1話：試験　作：ヒラーズ

試験官　LP8000
手札5

海理　LP8000
手札5


始まった入試試験、先攻は試験官。
ちらっと手札を確認する海理は相手の出方を伺う。
「先攻は貰う！ドロー！」
試験官
手札5→6

「手札から『融合』を発動！手札のサイバー・ドラゴンを2体墓地に送り、サイバー・ツイン・ドラゴンを融合召喚！」
サイバー・ツイン・ドラゴン　ATK2800　☆8

サイバー・ドラゴン系のカテゴリ、一見攻略しやすいがこれは試験、一筋縄ではいかないと考え、じっくり様子を見る。
「カードを1枚伏せ、ターンエンド」
「私のターン！」
海理
手札5→6

「手札から白眼の子竜を召喚！」

白眼の子竜（ホワイトアイズ・ベビードラゴン）／Original Card
☆3/水属性/ドラゴン族／効果　ATK200／DEF1000
①：このカードをリリースする事で、手札またはデッキから「白眼の聖龍」を特殊召喚する。
②：このカードが戦闘及びカード効果で破壊された時、自分から数えて3ターンまで、自分に発生する戦闘、効果ダメージは0になる。

海理の前に現れたのは小さくも可愛らしい姿をした龍の子供。
白眼と名のつくカテゴリ群。海理が転生した後に手元にあったカードである。
「このカードをリリースする事でデッキから「白眼の聖龍」を特殊召喚します！出でよ！白眼の聖龍！！」

白眼の聖龍（ホワイトアイズ・セイントドラゴン）／Original Card
☆8/水属性/ドラゴン族／効果　ATK3000／DEF2500
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか発動できない。
またこのカードの属性は光属性としても扱う。
①：このカードが「ホワイトアイズ」モンスターの効果で特殊召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。
②：このカードの攻撃宣言時、相手はダメージ計算終了時までカード効果は発動できない。
③：このカードが水属性以外の属性を持つモンスターを戦闘で破壊した時、デッキから「ホワイトアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。

いきなり子竜が成長し、現れたのは巨大な光と大量の水が混じったドラゴン。
試験官を睨み、水で出来上がった爪は氷に硬化する。
「白眼の聖龍の効果を発動！相手フィールド上のモンスターを全て一掃します！浄化のスプレット・ブラスター！！」
聖龍の放った水圧ブレスは相手フィールド上のモンスターを全て押し流し、モンスターゾーンを真っ平らにする。

「これは…！」
「さらに魔法カード『白眼龍の破壊衝動』を発動！！」

白眼龍の破壊衝動／Original Card
速攻魔法
①：自分フィールドの水属性ドラゴン族モンスター1体を対象にして発動できる。このターン、自分フィールド上の水属性ドラゴン族モンスターは通常の攻撃に加えて、効果で破壊した相手フィールド上のモンスターのレベルの数まで、1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

「効果でサイバー・ツイン・ドラゴンを破壊したため8回のダイレクトアタッカーとなります！攻撃！リヴァイアサン・ショット8連射！！」
水と光が混じった龍の超水圧ブレスが試験官のライフを削り取る…。
そして決着が着いた。
試験官　LP8000→0（－16000）

「な…何て強さだ…！！」


You WIN！
海理

You Lose…
試験官


いきなりワンキルのコンボを決められ、辺りは騒然とする。

「え……？嘘だろ！？」「いやいや…あり得ねぇだろ」
「ワンキルコンボを決めてくるとかやべーだろ！？」
「綺麗な人だ…胸が大きいし…肌が白い」「けどあいつ「呪われた子供」なんだろ？」
どことなく野次馬の声が聞こえるが、海理は気にせず、深々と試験官に頭を下げる。
「対戦、ありがとうございます…」
「こりゃあ…合格待ったなしだろ…」
海理は頭を下げた後、デュエルフィールドを去り、番号席に座る。
（確か次は筆記試験のはず…自信ないけど、頑張りましょうか…）















それから数時間が経ち、筆記試験も終わる。
海理は近くのベンチに座り、考え事をする。
「……」

（救世者になる事を夢で約束したけど…具体的にどうするれば救世者のする仕事になるんでしょう……？もうかれこれ7年も経ちますね…）

海理はやや早とちりをしていた。
早く弟に会いたい…その一心でここまでたどり着いたのに未だ掴めず終いとなっていた。
「…考えても仕方がありませんか……」
海理はポケットからスマートフォンを取り出し、情報を確認した。

ニュース
『クロノヴェイルの新しい春に大事故発生！？
昨夜の午後11時半頃、運転手がいきなり電車のスピードを最大にまで上げ、脱線する事故が起きた。
電車事態は大きく横転し、駅に衝突するなど大きな被害が出た。乗員159人中、その内の59名が軽傷、100名が意識不明の重傷を負った。
尚、逮捕された運転手は精神が崩壊しており、聴取も得られぬままとなっている』

「……物騒ね…やはり能力を使って来ればよかったです…」
海理はスマートフォンをポケットにしまい、会場内に戻る。
しばらくして合格発表が決まった。
「…合格…ですね」

（では明後日からの入学式…気合いを入れなきゃ……）

海理は能力で自宅へと帰宅し、荷物をまとめる。
「……あそこで私は…何をすれば…」
世界に自分の奇跡を示す…それが理不尽なゲームの攻略の鍵となる事を信じ、
ベッドに飛び込み、布団に包まる。
そして海理は考える…。

（陸也…どこにいるんでしょう……早く会いたい）

そう考えている内に海理は眠りについた。