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第23話:壁に非ず 作:湯
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
【ギャリガン】
LP4000 手札:4
①グレムリフト・マッドグリッパー ATK2500 X素材1
②グレムリフト・ウィキッドディスターバー ATK2500 X素材1
③グレムリフト・スパークス ATK400
④グレムリフト・ピック ATK200
⑤グレムリフト・ギアジャム ATK300
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
④②③⑤□
□□□□□
フィールド魔法:1
【怜央】
LP4000 手札:2
①爆焔鉄甲 鍵発射弾(キー・ロケットボム) ATK900
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
□
□①□□□
■□□□□
フィールド魔法:1
■伏せカード:1
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
GREMRINZのリーダー「ギャリガン」の「グレムリフト」デッキは、
フィールド魔法によって召喚可能なモンスターを制限する特徴を持つ。
先行でギャリガン有利の盤面を作り上げられた怜央は、まともな展開ができず、防戦一方となる。
ギャリガンはフィールド魔法のデメリットにより自らのライフが削られるものの、
一気にフィールドに5体のモンスターが並び、2体のXモンスターの攻撃力は2500となった。
このまま攻撃を受ければ怜央は敗北し、
オースデュエルによってギャリガンの永遠の奴隷となってしまう。
更に、Unchained Hound Dogsはドミノタウンへの干渉ができないこととなり、
実質的にチームは機能停止となる。
新たな道へ歩み始めた怜央の1歩目が挫かれてしまえば、チームの子供達の未来にも影響する。
必ず勝たなければならないこのデュエルに、遊次と灯は息を呑むことしかできなかった。
ギャリガン「さあ、バトルフェイズよ。
攻撃力2500の『グレムリフト・ウィキッドディスターバー』で
『爆焔鉄甲 鍵発射弾(キー・ロケットボム)』を攻撃!」
赤褐色の肌を持つ巨大な悪魔は、自分の足元ほどの背丈のモンスターに殴りかかる。
灯「(怜央…!)」
未だアクションを起こさない怜央を、灯は祈るように見つめる。
その瞬間、祈りが通じたかのように、怜央はデュエルディスクに触れる。
怜央「この瞬間、墓地の『爆焔鉄甲豪烈熱風(スチームアーミー・フレアブラスト)』の効果発動!
自分・相手ターンに墓地のこのカードを除外し、手札から『スチームアーミー』を召喚できる!
手札の『爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)』を召喚!」
怜央は「爆焔鉄甲 火線工兵」を「爆焔鉄甲 鍵発射弾」の隣、左端のモンスターゾーンに召喚する。
■爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1400 守備力1500
このカード名の、②の効果はデュエル中に1度しか使用できず、
①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「スチームアーミー」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れた場合、
またはX素材となったこのカードが墓地へ送られた場合、ゲームから除外される。
③:自分・相手ターンに発動できる。
このカードを含む自分フィールドのモンスターを素材として「スチームアーミー」Xモンスター1体をX召喚する。
厚みのある鉄板で全身を覆われ、レンチとバーナーを腕に装着した鋼鉄のモンスターが現れる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/2TvljEP
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
遊次「そうか…!自分のターンでは攻撃力1000以下のモンスターしか出せなくても、
ギャリガンのターンならXモンスターの攻撃力が上がるから、天井はその分持ち上がる。
怜央はその時を待ってたんだ!」
灯「フィールド魔法を破壊できなくてもあの魔法カードを使ったのは、墓地での効果を使うため…!」
怜央が前のターン、魔法カードによって、
マッドグリッパーによって破壊耐性を持つフィールド魔法を破壊しようとした。
それはその魔法カードを墓地に送ること自体が目的だったということだ。
遊次と灯はピンチの中でも着実に反撃の一手を打っていたことに、
ようやく安堵の気持ちが芽生え始める。
怜央「『火線工兵(ヒート・エンジニア)』の効果発動!
自分・相手ターンに、フィールドの『スチームアーミー』を他のモンスターに装備できる。
お前の『グレムリフト・ウィキッドディスターバー』に
『鍵発射弾(キー・ロケットボム)』を装備する」
「火線工兵」が隣の「鍵発射弾」を投げつけると、
真っ直ぐと「ウィキッドディスターバー」へと向かってゆき、そのまま鎖を巻き付ける。
「鍵発射弾」は怜央の魔法・罠ゾーンに装備カードとして置かれるため、
モンスターゾーンには「火線工兵」1体が存在している。
ギャリガン「フン、それでも攻撃力はたった1400。
そのまま『ウィキッドディスターバー』で『火線工兵(ヒート・エンジニア)』に攻撃すれば…」
怜央「いや、それはできない。
『鍵発射弾(キー・ロケットボム)』を装備したモンスターは
同じ縦列のモンスターにしか攻撃できなくなるからな」
ギャリガン「なんですって…?」
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
【ギャリガンのフィールド】
①グレムリフト・マッドグリッパー ATK2500 X素材1
②グレムリフト・ウィキッドディスターバー ATK2500 X素材1
③グレムリフト・スパークス ATK400
④グレムリフト・ピック ATK200
⑤グレムリフト・ギアジャム ATK300
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
④【②】③⑤□
□ □ □□□
※【】はスチームアーミーが装備されたモンスター
【怜央のフィールド】
①爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
□
①□□□□
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
「グレムリフト・ウィキッドディスターバー」は真ん中のモンスターゾーンにおり、
その正面には怜央のモンスターは存在していない。
怜央「つまり『ウィキッドディスターバー』は攻撃対象を失ったってわけだ。
1度攻撃宣言をした以上、攻撃対象を選びなおすこの場面で攻撃できなきゃ、
もうこのターン、そのモンスターは攻撃宣言できないぜ」
遊次「よし、これならこのバトルで怜央のライフが尽きることはない!」
なんとか敗北の危機を脱したことに遊次と灯は安堵する。
ギャリガン「フン…してやったりみたいな顔してるけど、冷静に考えてみて。
1回攻撃を止めただけよ?
どんな小さなことにでも幸せを感じられるのは素晴らしいわ。でも、今はただのぬか喜びよ。
『グレムリフト・マッドグリッパー』で『爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)』に攻撃!」
焦げ茶色の悪魔がその屈強な腕で殴り掛かると「爆焔鉄甲 火線工兵」は一瞬にして破壊される。
そして怜央は攻撃力の差分ダメージを受ける。
怜央「クッ…!」
LP4000 → 2900
ギャリガン「フィールド魔法の効果でエクシーズモンスター以外は攻撃できない。
バトルはこれで終了よ」
ギャリガン「グレムリフト・マッドグリッパーのX素材を使い効果発動。
デッキから2枚目の『グレムリフト・クランク』を手札に加えるわ」
このモンスターは手札から捨てられた時に魔法カードをサーチできるモンスターだ。
これで墓地の「グレムリフト・ギアジャム」とのコンボにより、
次のターンに再び魔法カードを手札に加えることが可能となった。
ギャリガン「さらに永続魔法『グレムリフト・イービルサンダー』を発動。
1ターンに1度、フィールドの『グレムリフト』モンスターを任意の数リリースして、
相手フィールドのカードをモンスターか、ライフを回復する効果を選択できる。
アタシはXモンスター以外の3体をリリースして3000ポイントライフを回復する」
■グレムリフト・イービルサンダー
永続魔法
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:自分フィールドの「グレムリフト」モンスターを任意の数リリースして発動できる。
自分はリリースした数×1000LPを回復する。
②:自分フィールドの「グレムリフト」モンスターと
相手フィールドのカードをそれぞれ同じ数だけ対象として発動できる。そのカードを手札に戻す。
リリースされた3体の「グレムリフト」モンスターは黒い稲妻となり、ギャリガンに降り注ぐ。
ギャリガンは両手を広げその雷を全身で浴び、恍惚の表情を浮かべる。
ギャリガン「あぁ…潤うわッ…!」
ギャリガン LP 4000 → 7000
この永続魔法には除去効果もあるが、メインフェイズ1でそれを使用しなかったのは、
使用せずとも怜央のライフを十分削り切れる可能性が高かったことと、
もし削り切れなかった場合、自分のライフを回復しなければ敗北に繋がるためだ。
ギャリガン視点でも、怜央の魔法カードの墓地効果によって、
自分のターン中に怜央がモンスターを召喚する可能性は高かった。
モンスターを手札に戻す効果を使用後にバトルフェイズに入っても、
手札からモンスターを呼び出されればライフを削りきれない。
ライフ回復を優先することは当然の判断だ。
灯「そんな…!これじゃ損してるのは怜央だけってことに…」
遊次「…あの天井を壊すか、ギャリガンのモンスターを全部倒さない限り、道は開けないだろうな」
自らのフィールド魔法の効果でギャリガンのライフが削られていくことが
Next陣営にとっては大きな希望だった。
しかしライフの回復が永続魔法によって半永久的に可能だとわかった以上、
その希望は潰えたに等しい。
ギャリガン「3体のモンスターがいなくなったことでXモンスターの攻撃力は1000に下がる」
2体のXモンスターの図体は再び縮み、天井もその分下に降りてゆく。
ギャリガン「アタシはこれでターンエンドよ。
これでまた貴方は攻撃力1000以下のモンスターしか出せない地獄に逆戻り。お疲れ様」
ギャリガンは笑顔で怜央に手を振ってみせる。
なんとか攻撃を防いだものの、怜央の着実にライフは削られている。
傍目からは状況が悪化しているようにしか見えない。
遊次と灯は不安そうな表情を浮かべている。灯は祈るように両手を握りしめている。
それを見かねた怜央は、車の方を振り向く。
怜央「この程度のことで何を不安そうにしてんだ。
俺は必ず勝つ。祈る必要なんざねえ」
怜央はいたって冷静に見える。
当然のように自らの勝利を疑っていない彼の言葉に、遊次と灯の心は少し安らいだ。
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【ギャリガン】
LP7000 手札:4
①グレムリフト・マッドグリッパー ATK1000 X素材0
②グレムリフト・ウィキッドディスターバー ATK1000 X素材1
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
□【②】□□□
□ □ □□□
【】はスチームアーミーが装備されたモンスター
フィールド魔法:1
▲永続魔法:1
【怜央】
LP2900 手札:2
フィールド魔法:1
伏せカード:1
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
怜央「俺のターン、ドロー!」
怜央はここでもう1枚のRUM魔法カードをドローする。
最初に手札からあったものとは別のカードだ。
しかしエクシーズモンスターがいない今、使用することはできない。
怜央「手札から『爆焔鉄甲 明照夷弾(ランタン・ナパーム)』を召喚!」
■爆焔鉄甲 明照夷弾(ランタン・ナパーム)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1000 守備力1600
このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
このカードは魔法&罠ゾーンに1枚しか存在できない。
①:このカードがフィールド・墓地に存在する場合、
自分フィールドの「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として発動できる。
このカードをそのモンスターの下に重ねてX素材とする。
②:このカードの装備モンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。
③:装備モンスターが破壊される事によってこのカードが墓地へ送られた場合に発動する。
破壊された装備モンスターをコントロールするプレイヤーの同じ縦列・隣のカードを全て破壊する。
現れたモンスターはランタンとナパーム弾が合わさった姿をしている。
縦長の円筒形で作られており、上部には丈夫な金属製の持ち手が付いている。
中央部分にある格子窓からは、内部で揺らめく鮮やかな赤い液体が透けて見える。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/pAOfcoD
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
ギャリガン「攻撃力1000…ギリギリセーフってわけね」
怜央の召喚したモンスターの攻撃力はギャリガンのモンスターと同値だ。
怜央「…バトルだ。
『爆焔鉄甲 明照夷弾(ランタン・ナパーム)』で
『グレムリフト・ウィキッドディスターバー』を攻撃!」
ギャリガン「バカね!血迷ったの!?
『ウィキッドディスターバー』の効果でアタシのモンスターは1ターンに1度破壊されない!
貴方のモンスターが自滅するだけよ!」
怜央「じゃあ本当にそうなるか…目ェひん剥いてよく見とけ…!
永続罠、発動!『命取りの重鎧』!」
■命取りの重鎧
永続罠
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
フィールドの装備カードを装備したモンスターは守備表示になり、
表示形式を変更できず、効果は無効になる。
②:フィールドの装備カードを装備したモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの装備カードを全て破壊する。
その後、そのモンスターは攻撃力が0となり、攻撃表示となる。
その罠カードが発動された瞬間、ウィキッドディスターバーが体勢を崩す。
まるでその体にかかる重力が何倍にも増したかのように片膝をつき、その重さに耐えている。
ギャリガン「な、何よこれ…!」
怜央「『命取りの重鎧』は
装備カードを装備したモンスターの効果を無効にし、守備表示にする永続罠。
つまり、前のターンでスチームアーミーを装備したお前のウィキッドディスターバーは、
1効果が無効となり、このバトルで破壊される!」
守備力わずか300のウィキッドディスターバーは、
攻撃力1000の明照夷弾(ランタン・ナパーム)の攻撃を耐えることはできない。
ランタン・ナパームが攻撃対象に灯油をかけ、その上から炎を放射する。
ウィキッドディスターバーの全身はたちまち燃え上がり、破壊される。
ギャリガンのモンスターゾーンには、
装備されていたキー・ロケットボムが発射の時を待っていた。
怜央「この瞬間、ウィキッドディスターバーに装備されていた
『鍵発射弾(キー・ロケットボム)』の効果発動!装備モンスターが破壊された時、
そのモンスターの隣・同じ縦列のカードを全て破壊する!」
上方向に真っ直ぐと発射されたキー・ロケットボムは、
空中で方向転換し、同じ縦列にいるマッドグリッパーへ向かう。
着弾した瞬間、激しい爆発と共にマッドグリッパーは破壊される。
遊次「よっしゃあ!これでギャリガンのモンスターは全滅!
『グレムリフト』モンスターがいなきゃ、あの天井は効果を発揮しないはずだ!」
灯「これで怜央は好きにモンスターを呼び出せるね!」
2体のグレムリフトXモンスターが破壊されたことで、フィールド魔法『オーガシーリング』は
元あった地下宮殿の上部へと勢いよく跳ね上がってゆく。
天井を引き寄せる「グレムリフト」モンスターがいなければ、それが落ちてくることはない。
ギャリガン「おォのれェ…!」
今まで余裕の態度だったギャリガンは怒りの表情を見せる。
怜央「メインフェイズ2。墓地の『爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)』の効果発動。
デュエル中に1度、フィールドにスチームアーミーがいる時、墓地からこのカードを特殊召喚できる」
再びフィールドに工具を持った鋼の機兵が姿を現す。
これで怜央のフィールドにはモンスターが2体並んだ。
怜央「俺は『爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)』と
『爆焔鉄甲 明照夷弾(ランタン・ナパーム)』でオーバーレイ!
2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」
フィールドに現れた黒い渦に2体のモンスターが飲み込まれてゆく。
怜央「猛進する重厚なる鉄塊、その汽笛は激戦の始まりを告げる」
怜央「エクシーズ召喚!ランク4!
