63話：黒幕たる闇　作：ヒラーズ

「勝ちました…ですって？」
「ええ、このターンであなたを倒します」

このターンで相手を倒すと言った海理、手札を再確認し、手を動かした。

「私は手札から『天よりの宝札』を発動！互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにデッキからカードを引く」

海理
手札2→6

ダーク海理
手札1→6


「手札増やし……」
「さらに魔法カード『黄泉天輪』を発動！」
「それはさせないわ！モンスター効果により、そのカードを破壊よ！」

アクセルの銀河眼が海理の発動したカードを無効にして破壊する。しかし、ダーク海理は油断していた。

「かかりましたね！『黄泉天輪』は囮です。罠カード『針虫の巣窟』！デッキトップからカードを5枚墓地に送ります」

『白眼の聖龍』
『白眼の聖騎士』
『白眼の子竜』
『左腕の代償』
『白眼の魔術師』

「墓地に送られた《白眼の魔術師》の効果を発動します！」

白眼の魔術師(ホワイトアイズ・マジシャン)／オリジナル
☆8／水属性／魔法使い族／効果　ATK2500／DEF2800
このカードの②③の効果はどちらも１ターンに１度しか使用できない。
①：このカードが手札・デッキから墓地に送られた時、墓地に存在するこのカードを特殊召喚する。
②：自分フィールドのモンスター１体をリリースして発動できる。デッキ・手札・墓地のどちらかから「白眼の聖龍」２体を特殊召喚する。
③：このカードをデッキに戻して発動できる。相手フィールド上の魔法・罠を全てデッキに戻す。

「……！」
「処刑竜をリリース、墓地から素材となっていた聖龍2体を蘇生してモンスター効果発動！相手フィールドのモンスターを一掃します」
（このパターンが来たとなれば……アレがもう手札にきてるのか！）

陸也の予想通り、魔法カードが発動される。そのカード名は……。

「『白眼龍の破壊衝動』を発動！破壊したモンスターのレベルは12！よって1体目の聖龍は12回のダイレクトアタッカーになります！攻撃！」
「へぇ……すごいじゃない。今回ばかりは油断したわ。次に会った時が楽しみね」

その言葉を吐き捨てたとたん、白眼の攻撃が一斉にダーク海理のＬＰを削る。そして。

ダーク海理　LP4200→0（－31800）


WINS　海理



ーーーー





デュエルが終わった瞬間、ダーク海理は塵となって消える。
嵐が過ぎ去ったとたん、結界は解除されスズメが陸也に救出された。

その後、崩壊しかけた診療所を出て、駅前でスズメと会話したのだった。







「そうですか……妹が私を」
「はい、ですからツバメさんの元に戻ってあげてください。ツバメさんはずっとあなたを探していたんですよ？」
「……」

沈黙する。帰るのは簡単だ。ただ…すぐに帰っても親が許さないだろう。
時を越えるタイムスリップ体質によって起きた出来事を家族に話して理解されるのだろうか？それだけが彼の心を拒む。

だが妹が一生懸命、自分を探した事は類まれもなく事実だろう。
それほど、兄が大事だったということだ。

「……分かりました。戻りましょう」

その言葉に海理は安心する。
そして気がつくと辺りは暗くなり、夜を迎えていた。

「やばっ！もう帰らねぇと！」
「そうだな」
「明日も学校に行かなきゃ！」

海理達は慌てて電車に乗り込み、後にする。
そんな時、スズメは振り向き、小さい声で喋った。

「彼女が白き救世者ですか……若いですな」

そう言ってスズメは駅を後にする。
少なくとも、これでツバメの悩みは解消されただろう。




あれから数日、学校にて海理は例のチャンネルを開いていた。
「また上がってる……10％から25％に…」
――――それはそれで良いのではないか？
（良くない気がしますが…）

その頃、陸也の方では。

「それは本当か？ネクロ、トウマ」
『そうらしいな』
『これはまた、事件の予感がするねぇ…』
「……」

陸也はテレパシーでトウマとネクロに連絡を取り、ある組織を探っていた。
だが他にもある情報まで入手していたのだった。

『陸也君、あの巴っていうお嬢ちゃんだけど』
「ああ…あいつの事か？」
『もう気づいているんだろう？誰なのか』
『え？俺全然気づかなかったぜ』
「知ってる、だが今明かされる訳じゃない」
『そしてだけど、もう届いてるよね。君の元に』
「ああ、届いてる」

陸也は鞄から一通の封筒を取り出す。
封筒の中には数枚のチケット、不気味なデザインで縁が描かれており、今にも捨てたくなる感情はなくもなかった。

「やれやれ…「夜会のデュエル大会」の参加チケットとは、味な真似をしてくるな。あいつらは」


第３章　完