3話：救世者の目覚め　作：ヒラーズ

「アクセル条件だと…？」
怪物は謎の除外効果に驚き、召喚方法を問う。

「条件は…自分フィールドのモンスターの攻撃宣言時、そのモンスターの攻撃を無効にし、攻撃対象にされた相手モンスターを除外する…その後EXデッキからこのカードをA召喚する！《アクセルゲートオープン！神速の世界に君臨する眷竜よ、粛正の風に乗りて、救世の翼を広げ、世界に新たな希望の風を呼び起こしなさい！アクセル召喚！》魔王救世竜ホワイトアイズ・メサイア・ドラゴン！！」
海理の前に現れたのは白く輝く水属性の幻竜族モンスター。
水で出来ているにもかかわらずその翼は氷に硬化したり、水に戻ったりと繰り返してる。

魔王救世竜ホワイトアイズ・メサイア・ドラゴン／Original Card
☆10/水属性/幻竜族／アクセル／効果　ATK4000/DEF4000
【A条件】
自分フィールドのモンスターの攻撃宣言時、そのモンスターの攻撃を無効にし、攻撃対象にされた相手モンスターを除外する。その後EXデッキからこのカードをA召喚する。
【モンスター効果】
このカードの属性と種族は光属性・ドラゴン族としても扱う。
①：このカードがA召喚に成功した時、自分はデッキの1番上からカードを10枚めくる。その後、めくったカードを好きな順番に戻してカードを2枚ドローする。
②：このカードが存在する限り、「ホワイトアイズ」モンスター以外のモンスター効果は無効化される。
③：バトルフェイズ中、ダメージ計算終了時まで相手はカード効果を発動できない。また、このカードの攻撃対象にされたモンスターの攻撃力は0になり、戦闘で破壊された時、そのモンスターは墓地に行かず、デッキの1番下に戻る。

召喚したとたん、そのカードがしゃべり出した。
―――――我の名は奇跡の代行者、魔王救世竜ホワイトアイズ・メサイア・ドラゴン。汝の契約に基づき降臨した―――――

「あなたが…声の正体…！」
―――――うむ、その通りだ―――――

「攻撃力4000とは高ぇが、削りきるのは足りねぇんじゃねﾞぇのか？」
―――――下位の霊よ、図に乗るな！我が力、見せてやろう！！―――――

「効果によって、並び替え、2枚ドローし、リバースカード発動！『白眼の風圧』です！」
海理
手札3→5

白眼の風圧／Original Card
速攻魔法
①：自分フィールド上の「ホワイトアイズ」モンスター1体をリリースして発動できる。デッキ、手札のどちらかから罠カード1枚を選択し、自分フィールドで発動する。この効果で発動する罠カードの効果は条件を満たした扱いで発動できる。

「何！？」
「私は赤水龍をリリースし、効果を発動！デッキから『ナイトメア・デーモンズ』を発動させ、あなたの場にナイトメア・デーモン・トークン3体を特殊召喚します！！」
ナイトメア・デーモン・トークン　ATK2000　☆6
ナイトメア・デーモン・トークン　ATK2000　☆6
ナイトメア・デーモン・トークン　ATK2000　☆6

トークンが怪物の場に並べられ、逆転の布陣が整った。
「さらにリバースカード『竜の闘志』！相手の場に特殊召喚されたモンスターの数は3体！よって通常の攻撃に加え、4回の攻撃となります！救世のメサイアル・バースト！！」
召喚されたアクセルモンスターの効果で攻撃対象にされたモンスターの攻撃力が0になり、実質上ダイレクトアタック並のダメージ。
喰らえばオーバーキルは免れないだろう。
魔王救世竜の一撃がトークンを一掃し、特大のダメージを与える。
怪物　LP8000→0（－8000）