『爆焔鉄甲 煙機関車(レイル・エクスプレス)』!」
怜央が口上を唱えると、黒い渦は爆ぜ、その光の中から漆黒の巨大な機関車が攻撃表示で現れる。
そのボディは鋼鉄で覆われ、無数の歯車が絶え間なく回転している。
頭部には巨大な煙突がそびえ立ち、そこからは白煙が勢いよく放出されている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/LXkoeMH
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
■爆焔鉄甲 煙機関車(レイル・エクスプレス)
エクシーズモンスター
ランク4/炎/機械/攻撃力2000 守備力2500
レベル4モンスター×2
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがX召喚した場合に発動できる。デッキから「スチームアーミー」罠カード1枚を手札に加える。
②:このカードのX素材を1つ取り除き、このカード以外の自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。
フィールド・墓地から2体までモンスターを選び、そのモンスターの下に重ねてX素材とする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
③:このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキから「スチームアーミー」モンスター1体を特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
怜央「レイル・エクスプレスの効果発動。
X召喚時、デッキから『スチームアーミー』罠カードを手札に加えることができる。
『爆焔鉄甲地雷原(スチームアーミー・マインフィールド)』を手札に加える」
怜央「さらにレイル・エクスプレスのオーバーレイユニットを1つ使い、効果発動!
デッキから『スチームアーミー』モンスター1体を特殊召喚する。
来い、『爆焔鉄甲 炉衛生兵(ファーネス・メディック)』!」
X素材としてヒート・エンジニアが墓地に送られる。
■爆焔鉄甲 炉衛生兵(ファーネス・メディック)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1300 守備力1800
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このターン墓地に送られた「爆焔鉄甲 炉衛生兵」以外の
自分の墓地の「スチームアーミー」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
③:手札の「スチームアーミー」モンスター1体を捨てて発動できる。
自分はデッキから2枚ドローし、その後1枚選んでデッキの一番下に戻す。
赤い十字マークが描かれた鉄の帽子を被った銅色の機兵が攻撃表示で現れる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/pdPIdaY
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
怜央「ファーネスメディックの効果発動。
手札を1枚捨てて2枚ドローし、その後1枚をデッキの一番下に戻す」
怜央は手札の「爆焔鉄甲 灼狙撃兵(バーン・スナイパー)」を捨てた後、
2枚ドローし、1枚をデッキの下に戻す。
怜央「ファーネス・メディックの効果発動。
このターンに墓地に送られた『スチームアーミー』1体を特殊召喚できる。
今手札から捨てた『爆焔鉄甲 灼狙撃兵(バーン・スナイパー)』を特殊召喚!」
■爆焔鉄甲 灼狙撃兵(バーン・スナイパー)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1800 守備力900
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「スチームアーミー」モンスター1体を手札に加える。
③:相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、相手に800ポイントのダメージを与える。
肩から腕にかけてライフルが取り付けられた銅色の機兵が姿を現す。
目にはゴーグル型のレンズが装着されている。
怜央「バーン・スナイパーが特殊召喚に成功した時、
デッキから『スチームアーミー』1体を手札に加えることができる。
『爆焔鉄甲 羅針榴弾(コンパス・グレネード)』を手札に加える」
怜央「さらにバーン・スナイパーの効果発動。
1ターンに1度、相手の魔法・罠カードを1枚破壊できる」
怜央は右手で銃の形を作り、破壊するターゲットを見定める。
怜央「(フィールド魔法を破壊したいところだが、
あの永続魔法を潰さなきゃ俺のモンスターが手札に戻されちまう)」
怜央の右手の照準はギャリガンの永続魔法に合わせられる。
怜央「俺はお前の永続魔法『グレムリフト・イービルサンダー』を破壊する。
更に、800のダメージを与える!」
怜央の掛け声と共にバーン・スナイパーが一発の銃声を響かせ、その瞬間に永続魔法は破壊される。
ギャリガン「…」
LP 7000 → 6200
怜央「さらに、フィールドにスチームアーミーがいる時、
手札から『爆焔鉄甲 羅針榴弾(コンパス・グレネード)』を特殊召喚できる」
■爆焔鉄甲 羅針榴弾(コンパス・グレネード)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1500 守備力1000
このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
このカードは魔法&罠ゾーンに1枚しか存在できない。
①:自分フィールドに「スチームアーミー」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
②:このカードの装備モンスターはリリースできず、素材を必要とする特殊召喚のための素材にできない。
③:装備モンスターが破壊される事によってこのカードが墓地へ送られた場合に発動する。
破壊された装備モンスターをコントロールするプレイヤーの同じ縦列・隣のカードを全て破壊する。
怜央は2枚目のコンパス・グレネードを手札から攻撃表示で特殊召喚する。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/Q5phK61
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
怜央「『爆焔鉄甲 炉衛生兵(ファーネス・メディック)』と
『爆焔鉄甲 灼狙撃兵(バーン・スナイパー)』でオーバーレイ!
2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」
怜央「燃え盛る鋼鉄の機兵よ、爆煙と共に現れ、敵陣を焦土と化せ」
怜央「エクシーズ召喚!現れよ、ランク4!
『爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)』!」
怜央が口上を唱えると、黒い渦から光が放たれ、やがてフィールドは白煙に包まれる。
その白煙から、2つの赤い光がギャリガンを睨んでいる。
白煙が少しずつ晴れてゆくと、そのモンスターの姿は鮮明になる。
■爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)
エクシーズモンスター
ランク4/炎/機械/攻撃力2400 守備力2400
レベル4モンスター×2
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードの攻撃力はこのカードのX素材の数×200ポイントアップする。
②:このカードのX素材を一つ取り除き、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
このカードが炎属性モンスターをX素材としている場合、この効果は相手ターンでも発動できる。
③:このカードのX素材を任意の数取り除き、その数だけフィールドのモンスターを対象として発動できる。
対象のモンスター以外の自分のフィールド・墓地の「スチームアーミー」モンスターを選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
鋭く光る赤い目を持つその機械のモンスターは、赤と黒の金属板で覆われた洗練されたボディを持つ。
歯車や配管がその機体から露出し、常に高温の蒸気を噴き上げている。
背中には大きな燃料タンクとブースターが装備され、熱を放ちながら常に動き続けている。
左腕にはバーナーが装備されている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/xCmWHEi
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
怜央「『炎機公子(エクスプロード)』はオーバーレイユニット1つにつき200攻撃力がアップする。
よって攻撃力は2800となる」
怜央「カードを2枚伏せてターンエンドだ」
怜央のフィールドは万全の体制となった。
遊次との戦いでも怜央は同じような布陣を組み、遊次を苦しめた。
敵にすれば厄介だが、味方ならこうも頼もしいのだと遊次は心強さをおぼえる。
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【ギャリガン】
LP6200 手札:4
フィールド魔法:1
【怜央】
LP2900 手札:1
①爆焔鉄甲 煙機関車(レイル・エクスプレス) ATK2000 X素材1
②爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード) ATK2800 X素材2
③爆焔鉄甲 羅針榴弾(コンパス・グレネード) ATK1500
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
□②③□□
■□□▲▲
フィールド魔法:1
■永続罠:1
▲伏せカード:2
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
ギャリガン「アタシのターン、ドロー」
ギャリガンは今までと打って変わり追い詰められた立場だ。
余裕はなくなったものの、その思考はいたって冷静だった。
フィールドに見えている情報から怜央の動きを予想している。
ギャリガンは怜央のフィールドの『炎機公子(エクスプロード)』を見つめ、
数秒の思考の後、動き始める。
ギャリガン「墓地の『グレムリフト・スプリッター』の効果発動。
自分フィールドにモンスターがいない時、墓地のこのカードを除外して、
墓地の『グレムリフト』モンスター1体を手札に加える。
アタシは『グレムリフト・スパークス』を手札に加えるわ」
ギャリガン「墓地の『グレムリフト・ギアジャム』の効果を発動。
手札を1枚捨てて墓地から特殊召喚できる。
手札の『グレムリフト・クランク」を捨てて特殊召喚よ」
怜央「その効果にチェーンして
永続罠『爆焔鉄甲地雷原(スチームアーミー・マインフィールド)』を発動!
1ターンに1度、相手がモンスターを特殊召喚した時、
そいつに『スチームアーミー』モンスターをデッキから装備することができる」
■爆焔鉄甲地雷原(スチームアーミー・マインフィールド)
永続罠
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
装備カードを装備している相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。
②:相手フィールドにモンスターが特殊召喚された場合に発動できる。
その特殊召喚されたモンスター1体を選び、
デッキから「スチームアーミー」モンスター1体を選び、そのモンスターに装備カード扱いとして装備する。
③:相手メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、
自分の除外状態の「スチームアーミー」モンスター2体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
この永続罠は前のターンで怜央がサーチしたカードであり、ギャリガンもその効果は把握していた。
そしてチェーン1のグレムリフト・ギアジャムの効果により自身を墓地より特殊召喚。
黒色の長い爪を持つ小悪魔が現れる。
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ギャリガン「手札から捨てられた『グレムリフト・クランク』の効果発動。
『グレムリフト』の効果で手札から捨てられた時、
デッキから『グレムリフト』魔法カードを手札に加える」
怜央「その効果にチェーンして
永続罠『爆焔鉄甲地雷原(スチームアーミー・マインフィールド)』の効果発動!
特殊召喚された『グレムリフト・ギアジャム』に対し、
デッキから『爆焔鉄甲 時計炸弾(クロック・ダイナマイト)』を装備する」
チェーン2で怜央が発動した罠カードの効果から処理が始まる。
現れた黒い小悪魔に対し、X字にダイナマイトを背負った置時計型のモンスターが鎖を巻き付ける。
怜央「『グレムリフト・ギアジャム』に装備カードが装備されたことで、
永続罠『命取りの重鎧』の効果で効果は無効化し、守備表示となる」
ギャリガン「やっぱりそう来るのね。
ギアジャムの『自分より攻撃力の高いモンスターの対象にならない』効果は消えたってわけね」
ギアジャムの効果が残っている限り、怜央は「グレムリフト」モンスターを対象に取れない。
そのため、永続罠の効果で爆弾を装備することでギアジャムの効果を無効にすることは必須条件だ。
ギャリガン「まあいいわ、読み通りだもの。
チェーン1の『グレムリフト・クランク」の効果により、
アタシは魔法カード「グレムリフト・デーモンシーリング』を手札に加える」
怜央「(…別のフィールド魔法だと…?)」
ギャリガンが手札に加えたのは今発動しているオーガ・シーリングとは別のフィールド魔法だ。
ギャリガンにはまだ隠している戦術があるかもしれないと、怜央は効果を確認しながら警戒を強める。
ギャリガン「手札から『グレムリフト・スパークス』を召喚」
■グレムリフト・スパークス
効果モンスター
レベル1/闇/悪魔/攻撃力400 守備力500
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが召喚した場合に発動できる。
このカードよりも攻撃力の低い『グレムリフト』モンスター1体をデッキから特殊召喚する。
②:このカードが墓地から特殊召喚された場合に発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。
オレンジ色の肌を持ち指先から火花を散らせる小悪魔が現れる。
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その瞬間、再び鬼が描かれた天井が勢いよく落下してくる。
天井を支えるのは最も攻撃力の高い怜央の「 炎機公子(エクスプロード)」だ。
ギャリガン「これでまたフィールドに天井が現れたわ。
今は貴方のフィールドにはすでに攻撃力2800のモンスターがいるから、
それ以下の攻撃力なら誰でも召喚可能だけどね」
ギャリガン「そしてスパークスの召喚時、効果発動。
デッキから自身より低い攻撃力の『グレムリフト』モンスターを特殊召喚する。
現れなさい、『グレムリフト・スキャッター』」
■グレムリフト・スキャッター
効果モンスター
レベル1/闇/悪魔/攻撃力300 守備力700
このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
②:このカードが墓地から特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「グレムリフト」罠カード1枚を手札に加える。
現れたのは水色の小悪魔だ。黒い液体の垂れたチューブを傍らに持っている。
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これによりギャリガンのフィールドには3体のモンスターが並んでいる。
新たなエクシーズモンスターを呼び出される可能性もある中、
すでに相手モンスターにクロック・ダイナマイトが装備されている今こそ、
怜央にとって動く時であった。
怜央「『爆焔鉄甲 煙機関車(レイル・エクスプレス)』の効果発動!
オーバーレイユニットを1つ使い、デッキからスチームアーミーを呼び出す。
『爆焔鉄甲 溶解兵長(メルト・コーポラル)』を攻撃表示で特殊召喚!」
■爆焔鉄甲 溶解兵長(メルト・コーポラル)
効果モンスター
レベル5/炎/機械/攻撃力2100 守備力1900
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「スチームアーミー」速攻魔法1枚を手札に加える。
③:このカード以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター2体を対象として発動できる。
ターン終了時まで、そのモンスターのレベルを1つ上げる。
一つの赤い光を放つ単眼を持つ機兵が姿を現す。
片方の腕には巨大な鉤爪が付き、もう片方の腕には溶接トーチが取り付けられている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/D0y8dXa
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怜央「メルト・コーポラルの効果発動。
特殊召喚した時、デッキから『スチームアーミー』速攻魔法を1枚手札に加える。
俺は『爆焔鉄甲加速纏炎(スチームアーミー・ブーストフレイム)』を手札に加える」
怜央「そしてメルト・コーポラルの効果発動。
フィールドの『スチームアーミー』モンスターを他のモンスターに装備させる。
お前の『グレムリフト・スキャッター』にコンパス・グレネードを装備!」
メルト・コーポラルが指令を下すと、
フィールドのコンパス・グレネードは対象のモンスターに巻き付く。
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【ギャリガンのフィールド】
①グレムリフト・ギアジャム DEF500 :クロック・ダイナマイトが装備されている
②グレムリフト・スパークス ATK400
③グレムリフト・スキャッター ATK300 :コンパス・グレネードが装備されている
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
□
□【①】②【③】□
□ □ □ □ □
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怜央「『爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)』の効果発動!
フィールドのモンスター1体を破壊する。『グレムリフト・スキャッター』を破壊だ!」
コンパス・グレネードが巻き付けられたグレムリフト・スキャッターに向けて、
『炎機公子(エクスプロード)』は腕に装着されたバーナーを向け、炎を放射する。
ギャリガン「おのれ…!」
天井によって相手の行動を制限し圧倒することを得意とするギャリガンにとって、
怜央に好き放題フィールドを蹂躙されているこの現状自体、許されざる事だった。
グレムリフト・スキャッターは一瞬で燃え尽き破壊され、
残されたのは地面に転がるコンパス・グレネードだけだ。
怜央「装備モンスターが破壊された時、コンパス・グレネードの効果発動!
装備モンスターと同じ縦列と隣のカードを全て破壊する。
隣の『グレムリフト・スパークス』を破壊だ!」
グレネードが爆発し、隣にいたグレムリフト・スパークスは雄叫びを上げて爆炎に巻き込まれる。
怜央のフィールド魔法によって隣接するフィールドにしかモンスターを出せない制約があり、
その状況下でモンスターを展開しなければならないことが、この爆発の連鎖に繋がる。
怜央「これで仕上げだ。グレムリフト・スパークスが破壊されたことで、
隣にいるグレムリフト・ギアジャムに装備されたクロック・ダイナマイトの効果発動!
