44話 救出　作：紅瑠璃

完全治療された二人を連れ、外の世界に戻ったが、カグラというやつのいるアジトまで歩いていたところ伊月、夢月、朱音の前に真保が来ていた。怪我は大丈夫そうだがなぜ、ここに来たかと問うと…
真保「そりゃぁ蜜柑さんがあんな状態でじっとしてられないし。」
違う。そこじゃない。本当に聞きたかったのはどこで伊月達がこんなことをしているのか、何故ここに来るとわかっていたか。しかしそれはすぐにわかった。それと同時に夢月はあまり人に見せない顔でそっぽ向いた。
黄蜂「やほ。黄蜂 心咲だよ。…てか、本当寒いわぁ～…」
黄蜂 心咲(きばち みさき)。女の子大好きで探偵の娘の藤崎 優衣の相方。見ただけで服を１０枚も着ているのがわかった。彼女の手はかなり冷たい。本人は低体温性と言うが嘘か、本当かはわからない。はたまた、夢月が何故そんな態度を見せるかは黄蜂の事が大嫌いだからだ。しっかりした夢月。だらだらした黄蜂。正反対なため意見がぶつかることも多々あった。
黄蜂「あっららぁ？夢月ちゃん～久し振り」
夢月「あぁ。」
真保「黄蜂さん。煽らないで。さて、伊月さん。何か情報はある？」
何で仕切ってるのかはさておき、すべてを話した。すべてを話終えてから真保はポケットから抹茶のお菓子をとりだし食べる。そして、考える。考える。考える。かんが…ひらめいた。
真保「伊月さん。No.は持ってるって言ったけど何を持ってるの？」
伊月「不乱建だ。真保。お前はキラービートルあるんだろ？黒伊月がそう言ったけど」
真保「いいえ、66は知り合いに。25はお友だちに。だから今ここにあるのは22、19、61、8、63、17かな。簡単ね。伊月さん。私とデュエルしてほしい。」
ニヤリと笑う真保。そして、渡されたある薬。それは回りと同化する薬らしい。作戦を実行すべく、アジトに向かった。

～アジトから少し離れた場所～
真保「No.69だっけ？あるといいね。」
黄蜂「弾丸装填完了。」
伊月「行くぞ。」
真保「おっと！黄蜂さんたちのお陰である人も呼んでます。」
その声と同時にある男が姿を現した。
伊月「タ、タカミネ…社長…。あの遊戯王を作った人の孫だ…。」
タカミネ「…私は私の仲間を止めたい。だから！私も君たちに協力したい。…頼むっ！」
何で真保はこの人を連れてきたのか、てか、何で来たのか。いろいろ聞きたかったが…そのすべてを黄蜂が教えてくれた。会社の大事な部下。そして、学生時代の同僚だと言う。なんとなく納得してしまい作戦を始める。デュエルといっても必要なのは19と61の召喚。リアルNo.どうしのデュエルにはモンスターは実態を持つ。つまりバトルフェイズの双方の攻撃によるアジトの壁粉砕。思っていたより固いがそれだけでは終わらない。No.8の能力。サイコデュエリストによりNo.22を実態召喚し、壁に強烈な一撃を与える。壁は見事に壊れた。あとは真保からもらった薬を飲んで潜入する。薬の持ち時間は１５分。中は広かった。タカミネはとある部屋についた。そこには檻とモニターのみ。しかも檻には加奈人の姿があった。
カグラ「お久し振りですねぇ～…タカミネ社長。」
タカミネ「カグラ…。市民を檻には捕らえるとは…。」
カグラ「あんたの理想の近道ですよ。…見たとこ。一人だね。まさかさっきの爆発音は社長のものじゃないよね。」
タカミネ「どちらでも良い。もうこんなことやめてくれ。」
カグラ「研究を？人の探求心を止めるとは…ひどい人だ。」
中にはNo.らしきものはない。早く加奈人を連れ出さないと…。
カグラ「あぁ。何の研究をしているのか気になるのかな？No.のだよ。」
カグラの手に握られたスイッチ。彼は押す。カグラの目には見えないだろうがその場には伊月達がいた。彼らはそれが爆弾のスイッチと確信した。カグラが立ち去り、電機檻をどうするか。いや、電機檻をわざわざ壊す必要などなかった。加奈人は安心した様子で伊月の影のなかに入っていった。あとは脱出するだけ。いや、ここは…。
伊月「皆！影の中へ！」
伊月の指示通り皆を影の中へ送った。危なかった。ふつうに逃げてたら爆発に巻き込まれていた。後にニュースで取り上げられた。
タカミネ「皆…すまない。この子は私が病院につれていこう。」
伊月「いや。こっちで預かる。…！？」
いきなり伊月の影の中からカードが飛んでいく。あれはNo.96…。タカミネ社長を即座に帰らせ、影の中に放置していた二人を見ると鈴菜は完治し、すぐさま加奈人に抱きついた…。蜜柑は…なんともなかったかのように歩いている。闇に染まってはいなかった。
真保「何かの研究…No.の研究。ホープを使用していた…。う～ん。わからん」
伊月「まぁ…一件落着…かな。」
夢月「早く帰れ。」
黄蜂「いーやだね。」
伊月「落着…してないな。」