「ぐあﾞあﾞあﾞあﾞっ！！！」


You WIN！
海理

You Lose…
怪物




怪物は断末魔の叫び声をあげ、体を溶かして消滅した。地面には赤黒い液体が広がり、その中から1枚のカードが現れる。
そしてそのカードが手元に入り、海理はカードを確認する。
「…？白紙（ブランク）カード？」
どう見てもデザインやテキストが描かれておらず、魔法・罠かモンスターカードなのかすら分からない。
――――なるほど、新たな力か…それは持っていても損はないだろう――――

そう言って魔王救世竜はカードに戻り、辺りは静かになる。
（ここにいるとまずいですね…早くここを去った方がいいですね）

海理は白紙のカードをポケットにしまい込み、急ぎ能力で自宅に転移し、自室に戻る。










しばらくしてベッドに寝転がり、ブランクカードと新しくデッキに入ったアクセルモンスターを見つめる。
「新しい…力ですか…」
―――――どうした？我が気になるか？―――――
（思いっきり気になります。色々聞きたい事があるのでいいですか？）
海理は次の行動を決めるべく、魔王救世竜に質問攻めをするのであった。

―――――良いだろう、言うてみせよ―――――
（では…「賊精霊」ってなんですか？）

―――――賊精霊…すなわち「賊霊」と呼ばれ、精霊界から追放されしデュエルモンスターズの精霊の事だ―――――
（……）

―――――元は普通の精霊であり、力が強力すぎた故に居場所を追われたものと言えば良いだろう―――――
（次に…あの怪物は一体何ですか？倒したのは良いんですが、解決したんでしょうか？）

―――――ふむ、あのものは下位の賊霊が表立った姿だ。強いて言うのであるなら、大した力のない悪霊が具現化したものと言えば良いだろう―――――
（……）

―――――あやつを倒したとしても完全に解決した事にはならん。一時的な凌ぎになるだけだ。だがしばらくは起こらなくなるはずだ。満足か？―――――
（最後に…あなたと同じ賊霊はたくさんいるんですか？）

―――――我と同じ意思を持つ者も少なくはないだろう。だがそれは断じて温厚な者とは限らん、出会った際には用心した方が良い―――――
（そう…ですか…分かりました、ありがとうございます）

その後、急に眠気が襲い、海理は眠りにつく。
（明日は入学式…ちゃんと登校しなくちゃ……）
















「ん……え？」
気がつくと海理は転生する前の空間にいた。
あたふたと辺りを見渡し、扉を探す。
その時だった。

【ようこそ、賊精霊界へ…】
「！？」
突然背後から声が聞こえ、振り向く。
そこには夢で会った蝶蝶の姿があった。
「あなたは…！それに賊精霊界！？」
【安心して下さい…あなたの体は眠りに入っています。つまりこれは夢の体験に過ぎないのです】
海理はほっと胸を撫で、地面に座り込む。
【人々の足を狂わせるものを退けたようですね……これでようやく、あなたの仕事が始まるのです】
「……！あれが仕事だったんですか！？」
【ですが…これは始まりに過ぎません。あなたの従えている賊霊はもはやあなたの奇跡で呼び起こせているのですが、その白紙のカードもあなたの奇跡で生み出されています】
「このカードが…」
海理は手元にあった白紙のカードを見つめる。

【そのカードを貸してみなさい…】
断じて悪者とは考えづらい対応に、あっけなく渡すものの、渡したとたんに白紙のカードが1枚の魔法カードに変わった。
「え――――」
【これは……見たことないカードですね】
再びそのカードが海理の手元に戻る。
戻って来たカードの種類は通常魔法へと変わり、カード名、テキストが表示され、力になった。
「復活の…祭壇？」

復活の祭壇／Anime Original
通常魔法
①：デッキの上からカードを2枚除外して発動できる。墓地に存在するカードを1枚手札に加える。

それを見た海理は「何て壊れカードなんでしょう」っとぼそぼそと言って、ポケットにしまう。
その瞬間、辺りは少しずつ暗転していき、意識が遠くなりかける。
「！」
【そろそろ時間のようですね…ここの事はゆっくり理解して下さい。時は刻限になりました。また…会いましょう】
そう言われた後、海理の意識は途絶える…。