隣のカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。グレムリフト・ギアジャムを破壊!」
■爆焔鉄甲 時計炸弾(クロック・ダイナマイト)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1400 守備力1200
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
このカードは魔法&罠ゾーンに1枚しか存在できない。
①:このカードが召喚した場合に発動できる。
自分の墓地の「スチームアーミー」モンスター1体とこのカードのみを素材として、
「スチームアーミー」Xモンスター1体をX召喚する。
②:このカードの装備モンスターと同じ縦列・隣のカードが破壊された場合に発動できる。
装備モンスターを破壊する。
③:装備モンスターが破壊される事によってこのカードが墓地へ送られた場合に発動する。
破壊された装備モンスターをコントロールするプレイヤーの同じ縦列・隣のカードを全て破壊する。
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チクチクと鳴る時限爆弾の音にグレムリフト・ギアジャムは顔を歪ませる。
数秒後、その体は爆ぜ、これによってギャリガンのフィールドのモンスターは全滅となる。
遊次「決まった!怜央の連続爆破コンボだ!」
かつて自分も浴びた怜央のデッキの真価が、今まさに自分達の味方として発揮されている。
遊次達にとってこれほど頼もしいことはなかった。
これには周りのGREMRINZの部下達も動揺を隠せなかった。
フィールドに漂う黒い煙が晴れてゆくと、怜央を睨みつけるギャリガンの姿だけがそこにあった。
ギャリガン「…やってくれたわね、鉄城怜央。
そうやって人が積み上げたものを平気で壊して……この人でなしがァ!!」
今まで平静を保ってきたギャリガンが感情を露にして激昂する。
ギャリガンの言い放った言葉に、遊次と灯は理解が追い付かなかった。
怜央「じゃあ人でなしはお互い様だな。どうもお前は自分のことがあまり見えてねえらしい」
ギャリガン「私は私の物を好きに扱ってるだけよ。この町という私の所有物をね。
それなのに貴方は私から何度奪えば気が済むの!少しは被害者の気持ちを考えたらどうかしら!?」
ギャリガンの放言に遊次達は呆れた表情を浮かべる。
ギャリガン「この町に生まれ、ただこの町を愛したアタシを除け者にした奴ら。
アタシの町で好き勝手に暴れるチンピラ共。ホントいい迷惑なのよ。
アタシは奪われた物を奪い返してるだけ。
そして、今回もまた同じ。奪われたら…奪い返すしかないじゃない」
ギャリガンは手札から1枚のカードを取り出す。
ギャリガン「魔法カード『グレムリフト・ランブル』を発動!
自分フィールドにモンスターがいない時、
手札を好きな数捨てて、その枚数分、墓地のグレムリフトを特殊召喚する。
アタシは手札3枚を捨て、墓地から3体のグレムリフトを復活させる!」
■グレムリフト・ランブル
通常魔法
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
手札を任意の枚数捨てて発動できる。
その枚数分、自分の墓地の「グレムリフト」モンスターを選んで特殊召喚する。
②:自分フィールドの「グレムリフト」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりに墓地のこのカードを除外することができる。
ギャリガン「アンタのせいでアタシのリソースが尽きたじゃない。
でもいいわ。アタシのとっておきを見せてあげる」
ギャリガンは黒い口紅の塗られた唇を曲げ、不気味な笑みを浮かべる。
ギャリガン「墓地から『グレムリフト・スキャッター』、
『グレムリフト・クランク』、『グレムリフト・ピック』を特殊召喚!」
ギャリガンが名前を呼ぶと、3体の小悪魔がフィールドに一斉に並ぶ。
ギャリガン「墓地から特殊召喚されたクランク、スキャッターの効果発動!」
ギャリガンは一気に2つのチェーンを積み上げる。
ギャリガン「チェーン2のスキャッターの効果。
墓地から特殊召喚した時デッキから『グレムリフト』罠カードを手札に加えることができる。
『グレムリフト・ミスチーバスフィード』を手札に加える」
ギャリガン「そしてチェーン1のクランクの効果!
墓地から特殊召喚された時、
相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を自分と同じにすることができる。
アタシは貴方の『炎機公子(エクスプロード)』の攻撃力を、
クランクと同じ400にするわ」
グレムリフト・クランクが指から光線を放つと、エクスプロードは見る見る内に小さく縮む。
エクスプロードが押さえていた天井は、その体が縮むにつれどんどんと落ちてゆき、
現状最も攻撃力の高いメルト・コーポラルが、代わりに天井を支える形となる。
灯「そんな…!」
グレムリフトモンスターと同等と大きさとなってしまったエクスプロードの姿に灯は戦慄する。
だが怜央は表情を崩さない。
元々ギャリガンの墓地にあったクランクの効果を知っていたため、
こうなる可能性にも想像がついていたようだ。
ギャリガン「まだまだ終わらないわよ。『グレムリフト・ピック』の効果発動。
1ターンに1度相手の魔法・罠カードを1枚破壊できる。
フィールド魔法が存在している時、貴方はこの効果にチェーンできないわ。
アタシは貴方のその伏せカードを破壊よ」
怜央「(やっぱりそう来るか…)」
当然、怜央は相手の墓地にピックがいたことを知っているため、
伏せカードが破壊されることは読んでいた。
ギャリガンが3体のモンスターを特殊召喚した時にも伏せカードを発動することはできたが、
それでも怜央は発動すべきではないと考え、相手に優先権を渡したのだ。
グレムリフト・ピックが怜央のフィールドへ飛び跳ね、伏せカードをくしゃっと丸めて破壊する。
破壊されたのは「RUM-エクスプロージョン・フォース」だ。
遊次「ランクアップマジックが破壊されちまった…!」
遊次も破壊されたカードが怜央にとって奥の手であることは知っていた。
遊次自身もそのカードによって盤面を覆された経験があるからだ。
その切り札とも言えるカードがいとも容易く破壊されたことで、再び焦りが募る。
遊次「(破壊される前にRUMを発動させることはできたはずだ。
でも怜央はあえて発動しなかった。ってことは、狙いは…)」
RUMはフィールドのXモンスター1体をランクアップさせる効果だ。
怜央が発動しない判断をした意図を遊次は瞬時に汲み取り思考を巡らせる。
ギャリガン「あらあら、怖いカードを仕込んでるじゃない。なんで発動しなかったのかしら?
でも、もうこれで貴方の手は尽きたわね。なら、ここからはアタシの独壇場よ!」
ギャリガンは人差し指を天高く突き立てる。
ギャリガン「アタシはフィールドの3体のグレムリフトでオーバーレイネットワークを構築!」
黒い渦に3体のグレムリフトが次々と飛び込んでゆく。
ギャリガン「小さき邪気、今集いて巨悪となる。天を塞ぐ悪鬼をも喰らい、総てを砕き散らかせ!」
ギャリガン「エクシーズ召喚!ランク1、『グレムリフト・ヴェイルクランチャー』!」
■グレムリフト・ヴェイルクランチャー
エクシーズモンスター
ランク1/闇/悪魔/攻撃力1500 守備力500
レベル1モンスター×2体以上
このカード名の②③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードは、このカードのX素材1つにつき攻撃力が500アップし、
X素材が3つ以上ある場合、相手の効果の対象にならない。
②:このカードのX素材を任意の数取り除いて発動できる。
取り除いた数だけ相手フィールドのカードを選んで破壊する。
③:自分フィールドの「グレムリフト」魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。
現れたモンスターは、今までのグレムリフトモンスターとは異なる姿をしていた。
全身は真っ黒で、四足を地面につけ、真四角の大きな顔を持った獣のような悪魔だ。
顔が胴体とほぼ同等の大きさをしているアンバランスな見た目だ。
大きな口からは鋭い牙が何本も光っており、目はただ一点のみを見つめ生気が感じられない。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/eCSJHXI
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ギャリガン「このモンスターはオーバーレイユニットを3つ持っていると効果の対象にならない。
さらにオーバーレイユニット1つにつき攻撃力が500アップするわ」
だがギャリガンの言葉とは裏腹に、ヴェイルクランチャーの攻撃力はわずか500となっている。
怜央「だがお前のフィールド魔法の効果で、『グレムリフト』Xモンスターは
フィールドの『グレムリフト』モンスター1体につき500の数値で固定される。
よって攻撃力はたったの500だ」
遊次「…なんだ?プレイングミスか?」
自分のカード内で効果が噛み合わない様子を見て遊次は疑問符を浮かべる。
ギャリガン「焦っちゃダメよボウヤ。ヴェイルクランチャーの効果発動。
自分フィールドの『グレムリフト』魔法カード1枚をこのカードのX素材にすることができる。
もうアタシにこの天井はいらないわ。喰らい尽くしなさい」
ギャリガンが命じるとヴェイルクランチャーは真上を見上げる。
最大まで口を広げると一気に飛び上がり、その顎で天井を噛み砕いてゆく。
あっという間に全てを喰らい尽くすと、周囲を漂うオーバーレイユニットが1つ増える。
その後、地下神殿の光景は消え、怜央のフィールド魔法の戦場だけが広がっている。
ギャリガン「ハイ、これで攻撃力が固定される効果はなくなったわ。
ヴェイルクランチャーの効果で、オーバーレイユニット1つにつき500攻撃力が上がる。
よって攻撃力は…3500よ」
ヴェイルクランチャーのX素材の数は、今喰らったフィールド魔法を含め4つだ。
よって2000ポイント攻撃力を上げることとなる。
灯「攻撃力3500…!このままじゃ、怜央が…!」
灯はある事実に気付き怜央のフィールドのモンスターに目を移す。
その視線の先には攻撃力400にまで縮められた怜央の切り札の姿があった。
エクスプロードは攻撃表示のままだ。戦闘が行われれば怜央のライフは0となる。
怜央は大口を開けて大きな瞳で獲物を狙うヴェイルクランチャーを見つめている。
だが怜央の表情は変わらず冷静なままだ。
むしろ、先ほどよりも更に落ち着いているようにすら見える。
怜央「…このタイミングしかないみてえだな」
怜央は一言呟きデュエルディスクに触れる。
怜央「墓地の『RUM-エクスプロージョン・フォース』を除外して、効果発動!
フィールドのモンスターを2体まで対象にし、
そのモンスターにフィールド・墓地の『スチームアーミー』を装備する!」
■RUM-エクスプロージョン・フォース
速攻魔法
①:自分フィールドの「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として発動できる。
その自分のモンスターよりランクが1つ高い「スチームアーミー」Xモンスター1体を、
対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。
②:墓地のこのカードを除外し、フィールドのモンスターを2体まで対象として発動できる。
対象のモンスターの数だけフィールド・墓地から「スチームアーミー」モンスターを選び、
対象のフィールドのモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
このカードはギャリガンに破壊され真価を発揮することができなかったカードだ。
ギャリガン「貴方、人の説明を聞いてなかったのかしら!?
ヴェイルクランチャーは3つ以上素材を持つ時、効果の対象にならないって言ったでしょ!」
怜央「対象はお前のモンスターじゃねえ…俺のモンスターだ!
俺は『爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)』に墓地のスチームアーミーを装備する!」
ギャリガン「何ですって…?」
怜央の行動は完全にギャリガンの予測の範囲外だった。
エクスプロードに墓地のランタン・ナパームが装備される。
ギャリガン「フン、でもそれに何の意味が…」
ギャリガンが言葉を紡ごうとした時、怜央のモンスターに異変が生じる。
スチームアーミーが装備されたエクスプロードが突然守備表示に変わったのだ。
ギャリガン「…!」
遊次「なるほど、そうか…!怜央の奴、土壇場でよくそんなこと思いつきやがる…!」
遊次は怜央のプレイングの意味を理解し、そのプレイの大胆さに心底驚いている。
少し遅れて灯もその意図に気付く。
灯「そっか!怜央が発動してる永続罠『命取りの重鎧』の効果で、
装備カードを装備したモンスターは守備表示になって、効果は無効化される…。
この効果は相手だけじゃなくて、怜央のモンスターにも適用されるから、
それを利用して、自分のモンスターを守備表示にして守ったんだ…!」
灯の解説によってギャリガンもようやく怜央のプレイングを理解する。
これによって少なくともモンスターとの戦闘で怜央のライフが0になることはない。
ギャリガン「フフ…楽しませてくれるじゃない。
相手を縛るための罠カードを、自分を守ることに使うなんてね」
ギャリガン「でも、よーく考えてごらんなさい。ただモンスターを守備表示にしただけよ。
不利な状況は何も変わってないわ。ヴェイルクランチャーの効果発動!
オーバーレイユニットを2つ使って、貴方のモンスターを2体破壊する!
エクスプロードとメルト・コーポラルよ!」
ヴェイルクランチャーは自らの周囲に漂う光球を噛み潰すと、
勢いよく『炎機公子(エクスプロード)』に噛み付く。
1mほどにまで縮んだエクスプロードはヴェイルクランチャーによって一口で嚙み砕かれる。
そしてその勢いのままメルト・コーポラルをその顎だけで上に持ち上げ、砕きながら飲み込んでいく。
その食事のような破壊行為に、灯は潜在的な恐怖を抱いた。
怜央のフィールドに残されたのはレイル・エクスプレスだけとなる。
ギャリガン「機転を利かせて自分のモンスターを守備表示にしたのはお利口さんだわ。褒めてあげる。
でもね、その代償はあまりにも大きいわ。」
ギャリガンが見つめる怜央のフィールド…エクスプロードが破壊されたモンスターゾーンには、
ランタン・ナパームが転がっていた。エクスプロードに装備されていたものだ。
遊次と灯はギャリガンの言葉の真意に気付く。
ギャリガン「スチームアーミーが装備されたモンスターが破壊された時、
隣か同じ縦列のモンスターを破壊する。エクスプロードが破壊されたことで、
その真上のEXモンスターゾーンにいるレイル・エクスプレスは破壊されるわ!
これは強制的に発動する効果…逃れることはできないわよ」
ギャリガンの言葉と共にランタン・ナパームは燃え上がる。
地面に垂れた灯油にランタンの中の炎が引火し、その炎はレイル・エクスプレスを包み込む。
煙突から吐き出される蒸気はやがて消え、レイル・エクスプレスは破壊される。
怜央「だが、ヴェイルクランチャーの素材が2つ減ったことで攻撃力は2500まで落ちる」
怜央は自らのモンスターを全て破壊されながらも、冷静に盤面を見切る。
ヴェイルクランチャーは素材の数×500攻撃力がアップするため、
現在素材が2つのヴェイルクランチャーは1000ポイントの攻撃力アップに留まっている。
ギャリガン「そうね。残念ながらこのターンで貴方を仕留めることはできないわ。
でもいいの。言ったでしょ、ジワジワ獲物をいたぶる方が好きってね。
それに、貴方もわかってるんじゃないかしら?
貴方を待ち受けてるのは"絶望"だけだってこと」
怜央「…とっととバトルを始めろ。このターンお前ができることはもう決まりきってる」
怜央は余裕の表情で言い放つと、ギャリガンは顔を歪める。
ギャリガン「…気に食わない。貴方のその表情が気に食わないのよ!
