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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第三話・1

第三話・1 作:KOUBOU(旧名:光芒)






 月日は過ぎ4月―――プロデュエリストの世界に舞い戻った遊希の活躍が、世界中で報じられるようになった頃。遊大はセントラル校の二年生となっていた。
 生徒会の役員となった遊大は入学式において、去年の遊希同様に挨拶を求められる。初めての挨拶はとても緊張したが、それでも昨年末の事件の英雄であり、またその眉目秀麗さが内外で話題になっていた彼にはたどたどしいスピーチであっても、多くの拍手が送られた。

「ふぅ……緊張した」
「遊大さんらしくていいスピーチでしたよ」
「ありがとう、美鈴さん」

 生徒会役員たちのスピーチが終わり、会場が拍手に包まれた。遊大たちの存在が新入生たちにやる気と活力を与えていくのである。そして入学式は最後のプログラムへと移るのだが、この学校では入学式の最後にはある催しが行われていた。そしてその催しこそアカデミアの新入生が最も楽しみにしていたものなのである。

「それでは、入学式最後のプログラムになります。首席入学の新入生と準首席入学のデュエリストによるデュエルです。只今より会場設営を行いますので、新入生および来賓の方々は席を立ち、所定の位置へと移動してください」

 すっかり恒例となった新入生同士によるエキシビションデュエル。代表に選ばれた二人のデュエリストの名が高らかに呼ばれた。

「エキシビションデュエル代表・準首席入学者、白幡 結衣」
「はい」

 拍手と歓声に迎えられて起立した結衣は真面目そうな顔をしてはぺこりと一礼する。結衣の入学は既に報じられていたため、彼女の名が呼ばれることに対してその場にいた誰もは納得の様子だった。

「そしてエキシビションデュエル代表・首席入学者―――」





―――風花 遊舞―――






「はぁーい!☆」

 結衣と比較してなんとも明るく、軽い返事が響き渡る。他の生徒がきっちりと指定の制服を着用している中、早くも一人制服をアレンジしている派手な出で立ちに会場中がどよめいた。幸いセントラル校はそれほど校則が厳しい訳ではないが、入学して初日にそんな着こなしをしてくるとは。結衣とは違った意味で遊舞は周囲の目を引いた。

「そ、それでは今名前を呼ばれた二人は指定の場所へ向かってください」
「あ、あの方が……あの不埒者が首席入学者なんですか……?」
「みたいだね……あ、美鈴さん落ち着いて。今は入学式だから」

 美鈴が怒気を露わにし、遊舞のテンションに司会も思わず動揺を見せる中、デュエル委員となった遊大は美鈴を宥めつつ、予め先回りして二人の到着を待っていた。入学前のデュエルで留奈を破ったことや、デュエル時の立ち居振る舞いから遊舞が一角のデュエリストではない、というのは薄々感じ取っていた。しかし、それを差し引いてもなお、遊舞が首席入学者ということにはやはり驚きを隠せなかった。

(しかし、彼女が結衣さんを上回る成績を残して首席入学者になるなんて。人は見た目によらないってあるんだなぁ)
「セーンパーイ!!」

 考え込んでいた遊大の後ろから明るい声が聞こえる。振り返ろうとした遊大に遊舞はまるで飛びつくかのように抱き着いてきた。

「うわっ!?」
「遊大センパイ! アタシ、またセンパイに会えて嬉しいな☆ これから宜しくね!」
「う、うん……あの、えっと。そんなにくっつかないでもらえるかな?」

 まるで子犬のようにじゃれてくる遊舞。しかし、本当に子犬であるならば優しく抱き抱えることができるのだが、遊舞は自分と一つしか歳の変わらない人間である。

「えーっ、いいじゃん別に!」
「良くないですよ。ここは公衆の面前です」

 遊舞を邪険にできないでいた遊大の代わりに割って入ったのが結衣だった。結衣は遊舞を引き剥がすと、ジロリと彼女を睨みつける。遊希と遊大の関係性を知っている彼女は、尊敬する遊希のためにも遊大と別の女性が必要以上にベタベタするのを良しとしなかった。

「ちぇーっ。ま、センパイが迷惑してるならしょうがないよね☆」
「全くです。あなたは首席入学なんだからもっとあるべきように振る舞ってください。準首席の私の顔も立ちません」
「えっ、あなたが準首席なの? アタシ、風花 遊舞って言うんだ! 宜しくね☆」
「……白幡 結衣です。よろしくお願いいたします」

 フレンドリーな遊舞と礼儀正しい結衣。何から何まで正反対の二人であるが、案外こういう方が仲良くなれるものである。

「宜しくね、ゆいゆい!」
「ゆ、ゆいゆい?」

 その証拠に遊舞はほぼ初見に近い結衣に早くもあだ名をつけてきたのだ。さすがに初対面の人間にあだ名をつけられるとは思っていなかった結衣は目を白黒させる。

「うん☆ 結衣だからゆいゆい。めっちゃ可愛い名前だよね!」
「……いくらなんでも気安すぎると思わないんですか? 私たちは初対面ですよ?」
「確かにはじめましてだけど、アタシたちこれから同じセントラル校の生徒なんだよ? だったらいいじゃん! これくらい距離近くても☆ あっ、じゃあアタシのことはゆまりんとかゆままとか呼んでもいいよ? これでおあいこだね!」
「そういう問題じゃありません!」
「ふ、二人とも……火花を散らすならデュエルでやってね」

 見ていられず止めに入った遊大。遊大に迷惑をかけたくはない、と思った遊舞は「じゃ、先に行ってるねー!」と言って持ち場へと駆けていった。彼女がいなくなるを見届けた結衣は深くため息をついた。

「私は、あんな子に成績で負けたんですか?」
「……みたいだね。でも、首席準首席という成績をそんなに引きずらなくてもいいと思うよ? デュエルに臨めばみんな一概にデュエリストなんだからさ」
「わかっています。遊大さん、私……勝ちますから」
「……うん。確かに彼女、風花さんは強いかもしれない。でも結衣さんが今までやってきたことをやればきっといい結果がついてくるから」
「はい」

 そう言って遊大に深々と一礼して自分の持ち場へと向かう結衣。遊舞と結衣、二人の正反対のデュエリストによるデュエルの火蓋が切って落とされようとしていた。

「先攻後攻の決定権は私に与えられました。私は先攻を取ります」

 デュエルフィールドにて対峙する二人の少女。このセントラル校のデュエルでは、先攻後攻の決定権はデュエルディスク内蔵のコンピューターによって自動的に決められる。じゃんけんやコイントス、先に宣言した方が先攻というものと比べれば、時代に合った決定方法であると言えるだろう。

「いーよ、じゃあアタシは後攻ね☆ プロデュエリストのゆいゆいがどんなデュエルをするのか、アタシ楽しみだよー!」
「……」

 プロになってからの自分にとって、デュエルとは常に緊張感に包まれたもの。結衣はそう思っていた。デュエルの内容も大事であるが、結果的に勝てなければ意味はない。そうなれば誰もが真剣にデュエルに取り組む。しかし、今自分が対峙している遊舞にはそれがない。それがない故に掴みどころがない相手にもなっていた。

(調子が狂いますね……首席入学するような人とはいえ、容赦する必要はありません。すぐに倒します)
「デュエル!」
「デュエル☆」



先攻:結衣
後攻:遊舞

結衣 LP8000 手札5枚
デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠:0 墓地:0 除外:0 EXデッキ:15(0)
遊舞 LP8000 手札5枚
デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 EXゾーン:0 魔法・罠:0 墓地:0  除外:0 EXデッキ:15(0)





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