111話 ハイスクールデンジャー　作：紅瑠璃

始業式から2日がたった。三学期…もう少しで卒業する生徒と授業を受ける生徒がいる。灰色の空。寒気が流れる。そんな中とある男は渚高校の試薬室に入っていた。カグラだ。彼は正面入り口から入ってきていない。彼はNo.22とNo.23を手にしていた。No.23は壁を通り抜けができるのでそれを利用してここまで来たようだ。一方No.22には…。

「誰だ！」
「おっと…これはこれは化学の先生ですかね？」

化学の先生が次の時間の支度をしようと試薬室に入っていた。その時に不法侵入者がいたのだからそうなる。カグラは自身のサイコデュエリストの能力でNo.22をその先生にかざす。その顔には怪しくも笑みを浮かべていた。

～宮野の家～

「今日も元気に行こー！」

自身の部屋で真保は抹茶ラテを飲んでいた。抹茶はまだ学校がない。なので今日も研究に今日と言う時間を費やそうとしていた。頭の中ではこうなる薬が作りたいと考えているがその材料がない。今頭の中には「ゾンビから人に戻す薬」が作りたい。昨日見た映画のせいだろうか。真保が席についたところに訳ありの妹の宮野空が部屋に入ってきた。

「おねーちゃーん。お腹すいた～」
「さっき朝ごはん食べたでしょ。」
「うーん…。」
「はぁ…。こないだ食べさせたやつあるでしょ？それに味をつけてみたものがあるから試食してみてよ。」
「うん！」

真保は四角い黒縁の眼鏡のレンズを拭き、部屋の片隅にある小さな冷蔵庫を開ける。取り出したのは一口でかなりお腹を満たすことができる非常食のような物。今まで食べさせていたのは味がしない物だが味を入れて見たので試食…言わば実験だ。名を改め「フルカロリー」。長さ10cmの中に一日で必要なカロリーが入っている。それを作ることができる自分が天才のように感じながら宮野空に食べさせている。

「あむっ。…ﾓｸﾞﾓｸﾞ…美味しいよ！イチゴだね！」
「そうよ。さ、お昼まで我慢してね…。」

しかし、宮野空は部屋から出ようとはしない。まだフルカロリーを欲するのか。これを食べ続ければ肥満になりやすいと言うのに…。

「お昼にご飯つくってあげるから。」
「そうじゃなくてさ…。おねーちゃん…サイコデュエリストってやつなんだよね？」
「そうよ。このようにカードを浮かばせられるわ…遊戯王カードだけね。」
「サイコデュエリストって何者？」
「かなり前に説明したでしょ？遊戯王カードの…」
「そうじゃなくてさ、ルーツ？何でそんな人が生まれたのかなーって」

そうだ。それが気になる。黄蜂三咲さんがとある部屋で見つけたビデオ。黄蜂さんが言うには遊戯王モンスターの救世の美神ノースウェムコ が写っていたらしい。そして眩い光の中ノースウェムコの後ろにチラッと見えた世界…結局それもわからずじまい。まさかサイコデュエリストと関係があるのか…。

「それとさ、私って何者？」
「えっ…。」
「あ、あのさ…余りにも似てないって言うか…何て言うか。」

まさか気づいていたとは…言葉を濁しているが用は自分…宮野空が本当は宮野家の人間ではないというとこを言いたいのはわかった。とても自分の口からは言えなかった。がここで無理に部屋から追い出してしまえばかえって怪しまれる。嘘を言えばお互いの心に悪い。何て言うか今はそれを考える。

「や、やっぱり…」

空が悲しそうな顔をする。

「な、なにいってるの！空は隔世遺伝ってやつだよ！隔世遺伝は両親のじゃなくてその前の世代言わばお爺ちゃんお婆ちゃんの遺伝子から成り立つのよ。そう！空はお爺ちゃんお婆ちゃんの遺伝子が入っているの！もしかしたらその前の世代の遺伝子かもしれないし。と、とにかく似てなさそうに見えるけど空は私たちの家族だよ。」

なんとかそれっぽい事を言ってみる。少し元気を取り戻し「そっか」と一言呟くといつも通りの笑顔で声で「そうだよね！」と言った。信じてくれたようだ。空は真保の部屋を出る。

～渚高校3時間目B組の教室～

「三咲ちゃん…また寝坊？」
「優衣…うん。寒くてさ…学校来なくていい？」
「だーめ。ハニーシロップ体にかけるよ？」
「やるならその…おしりの穴の中に…」
「そんなんで喜ぶとか三咲ちゃん。メス豚ね。」
「フッ冗談。」

3時間目の開始に登校してきた黄蜂は詫びることもなく何事もなくさも当然のように席についてはうつ伏せになった。先生が注意するも適当に流す。ノートは優衣に見せてもらえばいい。問題は教科書を見なくても黒板を見なくてもわかる。例え問題を読まれなくてもスタンド…ヘイル・ブリザードを通してみればいい。

～3時間目の化学室～

化学の時間しかも今日は実験の日でこの化学室で授業を始めるのだがチャイムが鳴っても先生はやってこない。数分だけこないと言うのはよくあるが待っても先生はこない。PESそうな先生が呼びに職員室に行く。その後隣の試薬室から先生が現れたが何やら様子が変だった。先生がフラフラととある生徒に近づき爪を立て、噛みつこうとする。一同は驚きながらも引き剥がそうとし、別の生徒に噛みつく。そしてその生徒も感染したように別の生徒に噛みつこうとする。各々は気がついた。かなり大変なことが起きていると言うことに…。我先に化学室から出ようとする生徒。

～B組の教室～

化学室の近くから生徒が喚く声がするので先生が外に出て注意しようとするがその先生の瞳に映ったものが心臓が止まりそうな物だったのか後ろに数歩下がる。教室の扉は開けたままだったのがダメだった。教室の中にそいつらは入ってきた。それは一言で言うならゾンビ。3体ほど入ってきては先生に攻撃をし、倒れる先生。そのシーンに悲鳴をあげる物でそれは黄蜂の眠気も覚ました

「なっ…ゲームとか映画でしか見たことないわね…」
「三咲ちゃん！お願い…ここから助けてあげて！」
「優衣が言うなら。ここから出してあげる。」

黄蜂は懐から銃を取りだし、ゾンビらしき物にヘッドショットをする。

「さっ…ここから出たい人。渡しについてきて。」
「あ、あなた！なんなの！」

クラスの誰かがそう言い放つ。廊下からも同じような物がまた来るのがヘイル・ブリザードを通して見た。どうやら簡単なことではないらしい。A組はPC室にいる。ここで動けるのは私だけのようだ。ヘッドショットをして倒れたゾンビらしき奴等が再び立ち上がり少し姿が変わった。と言っても腕に武器がついたぐらいだが油断はできない。黄蜂はヘイル・ブリザードの姿を変化させガトリング砲を作り撃ち放つ。

「んー…うん。私はアストライアー所属。黄蜂三咲。これからあなたたちを渚高校のグラウンドまで誘導します。…ってね。ついてきた方が身のためよ。」

B組のほかにも他の組も助け出した方がいいだろうか。そうの方がいいか。とにかくC、D組に知らせて置くか。と思い廊下に出ると十数人が倒れていた。すでに攻撃を受けたあとらしい…ということは先程のクラスの生存者は10人いるかいないかだろう。