アタシがどれだけいじめても、ずっと涼しい顔ばっかりして!いたぶり甲斐がないわ!
…本当につまらない男に成り下がったわね、鉄城怜央」
ギャリガンは溜まっていたフラストレーションを吐き出すと、バトルフェイズに移る。
ギャリガン「さあバトルよ。グレムリフト・ヴェイルクランチャーでダイレクトアタック!」
ヴェイルクランチャーは大きな口を開け勢いよく怜央へと向かっていき、その牙で怜央に噛み付く。
怜央は向かってくる猛獣にも怯まず正面からその攻撃を受け止める。
怜央「ぐっ…!」
LP2900 → 400
ギャリガン「これでバトルは終了。でもショータイムはまだ途中よ。
アタシはフィールド魔法『グレムリフト・デーモンシーリング』を発動」
■グレムリフト・デーモンシーリング
フィールド魔法
このカードのコントローラーは、自分スタンバイフェイズ毎に2000LPを払う。
①:このカードがフィールドゾーンに存在し、
自分フィールドに「グレムリフト」モンスターが存在する限り、
相手は自分の「グレムリフト」モンスターより多くなるように
自身のフィールドにモンスターを召喚・特殊召喚できない。
②:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、
自分の「グレムリフト」Xモンスターは
自身のX素材としている「グレムリフト」Xモンスターの効果を得る。
再び辺りは地下神殿へと変わる。
そして上から再び天井が落ちてくる。その天井には青い鬼が描かれており、
その表情は悲しみに暮れている。
その天井は怜央のフィールドの真上で止まると、6等分に割れ、モンスターゾーンの上を漂っている。
ギャリガン「このフィールド魔法がある限り、
貴方はアタシのモンスターよりも多くモンスターを召喚・特殊召喚できない。
アタシのフィールドにいるのはヴェイルクランチャー1体だけ。
つまり貴方は1体しかモンスターを召喚できないってことよ」
遊次「なんだって…!?」
灯「そんな…!」
怜央のライフを瀕死状態まで追い込みながら、更に絶望的な追い打ちをギャリガンは仕掛けた。
遊次と怜央は驚くも、怜央はやはり一切表情を崩さない。
遊次達はその姿をこのデュエルで何度も見てきた。
しかし今度こそどう覆せばいいか遊次には想像ができなかった。
ギャリガン「その代わりスタンバイフェイズに固定で2000のライフを支払う必要があるけど、
私には関係ない話ね。貴方にライフを削られることなんて金輪際ないんだもの!ホホホホホ!」
ギャリガンは勝ち誇ったように高笑いする。
ギャリガン「あるとすればフィールド魔法が破壊される可能性ね。
でも、それもアタシにかかればノープロブレム!
さっきアタシが手札に加えた罠カード『グレムリフト・ミスチーバスフィード』は、
墓地のグレムリフトモンスターを2体、フィールドのXモンスターの素材にできる」
ギャリガン「そしてフィールド魔法『デーモンシーリング』がある限り、
『グレムリフト』Xモンスターは、自分の素材としているXモンスターの効果を得ることができるの。
つまり墓地の『グレムリフト・マッドグリッパー』を素材にすれば、
1ターンに1度フィールド魔法を破壊されない効果をヴェイルクランチャーが得るってわけ。
更にウィキッドディスターバーも素材にすれば、
グレムリフトモンスターは1ターンに1度、戦闘・効果でも破壊されないわ」
ギャリガンは掌を倉庫に差し込む太陽の光にかざしながら、淡々と詩を紡ぐように語る。
ギャリガン「つまり、貴方は次のターン、モンスターを1体しか召喚できず、
ヴェイルクランチャーが得た効果で、
フィールド魔法も、アタシのモンスターも1ターンに1度破壊できない」
突き付けられた結論は強烈だった。
遊次と灯は目を見開き、その脳裏には悪い想像ばかりがよぎる。
怜央がギャリガンの永遠の奴隷となること。
そしてドミノタウンでのチーム活動を禁じられるとなると、チームも実質的には霧散し、子供達は居場所を失うこととなる。
怜央が生きる意味…その全てが失われることと同義であった。
ギャリガン「貴方ができることはたった1つ。
これからアタシの奴隷としてどう過ごすか、今の内に考えておくこと」
ギャリガンは怜央に人差し指を突きつける。それは完全なる勝利宣言だった。
しかし怜央はやかましそうに溜息をつき、鋭い目でギャリガンを睨む。
怜央「俺が今考えてるのは1つだけだ。
俺の"家族"に手ェ出しやがったお前を…どうブッ潰すかってな」
怜央の言葉を聞き、ギャリガンは再び激昂する。
ギャリガン「…ほんともう!!なんなのアンタ!その態度!
それがカッコいいとでも思ってるわけ!?」
ギャリガン「貴方はもう終わりなの!それなら、素直に泣き叫びなさい!感情のままに!
それこそが人間のあるべき姿!それこそが人の心の持つ美しさなのよ!」
言葉だけ聞けば綺麗だが、その裏には
奴隷としての人生が確約された怜央の泣き叫ぶ姿が見たいという、醜悪な欲求だけが潜んでいた。
ギャリガン「泣くのが恥ずかしいのかしら?確かにあなたの年頃ならそう思うかもね。
でも違うの。大人になったら気づくわ。貴方のその態度こそが恥ずかしいのよ!」
怜央「やることがねえならとっととターンエンドしろ。
デュエルに演説フェイズなんてねえぞ」
ギャリガン「このクソガキィ…!フン、いいわ。アタシはカードを1枚伏せてターンエンド。
お望み通りとっとと引導を渡してあげる」
ギャリガンはターンを終え、怜央にターンが渡る。
遊次と灯はただこのデュエルの行く末を見守るしかない。
灯「(絶望的な状況が何度もあったのに、怜央は1回も俯かなかった。
前を向き続けてる。今、この時も。
自分が勝つことを心から疑ってないんだ。倒れることなんて考えてすらない。
それが、何度打ちのめされても色んな思いを背負って戦ってきた…怜央の強さなんだ)」
灯はたった400のライフでも堂々と立ち続ける怜央の姿に、
彼が仲間となったことがNextにとって大きな前進であったことを確信した。
特殊な環境下で育ち、人生の大半を地獄で過ごした彼にしかない強さがそこにはあった。
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【ギャリガン】
LP6200 手札:1
①グレムリフト・ヴェイルクランチャー ATK2500
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
□□□□□
▲□□□□
フィールド魔法:1
▲伏せカード:1
【怜央】
LP400 手札:2
フィールド魔法:1
永続罠:2
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怜央「俺のターン、ドロー!」
怜央は引いたカードを手札に収める。
ギャリガン「この瞬間、罠カード発動!『グレムリフト・ミスチーバスフィード』!
墓地の『グレムリフト』Xモンスター2体をヴェイルクランチャーの素材とする!」
ヴェイルクランチャーの周りに漂うオーバーレイユニットが2つ増える。
それによって攻撃力が1000ポイント上昇し、3500となる。
ギャリガン「2体のXモンスターを素材にしたことで、
フィールド魔法とヴェイルクランチャーは1ターンに1度破壊されないわ」
ギャリガン「まさか今ドローしたカードに希望があるとでも思ってるのかしら?
デッキには未知の可能性が眠っている…そこに希望を託したのね。
だから貴方はまだ諦めていなかった。
で?引いたカードに希望はあったかしら?」
ギャリガンは子供をあやすような声で怜央に問いかける。
怜央「いや、今引いたカードに逆転の手はねえ」
怜央はあっさりと返す。
遊次と灯もその言葉に動揺を隠せない。
彼らもデッキの中に未知なる希望があると思っていたからだ。
ギャリガン「ほら見なさい!もう貴方に打つ手はないの!
さあ、ここからは貴方の号泣フェイズよ!
貴方の人生がアタシのものになるその悔しさを噛み締めなさい!」
ギャリガンは大演奏を終えたオーケストラの指揮者のように手を広げ、
すでに勝利の余韻に浸っている。
怜央「引いたカードじゃ何もできない。だが…」
怜央は手札から1枚のカードを取り出す。
怜央「最初から持ってんだよ、逆転の一手は」
ギャリガン「…は?」
怜央「速攻魔法、発動!『RUM-リラプス・フォース』!
ライフを半分払い、墓地の『スチームアーミー』Xモンスター1体を対象に、
そのモンスターよりランクが高いXモンスターをエクシーズ召喚する!」
LP400 → 200
■RUM-リラプス・フォース
速攻魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:LPを半分払い、自分の墓地の「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターよりランクが1つ高い「スチームアーミー」Xモンスター1体を
X召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚し、このカード及び対象のモンスターをそのX素材とする。
②:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「スチームアーミー」Xモンスターが存在する場合、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
自分のフィールド・墓地の「スチームアーミー」モンスター1体を
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
それは怜央が初めのターンから持っていた魔法カード。
遊次「墓地のモンスターを素材にX召喚…
これなら、1体しか召喚できなくても関係ねえ!」
怜央「墓地の『爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)』を対象に、
ランクアップエクシーズチェンジ!」
怜央の前に、燃え盛る炎に包まれたエクスプロードが現れる。
そして地面に現れた黒い渦に、エクスプロードが飲み込まれてゆく。
怜央「焼け焦げた鎧は血戦の証。燻る執念を憤怒の白煙へと昇華せよ」
怜央「エクシーズ召喚!ランク5、『爆焔鉄甲 蒸機焼軍(デトネイト)』!」
■爆焔鉄甲 蒸機焼軍(デトネイト)
エクシーズモンスター
ランク5/炎/機械/攻撃力2800 守備力2600
レベル5モンスター×3
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがX召喚した場合に発動できる。
相手フィールドの全てのモンスターの効果を無効にする。
②:このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
この効果で破壊したモンスターが「スチームアーミー」モンスターを装備していた場合、
相手フィールドのカードをもう1枚破壊できる。
このカードが炎属性モンスターをX素材としている場合、この効果は相手ターンでも発動できる。
③:このカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
自分の墓地の「スチームアーミー」Xモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚し、
その後、墓地の「スチームアーミー」モンスター1体をそのモンスターのX素材とする。
逆巻く黒い渦から勢いよく火柱が立つ。
火柱の中から蒸気と共に現れたモンスターは、黒く焼け焦げた鉄の鎧で全身を覆っている。
鎧の各部から絶え間なく蒸気が噴き出し、周囲に熱気を放っている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/RLUlao2
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
ギャリガン「何よ…これ…」
その圧倒的な風格にギャリガンはたじろぐ。
怜央のモンスターゾーンの上に6つに分裂して浮いているフィールド魔法「デーモンシーリング」の内
その5つが怜央の残りのモンスターゾーンに落ちてゆく。
モンスターゾーンを塞がれ、
ギャリガンのモンスターの数を超えるモンスターを召喚することはできない。
だが今の怜央にはもう関係のないことであった。
怜央「エクスプロードと『RUM-リラプス・フォース』はデトネイトの素材となる」
デトネイトの周囲には2つの光球が漂っている。
怜央「デトネイトの効果発動。X召喚時、相手の全てのモンスターの効果を無効にする」
ギャリガン「な、なんですって…!」
この効果は対象を取らない全体無効。
効果の対象にならないヴェイルクランチャーもこれには抗えない。
デトネイトが放つ蒸気はフィールド全体を包み込む。
その蒸気がヴェイルクランチャーから全ての力を奪う。
蒸気が晴れた後、フィールドには
効果を失い、攻撃力が元の1500に戻ったヴェイルクランチャーがいた。
ギャリガン「そんな…!ありえない!!ありえないわこんなの!!
そんな…カード1枚で、アタシの最強のフィールドを…!」
遊次「これでギャリガンを守るものはなくなった。
アイツのフィールドにはただの攻撃力1500のモンスターがいるだけだ。
それに…」
遊次は怜央が持つ手札に視線を移す。
怜央「速攻魔法『爆焔鉄甲加速纏炎(スチームアーミー・ブーストフレイム)』を発動!
スチームアーミーXモンスター1体は素材の数につき500ポイント攻撃力をアップし、
2回の攻撃が可能となる!
