29話：傲慢のアクセル　作：ヒラーズ

「アクセルモンスター…！」
「条件は自分フィールド上の闇属性モンスター1体が攻撃、カード効果を受けた時、その攻撃、効果を無効にして除外する！その後、EXデッキからこのカードをA召喚する！“アクセルゲートオープン！さらなる大罪が己の我欲のために強くなり、神に抗う力得る！幾千の神の戦に勝利し、開花する大罪よ、進化せよ！！”アクセル召喚！」


――――俺のエース、傲慢経典神ルシファー！！――――



傲慢経典神ルシファー／Original Card
☆12/闇属性/悪魔族／アクセル／効果　ATK0／DEF0
【A条件】
自分フィールド上の闇属性モンスターが攻撃、カード効果を受けた時、その攻撃、効果を無効にして除外する。その後、EXデッキからこのカードをA召喚する。この効果は他の効果を無視して適用する。
【モンスター効果】
このカードは他のカード効果を受けず、リリースできない。
①：バトルフェイズ中、このカードの攻撃力、守備力は∞になり、3回攻撃できる。またこのカード以外のカード効果を無効にする。
②：このカードが破壊された時、EXデッキから融合、Ｓ、Ｘモンスター1体を召喚条件無視して特殊召喚する。
③：１０００ＬＰ払って発動できる。相手フィールド上のカードを全て破壊する。


陸也の前に現れたのは巨大な斧を持った少女の悪魔。
見た目は白髪ショートの青目、服装は白いゴスロリドレスを着ている。
感じ的にコスプレか？と思われ、辺りが静まった。
ルシファー…七つの大罪の中では「傲慢」を司り、堕天使達の長を務める堕天使。しかし見たところ16歳くらいの少女にしか見えない。

「…ターンエンド」
――――これは油断したな。
（ええ…まさか弟がこんなに強くなってるなんて…）

若干諦めに入った時、陸也は慰めるような言葉を吐く。
「今日は運が良かっただけだ、次はきっと勝てるよ。姉さん」
陸也はカードを引き、バトルフェイズに突入した。
陸也
手札1→2

「バトル！攻撃力∞のルシファーでダイレクトアタック！ゴッド・キリングスラッシュ！！」
巨大な斧が振り下ろされ、海理のライフが消し飛び、その衝撃で海理事態も吹き飛ばされ、腰を抜かした。
「きゃあ！！」
海理　LP8000→0（DESTROYED！）


You WIN！
陸也

You Lose…
海理


「嘘だろ…！？」
「海理が負けた…！？」
救世者の敗北を見た魔奈達は驚きの表情となる。
しかし陸也は海理の手を掴み、立たせる。
「ごめん、本当は姉さんが勝つべきだったんだけど、俺が勝ってしまったな」
陸也は頭を掻きながら謝る。
勝ったのに何故謝るのかは分からず、海理の頭上に？が浮かぶ。
「さすが…私の弟ですね。次は負けませんよ？」
気まずい状況を海理が笑って和らげる。
陸也の表情にも少しだけ明るさが戻った。

――――優しいな、お前の弟は。
（ホント…そこだけは変わっていないんですね）












放課後、海理と陸也は魔奈達を交えて広場で話をしていた。
陸也は「良い友達を持ってるな」と言って褒め、海理は「そうですか？」と言って盛り上がっていた。
そんな時、魔奈はある話を持ちかけてくる。
「明後日の行事で話があるのだが」
「「？」」

魔奈が持ちかけてきたのは明後日に行われるクラスチーム対抗デュエル大会の情報だった。本当は前日に言われることを一足先に魔奈が情報を入手し、報告したのだった。
ルール
・クラス内でチームを結成し、そのチームで2年と3年にデュエルを挑む。
・チームメンバーは全員で6人一組とし、その人数で大会に出場する。

「優勝したチームには？」
「わからん、そこまでは優勝してからだな」
魔奈はある作戦を練り、誰と組むかを言った。
「そこでだ、俺様達は陸也を入れて6人だ。この組合で挑むのはどうだ？」
「俺は構わないが…」
「私も…」
「私も賛成ッス！」
「アタシらの力を上級生に見せてやるチャンスだな！」
「私も賛成よ」

意見が一致したところで決まり、海理達は陸也と別れ、女子寮に戻る。
夕食を早く済ませ、自室にて海理は賊霊と会話していた。

――――大会か…丁度良い。己の鍛錬には都合が良いのではないか？
（確かに、良いですね。優勝したら何がもらえるか分かりませんが）

そして夜、眠りについた海理は再び賊精霊界に呼ばれたのであった。




「ようこそ、賊精霊界へ」
「フリィクスさん…」
「どうやら弟には会えたようですね。ですが己のやるべき事はお忘れないよう心がけて下さい。神はそれを狙ってきていてもおかしくありません」
その言葉を重々に受け止め、話を聞く。
「今日は『賊精霊』について教えてあげましょう」

――――それは地球が出来て間もない2億年も昔のこと――――

――――精霊界である戦争が起きました…――――

――――その戦争に精霊世界の頂点に立つ、二つの存在がありました――――

――――「魔王創神竜」と「覇王龍」、2体の龍がぶつかり合い――――

――――世界は尽く破壊されました。最終的には引き分けとなり――――

――――魔王創神竜は古の銀河の中心に眠り、多くの真竜を生み出し――――

――――あちこちの次元、時空に散らばりました――――

――――そしてある世界と別種の精霊が生まれました――――

――――強力な力故に精霊世界から追放された罪深き精霊――――

――――「賊精霊」と呼ばれました――――


「そんな事が…」
「あなたはその存在の一部…っと言っても分かりませんか。ですが弟との戦いで己の弱さを実感したはずです」
弱さ、それは弟に負けた事でもあった。
だが海理は「承知してます」と言って強くなることを決めていた。
その意思がフリィクスに伝わり、少し笑う。
「その意思です。頑張って下さい」
「……はい！」
「ですが、あなたの言う大会･･･嫌な予感がします」
フリィクスは不安そうな顔になり注意を呼びかけた。
「もしかすると、また新たな災いが訪れるかも知れません。お気をつけて」
すると視界が歪み暗闇に包まれていく。
「時刻は刻限。朝を迎えます…。また、会いましょう」