76話 4番目の強欲　作：紅瑠璃

「つーかれーたぁ」
「ただいま」
まだ日差しが暑いなか蜜柑と朱音は学校から帰宅して来た。帰って来て早々、蜜柑は制服を脱ぎ捨て、下着姿で日が良く辺り、扇風機の風が当たる所で寝始めた。下着は子供用のでも十分であるほど小さい。とは言え、蜜柑とくゆうの動きをするためには大きいと邪魔でしかないらしい。にしても寝顔が可愛い。寝顔だけじゃなく仕草、一つ一つのアクションが…。
「可愛いわね。」
朱音でもそう感じるほど。そして朱音は蜜柑に手をかざす…。その数分後、鈴菜が家に遊びに来た。今日は朱音の両親は仕事で遅い。今日も鈴菜の親は帰ってこないからだ。つまりお泊まりをしようと訳らしい。そんな勝手にと思うかも知れないが、鈴菜と朱音は幼稚園からの知り合い。両親も顔を知っている勝手ながらのお泊まりぐらいなら許してるゆるゆるな家族なのだ。
「にゃっふふ♪いらっしゃい」
朱音がいきなりスリスリしてきた。しかも蜜柑みたいに…にゃと言いながら。まさしく猫。そう思わせるような態度を朱音はしてきたのだから鈴菜はいきなりの事に驚きはあったようだ。出されたお茶を飲んだ瞬間、激しい腹痛が鈴菜に走った。
「シユ…お前…何した…。」
「にゃにもしてにゃいよ♪いいにゃぁ～その素早さ、その投げたものを100％当てる腕、いいにゃ…欲しいな。」
そのとき察した。さっきのしゃべり方は蜜柑を真似したのではなく、抜き取ったのだと。そして自分から何か抜き取られているという事。蜜柑はまだ寝てる。鈴菜は力尽いた。
「今度は黄蜂ちゃんのとこ行こうかな。私にはまだまだ足りないから。」
鈴菜の自慢の素早さを身に付けた朱音は家を出て、黄蜂の所に向かった。能力と頭脳、亜人の特性を得るために。
目覚めたときには2時間がたっていた。蜜柑は寒そうにしていた。
「ったく。んな下着で寝たら風邪ひくわ。」
「そうかな～。」
「…ん？今なって言ったか？」
「な、な、…おぉ！なって言えてる！」
今まで蜜柑は「な」の発音が「にゃ」になっていたのだが、今はちゃんと「な」と言えてる。やはり抜き取られている。
「早く探さないと…。」
外に出て走ろうとするがいつもよりも遅い。と言うか走れない…。抜き取られている。そのとき朱音がやって来た。
「どぉ？私のほしいものぜーんぶ手に入れちゃった♪」
「夢月の刀。黄蜂の銃。たぶん二人の良いとこも抜き取ったのでしょ…」
「それだけじゃないよ♪」
朱音の体から羽が生える。あれは…ヴァルゴの能力…。刀で私を斬るのか迫ってきた。避けるしかない。何せ、100％的に当てられない。足も遅くなってるのだから。そういえば私や、夢月がおかしくなったのって…カードのせい。だったような…。102がリアルNo.ならディスクも作ってくれるはず。…デッキがない。家にある！隙を見て、家に向かおう。ここからは30分かかる…いつもの走りならだが。…今だ！走ってく避けながら、交わしながら、息切れしながら…。そしてついた。あった！私のデッキ…。
「シユ…あなたを止める！」
「私はまだ足りない。みんなに認めてもらうには…」
「っ！？シユ…あんたまさか。」
「足りない…。」
「後ろの…黒いモヤ。お前は誰だ！」
「朱音だよ。」
「黙れ！」
ナイフを取り出したところで朱音が邪魔する。デュエルを仕掛けてきた。