■爆焔鉄甲加速纏炎(スチームアーミー・ブーストフレイム)
速攻魔法
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●そのモンスターの攻撃力はそのモンスターのX素材の数×500アップし、
1度のバトルフェイズに2回攻撃できる。
また、そのモンスターとの戦闘で破壊されなかった相手モンスターはダメージステップ終了時に破壊される。
●そのモンスターはこのターン、戦闘・効果で破壊されず、
そのモンスターと戦闘を行った相手モンスターはダメージステップ終了時に破壊される。
怜央「デトネイトのX素材は2つ…よって攻撃力は1000アップし、3800となる!」
デトネイトは炎のオーラに包まれその力を上昇させる。
ギャリガン「(あの速攻魔法は前のターンにモンスターの効果で手札に加えていたカード…。
もしかしてあの時から、こうなることを見越していたというの…!)」
怜央はメルト・コーポラルの特殊召喚時効果によってブーストフレイムを手札に加えた。
その時にはヴェイルクランチャーもフィールドにおらず、
ギャリガンのフィールドに3体のモンスターが並んでいた時だ。
ギャリガンは前の怜央のターンの怜央のプレイを振り返りその真意に気付く。
そして、常に冷静で余裕を崩さなかった理由にも考えが及ぶ。
ギャリガン「(フィールド魔法も罠カードも、手札に加えた時点でアイツに効果は見られてる。
ヴェイルクランチャーを呼び出した時点で、
アタシのカードは全部アイツに割れたことになる。つまり…)」
ギャリガン「あの時点で…アタシがヴェイルクランチャーを呼び出した時点で、
すでにアタシの敗北は確定していた…?」
ギャリガンは途方に暮れた表情で自ら残酷な真実を口にする。
それを少し遠くの車の中から遊次が見つめる。
遊次「怜央のモンスターを効果で全て破壊してダイレクトアタックする…
それがあの時ギャリガンに出せる最大火力だ。
それでもライフを削り切れないのは、効果を読んでちょっと計算すりゃわかる。
前のターンの時点ですでに、怜央の中ではこの光景が見えてたんだ」
ギャリガンの視点から手札に隠し持っていたRUMで盤面を覆せることは読めるはずもなく、
怜央のモンスターを全て破壊してダイレクトアタックするという選択は当然の判断だ。
フィールド魔法のデメリットにより毎ターン2000のライフを失う以上、
あえてモンスターを残してデュエルを長引かせることはギャリガンにはできない。
怜央のモンスターを1体だけ残すといったプレイをしていても、
怜央自身が戦闘で自分のモンスターを破壊した後にRUMでデトネイトを呼び出すことも可能だ。
灯「(怜央にはギャリガンの墓地のモンスターの効果も見えてたから、
自分のモンスターの攻撃力が400になることも、伏せカードを破壊されることも読もうと思えば読める。
RUMが破壊されて墓地に行って、
それを利用して自分のモンスターにスチームアーミーを装備して守備表示に変える…
前の怜央のターンでそこまで見えてたとしたら…)」
怜央が当たり前のようにやってのけたプレイの異質さを、灯は改めて思い知らされる。
怒りを滾らせながらも頭の中は常に冷静で、瞬時に何手も可能性も読んだ上のプレイ。
だからこそ彼はピンチに陥っても、常に取り乱すことなくデュエルに臨めるのだ。
ライフさえ守り切れば、伏せていたRUMか、手札のRUMでデトネイトを呼び出し効果を全て無効にできる。
その上で連続攻撃をすれば、おそらくギャリガンを倒せるであろうことまで読んでいただろう。
怜央が爆弾によって破壊の連鎖を行ったことによって、
ギャリガンは手札を全て捨ててモンスターを並べるしかなくなった。
そこでリソースを失ったことで、怜央のライフを削るまでには至らなかったのだ。
怜央の一手一手がギャリガンを追い詰めていたことに、ギャリガン自身も今になって気が付く。
怜央「バトルだ。『爆焔鉄甲 蒸機焼軍(デトネイト)』でヴェイルクランチャーに攻撃!」
炎を纏ったデトネイトが右手をヴェイルクランチャーに向ける。
デトネイトは将軍たる堂々とした立ち姿で、その炎を一気に放出する。
燃え盛る炎はヴェイルクランチャーの後ろのギャリガンを巻き込む。
ギャリガン「ぐああああああ!!!」
LP 6200 → 3900
ギャリガン「くっ…墓地の『グレムリフト・ランブル』の効果…。
グレムリフトが破壊される代わりに墓地のこのカードを除外する…!」
ギャリガンは縋る思いで必死に怜央の攻撃を耐えようとする。
怜央「『爆焔鉄甲加速纏炎(スチームアーミー・ブーストフレイム)』の効果。
このカードの対象となったXモンスターが戦闘で相手を破壊できなかった時、
そのモンスターは破壊される」
デトネイトの纏う炎のオーラがヴェイルクランチャーを襲い、破壊されるまで焼き尽くす。
デトネイトは無防備なギャリガンの姿をその赤き目に映している。
しかしギャリガンはここであることに気が付く。
ギャリガン「アタシのライフは3900…貴方のモンスターは攻撃力3800…。
じゃあアタシまだ…生きられる!生きられるじゃない!」
ギャリガンは怯えていた表情から一転し、花が咲いたような笑顔になる。
怜央は何も言わない。遊次と灯も、ただデュエルの行く末を見つめている。
「…ギャリガン様…」
そしてGREMRINZの部下までも、そのギャリガンの姿を憐れみの目で見つめていた。
怜央「ブーストフレイムの効果でデトネイトは2回の攻撃が可能。
…一発ブン殴ってやらねえと俺の怒りが収まらねえ。思いっきりやっちまえ」
怜央はデトネイトに命令すると、それに呼応するようにデトネイトは拳を炎に纏う。
かつて遊次と対峙した時はモンスターと心を通じ合わせるといった遊次をバカにしていたが、
今、怜央は無意識下でモンスターと心を通じ合わせている。
遊次「(急に奴隷契約を突きつけられて、何回もピンチに陥って…。
それでも怜央は当たり前みたいに逆転しちまって…)」
遊次はデトネイトに恐れ慄いているギャリガンの姿を見つめる。
遊次「(この程度のこと…超えるべき"壁"ですらなかったんだ。
怜央にとっては、ただの1歩目。アイツが見据えてる未来は…もっと先にあるから)」
その時、遊次の頭には、ある映像がイメージとして浮かんだ。
それは、背の伸びたチームの子供達が、眩い光へと歩んでいく姿だ。
怜央「『爆焔鉄甲 蒸機焼軍(デトネイト)』でダイレクトアタック!」
デトネイトは炎を纏った拳でギャリガンに向かう。
もちろんソリッドヴィジョンであるが、その迫力と熱気はまるで実態を持っているようだった。
デトネイトは拳をギャリガンの顔面に叩き込む。
ギャリガン「ぐわああああああ!!!」
LP3900 → 100
ギャリガンの体は後方へ吹き飛ばされる。
ソリッドヴィジョンといえど攻撃時は一定の衝撃を受けるようになっている。
怜央「お前の負けだ。二度とこの町に現れんな。ターンエンド」
怜央は倒れるギャリガンを見下ろし吐き捨てると、背を向けて灯の車の方へと歩いてゆく。
ギャリガン「ちょっと!どこ行くのよ!デュエルはまだ終わってないわ!
アタシにはライフが残ってる!このアタシのターンできっと逆転してみせるわ!
アタシのターン、ドローーーーー!!!!」
ギャリガンはありったけの叫びと共にカードを引く。
その瞬間、ギャリガンの周囲に陰が落ちる。
ギャリガン「…ん…?」
見上げると、彼の頭上には
フィールド魔法「デーモンシーリング」の悲しき鬼の顔がくっきりと描かれていた。
ギャリガン「あ…。あ、あ、あァァア…!!」
ギャリガンは自分が生き残った嬉しさのあまり、重要な事実を見逃していた。
この場でただ1人、ギャリガンだけが。
怜央は車の後部座席のドアを開けながら、ギャリガンへ最後の言葉を送る。
怜央「スタンバイフェイズ、お前はフィールド魔法の効果で2000のライフを失う。
ここはお前の町じゃねえ。これまでも、これからもだ」
青き鬼の天井は、ギャリガンにめがけて勢いよく落下してゆく。
ギャリガンは見開いた目で天井を見つめながら、その刹那に思う。
(負けが確定しているのに散々1人で喋って…。
挙句、最後は自分のカードの効果まで忘れるなんて…。
恥ずかしいのは、アタシの方じゃない…)
LP100 → 0
DDAS「勝者、鉄城怜央。
オースデュエルにより、チームGREMLINZ対し、ドミノタウンへの干渉と立ち入りを禁じます」
灯の真っ赤なスポーツカーは遊次と怜央を乗せて走り去る。
倉庫には、デュエルディスクから流れるオースデュエルの結果だけがこだましていた。
第23話「壁に非ず」 完
Nextは更なる大きな仕事を求めて、首都「メインシティ」へ。
首都では来年、
デュエルの世界的大会「ヴェルテクス・デュエリア」の第10回大会、その本戦が行われる。
それは『優勝者のどんな願いも叶う』という、世界でも類を見ぬ常軌を逸した大会。
Nextの面々はそれぞれの願いを胸に、約半年後に開会を控える本大会へ参加を表明する。
そしてその裏では、1年以上に渡り、
政府・ニーズヘッグがそれぞれ策謀を張り巡らせ、暗躍していた。
その計画は、世界に秘匿されている、ある"真実"を起因としていた。
次回 第24話「滅亡へのカウントダウン」
物語は核心へ。
遊戯王Nextはここから始まる。
【ギャリガン】
LP4000 手札:4
①グレムリフト・マッドグリッパー ATK2500 X素材1
②グレムリフト・ウィキッドディスターバー ATK2500 X素材1
③グレムリフト・スパークス ATK400
④グレムリフト・ピック ATK200
⑤グレムリフト・ギアジャム ATK300
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
④②③⑤□
□□□□□
フィールド魔法:1
【怜央】
LP4000 手札:2
①爆焔鉄甲 鍵発射弾(キー・ロケットボム) ATK900
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
□
□①□□□
■□□□□
フィールド魔法:1
■伏せカード:1
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GREMRINZのリーダー「ギャリガン」の「グレムリフト」デッキは、
フィールド魔法によって召喚可能なモンスターを制限する特徴を持つ。
先行でギャリガン有利の盤面を作り上げられた怜央は、まともな展開ができず、防戦一方となる。
ギャリガンはフィールド魔法のデメリットにより自らのライフが削られるものの、
一気にフィールドに5体のモンスターが並び、2体のXモンスターの攻撃力は2500となった。
このまま攻撃を受ければ怜央は敗北し、
オースデュエルによってギャリガンの永遠の奴隷となってしまう。
更に、Unchained Hound Dogsはドミノタウンへの干渉ができないこととなり、
実質的にチームは機能停止となる。
新たな道へ歩み始めた怜央の1歩目が挫かれてしまえば、チームの子供達の未来にも影響する。
必ず勝たなければならないこのデュエルに、遊次と灯は息を呑むことしかできなかった。
ギャリガン「さあ、バトルフェイズよ。
攻撃力2500の『グレムリフト・ウィキッドディスターバー』で
『爆焔鉄甲 鍵発射弾(キー・ロケットボム)』を攻撃!」
赤褐色の肌を持つ巨大な悪魔は、自分の足元ほどの背丈のモンスターに殴りかかる。
灯「(怜央…!)」
未だアクションを起こさない怜央を、灯は祈るように見つめる。
その瞬間、祈りが通じたかのように、怜央はデュエルディスクに触れる。
怜央「この瞬間、墓地の『爆焔鉄甲豪烈熱風(スチームアーミー・フレアブラスト)』の効果発動!
自分・相手ターンに墓地のこのカードを除外し、手札から『スチームアーミー』を召喚できる!
手札の『爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)』を召喚!」
怜央は「爆焔鉄甲 火線工兵」を「爆焔鉄甲 鍵発射弾」の隣、左端のモンスターゾーンに召喚する。
■爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1400 守備力1500
このカード名の、②の効果はデュエル中に1度しか使用できず、
①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「スチームアーミー」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れた場合、
またはX素材となったこのカードが墓地へ送られた場合、ゲームから除外される。
③:自分・相手ターンに発動できる。
このカードを含む自分フィールドのモンスターを素材として「スチームアーミー」Xモンスター1体をX召喚する。
厚みのある鉄板で全身を覆われ、レンチとバーナーを腕に装着した鋼鉄のモンスターが現れる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/2TvljEP
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
遊次「そうか…!自分のターンでは攻撃力1000以下のモンスターしか出せなくても、
ギャリガンのターンならXモンスターの攻撃力が上がるから、天井はその分持ち上がる。
怜央はその時を待ってたんだ!」
灯「フィールド魔法を破壊できなくてもあの魔法カードを使ったのは、墓地での効果を使うため…!」
怜央が前のターン、魔法カードによって、
マッドグリッパーによって破壊耐性を持つフィールド魔法を破壊しようとした。
それはその魔法カードを墓地に送ること自体が目的だったということだ。
遊次と灯はピンチの中でも着実に反撃の一手を打っていたことに、
ようやく安堵の気持ちが芽生え始める。
怜央「『火線工兵(ヒート・エンジニア)』の効果発動!
自分・相手ターンに、フィールドの『スチームアーミー』を他のモンスターに装備できる。
お前の『グレムリフト・ウィキッドディスターバー』に
『鍵発射弾(キー・ロケットボム)』を装備する」
「火線工兵」が隣の「鍵発射弾」を投げつけると、
真っ直ぐと「ウィキッドディスターバー」へと向かってゆき、そのまま鎖を巻き付ける。
「鍵発射弾」は怜央の魔法・罠ゾーンに装備カードとして置かれるため、
モンスターゾーンには「火線工兵」1体が存在している。
ギャリガン「フン、それでも攻撃力はたった1400。
そのまま『ウィキッドディスターバー』で『火線工兵(ヒート・エンジニア)』に攻撃すれば…」
怜央「いや、それはできない。
『鍵発射弾(キー・ロケットボム)』を装備したモンスターは
同じ縦列のモンスターにしか攻撃できなくなるからな」
ギャリガン「なんですって…?」
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【ギャリガンのフィールド】
①グレムリフト・マッドグリッパー ATK2500 X素材1
②グレムリフト・ウィキッドディスターバー ATK2500 X素材1
③グレムリフト・スパークス ATK400
④グレムリフト・ピック ATK200
⑤グレムリフト・ギアジャム ATK300
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
④【②】③⑤□
□ □ □□□
※【】はスチームアーミーが装備されたモンスター
【怜央のフィールド】
①爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
□
①□□□□
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「グレムリフト・ウィキッドディスターバー」は真ん中のモンスターゾーンにおり、
その正面には怜央のモンスターは存在していない。
怜央「つまり『ウィキッドディスターバー』は攻撃対象を失ったってわけだ。
1度攻撃宣言をした以上、攻撃対象を選びなおすこの場面で攻撃できなきゃ、
もうこのターン、そのモンスターは攻撃宣言できないぜ」
遊次「よし、これならこのバトルで怜央のライフが尽きることはない!」
なんとか敗北の危機を脱したことに遊次と灯は安堵する。
ギャリガン「フン…してやったりみたいな顔してるけど、冷静に考えてみて。
1回攻撃を止めただけよ?
