55話：時空を超えた存在　作：ヒラーズ

翌日、海理と陸也は放課後にアカデミアを出てツバメの兄、スズメを探しにクロノヴェイル中を探し回っていた。

「固まっては駄目ですね。ここは二手に分かれましょう」
「分かった。俺は超能力の転移を使用して探し回る。姉さんはＤホイールを使って探してくれ」
「分かりました！」

陸也は能力を行使して姿を消して、海理はＤホイールに乗って捜索を始めた。





＊






それから3時間後。目撃情報がないせいでもあるのか捜索は難航し、公園で休憩がてら海理は陸也に連絡をしていた。

『駄目だ、ここにもいない』
「やはり目撃情報がないと意味がありませんか…」
『仕方ない、追放世界の技術を使って探してみる』
「気をつけてね」
『安心しろ、ミスったりはしないさ』

そう言われて通話を切られる。

――――海理。
（何ですか？）
――――さっきから誰かに見られていないか？
（……確かにそういう気配は感じますね）

辺りを見渡し、気配を探る。
足元に落ちている石を拾い、気配がした方向に投げた。

ﾄﾞｶﾞｧ！

投げた石が粉々に砕け、その横には18歳くらいの少年がいた。

「おお…恐っ、気配を感じたら石を投げるの？」
「……あなたは？」

海理の眉が険しくなる。魔法で目の前まで転移し、驚かせる。
しかしその驚きは興味を惹かせる驚きだった。

「君すごいな！これが超能力って奴か？」

少年は興味津々に海理を見つめる。
だが海理は少年に対して殺意を見せ、追い払おうとした。

「そんな怖い顔すんなって、俺は怪しい奴じゃない」

「……証拠は？」

海理の眉の皺がさらに険しくなり、追求する。

「名乗る時点で敵じゃない。俺ちゃんの名は『刻夜 スバル』。時空を超えたデュエリストだ」

スバルは自慢げに自己紹介するが、海理は無言で見つめ返す。
時空を超えた決闘者でも味方とは限らない。そのため警戒した。

「君の事は知ってるぜ？白き救世者だろ？」
「どうやら私の事をいくつかご存じのようですね」
「当たり前さ。何を隠そう、







――――俺も精霊のカードを持ってるんだからな――――






「…！？」
――――精霊使いだと！？通りで多数の力を感じた訳だ！

「ああ、安心してくれよ。ここには俺と君しかいない」
「…だから？」
「ここで精霊を出すことが出来る。見せてやるよ、俺の精霊を」

そう言ってスバルは1枚のカードを空に掲げる。
するとそのカードが1体のモンスターに変化した。

スバルの横に現れたのは歯車を周りに浮かせた2足歩行の龍。
眼は若干時計みたいな眼になっているが、瞬きをしたとたん、公園の周りの時間が停止する。

「！？」
「おいおい、やり過ぎだぜ《時空眼の歯車龍》、この人が怒るじゃないか」
――――フン。車や工場の騒音が邪魔なだけで静かにさせたかっただけだ。

（あのドラゴンは…！？）
――――間違いない。時空の守護龍《時空眼の歯車龍》だ。

「どうしたんだ？そっちも出して貰わないと」
「分かりました」

そう言って海理はカードを掲げ、《白眼の聖龍》を実体化させる。

「へぇー！そいつがお前の精霊か！」
――――我は只の精霊であらず、賊精霊なり。
――――どのみち精霊ではないか。

「あなたの目的は？」
「俺の目的か？そうだなぁ…タダで言うのも何だ。デュエルで勝ったら教えてあげるよ」

スバルはディスクを構え、精霊をカードに戻し、デッキに加える。

「そうですか、なら結構です」

海理も白眼をカードに戻してデッキに加え、ディスクを構える。

「LPは8000、この世界のルールに従う」
「ルールはリミットブレイクを適用、1回勝負」

『HEAVENOrHELL……DUEL3……LetsLOCK！！』ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ

「「デュエル！！」」

先攻：スバル
後攻：海理


スバル　LP8000
手札5

海理　LP8000
手札5