121話 咲く烈火　作：紅瑠璃

私…弧山朱音が鈴菜が死んだのを聞いたのは右腕につけている数珠に入っている精霊…稲荷から教えてもらった時だ。

「…な、何…何て言ったの！」
「おじょぉ…先ほどもいった通り藍野鈴菜の体温が感じられないのです…冷たいわけでなく、ないのですよ…。」

何も考えられない…幼稚園の時からの親友…お互いに信じている人。そんな人が死んだなんて考えたくもない。嘘だ…嘘だ…嘘だ…嘘だっ！

「っ！お、おじょぉっ！何を！？」
「皆…消えちゃえ…。」

私は稲荷の持ってる力を吸収…いや、奪い自身の力に変える。普段の私と稲荷の関係は稲荷が力を渡し、私が力を出す。と言うのだが今の私は稲荷から力を奪い、私が力を出す。もう…稲荷の声も回りの音も聞こえない…。

「烈火…。」

たくさんの戦闘機が近づくので私は…私だった人はそれに触れる。すると戦闘機は炎をあげて燃え尽きる。

～鬼門殻蜻蛉の上～

「あ、あれは本当に朱音さん？」
「んやぁ？いつもニコニコと笑う朱音さんしか知らないからねぇ…。それよりもほんの一握りのこの街にいる人を助けないと…。」
「そうだね…。それも大事なこと。」
「んやぁ？桐谷真澄…キリちゃんはこの戦いを終わらすためには私の刀が必要なのはわかるよね？」

神無月風那の殻蜻蛉…自分の回りの重力操作と食べた相手の能力を殻蜻蛉が消化するまで使用できる。しかし解放すると武器の長さは7m…50％解放すると鬼門殻蜻蛉。その大きさ16～17m。どちらも狭いとこでは使えない…それが弱点だ。十分に使うためには最低100mが必要。

「んやぁ？そういえば100％解放出来るって知らないか…まぁ私も解放したことないけどどんなものかは知ってる…それだけなんだけどね」
「え？使えるのに使ったことないの？」

私はアストライアーに入ってまだ月日は少ないが風那ちゃんと宇佐美さんの刀の100％解放は見たことがない。風那ちゃんの刀の事だ…きっと100mとデカいのだろうと聞いてみると答えは違った。

「んやぁ？いつから私は極太極でかが好きだと？ねぇキリちゃん…何でほほを赤らめる。んやぁ？なぁーに考えてたのかなぁ？じゃなくてっ！大きさは私たちの身長ほどしかないよ…だけどね。その数が問題なの。１垓…私もぱっと出ないけどようはこの街１つ下手すると２つぐらい私のために使わなきゃいけないの。」
「そ、そりゃ使えないね…。」

何て飛んでいると鬼門殻蜻蛉は着地をした。目の前にはNo.に襲われている人が数名。助けるために近づいたが私は足を止めた。なぜ止まったのかは私も知らない…多分私の中学の同じクラスメイトだから。それだけなら止まる必要ないって？それだけじゃない…私を虐め、苦しめた人達だからだ。

「殻蜻蛉…食べちゃって！」

鬼門殻蜻蛉が食べたのはNo.25だった。私たちにお礼をしたいのか近づいてきたが私は風那ちゃんの後ろに隠れた。その内バレた。苦痛の毎日を与えた人達…いや、苦痛の毎日…それは当たり前なのだと思っていた。皆私の事を「キモい」だとか「来るな」等と言う。クラスの人は皆、私…桐谷真澄を虐め楽しむ。机に掘られた言葉。濡らされた教科書。暴力される昼休み。力になってくれない教師。中学だけではない…家に帰れば全ての家事を私がやり、酒によった父に寝ていようが何していようが殴られ、できなければ母親に叩かれ…ボロボロだった。「私は皆に何したって言うの…」それを答える者はない。確かに顔は皆よりは綺麗ではない…。そんな私に手を差しのべてくれる人も居た。けど私は…恐れ、塞いだ。

「は、早く…これに乗ってください。か、風那ちゃん…私はここで戦うから」

そんなある日に夢月暦さんに出会った。カードショップで出会ったがとても綺麗な人だった。私は憧れた。しかし、私は弱い…。高所から飛び降りを考えた2日前…神無月風那ちゃんに出会った。そこもカードショップだったが別々の中学だから話はできた。うっかりして今の心境も喋ってしまった。でもそのおかげで今の私がいる。…「顔がキモい？んやぁ？それなら私は酷いじゃんw桐谷真澄はね…日本古来の顔って感じかな…しかも弓道、茶道、百人一首、花札得意なんでしょ？日本古来の美しさって感じ！それに人に暴力をしないって、やり返さないのは弱いことじゃなくて強いことだと思うな。」そんなことを言ってくれたから生きようと決めた。全て風那ちゃんのおかげ。

「桐谷…。」
「は、はい…。」
「その…ごめんなさい！お前を虐めたり、苦しめて…。許されるわけない…。」

苛立ちと脳に思い出した言葉が交錯する。何を言えば良いのかわからない…。風那ちゃんが私を呼ぶ声がする。そちらに振り替える…。

「避けてっ！」
「なっ！？風那ちゃん？」
「助けて…。体が言うこと聞かないの！」

風那の体は何かに操られている。なぜそう言えるのかは…とても細いが蜘蛛の糸のようなものが風那から見えた。風那の体をつかっていると言うことは鬼門殻蜻蛉もそいつの物。鬼門殻蜻蛉が私たちに攻撃してきたが皆を突き飛ばし交わす。私を虐めた人達は皆気絶…ですめば良い。風那ちゃんは、攻撃したくない。鬼門殻蜻蛉を攻撃して倒せる自信はない。やはり、私は弱い…。

