69話：黒い陸也　作：ヒラーズ

「どうする？」

どうするも何も、行くしかないでしょ。
しかし、先ほどの爆発音は一体……。

「……」

私は少しだけ考える。恐らく爆発したのは居住スペースの方。けど爆発を起こせばこちらにも被害が来るけど。

「……」

被害は来なかった。っとなれば小爆破までとはいかないけど、戦闘を行ったという証拠だ。ということは、魔奈さん達は誰かと戦ってる？

「拙い予感がするな」
「ええ、急ぎましょう」




＊




「クソ！このままでは……！」
「どうしたどうした？オレを倒すんじゃなかったのか？黒皇 魔奈君？」

クソが……俺様の攻撃が何一つ通用しないっ……！何なんだ此奴は！？

海理達が別のところで敵を引き付けていた頃、俺様と水樹は風花を助けに家に侵入したところ、黒い陸也と戦っていた。俺様の獄炎ナックルで殴ったが、爆発が起きるだけで奴にはダメージが入っていない。

硬いか、タフなだけなのか、水樹は風花を庇って気絶してるし、俺様の攻撃は通じていない。少なくても俺様の手では奴は倒せない。海理達が駆け付けるまで耐えるしかない！

「舐めるな！これならばどうだ！！」

風花の家を壊してしまうが、命が大事だ。この攻撃をさせてもらう！

「おおおおおっ……！」

全力で魔力を込め、空中に高出力の魔力玉を複数生成する。
それを見た黒い陸也は「何だ？また見掛け倒しか？」と吐き捨てる。

「砕けろ！！魔王玉！！！」

生成した魔力玉が一気に黒い陸也に襲い掛かり、大爆発を引き起こす。部屋は無残に壊れたが、さすがのタフな奴でも焦げ跡一つは付くだろう。
煙が消え、周りが晴れる。だが煙が消えた後、黒い陸也は平然と立っていた。

「効かん。魔力持ちの人間だとはいえ、扱いがなっていなければ埃を発てるたてるだけの小娘。無駄な足掻きだな」

馬鹿な……此奴は化け物か！？

「救世者のお友達だから少し腕が立つのかと思っていたのだが……期待外れだったな」

黒い陸也は闇の塊を生成し、そこから大剣のようなものを生み出す。機械的な部分がついているが、恐らく切れ味は相当なものだろう。

「安心しろ、すぐにお前のお友達も送ってやる。あの世で閻魔に懺悔してるがいい」

黒い陸也は大剣を振り上げ、俺様に振り下ろされようとしている。

「せめて苦しまないように楽に逝かせてやる。よかったｎ」

その時だった。

ﾋｭﾝ！

何か速いものが黒い陸也に迫り、大剣が振り下ろされる前に真横に吹っ飛ばす。
いや、正しく言うなら、真横にぶん殴られた。そこには白い、本物の陸也が俺様の前に立っていたのだ。

「魔奈さん！！」

陸也の後に海理も来て立場が逆転する。よかった、死ぬかと思ったぞ。

「お前さんが親玉か？」

陸也が電磁のハンマーを構え、黒い陸也に問いかける。しかし、その問いに黒い陸也は笑みを浮かべる。まるでようやく獲物が来たかと言うように。


「魔奈さん、一度あなた達三人を安全場所に転移させます」
「だ、だがそれでは海理と陸也が……！」
「私達なら大丈夫です。それよりも水樹さんや風花さんの治療を」

かたじけないとは言えない。だが現状からにして対抗できるのはこの二人だ。
俺様たちは仕方なく海理の能力で安全場所に転移された。


――――すまん、海理、陸也。後は任せた！





＊





「あーあ、良いところを邪魔しやがって」
「フン、お前さんを倒すにしろ、負傷者は足枷だからな」

そう言う訳で飛ばしたんじゃないんだけど……まぁ実質安全は確保できたし、よしとしましょうか。

「あなた、何者ですか？」
「お？そうだったな」

黒い陸也はすくっと立ち上がり、名を言う。

「オレの名はダーク陸也。FOEの副官であり、ダーク海理の弟だ」

闇の私の次は闇の陸也とは、趣味が悪い。どんだけ闇の存在がいるんだろうか？
取り合えず闇の陸也が何故、風花さんを襲ったのか聞いてみよう。

「おっと、情報が聞きたければオレとデュエルしな」
「勝ったら教えてやると？面倒な奴だな」

ほんとそれ。

「そうだな、よし。そこの白いオレ。お前とデュエルだ」
「フン、良いだろう。姉さんの友達を傷つけた罪を償ってもらおう」


「「デュエル！」」









後書き
書きやすい文章がキャラ視点となってしまい申し訳ございません。モチベは少しずつ上がってきてますが、更新速度が遅いかもしれません。すいませんでした。