77話 強欲の果て　作：紅瑠璃

息切れで倒れそう…その中デュエルは行われた。初手が最悪…。モンスターが虎のみ。しかも先行。モンスターセット、カードセットして終えた。朱音は…もちろんバッドセブン…そもそもカード一枚からデッキが出てくるっておかしいのだが、こんな世界ではそんなものは珍しくもない。朱音は「バッドセブン・マモン」を特殊召喚して、「バッドセブン・ルシファー」、「バッドセブン・サタン」を特殊召喚した。サタンの効果で伏せていたカード…「月光輪廻舞踊」が破壊され、３体で攻撃を受けた。
「くそっ…ど、どうする…」
「まだまだよ！エクシーズ…強欲の仮面全てを掴め。No.104仮面魔踏士シャイニング。デッキの上から１枚墓地に送ってもらうわ」
「うっ…。」
墓地に送られたカード…黒羊…。このカードがなければ動かないのに。
「エンドよ♪」
強欲…朱音は何でも欲していたのかもしれない。幼稚園の時友達がいなかったのは朱音の方だ。今では私の方が友達がいないと言うのにそのときは不思議に朱音の回りには人がいなかった。私が声をかけるまでは…。鈴菜はカードを引く。
「月光白兎召喚。墓地の黒羊を特殊召喚して…っ！？」
重大なことに気がついてしまった。リアルNo.はNo.102…No.82…No.65…No.45しかない。どれも打点では越えてない。リアルじゃないがなんとかできるのはヴェルズビュート。No.101だけ…耐えるには融合をしないといけない。リアルNo.を攻撃対象に出来ないが…。
「私は融合識別を発動して、黒羊を舞猫姫として扱い、置換融合を発動！月光舞豹姫を出して、素材に使われた黒羊の効果で墓地の白兎回収…エンド。」
今はこれしかない。
「ドロー。…仮面魔踏士シャイニングの効果でデッキトップを墓地に送って。打点が足りない…エンド。」
「ドロー。このままなにもしないで終わるのか…いや、なんとかできる！融合回収発動して、墓地の黒羊と置換融合を手札に戻して、黒羊を墓地に送ってデッキから紅狐を加える。白兎を召喚し墓地の黒羊を特殊召喚して、置換融合を発動。月光舞猫姫を守備で出すわ。エンド。」
「無駄よ！ドロー。バッドセブン・ルシファー召喚。効果で手札のバッドセブン・マモンを特殊召喚し、カード２枚伏せて仮面魔踏士シャイニングの効果でデッキトップを墓地に送って…エンドよ！」
「ドロー。普通に融合…か。融合発動。」
「２枚のバッドセブン・フォールを発動して、２枚のバッドセブンモンスターを墓地に送って、２枚のフィールドのカードを除外する。私はあなたのモンスター２体を除外する。」
鈴菜「融合素材…いなくなった。だけど、紅狐召喚。月光香を発動して、墓地の蒼猫を特殊召喚…シャイニングによって墓地に送られたカード…私は２枚のモンスターでエクシーズ。No.101S・H・Ark_Knight！素材を二つ使ってシャイニングを吸収。攻撃してエンド。」
勝てるかもと少し考えていた。しかしそれはフラグとなり、回収された。
「ドロー…私はRUM－七皇の剣を発動。来なさい。CNo.104仮面魔踏士アンブラル。攻撃」
「！？101の効果発動。」
「発動したわね。CNo.104の効果発動！その発動を無効にし、相手のライフを半分にする」
「そんな効果があるの！？…ぐぁっ！」
遊戯王をあまり知らない鈴菜は吹き飛ばされた。しかし何者かがキャッチをして、地面に叩きつけられることはなかった。
「大丈夫？しっかり！」
蜜柑だった。私が出たあと、支度をして、ここまで来てくれたのだろう。
「ありがとう。まだ、諦めてないから。残りは…2900か。相手は5900…。キツいわね。あ、ターンが回ってきた。ドロー。」
「乱入しようか？」
「そういうの要らない。はぁーあ。墓地の月光香を除外し、手札を１枚捨て、月光モンスターをサーチ。月光狼…。ペンデュラムスケールにセット。ペンデュラム効果発動。墓地の月光を除外して、融合をするわ。白兎と蒼猫で月光舞猫姫を守備で出すわ。エンド。」
「ドロー。…戦闘破壊できない…エンド。」
「ドロー。闇の誘惑…」
賭け事は嫌いだ。しかしやらないと負ける。発動した。２枚ドロー…白兎を除外。残ったカードは…。
「融合回収発動。融合と黒羊を戻して、発動。月光舞豹姫。黒羊の効果で紅狐回収。ペンデュラムゾーンの狼の効果で豹姫、猫姫、紫蝶を除外して、月光舞獅子姫を特殊召喚。エンド。」
「また、打点では越えてない。ドロー。ここに来て必要ないものばかり…エンド。」
「ドロー。紅狐召喚して、月光香発動して、墓地の紅狐出して、エクシーズ…カステルを出して、二つ取り除くわ。CNo.104をデッキに戻す。…攻撃。獅子姫は二回の攻撃ができる！」
倒した。なんとか倒した。遊戯王を全く知らないのに倒した。朱音が気絶するのを確認すると自分も倒れた。…スクリーンに写し出されたような場面が見えてくる…幼稚園の時の記憶だ。朱音にとってのはじめての友達。私にとってははじめての信頼できる友達。そのまま、小学生、中学生、高校生、いきたい大学も同じ。二人は仲良し。お互い家族のように思い想う。かけがえのない存在。…誰かが私をよぶ…朱音…かな。いや、これは…
「にゃー。」
蜜柑だった。場所は朱音の家。朱音の部屋。しかし朱音の姿がない。と、蜜柑が招くのでそちらに出ると外に出た。人目につかないとこにいるらしい。声が聞こえる。しかも二人の声…一人はもちろん朱音…。もう一人は…このかすれた声は黒いモヤだ。一歩足を前に出すと熱風が感じられた。
「私はとんでもないことをしたようね。」
「ほしいもの…ぜんぶ…掴める。もっと…」
「いらないわ…。気がついたのよ気絶してるなかあのときの記憶を見たから。あなた要らないの」
「なん…で。」
「少し足りないぐらいがちょうどいいのよ♪」
少し離れてるとは言え、7歩ほどだが、鈴菜のとこまで炎から出る熱風が来た。そう、朱音は炎を出して、黒いモヤを燃やしたのだ。首根っこを捕まえて首を絞めるような行動を見せ、にっこりと…燃やした。相変わらず恐ろしい。まぁ私がデュエルや、逃げている間は人が全くといっていいほど歩いてない。カーテンもしまってたから住人はなにも知らないのでああろう。朱音が私に気づいた。
「…レイ。遅くなったね…」
「まぁね…なんか、力が戻った気がするよ。蜜柑もいつも通りににゃって言ってるし…。」
「ねぇ、今日は一緒に寝よっか♪」
「一人用のベッドにか？」
私に家族がいなくても…大切な、友達がいるのだ。安心できる、信頼できる、かけがえのない存在が…。