「お前は弱い…。」
「か、刀が喋った！？確かに刀には魂が宿っている喋るのはまぁ、あるか。」
「友達は攻撃できない…けど助けたい。弱いな…。」
「うっ…。」
「だが、その弱さは強さなのかもしれないな…そんなとこ私は一目を置いている。」
「いつかの時に読んだ本にね…「強さとは他者に振るう暴力ではない…強さとは他者を守る事だ。」ってね…。」
「なら、その強さ…私が与えよう。さぁ呼べ。私の名を…」

私は瞳を閉じ集中する。宇佐美真奈子さんから貰った刀…花園岬…。

「濃恋来戀…花園岬。」

その刀は面白い形をしている。それだけだ。鬼門殻蜻蛉が攻撃をしてくる。

「牡丹の陣…朧蝶。」
「あの鬼門殻蜻蛉を…止めた…。」

桐谷真澄が何か技を打つと鬼門殻蜻蛉の動きが止まってしまった。操られている風那は、刀に戻し、桐谷を斬ろうとするが桐谷の「菊の陣…血酒の盃」により動きが止まってしまう。いや、桐谷と同じ動きをしてしまう。その間に本体を探す。糸を辿って見てみると…見つけた。屋根の上だ…。

「松の陣…折り鶴。」

斬激を放つ攻撃によりなんとか本体を倒すことができた。風那を助けることができた。屋根の上に行ってみると底にはNo.84ペイン・ゲイナーだった。。

「桐谷…この人達は？」

風那に言われた方を見ると気絶している人達…。私は風那ちゃんに頼み先を急いだ。

「はぁ…桐谷真澄は優しいね…。私なんか…。さっこの人達を運びますか。」

～天界～

ここはどこだろうか。綺麗な町だ…見たことない物ばかり。目の前には宮殿のような建物。無意識の内にそこに向かっているようだ。けどどうやって？歩いている感じではない。喋ることが出来ない…そんな感じだ。やがて宮殿の王室のようなとこに来た。回りには黄色い玉が浮いている。何やら門がある。その近くに美しい女性が二人。一人は青いロングヘアーに赤の眼鏡。もう一人は幼く見える。見えるだけで雰囲気は恐ろしく怪しく見える。そう見せているだけだろう。まてっ！なぜ私はこんな所にいるのだろうか。先程まで…あぁ…全て思い出した。私は藍野鈴菜。加奈人君を守るために戦い…死んだ。私にはまだやるべきことが残っている。私はその二人に訴える…しかし言葉が出てこない。手足もない感覚…どうやら私も回りと同じく黄色い玉になったようだ。そしてここは死後の世界か…。大きく動いてみる。どうやら幼く見せている女性には気がついてもらえた様子。その女性は青いロングヘアーをした赤の眼鏡をかけている女性に何かを命じて退室させた。数分後金色の杖を持って帰って来た。それを私にかざした。

「んぅ…眩しい…はっ！わ、わたしの体だ。」
「こんにちは。あなた…私に何かを訴えていたから。この世界に来て前世を思い出すなんて珍しいのでね…。」
「前置きが長い…用件は。」
「私を生き返らせてください！私にはやらなきゃ行けないことがたくさんあります！」
「はぁ…死んだ人間が言う第一声は皆それよ。却下。」

頼みはダメなのか。それでも粘ってみる。

「私はこんなとこで終われないのよ！」
「何でそこまで生き返りたいの？」
「大切な人が…仲間がいる。この戦いを終わらせたい…私の死でショックで暴走する人もいるかもしれない。私じゃなきゃ止められないの！」

青いロングヘアーで赤の眼鏡をかけた人はネメシスと言うらしい。幼く見せている女性がそう言った。

「けど、この戦いは人が起こしたもの…人は愚かよ…あの時の戦いも…。」

私たちは話し合った。しかしそこに幼く見せている女性…黄泉と自分で名乗った。その人は生き返った人が死んで辿り着くのは永久に出られない地獄だと言う。それでも私は構わない。すると黄泉はこのように提案した。

「私もネメシスも本当は人間が好きなのよ。あの子のように…そこで私の試練に勝てたら、生き返らせましょう。それで良いかしら？」
「…黄泉の試練は苦難の嵐だ…半端な気持ちでは勝てない。前置きが長かったね…。やるの？やらないの？」

そんなチャンスがあるのなら手にしないわけがない。私はやることを決めた。

～蜜柑の周囲～

「ミカ…疲れた…。」

もう何分いや、何時間なのか…たくさん走った。あとどれぐらいなのか聞くとまだ半分だと言う。あと半分と取るか、まだ半分と取るか…人々の性格によって変わるだろう。ここまで倒してきたNo.は2体…No.8とNo.83…。しかし本来の目的は倒すのではなく止めること。タカミネが言うには電源室があり、そこを起動させなければナンバーズネットワークを止めるための電力は送られてこない。しかし電力室と目的の場所は逆方向…二手に別れなければならない。少し休憩をしていると機械達が押し寄せてきた。この街にはNo.…機械…怪異がたくさんいる。それを止めるためにも早くつかなければならない。敵を倒していくと奥の方から機械達が壊れる音がする誰かが倒しているのか…近づいてみるとそこに居たのは…No.39希望皇ホープだった。