どんな小さなことにでも幸せを感じられるのは素晴らしいわ。でも、今はただのぬか喜びよ。
『グレムリフト・マッドグリッパー』で『爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)』に攻撃!」
焦げ茶色の悪魔がその屈強な腕で殴り掛かると「爆焔鉄甲 火線工兵」は一瞬にして破壊される。
そして怜央は攻撃力の差分ダメージを受ける。
怜央「クッ…!」
LP4000 → 2900
ギャリガン「フィールド魔法の効果でエクシーズモンスター以外は攻撃できない。
バトルはこれで終了よ」
ギャリガン「グレムリフト・マッドグリッパーのX素材を使い効果発動。
デッキから2枚目の『グレムリフト・クランク』を手札に加えるわ」
このモンスターは手札から捨てられた時に魔法カードをサーチできるモンスターだ。
これで墓地の「グレムリフト・ギアジャム」とのコンボにより、
次のターンに再び魔法カードを手札に加えることが可能となった。
ギャリガン「さらに永続魔法『グレムリフト・イービルサンダー』を発動。
1ターンに1度、フィールドの『グレムリフト』モンスターを任意の数リリースして、
相手フィールドのカードをモンスターか、ライフを回復する効果を選択できる。
アタシはXモンスター以外の3体をリリースして3000ポイントライフを回復する」
■グレムリフト・イービルサンダー
永続魔法
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:自分フィールドの「グレムリフト」モンスターを任意の数リリースして発動できる。
自分はリリースした数×1000LPを回復する。
②:自分フィールドの「グレムリフト」モンスターと
相手フィールドのカードをそれぞれ同じ数だけ対象として発動できる。そのカードを手札に戻す。
リリースされた3体の「グレムリフト」モンスターは黒い稲妻となり、ギャリガンに降り注ぐ。
ギャリガンは両手を広げその雷を全身で浴び、恍惚の表情を浮かべる。
ギャリガン「あぁ…潤うわッ…!」
ギャリガン LP 4000 → 7000
この永続魔法には除去効果もあるが、メインフェイズ1でそれを使用しなかったのは、
使用せずとも怜央のライフを十分削り切れる可能性が高かったことと、
もし削り切れなかった場合、自分のライフを回復しなければ敗北に繋がるためだ。
ギャリガン視点でも、怜央の魔法カードの墓地効果によって、
自分のターン中に怜央がモンスターを召喚する可能性は高かった。
モンスターを手札に戻す効果を使用後にバトルフェイズに入っても、
手札からモンスターを呼び出されればライフを削りきれない。
ライフ回復を優先することは当然の判断だ。
灯「そんな…!これじゃ損してるのは怜央だけってことに…」
遊次「…あの天井を壊すか、ギャリガンのモンスターを全部倒さない限り、道は開けないだろうな」
自らのフィールド魔法の効果でギャリガンのライフが削られていくことが
Next陣営にとっては大きな希望だった。
しかしライフの回復が永続魔法によって半永久的に可能だとわかった以上、
その希望は潰えたに等しい。
ギャリガン「3体のモンスターがいなくなったことでXモンスターの攻撃力は1000に下がる」
2体のXモンスターの図体は再び縮み、天井もその分下に降りてゆく。
ギャリガン「アタシはこれでターンエンドよ。
これでまた貴方は攻撃力1000以下のモンスターしか出せない地獄に逆戻り。お疲れ様」
ギャリガンは笑顔で怜央に手を振ってみせる。
なんとか攻撃を防いだものの、怜央の着実にライフは削られている。
傍目からは状況が悪化しているようにしか見えない。
遊次と灯は不安そうな表情を浮かべている。灯は祈るように両手を握りしめている。
それを見かねた怜央は、車の方を振り向く。
怜央「この程度のことで何を不安そうにしてんだ。
俺は必ず勝つ。祈る必要なんざねえ」
怜央はいたって冷静に見える。
当然のように自らの勝利を疑っていない彼の言葉に、遊次と灯の心は少し安らいだ。
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【ギャリガン】
LP7000 手札:4
①グレムリフト・マッドグリッパー ATK1000 X素材0
②グレムリフト・ウィキッドディスターバー ATK1000 X素材1
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
□【②】□□□
□ □ □□□
【】はスチームアーミーが装備されたモンスター
フィールド魔法:1
▲永続魔法:1
【怜央】
LP2900 手札:2
フィールド魔法:1
伏せカード:1
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怜央「俺のターン、ドロー!」
怜央はここでもう1枚のRUM魔法カードをドローする。
最初に手札からあったものとは別のカードだ。
しかしエクシーズモンスターがいない今、使用することはできない。
怜央「手札から『爆焔鉄甲 明照夷弾(ランタン・ナパーム)』を召喚!」
■爆焔鉄甲 明照夷弾(ランタン・ナパーム)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1000 守備力1600
このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
このカードは魔法&罠ゾーンに1枚しか存在できない。
①:このカードがフィールド・墓地に存在する場合、
自分フィールドの「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として発動できる。
このカードをそのモンスターの下に重ねてX素材とする。
②:このカードの装備モンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。
③:装備モンスターが破壊される事によってこのカードが墓地へ送られた場合に発動する。
破壊された装備モンスターをコントロールするプレイヤーの同じ縦列・隣のカードを全て破壊する。
現れたモンスターはランタンとナパーム弾が合わさった姿をしている。
縦長の円筒形で作られており、上部には丈夫な金属製の持ち手が付いている。
中央部分にある格子窓からは、内部で揺らめく鮮やかな赤い液体が透けて見える。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/pAOfcoD
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
ギャリガン「攻撃力1000…ギリギリセーフってわけね」
怜央の召喚したモンスターの攻撃力はギャリガンのモンスターと同値だ。
怜央「…バトルだ。
『爆焔鉄甲 明照夷弾(ランタン・ナパーム)』で
『グレムリフト・ウィキッドディスターバー』を攻撃!」
ギャリガン「バカね!血迷ったの!?
『ウィキッドディスターバー』の効果でアタシのモンスターは1ターンに1度破壊されない!
貴方のモンスターが自滅するだけよ!」
怜央「じゃあ本当にそうなるか…目ェひん剥いてよく見とけ…!
永続罠、発動!『命取りの重鎧』!」
■命取りの重鎧
永続罠
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
フィールドの装備カードを装備したモンスターは守備表示になり、
表示形式を変更できず、効果は無効になる。
②:フィールドの装備カードを装備したモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの装備カードを全て破壊する。
その後、そのモンスターは攻撃力が0となり、攻撃表示となる。
その罠カードが発動された瞬間、ウィキッドディスターバーが体勢を崩す。
まるでその体にかかる重力が何倍にも増したかのように片膝をつき、その重さに耐えている。
ギャリガン「な、何よこれ…!」
怜央「『命取りの重鎧』は
装備カードを装備したモンスターの効果を無効にし、守備表示にする永続罠。
つまり、前のターンでスチームアーミーを装備したお前のウィキッドディスターバーは、
1効果が無効となり、このバトルで破壊される!」
守備力わずか300のウィキッドディスターバーは、
攻撃力1000の明照夷弾(ランタン・ナパーム)の攻撃を耐えることはできない。
ランタン・ナパームが攻撃対象に灯油をかけ、その上から炎を放射する。
ウィキッドディスターバーの全身はたちまち燃え上がり、破壊される。
ギャリガンのモンスターゾーンには、
装備されていたキー・ロケットボムが発射の時を待っていた。
怜央「この瞬間、ウィキッドディスターバーに装備されていた
『鍵発射弾(キー・ロケットボム)』の効果発動!装備モンスターが破壊された時、
そのモンスターの隣・同じ縦列のカードを全て破壊する!」
上方向に真っ直ぐと発射されたキー・ロケットボムは、
空中で方向転換し、同じ縦列にいるマッドグリッパーへ向かう。
着弾した瞬間、激しい爆発と共にマッドグリッパーは破壊される。
遊次「よっしゃあ!これでギャリガンのモンスターは全滅!
『グレムリフト』モンスターがいなきゃ、あの天井は効果を発揮しないはずだ!」
灯「これで怜央は好きにモンスターを呼び出せるね!」
2体のグレムリフトXモンスターが破壊されたことで、フィールド魔法『オーガシーリング』は
元あった地下宮殿の上部へと勢いよく跳ね上がってゆく。
天井を引き寄せる「グレムリフト」モンスターがいなければ、それが落ちてくることはない。
ギャリガン「おォのれェ…!」
今まで余裕の態度だったギャリガンは怒りの表情を見せる。
怜央「メインフェイズ2。墓地の『爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)』の効果発動。
デュエル中に1度、フィールドにスチームアーミーがいる時、墓地からこのカードを特殊召喚できる」
再びフィールドに工具を持った鋼の機兵が姿を現す。
これで怜央のフィールドにはモンスターが2体並んだ。
怜央「俺は『爆焔鉄甲 火線工兵(ヒート・エンジニア)』と
『爆焔鉄甲 明照夷弾(ランタン・ナパーム)』でオーバーレイ!
2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」
フィールドに現れた黒い渦に2体のモンスターが飲み込まれてゆく。
怜央「猛進する重厚なる鉄塊、その汽笛は激戦の始まりを告げる」
怜央「エクシーズ召喚!ランク4!
『爆焔鉄甲 煙機関車(レイル・エクスプレス)』!」
怜央が口上を唱えると、黒い渦は爆ぜ、その光の中から漆黒の巨大な機関車が攻撃表示で現れる。
そのボディは鋼鉄で覆われ、無数の歯車が絶え間なく回転している。
頭部には巨大な煙突がそびえ立ち、そこからは白煙が勢いよく放出されている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/LXkoeMH
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
■爆焔鉄甲 煙機関車(レイル・エクスプレス)
エクシーズモンスター
ランク4/炎/機械/攻撃力2000 守備力2500
レベル4モンスター×2
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがX召喚した場合に発動できる。デッキから「スチームアーミー」罠カード1枚を手札に加える。
②:このカードのX素材を1つ取り除き、このカード以外の自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。
フィールド・墓地から2体までモンスターを選び、そのモンスターの下に重ねてX素材とする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
③:このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキから「スチームアーミー」モンスター1体を特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
怜央「レイル・エクスプレスの効果発動。
X召喚時、デッキから『スチームアーミー』罠カードを手札に加えることができる。
『爆焔鉄甲地雷原(スチームアーミー・マインフィールド)』を手札に加える」
怜央「さらにレイル・エクスプレスのオーバーレイユニットを1つ使い、効果発動!
デッキから『スチームアーミー』モンスター1体を特殊召喚する。
来い、『爆焔鉄甲 炉衛生兵(ファーネス・メディック)』!」
X素材としてヒート・エンジニアが墓地に送られる。
■爆焔鉄甲 炉衛生兵(ファーネス・メディック)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1300 守備力1800
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このターン墓地に送られた「爆焔鉄甲 炉衛生兵」以外の
自分の墓地の「スチームアーミー」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
③:手札の「スチームアーミー」モンスター1体を捨てて発動できる。
自分はデッキから2枚ドローし、その後1枚選んでデッキの一番下に戻す。
赤い十字マークが描かれた鉄の帽子を被った銅色の機兵が攻撃表示で現れる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/pdPIdaY
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
怜央「ファーネスメディックの効果発動。
手札を1枚捨てて2枚ドローし、その後1枚をデッキの一番下に戻す」
怜央は手札の「爆焔鉄甲 灼狙撃兵(バーン・スナイパー)」を捨てた後、
2枚ドローし、1枚をデッキの下に戻す。
怜央「ファーネス・メディックの効果発動。
このターンに墓地に送られた『スチームアーミー』1体を特殊召喚できる。
今手札から捨てた『爆焔鉄甲 灼狙撃兵(バーン・スナイパー)』を特殊召喚!」
■爆焔鉄甲 灼狙撃兵(バーン・スナイパー)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1800 守備力900
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「スチームアーミー」モンスター1体を手札に加える。
③:相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、相手に800ポイントのダメージを与える。
肩から腕にかけてライフルが取り付けられた銅色の機兵が姿を現す。
目にはゴーグル型のレンズが装着されている。
怜央「バーン・スナイパーが特殊召喚に成功した時、
デッキから『スチームアーミー』1体を手札に加えることができる。
『爆焔鉄甲 羅針榴弾(コンパス・グレネード)』を手札に加える」
怜央「さらにバーン・スナイパーの効果発動。
1ターンに1度、相手の魔法・罠カードを1枚破壊できる」
怜央は右手で銃の形を作り、破壊するターゲットを見定める。
怜央「(フィールド魔法を破壊したいところだが、
あの永続魔法を潰さなきゃ俺のモンスターが手札に戻されちまう)」
怜央の右手の照準はギャリガンの永続魔法に合わせられる。
怜央「俺はお前の永続魔法『グレムリフト・イービルサンダー』を破壊する。
更に、800のダメージを与える!」
怜央の掛け声と共にバーン・スナイパーが一発の銃声を響かせ、その瞬間に永続魔法は破壊される。
ギャリガン「…」
LP 7000 → 6200
怜央「さらに、フィールドにスチームアーミーがいる時、
手札から『爆焔鉄甲 羅針榴弾(コンパス・グレネード)』を特殊召喚できる」
■爆焔鉄甲 羅針榴弾(コンパス・グレネード)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1500 守備力1000
このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
このカードは魔法&罠ゾーンに1枚しか存在できない。
①:自分フィールドに「スチームアーミー」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
②:このカードの装備モンスターはリリースできず、素材を必要とする特殊召喚のための素材にできない。
③:装備モンスターが破壊される事によってこのカードが墓地へ送られた場合に発動する。
破壊された装備モンスターをコントロールするプレイヤーの同じ縦列・隣のカードを全て破壊する。
怜央は2枚目のコンパス・グレネードを手札から攻撃表示で特殊召喚する。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/Q5phK61
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
怜央「『爆焔鉄甲 炉衛生兵(ファーネス・メディック)』と
『爆焔鉄甲 灼狙撃兵(バーン・スナイパー)』でオーバーレイ!
2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」
怜央「燃え盛る鋼鉄の機兵よ、爆煙と共に現れ、敵陣を焦土と化せ」
怜央「エクシーズ召喚!現れよ、ランク4!
『爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)』!」
怜央が口上を唱えると、黒い渦から光が放たれ、やがてフィールドは白煙に包まれる。
その白煙から、2つの赤い光がギャリガンを睨んでいる。
白煙が少しずつ晴れてゆくと、そのモンスターの姿は鮮明になる。
■爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)
エクシーズモンスター
ランク4/炎/機械/攻撃力2400 守備力2400
レベル4モンスター×2
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードの攻撃力はこのカードのX素材の数×200ポイントアップする。
②:このカードのX素材を一つ取り除き、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
このカードが炎属性モンスターをX素材としている場合、この効果は相手ターンでも発動できる。
③:このカードのX素材を任意の数取り除き、その数だけフィールドのモンスターを対象として発動できる。
対象のモンスター以外の自分のフィールド・墓地の「スチームアーミー」モンスターを選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
鋭く光る赤い目を持つその機械のモンスターは、赤と黒の金属板で覆われた洗練されたボディを持つ。
歯車や配管がその機体から露出し、常に高温の蒸気を噴き上げている。
背中には大きな燃料タンクとブースターが装備され、熱を放ちながら常に動き続けている。
左腕にはバーナーが装備されている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/xCmWHEi
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
怜央「『炎機公子(エクスプロード)』はオーバーレイユニット1つにつき200攻撃力がアップする。
よって攻撃力は2800となる」
怜央「カードを2枚伏せてターンエンドだ」
怜央のフィールドは万全の体制となった。
遊次との戦いでも怜央は同じような布陣を組み、遊次を苦しめた。
敵にすれば厄介だが、味方ならこうも頼もしいのだと遊次は心強さをおぼえる。
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【ギャリガン】
LP6200 手札:4
フィールド魔法:1
【怜央】
LP2900 手札:1
①爆焔鉄甲 煙機関車(レイル・エクスプレス) ATK2000 X素材1
②爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード) ATK2800 X素材2
③爆焔鉄甲 羅針榴弾(コンパス・グレネード) ATK1500
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
□②③□□
■□□▲▲
フィールド魔法:1
■永続罠:1
▲伏せカード:2
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ギャリガン「アタシのターン、ドロー」
ギャリガンは今までと打って変わり追い詰められた立場だ。
余裕はなくなったものの、その思考はいたって冷静だった。
フィールドに見えている情報から怜央の動きを予想している。
ギャリガンは怜央のフィールドの『炎機公子(エクスプロード)』を見つめ、
数秒の思考の後、動き始める。
ギャリガン「墓地の『グレムリフト・スプリッター』の効果発動。
自分フィールドにモンスターがいない時、墓地のこのカードを除外して、
墓地の『グレムリフト』モンスター1体を手札に加える。
アタシは『グレムリフト・スパークス』を手札に加えるわ」
ギャリガン「墓地の『グレムリフト・ギアジャム』の効果を発動。
手札を1枚捨てて墓地から特殊召喚できる。
手札の『グレムリフト・クランク」を捨てて特殊召喚よ」
怜央「その効果にチェーンして
永続罠『爆焔鉄甲地雷原(スチームアーミー・マインフィールド)』を発動!
1ターンに1度、相手がモンスターを特殊召喚した時、
そいつに『スチームアーミー』モンスターをデッキから装備することができる」
■爆焔鉄甲地雷原(スチームアーミー・マインフィールド)
永続罠
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
装備カードを装備している相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。
②:相手フィールドにモンスターが特殊召喚された場合に発動できる。
その特殊召喚されたモンスター1体を選び、
デッキから「スチームアーミー」モンスター1体を選び、そのモンスターに装備カード扱いとして装備する。
③:相手メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、
自分の除外状態の「スチームアーミー」モンスター2体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
この永続罠は前のターンで怜央がサーチしたカードであり、ギャリガンもその効果は把握していた。
そしてチェーン1のグレムリフト・ギアジャムの効果により自身を墓地より特殊召喚。
黒色の長い爪を持つ小悪魔が現れる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/TSKBl2n
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ギャリガン「手札から捨てられた『グレムリフト・クランク』の効果発動。
『グレムリフト』の効果で手札から捨てられた時、
デッキから『グレムリフト』魔法カードを手札に加える」
怜央「その効果にチェーンして
永続罠『爆焔鉄甲地雷原(スチームアーミー・マインフィールド)』の効果発動!
