102話 助けてください　作：紅瑠璃

翌日、鈴菜と蜜柑は学校にいく気がなく自宅で待機することになった。なぜなら昨日からずっと悪いことが起きているからだ。そんな状態で出掛けたら悪いことが起きて恥ずかしい思いをするだけ。

「朱音、いってらっしゃい」
「いってくるわね…あ、そうそう確か今日は断水な気がしたから注意してね」
「あー。そっか。気を付けるわ。」

そのあと朱音は出掛けてしまった。家には蜜柑と私だけ。とりあえず、昼間でなにもせずにいよう…そう思い部屋にいこうとした矢先。

「いたッ！」

なんと足をくじき、こけて、階段の角に頭をぶつけてしまった。スゴく痛い。蜜柑はスヤスヤ寝ている。

～学校の昼休み～

今は昼休み昼食の時間だ。いつもみんなで食べている場所に行ってみるとさらに二人の姿がない。

「黄蜂ちゃんと藤崎ちゃんは？」
「あいつのことなど知らぬ」
「あぁ…黄蜂と藤崎はお偉いさんが開催するパーティーに呼ばれたわよ。」

鈴木千聖がそう語った。どうやらパーティーの目玉、コ・イ・ヌール・ダイヤモンドの護衛するために招かれたようだ。何せ、予告状がそのお偉いさんのとこに届いたから有名な高校生探偵の二人にも依頼した。

「パーティーねぇ～きっと良いものなんでしょうねぇ～」

～パーティー会場宝石室の前～

「あー！暇！」
「なら私とチュッチュしましょ♪」
「やめて！来ないで！」

黄蜂と藤崎は宝石室の前で待っていた。パーティーは午後7時から始まる。知り合いの警部に頼んで宝石室の前は二人っきりにして貰うようにしている。

「お腹すいた…。」
「なにか持ってこようか？」
「私もいくよ。よくあるよね方のほうがいない間に変装されるってやつ。それか知り合いの警部に変装するとか」
「あぁ…怪盗二十面相ね。ポストに変装するのは驚いたわね。」
「そんなことよりなにか食べよ。ここにスタンドを置いとけば平気よ。」

黄蜂はブリザード・シュティンガーを出して部屋を出た。

～朱音の家～

鈴菜は部屋の辺りをうろうろしていた。

「鈴菜…どうしたの？」
「…トイレに行きたい。だけどさっき水のもうとしたら水が出なかった…つまり現在断水中よ。」
「でも、鈴菜の水は出るでしょ…。」
「ちょっ…私の水って…笑いそうになるでしょ！じゃなくてトイレに行って流さないって失礼じゃない？」

確かにそうだ…それもそうだ。だけど、水が流れるようになってから流せばいいのでは？何て思いつつ黙っておこう。

「ミカにはわからにゃいにゃぁ…猫用のトイレがあるし…鈴菜もそこですれば？流さなくても済むよ。」
「あー…そ、それはいいわ遠慮しておく。」

こんなとこで流すなんて人間としてできなかった。それはもう女を捨てるどころか、人間を捨てるようなものだ。何か、一線を越えてしまう…そう感じた。

「も、もぅ我慢できない…も、もれそう…」

蜜柑が好奇心をむき出しで近づいてくる…鈴菜にはわかっていた。こいつはヤベェ！仕方がない。朱音には悪いけど失礼だが、トイレにこもるしかない！鈴菜はトイレに駆けていった。ふたを開ける！スカートと下着を下ろす！座る！

「ま、間に合った…よっ…ん、ん？」

おかしい…抜けない…普通、ふたを開けて座れば立ち上がることが出来る…が立ち上がれない…そのとき気がついた。ふたを開けるのと同時に便座も開けてしまったことに…。助けを呼ぼうにも今いるのは寝ようとしていた猫だけ。学校が終わって朱音が帰ってくるまで2時間もある。はまって動けない…助けはまだ来ない。

～学校～

「ねぇ！朱音帰りどっか寄るの？」
「んー。本部に行ってこようかなって…」
「言ってたね蜜柑と鈴菜が怪異の攻撃を受けたって…私はついてきちゃダメ…かな？」
「んー入れるかはわからないわよ？」
「いやぁ～ネアもそこに用事があるらしくてね。」

ネアも用事がある…きっとデータのアップロードなのだろう。それに今日で黒瀬有栖と猿柿稲真が帰ってしまうから挨拶ぐらいはしておきたい。

～パーティー会場内～

「ん！今誰か入ってきた。」
「え？」

黄蜂と藤崎は警部をパシりに使い、エントランスで警部の帰りを待っているとこだった。黄蜂ははちみつレモンシェイクとはちみつのトースト、サラダとはちみつのボトルを頼んだ。藤崎は牛スジ弁当を頼んだ。警部は二人には数々の難事件を解決してもらっているから仕方がなく動く。

「と言うかさ、黄蜂のスタンド…どこまで動かせるの？」
「んーざっと10mその間部分にスタンドを配置していけばどこまでも伸ばせるわ。だけどそのスタンドに命令して、次のスタンド、また次のスタンドに命令していくから動くのに時間がかかるわ。さて、どんなネズミかなぁ～。なぁんだ…パーティーの開催者か。まぁ面白いから見ておくか。」

～朱音の家～

ここはトイレ…鈴菜はまだはまってる…助けはまだ来ません。

「助けはまだ来ません…助けはまだ来ません…助けはまだ来ません…」
「ただいま！ミカ～？鈴菜～？」
「はっ！朱音！朱音～！助けて！トイレにはまった！抜けないの！」

朱音が駆け寄る音がした。ドアノブが回る。あぁ…助かる…何て思っていた。朱音の「あっ！」と言う声とドアノブが外れ、落ちるまでは…。