24話：勝利、トウマの目的　作：ヒラーズ

トウマ　LP4000
手札10
場
光神テテュス　ATK2400　☆5
オシリスの天空竜　ATK10000　☆10
永続　『無限の手札』
フィールド魔法　『神縛りの塚』

海理　LP8000
手札6→7
場
白眼の聖龍　ATK3000　☆8
伏せカード1枚

ドローしたカードを確認する。
引いたのはオネスト、このままいけば叩ける。このチャンスの到来を逃がさず海理は行動した。
「バトル！聖龍でオシリスを攻撃！」
「何！？迎撃て！オシリスの天空竜！！」

リヴァイアサン・ショットとサンダーフォースがぶつかるが、圧倒的にオシリスが押している。そんな中、海理は手札のモンスターの効果を発動した。

「手札からオネストの効果発動！このカードを捨てて打点を上げます！」

白眼は水属性だが、光属性としても扱えるため、オネストの効果を受ける事が出来る。先程ドローしたカードを使用し、ごり押しで倒すという強攻策に出たのであった。
押されていた水圧ブレスがサンダーフォースを押し返し、ダメージを与える。
トウマ　LP4000→1000

「くっ…そこまで引き運がよかったか…！」
「さらに聖龍の効果を発動します！デッキから【ホワイトアイズ】モンスター1体を特殊召喚します！！現れよもう1体の白眼の聖龍！効果であなたのテテュスを玉砕します！！さらに速攻魔法『白眼龍の破壊衝動』を発動！テテュスのレベルは『6』！よって2体目の聖龍は6回のダイレクトアタッカーになりましす、攻撃！リヴァイサン・ショット6連射！！」
「3000が6回…18000だが…17000のオーバーキル…！？」

6発の水圧ブレスがトウマの体を貫通し、ライフを全て削り取って決着が着く。
トウマ　LP1000→0（－17000）

「うわあああ！」

You WIN！
海理

You Lose…
トウマ








「あー…負けてしまったか…」
トウマはディスクとデッキをしまい、海理に歩み寄り、話を続ける。
「約束だったな、いいぜ」
「ではどこから話しましょう…」
そう話していると天光が歩み寄る。
「ここで話すのも何だ。校長室に来い、そこなら話が出来るだろう」
「分かったぜ」
「分かりました」








場所を移して校長室、トウマは出されたお茶を飲みながら天光と海理を交え、会話をする。
「本題に入ろう、お前は何しにここに舞い降りた？」
「いや、まずは海理のほうだな」
「では…まず1つ、何で私を試しに？」

トウマはその事については黙せず、理由を言った。
天界の命令ではないが、この都市で奇妙な事件が発生しているらしく。調査しに派遣された天使が次々と行方を眩ましていると報告があり、この都市に舞い降りた。一応敵の下っ端を一人倒して聞き出したが、一人では対抗できないらしく、調査は難航していた。そこで陸也の事を思い出したところに姉である海理が転生した情報を手に入れ、試したと言う訳である。

「2つ、陸也についてですが…見かけましたか？」
「いや…俺は時空を超えれるけど、『追放世界』までは行けない。俺罪人じゃないし。一応陸也は追放者だぜ？会いたいにしろ他の追放者をとっ捕まえて聞き出さなきゃ無理だ」

無理と言わざる得ない回答に海理はがっかりした表情になり、魂が抜けたような体勢をとる。

「…」
「弟は追放者なのか、では次は私だな」
「ああ、いいぜ」
「何故、あの場に降りた？直接私に聞けば出してやれるのに何故だ？」

その問いかけにトウマは「仕方なかった」と言って、話を終わらせる。

「そう言えば時間がないと言っていたな？何を急いでいる？」
「そうだな…調査期間の最終日と言ったらわかるか？」

調査期間の最終日、トウマはこの5日間だけクロノヴェイルに滞在し、行方不明事件を追っていたが、未だ尻尾を掴めずにいていたらしい。
気がついたら最終日を迎え、そろそろ天界に戻らねばならない時間が近づいていたため、致し方なく海理を試してから帰還しようとしたと言う流れとなった。

「天界でも重要な事が？」
「おっと、ここから先は機密だぜ？言えるわけがないからな…って時間か！済まねぇ！また来るぜ、海理！」

そう言ってトウマは校長室の窓を開け、飛び降りる。
トウマは持っていた翼を羽ばたかせ、空高く飛び上がり、夜空の中に消えていった。飛び立った後、辺りに白い羽が散らばった。

「天使が動くとなれば大変な事件に我々は巻き込まれたようだな」
（フォーマルとヘイズを早く目覚めさせればいけなくなったか…）

途中で我に返った海理は魔王真竜と会話し、今後の目的を話す。
――――大丈夫か？
（ええ、いつになったら陸也に会えるんでしょう…）
――――追放者なら「任務」でこの世界に来ているはずだ。
（特にハルさんが怪しいですね）



その後、海理は女子寮に戻り、ベッドに横になる。
水樹と風花は「どうだった？」と言ってくるが、あえて「無理でした」と言い返した。













その頃、とあるビルの屋上にて、ある男が電話である会話をしていた。
「ああ、私だよ。懐かしい友達の顔が遠くから見えてねぇ…ちょっと様子をみていた」
『…』
「そこは問題ないよ、トウマ君には気づかれたけど…他の連中は知らない。今のところ追われてはいないよ」
『…』
「しかし、私が発動したゲームが神々の仕業になるとはねぇ…まぁ私の【ネクロ・オブ・ゴッド（死者の神様）】は強力だからね、仕方ないよ」
『…！』
「え？黒幕が私になるだって？当たり前じゃないか。世界は常に驚異を欲しているんだ、今更でもなかろう？」
『…』
「まぁそう言わないでくれ給え、折角生きたままの天使の標本を持って来てあげたのに冷たいねぇ…」
男はケタケタと笑いながら続ける。

「けど、良いのかい？私は異世界人だよ？君の会社『FOE』だっけ？その社長の座をくれちゃっても」
『……』
「そうか…けど勘違いはしないでくれよ？私は常に世界の変革を求めてるんだ。また白き邪神が邪魔しにきたらさすがの君でももみ消せないよ？」
『…』
「ふーん…じゃあいいんだね。切るよ」
そう言って通話を切り、屋上を去る。
階段を降りつつ、独り言をする。

「陸也君の姉…海理ちゃんか…また壊しがいがある玩具を用意したもんだねぇ…この世界は」