46話：重洗脳　作：ヒラーズ

「ここから近いが、恐らく警察や野次馬達で賑わうだろう。嫌な予感がする」
「私もです…恐らく相手は…」
「相当やべぇ奴って事か…」

海理達は現場の近くにＤホイールを駐車し、野次馬達の間をすり抜けていく。
警察は「引き返して下さい」と野次馬達を追い返すように誘導してる中、巻き込まれずに現場に入っていった。

「あれは…！」
（この気配…！魔法か！）
「あいつが原因なのか！？」
「何だぁ…あいつ？」

海理達が見たのは高速道路にたたずむ中学生くらいの少女が警官隊と交戦している姿だった。辺りではパトカーはひっくり返され、負傷した警官隊員が倒れ、他の車両はボンネットがへこんでしまい炎上しているといったひどい有様だった。しまいには道路のあちこちがクレーターのように大きな衝撃波を放ったような跡もある。

「おいおい…あいつ化け物かよ…」
「信じられんが、明らかに異常が起きているな」

水樹はドン引きしながらも辺りを見つめ、魔奈は必死に状況を分析しながら冷静を保つ。そんな状況下、海理と陸也は自ら戦闘を起こした犯人の方に向かう。
「あ！待て二人共！」
「普通に突っ込むのかあいつら！？」











「オラオラァ！どうしたよ国家権力さんよぉ…？もう終わりか？」
拳を構えた少女、どうやら男勝りの性格のようだ。
他の警官隊の1人がライフルを発砲しても銃弾は叩き落とされ、その場に散らばる。あるいは受け止められ、投げ返される。投げ返された弾丸は発砲した者にあたり瀕死の状態に堕とす。

「まずいな…」
「ええ、このままじゃ警察の方々が全滅しますね」
そう言って海理と陸也は駆けつけ、警官隊に攻撃を中止させるように言った。

「おい、やめろ。そいつにそんなもの（銃）は通じない。撤収して負傷者の手当に入れ！」
「み…民間人！？」
「……ほう？」

海理達に気づいたのか、振り向き、にやけた表情を向けて喋る。
「お前が例の【白き救世者】か？」
「知ってるんですか？」

そう言ったとたん、その少女は名乗りを上げた。
ものすごく余裕そうに…。
「アタシは春香、【ディザイア】の一角だ！」
「ディザイア…？」
「なるほど、トウマがかなり前に言っていた『反天界組織』の名か、とうの昔にトウマに壊されたはずの組織がまだ生きていたとな…！」
「へぇ？そこの白髪男は知ってんのか？」

陸也は「だから何だ」と言って注意をそらす。それに続き海理も喋り、警官隊を全員逃がす。
「けっ！だが丁度良かった…。白き【救世者】と【邪神】がいるんだ！ここで暴れて正解だった！アタシを楽しませてくれよ！！」

（あの言葉、感覚。恐らく洗脳だな。特に重度な方だ…）
――――恐らく、普通に殴っても直りませんね。
（どうでしょう？倒せますか？魔王真竜？）
――――分からぬ、あれほどの洗脳術は見たことない。

見たことない――――だが陸也は理解していた。あの状態はタダの洗脳ではないと…海理は拳を構えようとするが
「待て、ならこうしよう」
陸也が止めに入り、話を続ける。

「俺達とデュエルだ、負ければお前のお望みの物理戦闘の相手もしてやる。だが俺達が勝ったら警察に出頭しろ」
「良いねぇ！良い交渉じゃないか！」
（陸也…なら私も！）

「私もそれで構いません。他に被害が出るよりはマシです」
海理達はディスクを構え、コンピューターを起動させる。
ルールはリミットブレイクルールとバトルロワイヤル。

１春香
２海理
３陸也

（俺が最後か…）
「行きますよ！」
「容赦はしねぇ…ぶっ潰す！」


『HEAVENORHELL…DUEL１…LETSLOCK…！』


――デュエル！――


春香　LP8000
手札5

海理　LP8000
手札5
陸也　LP8000
手札5



「先攻はアタシだ！ドロー！」
春香
手札5→6

「アタシは手札を1枚捨て、《幻想の見習い魔導師》を特殊召喚！効果によって、デッキから《ブラック・マジシャン》を手札に！！」

幻想の見習い魔導師
☆6/闇属性/魔法使い族／効果　ATK2000／DEF1700
(1)：このカードは手札を１枚捨てて、手札から特殊召喚できる。
(2)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ブラック・マジシャン」１体を手札に加える。
(3)：このカード以外の自分の魔法使い族・闇属性モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、手札・フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。その自分のモンスターの攻撃力・守備力はそのダメージ計算時のみ２０００アップする。

ブラック・マジシャン
☆7/闇属性/魔法使い族　ATK2500／DEF2100
魔法使いとしては、攻撃力・守備力ともに最高クラス。

「…！《ブラック・マジシャン》！？あの伝説の決闘王が使っていた…！？」
「ああそうだ。まぁ今でも流行ってるだろぉ？まだ終わってねぇがな。魔法カード『ウィッチクラフト・サボタージュ』を発動！」

ウィッチクラフト・サボタージュ
通常魔法
このカード名の(1)(2)の効果は１ターンに１度、いずれか１つしか使用できない。
(1)：自分の墓地の「ウィッチクラフト」モンスター１体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
(2)：このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「ウィッチクラフト」モンスターが存在する場合、自分エンドフェイズに発動できる。このカードを手札に加える。

「【ウィッチクラフト】だと！？」

ウィッチクラフト…新しく導入された新規カテゴリで、魔法カードをモンスター効果発動のコストにして使うか、普通に使うかを選んで戦う変わったカテゴリ。このカテゴリに関する魔法カードはどちらに転んでも使えるため、上級者で魔法使い族主体のデッキや大会などでやや実装されつつあるカテゴリでもある。混合デッキにしろ、活躍は出来るだろう。

「生憎、①の効果しか使えないんでな！墓地から《ウィッチクラフト・ハイネ》を特殊召喚！このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの他の魔法使い族モンスターは相手の効果の対象にならない！！」

ウィッチクラフト・ハイネ
☆7/闇属性/魔法使い族／効果　ATK2400／DEF1000
このカード名の(2)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの他の魔法使い族モンスターは相手の効果の対象にならない。
(2)：手札から魔法カードを１枚捨て、相手フィールドの表側表示のカード１枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。

（どれも攻撃力が2000超えのモンスターばかり…しかも皆上級。相手も本気といったところですか…）

「バトルロワイヤルだからなぁ…お互い始めは攻撃できねぇ、カードを2枚伏せてターンエンドだ」

春香　LP8000
手札3
場
幻想の見習い魔導師　ATK2000　☆6
ウィッチクラフト・ハイネ　ATK2400　☆7
伏せカード2枚

海理　LP8000
手札5
陸也　LP8000
手札5