光の宣告者(アーク・デクレアラー)》
シンクロ・効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻600/守1000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いの手札・デッキから墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かず除外される。
(2):モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、このカードをリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。
(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。

「デッキより儀式モンスター、ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンと儀式魔法、カオス・フォームを手札に加える。さて、これで下準備は整った」
「下準備……?」
「遊大、お前に神を見せてやろう……私は―――」






―――レベル8の青眼の白龍に、レベル8のチューナーモンスター、竜核の呪霊者を―――










―――ダークチューニング!!―――









「ダークチューニング!?」
「“白き伝説の龍よ、呪に侵されし者の魂を受け入れ神となりて天地を闇に染めよ。その姿、夢か現か。目覚めよ、大いなる神!”」






 青眼の白龍と竜核の呪霊者の魂は漆黒に染まって一つとなる。そして現れたのは巨大な龍のようなモンスター。その強大な力溢れる姿はまさに“神”と許容されてもなんらおかしくはないものであった。











―――邪神、降臨―――










―――《究極幻神アルティミトル・ビシバールキン》!!―――

















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ター坊
何でも乗れる、何でも毒を仕掛ける、武器で何でも壊せる、いよいよ万能になってきました。
義父の遊厳との対面でより黒さが浮き出てきましたね。仮にも息子の遊大を失敗作呼ばわりとは…、壮大な計画もデュエル中に明かされていくことでしょう。
試合はガンドラワンキル程 理不尽ではないものの、一気に死に体状態になりました。ただ四天の竜がいるということは…。
息子の純情VS親父の願い、戦いはまだ始まったばかりです。 (2018-11-24 13:47)
光芒
ター坊さん
騎乗スキル、魔法、武技。いよいよオールラウンダーになってきましたね。ちなみにこれでもまだ100%ではなかったりします。そして仰る通り、遊厳の計画もデュエルの最中に明らかになります。遊大の出生の理由についても……。

>一気に死に体状態になりました。ただ四天の竜がいるということは…。
確かに四天のうち3体が墓地へ送られましたが、それを繋ぐ存在がいないんですよね。あの制限カードさんとか
(2018-11-25 01:58)

