115話 No.ネットワーク再起動　作：紅瑠璃

「んくぅ…ここは…？」

私…夢月暦が目を覚ました場所は見知らぬ天上が広がり窓からは見知らぬ景色が広がっていた。

「大丈夫か？」
「あっ…伊月…ここは…。」
「病院だ。完全に治るまで休め。」

伊月が部屋の中に入ってきて、色々と状況を知らされた。渚高校の生徒は皆ワクチンを射ってもらい、マスコミに回り囲まれ根掘り葉掘り質問されたが全て宇佐美さんが対応。生徒達は警察の手によって帰宅。学校はまる一ヶ月休校。犯人は宇佐美さんによるとカグラだと言う。アストライアーはその男の行方を追っている…とのことだ。

「…左腕が動かない…。右足もだ。」
「生きてるのがすごいらしいぜ。ワクチンを射ってもらっているから時間がたてばまた動くさ。それより…良かったよ。」
「心配かけたな…。皆は？」

皆…。アストライアーのメンバーの事だろう。俺は暦に説明をする。蜜柑は家で安静、朱音はきっと家にいるだろう。鈴菜は家に…黄蜂と藤崎は探偵の仕事。千聖とネアは何か作業をしている様子だと。

「じゃぁ…今日は様子を見に来ただけだから俺帰るわ。」
「そうか…。ま、また来てくれるか？」
「それ、わざわざ聞くのか？」

何ていったら夢月は「す、すまぬ…。」と言った。俺は病室の扉を開け、出ると蕪木さんが立っていた。俺はお見舞いに来たのかと思ったが違うようだ。

「なぁ、夢月と同居する気はないか？」
「はぁ！？何言ってるんですか！ふざけたことを…。ここでは迷惑なので…。シャドータウンに連れていきますよ…。」

蕪木…何を企んでいるのか。つかめない男だ。

「先程の話…どう言うことだ。」
「夢月は君に引かれている。それは彼女の刀からも伝わってくる。だったら俺の屋敷に住まないほうが良いのではないかってね感じるんだよ。」
「あなたの事だ。どうせ既に俺の部屋に荷物を運んでいるのだろ？」
「もうさすがに見抜かれたか。夢月にはサプライズってことで。」

正直本当に何を考えているのかわからない。いつもはごろごろしてるくせに強い。そして、京子さんの「狂目の柱」や宇佐美さんの「弧卯」…風那の「殻蜻蛉」と言った刀の製作者…。誰も蕪木の過去は知らない。気がつけば蕪木はそこにはいなかった。俺はシャドータウンを通して自分の部屋に戻ってきた。俺の家はマンションの一室。一人にしては大きい…。部屋には夢月の荷物がおいてあった。蕪木…いったい何ものなのか。それにしても渚高校の件で消えた命が多い…そちらの方を考えてしまう。

「感情移入…か。」

～タカミネコンポレーション地下～

ここは黄蜂が見つけ出した地下室。そこにはたくさんの機械がおいてある。しかしここの事は社長ですら知らない。ここの事を知っているのはここにいる人間と今はいない男だけだ。

「カグラ…もう始めるのか。」
「シゲミツ…ああ。全く社長は呑気だな…無知だなカードゲームが世界を繋ぐ。僕らはノースウェムコが言った言葉を現実にしないとね」
「平和を作る事か。確かに世界を統一すれば平和になる。さっ…早くこの建物を乗っとり、計画を進めよう。」

～社内～

「何事だ！なんだ…これは。」

タカミネはサイレンが鳴り響く廊下に居た。従業員を避難させている途中多数の機械が押し寄せて来ているのを確認した。

「シゲミツ！シゲミツはどこだ！」
「ここだよ。」

振り替えるとシゲミツが居たが後ろには機械が居た。その事でシゲミツがどのような立場なのか大体理解できた。

「なんの…マネだ。」
「タカミネ…すまないな…コレが平和への一歩だ。」
「何バカな事をいっている！誰の仕業だ…。」
「僕ですよ…。」

タカミネは動揺の顔を隠せぬまま声のした方を見るとカグラが立っていた。

「あなたは愚かで、無知で情けない。カードゲームで人々を笑顔に…平和への一歩だと考えている重症のようだ」
「お前…何が目的だ。」
「平和ですよ。この国を、世界を統一すれば平和へとなる。そう考えたのですよ。争いはなくなる…。その最初にこの建物を乗っとり、No.ネットワークを再起動させる。」
「No.…それを再起動させると何が起こる！」
「それは言えないな…。その目でじっくりと見るのが良いですねぇ。という訳で命は助けます。もちろん社内の人間も。」

抵抗をしようとしたが機械が銃口を向けている。大人しく言うとおりにしていれば良いだろう。私はともかく社員が死ぬのは見たくない。私は社員をつれ、外に出た。

～No.を管理する部屋～

No.を管理する部屋には100枚は入るであろうカードを置く場所とそれを囲むように台座が7つ。カグラは100枚入る場合にNo.100をセットする。シゲミツがネットワーク再起動させるデーターを入力する。

「入力が終わった。ようやくだな…カグラ。」

思えばノースウェムコに会ったときだった。初めはカードのモンスターが目の前にいるものだから驚いた・ノースウェムコは平和への道をシゲミツ、トヨフミ、カグラに任せたようだが果たしてそれは良かったのだろうか。自分のことなのに自分がわからない。無知は自分自身なのかもしれない…だが今はこれしか方法がない。

「ありがとう…。さぁ、No.ネットワーク再起動！」

残りのリアルNo.カードが一斉にここに集まってきた。半分以上がカグラの手元にあるが持っていないカードも全て集まってくる。例えば猫山蜜柑のデッキの中から、朱音のNo.49、京子のNo.62ナドガ元の持ち主を離れ集まってきた…

～朱音の家～

「あにゃ！？ま、まって！No.17！シ、シユ！大変！」
「蜜柑！私のNo.49もひとりでにどこかへ行ってしまったの！」

その後もNo.104No.103が何処かへ飛んでしまった。No.ネットワークが再起動したことにより全て揃った。渚町が重い雲に覆われる。