61話：激突！黒い自分、名はダーク海理　作：ヒラーズ

情報を得て数時間後、海理達は電車を降りて西側の地区、「商店街エリア」へと足を踏み入れた。最初は治安が悪いと噂されているものの、白き救世者(海理)が悪党を倒しているおかげでもあったのか此処にも影響をもたらしていた。

警察が見回り、あたりに住む住人は防犯グッズを持ちながら出歩いている。

「すごいな」
「えぇ、まさかここまで影響してるなんて」
「ここにツバメのお兄さんがいるんッスか」
「油断は禁物ね」
「……」

辺りを見渡す海理達、自然とあちこちの店を回り、目標の人物の行方を探す。
数分経過すると同時に海理のスマホに着信メールが届く。陸也からのメールだ。

「あ、陸也からですね」
「あいつ本当に見つけるのが早いな」
「なるほど、ここから1キロ離れたところに診療所があると…」

近いのか遠いのか微妙な距離に診療所を発見したという情報を得た海理達は急いでそこへ向かうのであった。






ーーーー





「ここが例の診療所……」
「見た目に関しては…建設し終わったばかりの新しさを感じるな」
「よし、早速いこうぜ」

入ろうとしたその時だった。

ﾄﾞｶﾞｧﾝ！

急に診療所内が爆発し、入る直前の海理達を吹き飛ばす。

「なっ…」
「一体何が……！」

海理は即座に立ち上がり、爆発した建物を見る。
診療所自体は崩壊してないものの中は黒焦げになっていた。

（この感覚、魔力による爆発。まさか……！）

悪い予感を感じたのか、海理は急ぎ足で診療所内に入る。

「あ、おい！海理！」
「俺も行く」

途中で陸也も合流し、海理に続き、診療所内に突入した。


ーーーー


中に入った海理と陸也は診療所内をくまなく探索する。その途中、診察室から男性と女性の声が聞こえた。

「あらあら、こんなところにいたのね」
「ぐっ……何故バレたんだ！？」
「当たり前じゃない。こんな豪華な商店街に小さい診療所なんて不似合いだもの。バレるわ」
「くっ……ツバメ、済まない」

――――いかん！
（急がないと！）
――――主人！
（わかってる！）

海理と陸也は診察室の扉を蹴破り、中に入る。
中は荒されており、医療器具などが散乱し、強盗でも押し入ったかの様な状況になっていた。

そして目の前には黒い、海理に似た少女と重傷を負った医者らしき青年がいた。恐らくこの青年がスズメだろう。海理に似た少女はクスクスと笑いながら海理の方を見る。

「く…黒い私！？」
「へぇ…貴方が私のそっくりさんなのね。私の名は「ダーク海理」。そう呼んだ方が呼びやすいでしょ？」
「ダーク…海理」

闇の海理、見てのとおり海理自身に似ており、来ている服、履いているスカートも本人と瓜二つ。陸也は小さい声で「これこそドッペルゲンガーだぞ」と言った。

「それよりもお医者さんが……！」
「あぁ、そうだった」

海理達がスズメに近づこうとすると。

ﾌﾞｵﾝ

謎の結界が発動し、海理達を弾き飛ばした。

「！」
「何！」
「無視はいけないわねぇ」

ダーク海理は笑いながら陸也を見つめる。

「？」
「へぇ……なかなかいい男じゃない。気に入ったわ」

陸也に近づき、手を掴む。慌てて振りほどき、武器を構えた。

「何をするんだ！」
「釣れないわねぇ…まぁいいわ。最初に言っておくけど、この診療所内を爆破した犯人は私よ」
「！」

あっけなく自分が犯人だと述べた事に海理は少しドン引きする。慎重に言葉を選び、質問した。

「何故、爆破したんですか？」
「何故って……私の復活を阻害した汚物の施設なんて壊れても問題ないじゃない。後はこの汚物を始末すれば私は完全復活するのだから」
「イカレてやがるな。とんだサイコパスだ」

陸也の吐き捨てた言葉にダーク海理はため息を吐く。

「失礼ね。貴方だって人を燃やしてるじゃない。人のこと言えないわよ？」
「……」

言ってもいないのに自分の行いを知っている。まるで今まで陸也のやってきた事を見てきたような言い方に陸也は少しだけ恐怖を感じた。しかし。

「さっきから私を無視して……何様のつもりですか！」

海理は陸也をかばうかの如く、前へ出て、怒鳴る。

「あら、逆ギレ？気が短いのね」
「……まぁいいでしょう。もうすぐ警察が来ますので、ここであなたを倒して警察に突き出します」

冷静な判断で「ぶっ倒します」宣言をし、ディスクを構える。
その時だった。

「やめろ！その者の力は比べ物にならないくらい強力だぞ！！」
「あははっ！いいわ、その勝負。受けて立つわ」

『HEAVENorHELL……DUEL4……LetsLOCK！』ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ

「「デュエル！」」

先攻：ダーク海理
後攻：海理


闇の自分との戦いが始まった。