35話：魔王真竜　作：ヒラーズ

「魔王真竜…」
陸也がぼそりとつぶやき、勝負を見守る。
その隣で魔奈は陸也の心の強靱さに引く。

「お前…あの竜が怖くないのか？」
「全然。神や魔王いえどモンスターなら倒せるがあのカードをどう使うか姉さんの使い用だな」
陸也は冷静な態度を取り、見つめる。
ランクがなく、攻守がない変わったエクシーズモンスターの効果を見て分析し始める部分はあの時の頃とは変わらない。

「モンスター効果発動です、このカードの攻撃力は墓地と除外されているカード１枚につき1000アップします。私達の墓地に存在するカードは合計10枚、除外されているカードは3枚、よってホワイトアイズの攻撃力、守備力共に13000！」
魔王真竜ホワイトアイズ　ATK0→13000

「攻撃力13000…！？」
「バトルです！ホワイトアイズで攻撃！！破局のハイドロバースト！！」
機械の暴竜が破壊され、魔姫が水圧で押し流される。
辺りは水が広がり、大きな水たまりが出来ていた。
ソリッドビジョンを使ってるとはいえ、辺りがびしょびしょに濡れていたりなど、リアルさを出されている。
魔姫　LP5600→0

WINS！
海理

Lose…
魔姫






♢






「まさか…私が負けるなんてね」
「いえいえ、ただ運が良かっただけです」
海理は手を取り、魔姫を立たせる。辺りはずぶ濡れの状態になったが、これが本物の水だという事は陸也ぐらいしか知らないだろう。

「しかしすごい戦いだったな」
「ああ、だがここからさらに激しさを増すだろうな」
「準決勝戦、どこまで行けるんッスか？」
「さあな、アタシが聞きてぇよ」
残りのチーム戦へと至った事から海理達は1度、教室に戻り、一時休憩を挟んでいた。
陸也がスマートフォンを取り出し、ネットニュースを確認する。
「…」

陸也は沈黙し、スマートフォンの電源を切り、話した。
「特に目立った動きはない」
「あの変なサイトの書き込みがやたらと増えてきているが…一体誰が作っておるのだ？」
海理もその事は気になっていた。誰が作ったのか、何の目的でそうさせたのか、悪ふざけなら人騒がせにもほどがある。
「はぁ…何でこうなったんでしょう」
溜息を吐き、座り込む。すると隣に風花が座り、見つめる。

「それにしても精霊を沢山引き連れてるなんてすごいッスよね！私にも精霊がいればなって思うッス」
「そうですか？まぁ寂しいよりはマシですね」
――――何だ？寂しかったのか？
（まぁ多少は）

「ところで陸也は精霊を持ってるんッスか？」
「いるにはいるが、普段は寝ている。主に万魔殿の悪魔との会話が多いな」
その事に海理は「経典と名のついてる悪魔ですか？」と言い、陸也は首を縦に振った。
「もちろんだ。今は実体がないから見えないだけで、実体化すればちゃんと見えるようになるぞ」

――――ほう、普段は悪魔と会話をしているのか。ますます怪しいな。
（やはり陸也は何かを探っているんでしょうか？）

ペラペラと話している中、巴が時計を見て海理に知らせる。
「そろそろ時間よ、行きましょう」
「おっと、もうこんな時間か」
「…」





♢





「さて、準決勝ですがファーストは誰が行きます？」
皆で次の出場者を決めていると、風花が手を上げる。
「次は私が行くッス！」
「大丈夫なのか？」
魔奈が心配そうに見つめ慌てる。
しかし風花は聞かずにフィールドに向かう。

「私だって役に立ちたいッス！私のデュエルを見てて下さいッスよ！」
風花はフィールドに立ち、最初の対戦相手を待つ。
数秒後、相手側もフィールドに立ち上がり、姿を見せる。

「アンタが最初の相手ッスね先輩」
「…私の名は『ヘイズ』、貴方たちを試しに来た」

（ヘイズ？知らない名前ッスね、外国人ッスか？まぁいいッス）
「貴方の実力、見せて貰う…」


「「デュエル！！」」

ヘイズ　LP8000
手札5

風花　LP8000
手札5


（…何か嫌な予感がしますね、陸也）
（俺もだ、だがそれと同時に賊霊の気配も感じる。嵐が起きなければ良いのだが…）