特殊召喚された『グレムリフト・ギアジャム』に対し、
デッキから『爆焔鉄甲 時計炸弾(クロック・ダイナマイト)』を装備する」
チェーン2で怜央が発動した罠カードの効果から処理が始まる。
現れた黒い小悪魔に対し、X字にダイナマイトを背負った置時計型のモンスターが鎖を巻き付ける。
怜央「『グレムリフト・ギアジャム』に装備カードが装備されたことで、
永続罠『命取りの重鎧』の効果で効果は無効化し、守備表示となる」
ギャリガン「やっぱりそう来るのね。
ギアジャムの『自分より攻撃力の高いモンスターの対象にならない』効果は消えたってわけね」
ギアジャムの効果が残っている限り、怜央は「グレムリフト」モンスターを対象に取れない。
そのため、永続罠の効果で爆弾を装備することでギアジャムの効果を無効にすることは必須条件だ。
ギャリガン「まあいいわ、読み通りだもの。
チェーン1の『グレムリフト・クランク」の効果により、
アタシは魔法カード「グレムリフト・デーモンシーリング』を手札に加える」
怜央「(…別のフィールド魔法だと…?)」
ギャリガンが手札に加えたのは今発動しているオーガ・シーリングとは別のフィールド魔法だ。
ギャリガンにはまだ隠している戦術があるかもしれないと、怜央は効果を確認しながら警戒を強める。
ギャリガン「手札から『グレムリフト・スパークス』を召喚」
■グレムリフト・スパークス
効果モンスター
レベル1/闇/悪魔/攻撃力400 守備力500
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが召喚した場合に発動できる。
このカードよりも攻撃力の低い『グレムリフト』モンスター1体をデッキから特殊召喚する。
②:このカードが墓地から特殊召喚された場合に発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。
オレンジ色の肌を持ち指先から火花を散らせる小悪魔が現れる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/NKSXqNj
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その瞬間、再び鬼が描かれた天井が勢いよく落下してくる。
天井を支えるのは最も攻撃力の高い怜央の「 炎機公子(エクスプロード)」だ。
ギャリガン「これでまたフィールドに天井が現れたわ。
今は貴方のフィールドにはすでに攻撃力2800のモンスターがいるから、
それ以下の攻撃力なら誰でも召喚可能だけどね」
ギャリガン「そしてスパークスの召喚時、効果発動。
デッキから自身より低い攻撃力の『グレムリフト』モンスターを特殊召喚する。
現れなさい、『グレムリフト・スキャッター』」
■グレムリフト・スキャッター
効果モンスター
レベル1/闇/悪魔/攻撃力300 守備力700
このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
②:このカードが墓地から特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「グレムリフト」罠カード1枚を手札に加える。
現れたのは水色の小悪魔だ。黒い液体の垂れたチューブを傍らに持っている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/R35vTFt
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これによりギャリガンのフィールドには3体のモンスターが並んでいる。
新たなエクシーズモンスターを呼び出される可能性もある中、
すでに相手モンスターにクロック・ダイナマイトが装備されている今こそ、
怜央にとって動く時であった。
怜央「『爆焔鉄甲 煙機関車(レイル・エクスプレス)』の効果発動!
オーバーレイユニットを1つ使い、デッキからスチームアーミーを呼び出す。
『爆焔鉄甲 溶解兵長(メルト・コーポラル)』を攻撃表示で特殊召喚!」
■爆焔鉄甲 溶解兵長(メルト・コーポラル)
効果モンスター
レベル5/炎/機械/攻撃力2100 守備力1900
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター1体を選び、
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
デッキから「スチームアーミー」速攻魔法1枚を手札に加える。
③:このカード以外の自分フィールドの「スチームアーミー」モンスター2体を対象として発動できる。
ターン終了時まで、そのモンスターのレベルを1つ上げる。
一つの赤い光を放つ単眼を持つ機兵が姿を現す。
片方の腕には巨大な鉤爪が付き、もう片方の腕には溶接トーチが取り付けられている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/D0y8dXa
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
怜央「メルト・コーポラルの効果発動。
特殊召喚した時、デッキから『スチームアーミー』速攻魔法を1枚手札に加える。
俺は『爆焔鉄甲加速纏炎(スチームアーミー・ブーストフレイム)』を手札に加える」
怜央「そしてメルト・コーポラルの効果発動。
フィールドの『スチームアーミー』モンスターを他のモンスターに装備させる。
お前の『グレムリフト・スキャッター』にコンパス・グレネードを装備!」
メルト・コーポラルが指令を下すと、
フィールドのコンパス・グレネードは対象のモンスターに巻き付く。
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【ギャリガンのフィールド】
①グレムリフト・ギアジャム DEF500 :クロック・ダイナマイトが装備されている
②グレムリフト・スパークス ATK400
③グレムリフト・スキャッター ATK300 :コンパス・グレネードが装備されている
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
□
□【①】②【③】□
□ □ □ □ □
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怜央「『爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)』の効果発動!
フィールドのモンスター1体を破壊する。『グレムリフト・スキャッター』を破壊だ!」
コンパス・グレネードが巻き付けられたグレムリフト・スキャッターに向けて、
『炎機公子(エクスプロード)』は腕に装着されたバーナーを向け、炎を放射する。
ギャリガン「おのれ…!」
天井によって相手の行動を制限し圧倒することを得意とするギャリガンにとって、
怜央に好き放題フィールドを蹂躙されているこの現状自体、許されざる事だった。
グレムリフト・スキャッターは一瞬で燃え尽き破壊され、
残されたのは地面に転がるコンパス・グレネードだけだ。
怜央「装備モンスターが破壊された時、コンパス・グレネードの効果発動!
装備モンスターと同じ縦列と隣のカードを全て破壊する。
隣の『グレムリフト・スパークス』を破壊だ!」
グレネードが爆発し、隣にいたグレムリフト・スパークスは雄叫びを上げて爆炎に巻き込まれる。
怜央のフィールド魔法によって隣接するフィールドにしかモンスターを出せない制約があり、
その状況下でモンスターを展開しなければならないことが、この爆発の連鎖に繋がる。
怜央「これで仕上げだ。グレムリフト・スパークスが破壊されたことで、
隣にいるグレムリフト・ギアジャムに装備されたクロック・ダイナマイトの効果発動!
隣のカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。グレムリフト・ギアジャムを破壊!」
■爆焔鉄甲 時計炸弾(クロック・ダイナマイト)
効果モンスター
レベル4/炎/機械/攻撃力1400 守備力1200
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
このカードは魔法&罠ゾーンに1枚しか存在できない。
①:このカードが召喚した場合に発動できる。
自分の墓地の「スチームアーミー」モンスター1体とこのカードのみを素材として、
「スチームアーミー」Xモンスター1体をX召喚する。
②:このカードの装備モンスターと同じ縦列・隣のカードが破壊された場合に発動できる。
装備モンスターを破壊する。
③:装備モンスターが破壊される事によってこのカードが墓地へ送られた場合に発動する。
破壊された装備モンスターをコントロールするプレイヤーの同じ縦列・隣のカードを全て破壊する。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/i8cv4K9
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
チクチクと鳴る時限爆弾の音にグレムリフト・ギアジャムは顔を歪ませる。
数秒後、その体は爆ぜ、これによってギャリガンのフィールドのモンスターは全滅となる。
遊次「決まった!怜央の連続爆破コンボだ!」
かつて自分も浴びた怜央のデッキの真価が、今まさに自分達の味方として発揮されている。
遊次達にとってこれほど頼もしいことはなかった。
これには周りのGREMRINZの部下達も動揺を隠せなかった。
フィールドに漂う黒い煙が晴れてゆくと、怜央を睨みつけるギャリガンの姿だけがそこにあった。
ギャリガン「…やってくれたわね、鉄城怜央。
そうやって人が積み上げたものを平気で壊して……この人でなしがァ!!」
今まで平静を保ってきたギャリガンが感情を露にして激昂する。
ギャリガンの言い放った言葉に、遊次と灯は理解が追い付かなかった。
怜央「じゃあ人でなしはお互い様だな。どうもお前は自分のことがあまり見えてねえらしい」
ギャリガン「私は私の物を好きに扱ってるだけよ。この町という私の所有物をね。
それなのに貴方は私から何度奪えば気が済むの!少しは被害者の気持ちを考えたらどうかしら!?」
ギャリガンの放言に遊次達は呆れた表情を浮かべる。
ギャリガン「この町に生まれ、ただこの町を愛したアタシを除け者にした奴ら。
アタシの町で好き勝手に暴れるチンピラ共。ホントいい迷惑なのよ。
アタシは奪われた物を奪い返してるだけ。
そして、今回もまた同じ。奪われたら…奪い返すしかないじゃない」
ギャリガンは手札から1枚のカードを取り出す。
ギャリガン「魔法カード『グレムリフト・ランブル』を発動!
自分フィールドにモンスターがいない時、
手札を好きな数捨てて、その枚数分、墓地のグレムリフトを特殊召喚する。
アタシは手札3枚を捨て、墓地から3体のグレムリフトを復活させる!」
■グレムリフト・ランブル
通常魔法
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
手札を任意の枚数捨てて発動できる。
その枚数分、自分の墓地の「グレムリフト」モンスターを選んで特殊召喚する。
②:自分フィールドの「グレムリフト」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりに墓地のこのカードを除外することができる。
ギャリガン「アンタのせいでアタシのリソースが尽きたじゃない。
でもいいわ。アタシのとっておきを見せてあげる」
ギャリガンは黒い口紅の塗られた唇を曲げ、不気味な笑みを浮かべる。
ギャリガン「墓地から『グレムリフト・スキャッター』、
『グレムリフト・クランク』、『グレムリフト・ピック』を特殊召喚!」
ギャリガンが名前を呼ぶと、3体の小悪魔がフィールドに一斉に並ぶ。
ギャリガン「墓地から特殊召喚されたクランク、スキャッターの効果発動!」
ギャリガンは一気に2つのチェーンを積み上げる。
ギャリガン「チェーン2のスキャッターの効果。
墓地から特殊召喚した時デッキから『グレムリフト』罠カードを手札に加えることができる。
『グレムリフト・ミスチーバスフィード』を手札に加える」
ギャリガン「そしてチェーン1のクランクの効果!
墓地から特殊召喚された時、
相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を自分と同じにすることができる。
アタシは貴方の『炎機公子(エクスプロード)』の攻撃力を、
クランクと同じ400にするわ」
グレムリフト・クランクが指から光線を放つと、エクスプロードは見る見る内に小さく縮む。
エクスプロードが押さえていた天井は、その体が縮むにつれどんどんと落ちてゆき、
現状最も攻撃力の高いメルト・コーポラルが、代わりに天井を支える形となる。
灯「そんな…!」
グレムリフトモンスターと同等と大きさとなってしまったエクスプロードの姿に灯は戦慄する。
だが怜央は表情を崩さない。
元々ギャリガンの墓地にあったクランクの効果を知っていたため、
こうなる可能性にも想像がついていたようだ。
ギャリガン「まだまだ終わらないわよ。『グレムリフト・ピック』の効果発動。
1ターンに1度相手の魔法・罠カードを1枚破壊できる。
フィールド魔法が存在している時、貴方はこの効果にチェーンできないわ。
アタシは貴方のその伏せカードを破壊よ」
怜央「(やっぱりそう来るか…)」
当然、怜央は相手の墓地にピックがいたことを知っているため、
伏せカードが破壊されることは読んでいた。
ギャリガンが3体のモンスターを特殊召喚した時にも伏せカードを発動することはできたが、
それでも怜央は発動すべきではないと考え、相手に優先権を渡したのだ。
グレムリフト・ピックが怜央のフィールドへ飛び跳ね、伏せカードをくしゃっと丸めて破壊する。
破壊されたのは「RUM-エクスプロージョン・フォース」だ。
遊次「ランクアップマジックが破壊されちまった…!」
遊次も破壊されたカードが怜央にとって奥の手であることは知っていた。
遊次自身もそのカードによって盤面を覆された経験があるからだ。
その切り札とも言えるカードがいとも容易く破壊されたことで、再び焦りが募る。
遊次「(破壊される前にRUMを発動させることはできたはずだ。
でも怜央はあえて発動しなかった。ってことは、狙いは…)」
RUMはフィールドのXモンスター1体をランクアップさせる効果だ。
怜央が発動しない判断をした意図を遊次は瞬時に汲み取り思考を巡らせる。
ギャリガン「あらあら、怖いカードを仕込んでるじゃない。なんで発動しなかったのかしら?
でも、もうこれで貴方の手は尽きたわね。なら、ここからはアタシの独壇場よ!」
ギャリガンは人差し指を天高く突き立てる。
ギャリガン「アタシはフィールドの3体のグレムリフトでオーバーレイネットワークを構築!」
黒い渦に3体のグレムリフトが次々と飛び込んでゆく。
ギャリガン「小さき邪気、今集いて巨悪となる。天を塞ぐ悪鬼をも喰らい、総てを砕き散らかせ!」
ギャリガン「エクシーズ召喚!ランク1、『グレムリフト・ヴェイルクランチャー』!」
■グレムリフト・ヴェイルクランチャー
エクシーズモンスター
ランク1/闇/悪魔/攻撃力1500 守備力500
レベル1モンスター×2体以上
このカード名の②③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードは、このカードのX素材1つにつき攻撃力が500アップし、
X素材が3つ以上ある場合、相手の効果の対象にならない。
②:このカードのX素材を任意の数取り除いて発動できる。
取り除いた数だけ相手フィールドのカードを選んで破壊する。
③:自分フィールドの「グレムリフト」魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。
現れたモンスターは、今までのグレムリフトモンスターとは異なる姿をしていた。
全身は真っ黒で、四足を地面につけ、真四角の大きな顔を持った獣のような悪魔だ。
顔が胴体とほぼ同等の大きさをしているアンバランスな見た目だ。
大きな口からは鋭い牙が何本も光っており、目はただ一点のみを見つめ生気が感じられない。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/eCSJHXI
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
ギャリガン「このモンスターはオーバーレイユニットを3つ持っていると効果の対象にならない。
さらにオーバーレイユニット1つにつき攻撃力が500アップするわ」
だがギャリガンの言葉とは裏腹に、ヴェイルクランチャーの攻撃力はわずか500となっている。
怜央「だがお前のフィールド魔法の効果で、『グレムリフト』Xモンスターは
フィールドの『グレムリフト』モンスター1体につき500の数値で固定される。
よって攻撃力はたったの500だ」
遊次「…なんだ?プレイングミスか?」
自分のカード内で効果が噛み合わない様子を見て遊次は疑問符を浮かべる。
ギャリガン「焦っちゃダメよボウヤ。ヴェイルクランチャーの効果発動。
自分フィールドの『グレムリフト』魔法カード1枚をこのカードのX素材にすることができる。
もうアタシにこの天井はいらないわ。喰らい尽くしなさい」
ギャリガンが命じるとヴェイルクランチャーは真上を見上げる。
最大まで口を広げると一気に飛び上がり、その顎で天井を噛み砕いてゆく。
あっという間に全てを喰らい尽くすと、周囲を漂うオーバーレイユニットが1つ増える。
その後、地下神殿の光景は消え、怜央のフィールド魔法の戦場だけが広がっている。
ギャリガン「ハイ、これで攻撃力が固定される効果はなくなったわ。
ヴェイルクランチャーの効果で、オーバーレイユニット1つにつき500攻撃力が上がる。
よって攻撃力は…3500よ」
ヴェイルクランチャーのX素材の数は、今喰らったフィールド魔法を含め4つだ。
よって2000ポイント攻撃力を上げることとなる。
灯「攻撃力3500…!このままじゃ、怜央が…!」
灯はある事実に気付き怜央のフィールドのモンスターに目を移す。
その視線の先には攻撃力400にまで縮められた怜央の切り札の姿があった。
エクスプロードは攻撃表示のままだ。戦闘が行われれば怜央のライフは0となる。
怜央は大口を開けて大きな瞳で獲物を狙うヴェイルクランチャーを見つめている。
だが怜央の表情は変わらず冷静なままだ。
むしろ、先ほどよりも更に落ち着いているようにすら見える。
怜央「…このタイミングしかないみてえだな」
怜央は一言呟きデュエルディスクに触れる。
怜央「墓地の『RUM-エクスプロージョン・フォース』を除外して、効果発動!
