57話：楽しまなければ意味がない　作：ヒラーズ

「スターダスト…」

「驚いたか？別時空を乗り越えている時に【不動遊星】という有名な決闘者が持っていたモンスターだ。契約して俺の力になってる」

淡々とこのカードをどこで手にしたのかを喋るスバル。
自慢話にも聞こえてくるが、その中には深い意味ありの言葉も含まれていた。

「要するに、だ。目的のために時空を超えている際、契約して俺の味方に入ってるわけだ」

「……なるほど、あなたは目的があってこの世界にいる…その目的は私と弟である陸也と戦う事ですか」

「お？もう分かったのか。勘が鋭いなぁー……だが半分違う。残りの半分を知りたければ、俺に勝つんだな」

「分かりました」と海理は軽く言葉を返し、自分のターンに移った。

「私のターン！」
海理
手札5→6

「手札から《白眼の子竜》を召喚し、効果でリリース！《白眼の聖龍》を特殊召喚し、効果で相手モンスターを全て破壊します！浄化のスプレッド・ブラスター！」

水圧ブレスがクロノスギアモンスターを襲う。しかしスターダストが光り出し、聖龍と共にフィールドから消えた。

「……」

「そんな恐ろしい効果を持ってるとはな。スターダストの効果で君のモンスターをデッキバウンスさせて貰う。スターダストはこの効果を発動したエンドフェイズ時に戻ってくる」

（いきなりのバウンスは効きますね）
――――だがこれでは打つ手がないぞ？
（分かってます）

「魔法カード『白眼輪転』を発動！」

白眼輪転／Original Card
通常魔法
①：自分のデッキからカードを２枚墓地に捨てて発動できる。デッキ、または墓地からレベル９以下の「ホワイトアイズ」モンスター１体を特殊召喚できる。またこの効果は「ホワイトアイズ」モンスターの効果としても扱う。
②：墓地に存在するこのカードをデッキの一番下に戻して発動できる。墓地、または除外されている魔法カードを全てデッキに戻してシャッフルする。②の効果は墓地に送られたターンは発動できない。

「何！？」

「デッキから2枚のカードを墓地に送り、戻って来なさい！聖龍！！」

再び聖龍が現れ、水圧ブレスで時空眼を押し流す。
海理は「よし」と言わんばかりの表情を見せ、戦術を練る。

「ダメージは受けて貰いますよ！聖龍でダイレクトアタック！リヴァイアサン・ショット！」
スバル　LP8000→5000

「やるなぁ！そうこなくちゃ面白くない！」

しかし攻撃を受けたにも関わらず、喜びの表情を見せる。
まるで無邪気な子供のように……。

「カードを2枚伏せてターンエンドです！」

「エンドフェイズ時にスターダストは戻ってくる。いいねぇ…！逆転してやるよ！俺のターン！」
スバル
手札2→3

（手札は悪くない…ペンデュラムを行えば手札は補充できるから問題はない。あとはあのモンスターをどう退かすかだな…）

「罠カード『バランス・ギアレコード』を発動！」

バランス・ギアレコード／Original Card
通常罠
このカードは発動後、装備カードとなり、自分フィールドの「クロノスギア」モンスター１体に装備する。このカードを装備したモンスターの攻撃力と守備力は５００アップする。また、このカードが破壊された時、相手に５００のダメージを与える。その後、相手の手札１枚をデッキに戻す。

「俺はスターダストを選択し、攻撃力を500上げる！そして《時空眼の歯車龍》をペンデュラム召喚！永続魔法の効果で1枚ドローだ！」
スバル
手札3→4
クロノスギア・スターダスト　ATK2800→3300
時空眼の歯車龍　ATK2500→2800

「効果でそのドラゴンをデッキに戻して貰うぜ！時械のディメンション・バースト！」

時空眼の放つブレスが白眼を吹き飛ばし、デッキに強制送還され再び海理のモンスターゾーンが更地になる。

「歯を食いしばれよ！スターダストでダイレクトアタック！」
海理　LP8000→4700

「……！？」
「2回目！《時空眼の歯車龍》でダイレクトアタック！時械のクロノブラスト！！」
海理　LP4700→1900

「…っ！」

――――これはマズいな、一気にライフが2000以下だ。
（さすが時空を超えてきただけはありますね）

何故か海理は伏せている魔法・罠を発動させなかった。
スターダストの効果を恐れたのか、それとも…。

（けど、何でしょう……まるでプロを目指していた頃に戻った気分…）

ライフは2000以下、場にモンスターはいない。伏せたカードは2枚。
不利な状況下で海理の顔は

「…へぇ、それが君の顔か。楽しそうで何よりだ！」



笑っていた。警戒し、険しかった表情が解け、単純に楽しんでいる。
そんな表情に。


「そうでしたね……デュエルは…楽しまなくちゃ！」

「そうそう！あの時みたいにおっかない顔をしないで、楽しもうぜ？俺はこれでターンエンドだ」

「私のターン！」
海理
手札1→2

「手札から『天よりの宝札』を発動します！互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにデッキからカードを引きます」
海理
手札1→6

スバル
手札4→6

「さらに魔法カード『ブラックホール』！」
「させねぇ！スターダストの効果で……あっ！」

「引っかかりましたね！これで防ぐことは出来ません！罠カード『戦線復帰』を発動！子竜を蘇生させてリリース！出でよ！《白眼の聖龍》！」

不死鳥のようにデッキから現れ、時空眼と白眼の龍が互いに咆哮を上げる。
しかし効果によって時空眼は再びEXデッキに流され、スバルの場がガラ空きになった。

（なるほど…ここまで戦況をひっくり返すか…噂通り強えな）

「さらに手札から《白眼の子燕》を召喚、効果によってもう1体、手札からチューナーを召喚します。《白眼の雀》を特殊召喚！」

白眼の子燕／Original Card
☆2／光属性／鳥獣族／チューナー／効果　ATK200／DEF200
①：このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、手札からこのカード以外のチューナー１体を特殊召喚する。
②：このカードがＳ素材として墓地に送られた時、自分はカードを２枚ドローする。

白眼の雀／Original Card
☆2／光属性／鳥獣族／チューナー／効果　ATK0／DEF0
①：このカードは戦闘では破壊されず、自分に発生する戦闘ダメージが０になる。
②：このカードがＳ素材として墓地に送られた時、このカードは墓地に行かず、デッキに戻る。

「チューナーが2体？」
「まぁ、これはこれでロクな戦術じゃありませんが…レベル8《白眼の聖龍》にレベル2の《白眼の子燕》とレベル2の《白眼の雀》をダブルチューニング！


――――“新たなる力よ！世界を救うべく蓄えられ、養った力――――


――――今こそ契約の元、「世界」の力を解放する！”――――


――――シンクロ召喚！！――――


――――レベル12、《白眼の皇燕》！！――――



海理の隣に現れたのは、光輝くシンクロモンスター。
よく見てみるとツバメが持っていたコメットスラッシュに似ていた。