126話 狂気の中の光　作：紅瑠璃

私の手札は２枚。フィールドには伏せカード1枚。モンスター1枚。
相手の手札は1枚。フィールドにはモンスター２枚。ライフは確実に私の方が下。だけど、負ける気はない。気味が悪いほどに笑みがこぼれる。

「さぁっ！私は手札からカルテット・シンクロを発動。デッキからチューナーとそれ以外を計4枚を墓地に送ってシンクロ召喚を行う…DNA－001を１体。DNA－003を２体。チューナーのDNA－002を１体を墓地に送って。レベル9…氷結界の竜トリシューラをシンクロ召喚！」
「ほぉ…。」
「効果であなたのフィールドのダーインスレイヴ。墓地のデストラクション・ナパーム。手札1枚を除外。手札のアデニンを特殊召喚したいので…フィールドのDNAモンスター、手札のDNA－001、墓地のDNA－005を除外。DNA－D・Fアデニンを特殊召喚！アデニンの効果を使いたいのだけどあなたの手札にはカードがない。そうね…トリシューラを対象にシンクロキャンセル発動。舞い戻れ４体。それぞれの効果でDNA－D・Fアデニンを対象にとり、それぞれ名前を対象にしたモンスターと同じにする。罠オープン。DNA－螺旋のデオキシ・リボース発動。自分フィールドのDNAモンスターを任意の数までデッキに戻して戻した数分別名のDNAモンスター特殊召喚する。私はDNA－D・Fアデニンに成り済ましたモンスター4体をデッキに戻して、DNA－D・Fチミン。DNA－D・Fシトニン。DNA－D・Fグアニン・DNA－009を特殊召喚！私は４体のDNA－D・Fを墓地に送りエクストラデッキから「デストラクション・ワールドエンド」を特殊召喚！」
「流石サイコデュエリスト…君の狂気はそのモンスター…。」

狂気？なるほど…確かにそうかも知れない。なら、その狂気に私は呑み込まれよう…。

「フフッ…バトルッ！この子は…２回攻撃が出きる。フィールドのモンスターの全ての効果と名前を得る。」

私のモンスターがカグラを攻撃し辺りも攻撃する。壁も天井も床も…。

「くっ！くっそぉ！」

カグラは起き上がってきた。が足場が崩れる。そのせいで二人は立てない。さらに大きな揺れが起きる。天井が落ちてくる。落ちてくる場所はカグラのちょうど真上…。カグラはその天井の下敷きとなった。

「…はっ。何が…きゃっ！…」

今我に帰った私は今の状態が理解できなかった。落ちてくる大きな岩…揺れる床…血生臭い…。上を見上げる…すると天井の岩が私を目掛けて落ちてくる…もうだめなのか。そう感じ、心の中を空っぽにし、死を無理矢理受け入れようとした時だった。頭上で大きな音がした。恐る恐る顔をあげてみると私の姉がいた。

「真保…助けに…来た。」
「おねーちゃん！」
「脱出…。」
「待って！この近くに電力室があるはずなの！それがないとドアが開かないんでしょ？」
「時間ない。ドアなら、私がいる。」
「お姉ちゃんそればっかしはダメだよ。時間がない…早く見つけなきゃ。」
「ここ危ない。あと、場所は？」

それもそうだ。もうすぐで崩れる。時間はない…。手懸かりもない…。また、揺れる…振ってくる岩はお姉ちゃん…宮野京子が粉砕するが考えはでない…ふと、頭の中にビジョンが見えて来た。そのビジョンは電力に向かっているようだ。私確かか不確かかは知らぬがそのビジョンの通りに向かおうとする…が歩けるほどの体力はない。お姉ちゃんにおぶってもらうことにした。

～電力室～

頭に出てきたビジョンの通りに進むと電力室があった。その電力をオンにする。これで電力が届いただろう。ほっとする私の上にまた、岩が振ってくる。お姉ちゃんは私をおぶっているので行動が制限されて岩を砕けない…そもそも今は刀の能力を使ってないので砕けない…今度こそ終わりなのか…そう思ったがお姉ちゃんの回りが…いや、私の回りだろうか…あぁ私の回りから光が出てくる。その光が振ってくる岩から守ってくれた。それどころか地上にまで飛んでいった。もちろんお姉ちゃんも一緒だ。何が起きたのかはわからないがどうやら助かった…地上にいる。と言うのだけはわかった。地上にはタカミネ社長と蜜柑さんの姿はなく黒羽早百合さんと黒羽梓さんがいた。その二人に話を聞くとタカミネ社長と蜜柑さんは中に入っていったと言う。そして何があったのかも言ってくれた…。

～コーポレーション内～

蜜柑とタカミネはホープとの戦闘時に空いた穴から入っていった。今は電力が届いて明るいが入ったときは真っ暗だった。

「宮野真保…カグラを倒したのか。」
「でも明るくてもちょっと怖いにゃぁ…。」
「怖い…か。実は私もだ。何せ、自分を殺そうとした友人に会うのだからな…。」
「にしてもどこにナンバーズの管理部屋があるのかにゃ。」

確かに社内をグルグル回っている気がする。今までナンバーズを見つけてきた通りホープを頼ってみる…が反応はない。ちゃんと使えるのは真保が居たからだ。ホープは諦めて自力で探すとしよう。

～渚町～

既に全員と言って良い程の人の避難を終えた。ここからは町を守るアストライアーが本気を出せる時間だ。その中でも夢月は傷を治してもらい、刀の破損も擬似的だが治してもらい戦闘に出ていた。

「うむ。やはり杉山殿はすごいな…。いや、能力を誉めるべきか…。あ、あれは蕪木様。」
「おぉ夢月…大丈夫かい？」
「蕪木様も大丈夫そうで」

蕪木様は私の刀を眺める…。や、やはりばれてしまったのか…。折れた剣をメディカルとやらで無理矢理くっつけたのは…不味かったか。しかし、蕪木様は微笑むだけだった。

「以前の…そうだねこの街にくるまえの君なら刀が折れたのは自分のせいだと自害していただろうね…。けどそんなことはしていない。やっぱりこの街がそうさせたのかな」
「そ、それは…申し訳ありませんっ！」
「なぜ謝る？僕は嬉しいんだよ。この街に来たのは僕の気分だけど、元々のきっかけは１年前に修学旅行できていた鈴菜に出会ったのが最初なんだ…。いやぁ藍野さんには感謝だな…。君を、この街につれてきて…正解だったよ。」

蕪木様は何か懐かしみ私の頭を撫でた。その手は優しく、どこか悲しそうだ。寂しそうとも言うのか…。しかし聞くに聞けなかった。聞いたとこで素直に答えてくれないからだ。
何て思っているうち、蕪木様の方から語りだした。