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113 第72話:誘惑 1233 3 2017-11-15 -
144 第73話:憤怒 1279 5 2017-11-18 -
90 第74話:反攻 1157 2 2017-11-22 -
80 第75話:夢追 1130 2 2017-11-27 -
75 第76話:剣閃 1170 2 2017-12-02 -
82 第77話:膠着 1030 2 2017-12-09 -
72 遊大たちが1月制限について語るようです 1260 4 2017-12-11 -
65 第78話:豹変 1201 2 2017-12-17 -
117 第79話:親心 1185 4 2017-12-22 -
98 第80話:疾風 1200 2 2017-12-30 -
78 番外編:隠想 1206 3 2018-01-01 -
80 第81話:異能 1065 2 2018-01-08 -
131 第82話:要塞 1112 2 2018-01-13 -
100 第83話:相反 1125 3 2018-01-17 -
97 第84話:特異 1138 5 2018-01-22 -
77 第85話:忌避 1251 4 2018-01-29 -
123 第86話:転生 1301 4 2018-02-06 -
73 第87話:変貌 1300 4 2018-02-14 -
115 第88話:祭典・1 1188 4 2018-02-22 -
83 第89話:祭典・2 1192 4 2018-02-28 -
91 第90話:祭典・3 1193 4 2018-03-10 -
147 18年4月制限について語るようです 1434 4 2018-03-14 -
90 第91話:閉幕 1128 4 2018-03-22 -
120 第92話:令嬢 1139 4 2018-03-31 -
103 第93話:共闘 1156 4 2018-04-07 -
127 第94話:古豪 1028 3 2018-04-15 -
78 第95話:護心 1022 2 2018-04-19 -
61 番外編:裏話 1192 4 2018-04-29 -
132 第96話:転機 1217 4 2018-05-03 -
120 第97話:敬意 1042 0 2018-05-13 -
71 第98話:遺托 1088 4 2018-05-17 -
123 番外編:青春 1244 2 2018-05-23 -
129 第99話:疾駆 1225 6 2018-06-12 -
130 遊大たちが18年7月制限について語ります 1059 0 2018-06-14 -
143 第100話:戦士 1074 0 2018-06-19 -
122 第101話:懐古 1090 2 2018-06-24 -
64 第102話:降竜 962 0 2018-06-30 -
46 第103話:乱入 971 3 2018-07-06 -
122 第104話:奮起 1174 0 2018-07-15 -
69 第105話:白翼 1070 0 2018-07-22 -
119 第106話:夢境 1372 3 2018-07-30 -
104 第107話:紫苑 1121 4 2018-09-12 -
80 遊大たちが10月制限について語ります 1072 2 2018-09-14 -
114 第108話:猛毒 1181 2 2018-09-17 -
71 第109話:変身 1015 2 2018-09-21 -
82 第110話:共闘 1041 4 2018-09-25 -
83 第111話:油断 855 2 2018-09-27 -
102 第112話:浸食 1185 2 2018-09-30 -
57 第113話:神意(修正・再掲版) 985 2 2018-10-03 -
103 第114話:忍者 978 2 2018-10-06 -
75 第115話:継承(修正版) 952 3 2018-10-08 -
69 第116話:征圧 931 2 2018-10-10 -
130 第117話:両雄(修正版) 1007 3 2018-10-15 -
95 第118話:負担 940 2 2018-10-17 -
93 第119話:確信 917 2 2018-10-20 -
98 第120話:無限 982 4 2018-10-22 -
106 第121話:必然 874 2 2018-10-25 -
101 第122話:悲劇 1053 2 2018-10-28 -
135 第123話:鬼気 1010 2 2018-10-31 -
67 第124話:捕食 992 3 2018-11-02 -
122 第125話:一輪 991 2 2018-11-05 -
129 第126話:後悔 1081 3 2018-11-07 -
77 第127話:神話 986 2 2018-11-10 -
110 第128話:仮説 1093 3 2018-11-12 -
74 第129話:伝心 1046 3 2018-11-14 -
101 第130話:対立 1059 2 2018-11-16 -
114 第131話:残酷 987 3 2018-11-18 -
100 第132話:涙雨 1031 3 2018-11-20 -
93 最終章予告 914 3 2018-11-21 -
107 番外編:歓喜 973 5 2018-11-22 -
93 第134話:決戦・1 946 2 2018-11-23 -
72 第135話:決戦・2 1002 2 2018-11-25 -
96 第136話:決戦・3 1392 2 2018-11-27 -
78 第137話:決戦・4 979 3 2018-11-28 -
84 第138話:決戦・5 1038 3 2018-11-30 -
72 第139話:覇王 1075 3 2018-12-02 -
73 第140話:精霊 1185 3 2018-12-04 -
115 第141話:落涙 1011 4 2018-12-05 -
107 第142話:命脈 1051 3 2018-12-07 -
55 第143話:終焉 1009 3 2018-12-08 -
109 第144話:帰還 1070 3 2018-12-10 -
86 遊大たちが19年1月制限について喋ります 1138 3 2018-12-11 -
84 第145話:三様 1056 2 2018-12-12 -
100 第146話:光明 895 2 2018-12-15 -
105 第147話:竜星 984 3 2018-12-16 -
99 第148話:斬撃 941 3 2018-12-18 -
111 第149話:神竜 949 3 2018-12-20 -
78 第150話:新竜 887 3 2018-12-21 -
104 第151話:共鳴 903 3 2018-12-24 -
107 第152話:前夜 1013 3 2018-12-25 -
90 第153話:星竜・1 987 3 2018-12-28 -
87 第154話:星竜・2 991 3 2018-12-29 -
102 第155話:星竜・3 1078 3 2018-12-31 -
113 エピローグ:雪夜 1295 6 2019-01-01 -
76 番外編:甘露 994 2 2019-02-14 -
88 遊大たちが19年4月制限について喋ります 921 3 2019-03-12 -
46 エイプリルフールに間に合わなかったので 797 0 2019-04-01 -
90 番外編:夏想・1 806 4 2019-04-17 -
90 番外編:夏想・2 862 2 2019-04-19 -
91 番外編:夏想・3 627 2 2019-04-22 -
86 番外編:夏想・4 894 2 2019-04-25 -
88 番外編:夏想・5 831 0 2019-05-01 -
69 番外編:師弟・1 762 2 2019-05-04 -
80 番外編:師弟・2 801 2 2019-05-08 -
70 番外編:師弟・3 726 0 2019-05-13 -
89 番外編:師弟・4 738 2 2019-05-17 -
58 番外編:師弟・5 762 3 2019-05-21 -
64 10万アクセス記念企画 897 4 2019-09-24 -
80 番外編:聖夜 1163 2 2019-12-25 -

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