40話：陸也とリンネ、罪と暗示　作：ヒラーズ

リンネ　LP7300
手札0
場
アルカナフォースⅩⅤⅢ－ＴＨＥＭＯＯＮ　ATK2800　☆7
永続：『守護神の宝札』
伏せカード2枚


陸也　LP8000
手札2
場
美食経典の猟犬 ケルベロス　ATK2000　☆4
伏せカード3枚


デュエルはまだ序盤、リンネのターンが訪れ、狂気が始まった。

「私のターン」
リンネ
手札0→2

「スタンバイフェイズ時に《ムーントークン》を特殊召喚。さらに手札から《アルカナフォースⅠ－ＴＨＥＭＡＧＩＣＩＡＮ》を召喚」

アルカナフォースⅠ－ＴＨＥＭＡＧＩＣＩＡＮ
☆4/光属性/天使族／効果　ATK1100／DEF1100
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、コイントスを１回行い以下の効果を得る。
●表：魔法カードが発動された時、そのターンのエンドフェイズ時までこのカードの元々の攻撃力は倍になる。
●裏：魔法カードが発動する度に相手は５００ライフポイント回復する。

マジシャン…それは魔術師という意味があり、正位置はプラスの意味を逆位置はかなりのマイナス効果をもつカード。タロットのアルカナでは愚者に続く1のカードでもある。

「効果によって回転させますが、ストップと言って下さい」
「…ストップ！」
「…残念です、正位置となりました」

正位置の効果は魔法カードを発動時に攻撃力が倍になる効果。
陸也は唇を噛み、相手の出方を伺う。

「魔法カード『天よりの宝札』を発動、互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにデッキからカードを引きます」
リンネ
手札0→6
アルカナフォースⅠ－ＴＨＥＭＡＧＩＣＩＡＮ　ATK1100→2200

陸也
手札2→6

「バトルです、ＴＨＥＭＡＧＩＣＩＡＮでケルベロスに攻撃！」
「そうはさせん！カウンター罠『攻撃の無力化』を発動！攻撃を無効にしてバトルフェイズを強制終了させる！！」
マジシャンの攻撃がカウンター罠の効果に阻まれ、攻撃が止まる。
バトルフェイズを終了したリンネは次のフェイズに移った。

「…メインフェイズ2に移行…手札から『魔法石の採掘』を発動します。手札を2枚捨て、墓地の魔法カードを1枚回収します」
「…何とかなったな…後は次のターンに持ち越せるかだ…」
陸也は手札を確認し、策を練る。
（ふむ…『奈落経典-呪いの書-』が来ている…次のターンに回せば勝てるな）

陸也は真剣な眼差しでリンネを見つめ、自分のターンを待つ。
それに答えるかのようにリンネはカードを動かす。











だがこれは陸也にとって誤算の動きであった。
「これで終わったと思いましたか？」
「何？」
「私もこう見えて兵士であり天使。そしてデュエリストの端くれです。この程度では終わりません。《ムーントークン》と2体の【アルカナフォース】をリリースし…運命を導くサーキット！！」

「リンク召喚…だと？」
陸也の余裕の表情が驚愕に変わり、リンネの言葉に沈黙する。
「アローヘッド確認！召喚条件はトークンを含めた【アルカナフォース】モンスター2体以上！私は《ムーントークン》と2体の【アルカナフォース】モンスターをリンクマーカーにセット！サーキットコンバイン！！リンク召喚！

――――《アルカナフォースⅩⅩ－ＴＨＥＪＵＤＧＭＥＮＴ》！！――――


アルカナフォースⅩⅩ－ＴＨＥＪＵＤＧＭＥＮＴ／Original Card
LINK-4/光属性/天使族／リンク／効果　ATK3500 マーカー：右上／右下／下／左下
トークンを含め「アルカナフォース」モンスター2体以上
①：このカードがリンク、特殊召喚に成功した時、コイントスを１回行い以下の効果を得る。
表：このカードが存在する限り、相手がカード効果を発動する度、１０００のダメージを与える。
裏：このカードが存在する限り、自分がカード効果を発動する度、１０００のダメージを受ける。
②：このカードが破壊された時、墓地から「アルカナフォース」モンスター１体を特殊召喚する。

