42話 光なき世界。シャドータウン　作：紅瑠璃

夢月「なるほど。先程のを聞いてるとそのカードと呼ばれる物がカギか。」
伊月「あとは任せろ」
影を広げ朱音を影の中に入れる。伊月と夢月は話を聞き、鈴菜と蜜柑を探しに歩き出した。
伊月「そういえば夢月。カードってしたことないのか？」
夢月「ん？あぁ私はそう言うものをしたことがなくてさっきはピンと来てなかったんだ。そういえば伊月殿はバレンタインと言うものを知っているか？私は全く知らなくて…。」
伊月「はぁ！？お前、女の癖に知らないのか！女が男にチョコをあげるんだよ。」
夢月「なに！？例えば私が伊月殿にチョコをあげると言うのか…。」
伊月「あぁ。別にお前があげたいと思うやつにあげればいいだろ？例えば蕪木とか。そして、その１ヶ月後に、チョコを貰った奴からお返しとして何かを返すんだよ。わかったか？」
夢月「なるほど！…教えて頂きありがとう。して、ふたてか…。うむ。私はこちらに行く。」
伊月「んじゃ後でな。あ、見つけたらのためにこいつを持っていてくれ。」
伊月からシャドーマンと呼ばれる膝までの高さしかない物を渡す。見るからにシャ〇ウ。
シャドーマン「ｶﾞﾔ？」
夢月「むっ！い、意外に可愛いな…。では！」
……ふたてに別れてから何分たったのだろうか。そう思っていると伊月から貰ったシャドーマンが頭の上で寝ていた。もぅ名前まで決めていた。白梅海岸の近くの森はかなり広いため１時間では抜けれない。
鈴菜「あんまりうろちょろしないで欲しいかな…。」
夢月「藍野殿！」
鈴菜「あんたはNo.持ってないでしょ！」
夢月「私は藍野殿を助けたいのだ！無論加奈人殿も！」
鈴菜「んでわかんないかな…。私は！あんたらに関わってほしくないの！」
夢月「友人を助けたいのだ！」
鈴菜「言ってもわからないバカばかり…。」
鈴菜はナイフを夢月は刀を取りだし…。二人の高速の世界が始まった。正直、鈴菜の速さについてけるのは夢月のみ。刃物どうしが交わる音が周囲にも響き渡った。
夢月「ぐっ…。」
鈴菜「これがNo.19とNo.61の力…。扱いを間違えれば私はただですまない…。」
夢月「藍野殿…」
鈴菜「夢月。体育祭覚えてる？あん時のレース。お互いアンカーでさ。二周走るんだったよね」
夢月「それが…どうした…。」
鈴菜「何でもない。たんに思い出しただけ…。さてっと…スピーディに行きますか。」
高速の世界。例えるなら最高速で走る車。あれと同じ速度で行動と言うより走れる二人のみの世界。しかし夢月には勝てる自信があった何せ鈴菜がその速度で走れる時間は10秒。
夢月「私は負けぬ！」
10…9…8…7…6とカウントダウンをしていく。残り3秒で吹き飛ばされてしまう。夢月は一直線に高速で斬る一閃を使う。2…1。０。自分の勝ちと感じた…。その一撃が繰り出されるまでは…。
夢月「！？」
鈴菜「私は今日、10秒付き合ってやると言ってない。お前の…思い込みだ。」
夢月の顔面に膝蹴りが炸裂。夢月は吹き飛ばされた。あの速度で突っ込み、強力な膝蹴りを食らったのだから当分は動けない。しかし吹き飛ばされた先に伊月が居た。
伊月「おいおい。シャドーマンを頭に乗せたまま戦ったのかよ…。黒伊月。夢月を影に…」
黒伊月「あいよ」
影から現れては影に夢月を連れ込み消えていく。伊月の影のなかには朱音、夢月がいる。自分もその影の中で治療された。右の方から聞こえた鳥の鳴き声が左の方から聞こえた頃に…しばらくは経っていない。あの鈴菜がやって来た。
伊月「あれあれ。怪我、してたんじゃなかったっけ？」
鈴菜「治してきた。１度あるとこに戻って、No.って奴の能力で。」
伊月「俺もさ、出来れば手荒な事したくないんだ。」
鈴菜「なら消えなよ」
伊月「ひどい。」
鈴菜「やっぱあんた見てるとイラつくわ。どうしても昔の事…思い出す。私のお父さん…。」
伊月はあのスピードについてこれない。けど、zeroの体を持つこと、影を操ること、黒伊月の存在が難点であること。鈴菜はナイフを取りだし、伊月に攻撃を仕掛けた。
伊月「おっと…恐いなぁ～。痛いのは嫌いだな。それにっ。昨日まで風邪で、病み上がり何だけど。」
鈴菜「知るかよ！」
伊月「だよねぇ～w」
鈴菜「…スピーディに行く！」
このフレーズを聞き、伊月はニヤリと笑う。鈴菜が走り出した直後、鈴菜は自分の影に拘束された。
鈴菜「なっ！これは！」
伊月「影縫い。さてとぉお…君の影に黒伊月を仕込んどいて正解。」
すると鈴菜の影から黒伊月の上半身だけが出てくる。
鈴菜「いつ入り込んだ！」
黒伊月「うるせーよ。年がら年中ショタの裸しか考えてねぇやつ。主の影とお前の影が重なったときにな。俺は相手の影に入るだけじゃなく相手の記憶、思考が見えるんだよ。相手の影の中でな。ぜーんぶ見させて貰った。お前、やってること警察に連行される物ばかりだな。さて、本題。アジト見つけたぞ。」
伊月「君が記憶を提供してくれないとわからないよ～。」
黒伊月「あーはいはい。提供しますた。」
伊月「あそこか…ご苦労様♪」
鈴菜「待て！」
伊月「嫌なこった。イヅ。シャドータウンで遊んでらっしゃい。くれぐれも…わかるよね」
黒伊月「あいよ…」
鈴菜「待て！行くな！やめろ！」
黒伊月と鈴菜の体が影の中に入ってく。…目覚めたとこは真っ暗な景色、高層ビルも交差点も何から何まで真っ黒。色があったと言えば朱音と夢月が倒れていたという事だけ。後ろを振り向くと伊月…いや、黒伊月がニヤリと笑いながら立っていた。
黒伊月「よぉこそ。光なき世界…。シャドータウンへ」