81話 コートの神速　作：紅瑠璃

「にっしっし♪また、一点！」

現在0対3。蜜柑が3点も取っている。相手のチームにはバスケ部が3人いるのだが、誰もが蜜柑に追い付いてない。それもそうだ、蜜柑は最初、ダンクを決めようとする。阻止されそうになると空中で反対の手にボールを持ち替え投げようとする。また阻止されそうになると、空中で横に回転し、両手で持つ、シンプルなシュートに切り替えるが、また阻止されそうになると、背中から倒れるような体制をとり、シュートもしくは後ろにパスをする。さすがは猫と言ったとこか、朱音もシュートをするが、中々入らない。その代わり、パスを中心に蜜柑をサポートする。次々に荒業を出していく…蜜柑が後ろにパスをして、朱音が受け取り、蜜柑は体育館の壁を利用して三角飛びをして、即座に空中でスタンバイ。朱音のパスを受け取り、シュートを決める。あるときは朱音のロングパス。朱音の数珠の力を少し借り、加速をつけ、触れたら危ないと思うような速度で蜜柑に渡し、シュートを決める。あるときは、朱音の背中を踏み台に蜜柑が飛んでダンクを決めた。もちろんこれは注意されだが2対7で勝った。そして、お昼ご飯…その次は下位の決戦をして、上位の決戦をやる流れだ。

「うむ。なんとか上位に入れたな。」
「そりゃぁ…あんたと、千聖とネアが入ればねぇ～。だって一人、機械なんだし。」
「レイは一人でやってた感覚だよね。って言うか、チサ、体調変だよ？」
「蜜柑…私、医者の人に告げられたの…チョコレート食べ過ぎって」

千聖はチョコが大好きで食べれば一定の間集中力が上がり、落ちることはない。また、記憶力も良くなる。そのお陰で数々の全ての特撮の設定の暗記、昔のアニメの誰の台詞や設定の暗記、プラモデルの機体のパーツや設定の暗記、プラモデルを綺麗に仕上げることが出来る。が、毎日食べれば病気になる。そして、病気になりかけた。

「で、でも…少し我慢すればまた、食べられるよね？」
「…無理だね」
「黄蜂ちゃん酷いっ！」
「そぉんなことよりぃ～黄蜂～。向こうであんなことや、こんなことをしましょうよぉ～♪」
「優衣は黙って。」
「酷いっ！」

朱音的には最初から気になって、突っ込まなかったが、黄蜂がロングコートを着ていないことに驚いてる。そして、聞いてみた。帰って来た答えは「寒いよ！暖かくしてよ！」だった。それに対し優衣は「私が暖かくしてあげる♪」と黄蜂に抱きついた。

「わいせつ！来るな同性愛者！」
「ど、同性愛者でもいいでしょ！私は男が嫌いなの！あぁ…あの事を思い出すだけで…」
「わ、悪かったよ…ね？」
「そう思ってるなら…キスして…」
「断る。」
「はぁ…さてっと伊月はどうなってるかね。」
「藍野殿は伊月殿の事が気になるのだな。うむ。」
「…まぁ、恩人ってこともあるし…。普通にサッカーが気になる。」

伊月を探しだし、聞いた。伊月はE組でサッカーをしている。そして、上位にいるようだった。それよりも視線が合わない。

「どうした。」
「体操着姿のお前も、可愛いぞ！」
「くたばれ変態。あと、肩触るな。」
「酷いっ！」

午後の試合が始まったが、下位の決戦なので興味はない。上位の決戦の最初はA組とD組…鈴菜と夢月のクラスが試合をする。珍しく、鈴菜がチームメイトに提案をする。

「夢月 暦は中々の強者だ。正直勝てる気がしない。100％ゴールを入れることが出来る私でもね。」
「なら、どうするの？」
「そこまで言うなら…提案あるの？」
「黒羽…三珠…あるから私は声をかけた。このチームを勝たせることが出来る。その代わり、1時間ほど私、使い物にならないけど。」

10秒…高速で動くことが出来る。その代わり、1時間ほど動けなくなる。実質それでも余裕ではない。
上位決戦の最初の試合が始まろうとしている。皆、承諾してくれた。出来るものならやってもらいたい。
そして、試合が始まった。ジャンプボールを制し、鈴菜に渡りシュート。まずは先制点。

「ネア殿…あれを…」

反撃を使用とした直後、ボールがとられている事に気がついた。そのときには遅かった。すでに鈴菜がシュートをして、点を取ったからだ。

「ほら、早くしな。」
「藍野殿…お主がその気なら私も行くぞ！」

ボールと夢月と鈴菜の姿が見えない。見えるときはどちらかが点を決めたとき。10秒のスピードは途切れ途切れに使うと合計20秒使える。

「さて、藍野殿…前半が終わるぞ」
「あんたは7点…こっちは15点…まだ、勝ってる」
「最近私が覚えた言葉でフラグと言うものがあるのだが、それか。」
「あんたそれ、最近覚えたのか。」

まるで神速の如しコートの中には風が吹き荒れる。そして、前半が終わった。鈴菜はベンチ入り。夢月もベンチ入りした。A組は20点。D組は17点。さて、ここからどうなるのか黄蜂は楽しそうに眺めていた。