「…【アルカナフォース】のリンクだと…！？」
――――ご主人様、あのカードは…。
（ああ…精霊カードだ…！厄介な！）

「効果を発動します」
「……ストップだ！」
陸也は運に任せ、回転を止める。しかし出たのは


――――“正位置”――――

「…」
「私はこれでターンエンドです」
「俺のターン！」
陸也
手札6→7

（カードの効果を発動すれば１０００のダメージが飛んでくる…返ってピンチになったな…だがここまで来たんだ。当たって砕けてやろう！！）
「俺は手札から『奈落経典-呪いの書-』を発動！LPを1000払い、デッキから《邪神アバター》を特殊召喚する！」
「効果で1000のダメージです！」
陸也　LP8000→7000→6000

邪神アバター
☆10/闇属性/悪魔族／効果　ATK？→500／DEF？
このカードは特殊召喚できない。自分フィールド上に存在するモンスター３体を生け贄に捧げた場合のみ通常召喚する事ができる。このカードが召喚に成功した場合、相手ターンで数えて２ターンの間、相手は魔法・罠カードを発動できない。このカードの攻撃力・守備力は、フィールド上に表側表示で存在する「邪神アバター」を除く、攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力＋１００ポイントの数値になる。

「！？…三邪神…！」
「効果によりお前のリンクモンスターの攻撃力を100上回った数値になるが…奈落経典の効果で500上がり、600上回った数値になる！」
陸也　LP6000→5000
邪神アバター　ATK500→4100

「バトル！！アバターで攻撃！」
リンネ　LP7300→6700

「くっ…！」
「お前が『元軍人』なら俺も『元軍人』だ！デュエリストの端くれでもある！本気で行くぞ！D条件達成…！

――――“世界に散らばる七つの大罪よ、今ここに現れ――――


――――人々に自由の光を与えよ！！”――――


――――ドライヴ召喚！！――――


――――憤怒の罪《経典憤怒魔神 サタン》！！――――


経典憤怒魔神 サタン／Original Card
闇属性/悪魔族／ドライヴ／効果　ATK3000／DEF2000
【Ｄ条件】 自分フィールド上に存在する闇属性モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、そのモンスターをＤ素材としてＤ召喚を行う事ができる。
【モンスター効果】
このカードがＤ召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「経典」と名のつくカード1枚を手札に加える。
①：自分フィールド上にこのカード以外のＤモンスターが存在する場合、そのＤモンスター1体を選択して発動する。エンドフェイズまで選択したＤモンスターの攻撃力を5000にする。この効果は1ターンに1度しか発動できない。
②：このカードは戦闘では破壊されない。
③：自分フィールド上に「経典怠惰魔人 ベルフェゴール」が存在する時に発動する。バトルフェイズ中、このカードは3回攻撃できる。


陸也の前に現れたのは大槍を持った悪魔。
怒りが噴騰しているのか、多大なる殺意を出している。
この世界誰もが見たことない召喚方法。唯一持っているのは陸也ぐらいだろう。
「さらに装備魔法『覚醒魔槍－ダークボルグ』をサタンに装備！」

覚醒魔槍－ダークボルグ／Original Card
装備魔法
闇属性Ｄモンスターのみ装備可能。
このカードを装備したモンスターの攻撃力は１５００アップし、バトルフェイズ中２回攻撃できる。またこのカードを装備したモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていればその数値の分だけダメージを与える。

経典憤怒魔神 サタン　ATK3000→4500

「！」
「いくぞ！サタンでダイレクトアタック！！憤怒の大槍！！」







「なるほど…さすが大尉……強いですね」
サタンの槍がリンネの体を貫通し、爆発を起こす。
2回連続の攻撃でライフをあっという間に削りきってしまったのだった。
リンネ　LP6300→0




WINS！
陸也

Lose…
リンネ





♢






「思い出しましたか…？」
「ああ、転生していたんだな。沖島 輪廻軍曹…」
陸也は思い出した。かつての戦友の名を。
だが今は大会であり、任務。喜ばずに後ろを向き、フィールドを降りる。
（大尉…）









「勝ったぞ、次は決勝戦だ。気合いを入れるなければな」
「ええ」
「そうだな…決勝の初戦は俺様が出る。いいな？」

そう聞いて海理達は「頑張れ」と言って見送る。
だがその時だった…。


「ん？待て」
「…？どうしたの陸也？」
「…何か騒がしくないか？」
陸也が魔奈を止め、辺りを見渡す。
それと同時に放送が流れた…『異常が発生したため、本大会は中止とします』っと…。