64話：巴の正体と決意　作：ヒラーズ

第４章「夜会再び」前編　開幕

海理達が外出中、図書室にて巴が一人さびしく椅子に座り、本を読んでいた。
風が少しだけ入り、内心では「風が温い」と言って本を閉じる。ポケットから封筒を取り出し、中身を見たとたん険しい表情になる

「……ハナコ、またあっちで事件が発生だなんて言わないよね？」

中には夜会の招待状が入っていた。
送り主は「ハナコ・アインネスフィールド」と書いてある。

「私は……海理さんを守らないといけないのに…一体何が……」

巴は席を立ち、窓の方へ向かい。窓越しから空を見上げる。
雲ひとつもない青空が広がる快晴。しかし、巴の瞳に映ったのは全てを包まんとする闇が映りこんでいた。

「５年経っても、暗雲は消えない……なのに、あっちと来たらまた事件。陸也さん……また協力してくれるでしょうか……」

陸也を「さん」付けする巴。彼女はこの学校に来る前の過去に振り返ったのだった。



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５年前、異界の夢という機械の神が破壊され、世界に平和が訪れた後。
魔女の都「ヴァルプルギス」にて問題が起きた。

「えぇ！？ヴァルプルギスを出て行く！？」
「かっ……考え直してよノイエ！今アンタがいなきゃ夜会はボロボロなのよ！？」
「ハナコ達が何と言おうと私は出て行く。それに、もう夜会の議長はもう決まってるのでしょう？ならその人の手伝いをしてあげなさい」

ノイエは荷物を整え、陸也の母親であり師匠でもあるプラムの時計杖「ヨグロ＝ステッキ」を持ち部屋を出る。それに続いてハナコは交渉しようと話を続ける。

「でも行く宛てはあるの？」
「無論、ない」
「じゃあどうするの？むきゅちゃんを追うにしろ、世界追放刑の罪状がないと行けないよ？」
「別に無理して追わない。それと、私には実家というものがあるので」

その言葉にハナコは引き下がる。

「まさか、あんた……実家に帰るというの？」
「そうだけど？クロノヴェイルに帰って何が悪いの？」
「そう……元の世界に帰るって言いたいのね……！」

それを邪魔するかのように一人の魔女が都の入り口前に立ちふさがる。
紫髪ロングでヘテロクロミアの瞳を持ち、黄色の魔女帽、ローブを着込み、中は若干きわどい服を着た女性であった。

「アリアドネ副議長、止めないでください」
「どうしても出て行きたいのなら行くがいい。だが、それは私に勝ってからだ」

冷静な口ぶりに応じ、アリアドネはディスクを構え、デッキをセットする。よほどノイエを出て行かせたくないんだろう。

「そうですか……なら全身全霊を賭けて挑みます！」

ノイエもディスクを構え、デッキをセットする。

「「デュエル！！」」

ルール：リミットブレイク
ＬＰ８０００戦

先攻：アリアドネ
後攻：ノイエ

「先攻はもらうぞ！ドロー」

アリアドネ　LP8000
手札5→6

「手札から『トレード・イン』を発動、手札からレベル8モンスターを墓地に送り、2枚ドローする。さらに《ドラゴンメイド・ラドリー》を召喚、効果でデッキトップからカードを3枚墓地に仕込む」

《ドラゴンメイド・ラドリー》
☆2・水属性・ドラゴン族／効果　ATK500・DEF1600
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分のデッキの上からカードを３枚墓地へ送る。
(2)：自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル７の「ドラゴンメイド」モンスター１体を選んで特殊召喚する。

墓地に落ちたカード
《ドラゴンメイド・ナサリー》
《ドラゴンメイド・フルス》
『強欲で謙虚な壷』

「さらに永続魔法『補給部隊』を発動させる」
「破壊してもされても得するようになりましたか……っ！」
「カードを2枚伏せてターンエンドだ」
「私のターン！」

ノイエ
手札5→6

（手札は悪くない……事故るよりはマシ。よし）

「手札から《ＭＳＭ－ザクⅠ》を召喚。カードを３枚伏せてターンエンド」


アリアドネ　LP8000
手札：2
場：《ドラゴンメイド・ラドリー》
伏せ：2枚　墓地：5枚

ノイエ　LP8000
手札：2
場：《ＭＳＭ－ザクⅠ》
伏せ：3枚　墓地：0枚