フィールドのモンスターを2体まで対象にし、
そのモンスターにフィールド・墓地の『スチームアーミー』を装備する!」
■RUM-エクスプロージョン・フォース
速攻魔法
①:自分フィールドの「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として発動できる。
その自分のモンスターよりランクが1つ高い「スチームアーミー」Xモンスター1体を、
対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。
②:墓地のこのカードを除外し、フィールドのモンスターを2体まで対象として発動できる。
対象のモンスターの数だけフィールド・墓地から「スチームアーミー」モンスターを選び、
対象のフィールドのモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
このカードはギャリガンに破壊され真価を発揮することができなかったカードだ。
ギャリガン「貴方、人の説明を聞いてなかったのかしら!?
ヴェイルクランチャーは3つ以上素材を持つ時、効果の対象にならないって言ったでしょ!」
怜央「対象はお前のモンスターじゃねえ…俺のモンスターだ!
俺は『爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)』に墓地のスチームアーミーを装備する!」
ギャリガン「何ですって…?」
怜央の行動は完全にギャリガンの予測の範囲外だった。
エクスプロードに墓地のランタン・ナパームが装備される。
ギャリガン「フン、でもそれに何の意味が…」
ギャリガンが言葉を紡ごうとした時、怜央のモンスターに異変が生じる。
スチームアーミーが装備されたエクスプロードが突然守備表示に変わったのだ。
ギャリガン「…!」
遊次「なるほど、そうか…!怜央の奴、土壇場でよくそんなこと思いつきやがる…!」
遊次は怜央のプレイングの意味を理解し、そのプレイの大胆さに心底驚いている。
少し遅れて灯もその意図に気付く。
灯「そっか!怜央が発動してる永続罠『命取りの重鎧』の効果で、
装備カードを装備したモンスターは守備表示になって、効果は無効化される…。
この効果は相手だけじゃなくて、怜央のモンスターにも適用されるから、
それを利用して、自分のモンスターを守備表示にして守ったんだ…!」
灯の解説によってギャリガンもようやく怜央のプレイングを理解する。
これによって少なくともモンスターとの戦闘で怜央のライフが0になることはない。
ギャリガン「フフ…楽しませてくれるじゃない。
相手を縛るための罠カードを、自分を守ることに使うなんてね」
ギャリガン「でも、よーく考えてごらんなさい。ただモンスターを守備表示にしただけよ。
不利な状況は何も変わってないわ。ヴェイルクランチャーの効果発動!
オーバーレイユニットを2つ使って、貴方のモンスターを2体破壊する!
エクスプロードとメルト・コーポラルよ!」
ヴェイルクランチャーは自らの周囲に漂う光球を噛み潰すと、
勢いよく『炎機公子(エクスプロード)』に噛み付く。
1mほどにまで縮んだエクスプロードはヴェイルクランチャーによって一口で嚙み砕かれる。
そしてその勢いのままメルト・コーポラルをその顎だけで上に持ち上げ、砕きながら飲み込んでいく。
その食事のような破壊行為に、灯は潜在的な恐怖を抱いた。
怜央のフィールドに残されたのはレイル・エクスプレスだけとなる。
ギャリガン「機転を利かせて自分のモンスターを守備表示にしたのはお利口さんだわ。褒めてあげる。
でもね、その代償はあまりにも大きいわ。」
ギャリガンが見つめる怜央のフィールド…エクスプロードが破壊されたモンスターゾーンには、
ランタン・ナパームが転がっていた。エクスプロードに装備されていたものだ。
遊次と灯はギャリガンの言葉の真意に気付く。
ギャリガン「スチームアーミーが装備されたモンスターが破壊された時、
隣か同じ縦列のモンスターを破壊する。エクスプロードが破壊されたことで、
その真上のEXモンスターゾーンにいるレイル・エクスプレスは破壊されるわ!
これは強制的に発動する効果…逃れることはできないわよ」
ギャリガンの言葉と共にランタン・ナパームは燃え上がる。
地面に垂れた灯油にランタンの中の炎が引火し、その炎はレイル・エクスプレスを包み込む。
煙突から吐き出される蒸気はやがて消え、レイル・エクスプレスは破壊される。
怜央「だが、ヴェイルクランチャーの素材が2つ減ったことで攻撃力は2500まで落ちる」
怜央は自らのモンスターを全て破壊されながらも、冷静に盤面を見切る。
ヴェイルクランチャーは素材の数×500攻撃力がアップするため、
現在素材が2つのヴェイルクランチャーは1000ポイントの攻撃力アップに留まっている。
ギャリガン「そうね。残念ながらこのターンで貴方を仕留めることはできないわ。
でもいいの。言ったでしょ、ジワジワ獲物をいたぶる方が好きってね。
それに、貴方もわかってるんじゃないかしら?
貴方を待ち受けてるのは"絶望"だけだってこと」
怜央「…とっととバトルを始めろ。このターンお前ができることはもう決まりきってる」
怜央は余裕の表情で言い放つと、ギャリガンは顔を歪める。
ギャリガン「…気に食わない。貴方のその表情が気に食わないのよ!
アタシがどれだけいじめても、ずっと涼しい顔ばっかりして!いたぶり甲斐がないわ!
…本当につまらない男に成り下がったわね、鉄城怜央」
ギャリガンは溜まっていたフラストレーションを吐き出すと、バトルフェイズに移る。
ギャリガン「さあバトルよ。グレムリフト・ヴェイルクランチャーでダイレクトアタック!」
ヴェイルクランチャーは大きな口を開け勢いよく怜央へと向かっていき、その牙で怜央に噛み付く。
怜央は向かってくる猛獣にも怯まず正面からその攻撃を受け止める。
怜央「ぐっ…!」
LP2900 → 400
ギャリガン「これでバトルは終了。でもショータイムはまだ途中よ。
アタシはフィールド魔法『グレムリフト・デーモンシーリング』を発動」
■グレムリフト・デーモンシーリング
フィールド魔法
このカードのコントローラーは、自分スタンバイフェイズ毎に2000LPを払う。
①:このカードがフィールドゾーンに存在し、
自分フィールドに「グレムリフト」モンスターが存在する限り、
相手は自分の「グレムリフト」モンスターより多くなるように
自身のフィールドにモンスターを召喚・特殊召喚できない。
②:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、
自分の「グレムリフト」Xモンスターは
自身のX素材としている「グレムリフト」Xモンスターの効果を得る。
再び辺りは地下神殿へと変わる。
そして上から再び天井が落ちてくる。その天井には青い鬼が描かれており、
その表情は悲しみに暮れている。
その天井は怜央のフィールドの真上で止まると、6等分に割れ、モンスターゾーンの上を漂っている。
ギャリガン「このフィールド魔法がある限り、
貴方はアタシのモンスターよりも多くモンスターを召喚・特殊召喚できない。
アタシのフィールドにいるのはヴェイルクランチャー1体だけ。
つまり貴方は1体しかモンスターを召喚できないってことよ」
遊次「なんだって…!?」
灯「そんな…!」
怜央のライフを瀕死状態まで追い込みながら、更に絶望的な追い打ちをギャリガンは仕掛けた。
遊次と怜央は驚くも、怜央はやはり一切表情を崩さない。
遊次達はその姿をこのデュエルで何度も見てきた。
しかし今度こそどう覆せばいいか遊次には想像ができなかった。
ギャリガン「その代わりスタンバイフェイズに固定で2000のライフを支払う必要があるけど、
私には関係ない話ね。貴方にライフを削られることなんて金輪際ないんだもの!ホホホホホ!」
ギャリガンは勝ち誇ったように高笑いする。
ギャリガン「あるとすればフィールド魔法が破壊される可能性ね。
でも、それもアタシにかかればノープロブレム!
さっきアタシが手札に加えた罠カード『グレムリフト・ミスチーバスフィード』は、
墓地のグレムリフトモンスターを2体、フィールドのXモンスターの素材にできる」
ギャリガン「そしてフィールド魔法『デーモンシーリング』がある限り、
『グレムリフト』Xモンスターは、自分の素材としているXモンスターの効果を得ることができるの。
つまり墓地の『グレムリフト・マッドグリッパー』を素材にすれば、
1ターンに1度フィールド魔法を破壊されない効果をヴェイルクランチャーが得るってわけ。
更にウィキッドディスターバーも素材にすれば、
グレムリフトモンスターは1ターンに1度、戦闘・効果でも破壊されないわ」
ギャリガンは掌を倉庫に差し込む太陽の光にかざしながら、淡々と詩を紡ぐように語る。
ギャリガン「つまり、貴方は次のターン、モンスターを1体しか召喚できず、
ヴェイルクランチャーが得た効果で、
フィールド魔法も、アタシのモンスターも1ターンに1度破壊できない」
突き付けられた結論は強烈だった。
遊次と灯は目を見開き、その脳裏には悪い想像ばかりがよぎる。
怜央がギャリガンの永遠の奴隷となること。
そしてドミノタウンでのチーム活動を禁じられるとなると、チームも実質的には霧散し、子供達は居場所を失うこととなる。
怜央が生きる意味…その全てが失われることと同義であった。
ギャリガン「貴方ができることはたった1つ。
これからアタシの奴隷としてどう過ごすか、今の内に考えておくこと」
ギャリガンは怜央に人差し指を突きつける。それは完全なる勝利宣言だった。
しかし怜央はやかましそうに溜息をつき、鋭い目でギャリガンを睨む。
怜央「俺が今考えてるのは1つだけだ。
俺の"家族"に手ェ出しやがったお前を…どうブッ潰すかってな」
怜央の言葉を聞き、ギャリガンは再び激昂する。
ギャリガン「…ほんともう!!なんなのアンタ!その態度!
それがカッコいいとでも思ってるわけ!?」
ギャリガン「貴方はもう終わりなの!それなら、素直に泣き叫びなさい!感情のままに!
それこそが人間のあるべき姿!それこそが人の心の持つ美しさなのよ!」
言葉だけ聞けば綺麗だが、その裏には
奴隷としての人生が確約された怜央の泣き叫ぶ姿が見たいという、醜悪な欲求だけが潜んでいた。
ギャリガン「泣くのが恥ずかしいのかしら?確かにあなたの年頃ならそう思うかもね。
でも違うの。大人になったら気づくわ。貴方のその態度こそが恥ずかしいのよ!」
怜央「やることがねえならとっととターンエンドしろ。
デュエルに演説フェイズなんてねえぞ」
ギャリガン「このクソガキィ…!フン、いいわ。アタシはカードを1枚伏せてターンエンド。
お望み通りとっとと引導を渡してあげる」
ギャリガンはターンを終え、怜央にターンが渡る。
遊次と灯はただこのデュエルの行く末を見守るしかない。
灯「(絶望的な状況が何度もあったのに、怜央は1回も俯かなかった。
前を向き続けてる。今、この時も。
自分が勝つことを心から疑ってないんだ。倒れることなんて考えてすらない。
それが、何度打ちのめされても色んな思いを背負って戦ってきた…怜央の強さなんだ)」
灯はたった400のライフでも堂々と立ち続ける怜央の姿に、
彼が仲間となったことがNextにとって大きな前進であったことを確信した。
特殊な環境下で育ち、人生の大半を地獄で過ごした彼にしかない強さがそこにはあった。
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【ギャリガン】
LP6200 手札:1
①グレムリフト・ヴェイルクランチャー ATK2500
カードの位置(□はカードが置かれていない場所):
①
□□□□□
▲□□□□
フィールド魔法:1
▲伏せカード:1
【怜央】
LP400 手札:2
フィールド魔法:1
永続罠:2
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怜央「俺のターン、ドロー!」
怜央は引いたカードを手札に収める。
ギャリガン「この瞬間、罠カード発動!『グレムリフト・ミスチーバスフィード』!
墓地の『グレムリフト』Xモンスター2体をヴェイルクランチャーの素材とする!」
ヴェイルクランチャーの周りに漂うオーバーレイユニットが2つ増える。
それによって攻撃力が1000ポイント上昇し、3500となる。
ギャリガン「2体のXモンスターを素材にしたことで、
フィールド魔法とヴェイルクランチャーは1ターンに1度破壊されないわ」
ギャリガン「まさか今ドローしたカードに希望があるとでも思ってるのかしら?
デッキには未知の可能性が眠っている…そこに希望を託したのね。
だから貴方はまだ諦めていなかった。
で?引いたカードに希望はあったかしら?」
ギャリガンは子供をあやすような声で怜央に問いかける。
怜央「いや、今引いたカードに逆転の手はねえ」
怜央はあっさりと返す。
遊次と灯もその言葉に動揺を隠せない。
彼らもデッキの中に未知なる希望があると思っていたからだ。
ギャリガン「ほら見なさい!もう貴方に打つ手はないの!
さあ、ここからは貴方の号泣フェイズよ!
貴方の人生がアタシのものになるその悔しさを噛み締めなさい!」
ギャリガンは大演奏を終えたオーケストラの指揮者のように手を広げ、
すでに勝利の余韻に浸っている。
怜央「引いたカードじゃ何もできない。だが…」
怜央は手札から1枚のカードを取り出す。
怜央「最初から持ってんだよ、逆転の一手は」
ギャリガン「…は?」
怜央「速攻魔法、発動!『RUM-リラプス・フォース』!
ライフを半分払い、墓地の『スチームアーミー』Xモンスター1体を対象に、
そのモンスターよりランクが高いXモンスターをエクシーズ召喚する!」
LP400 → 200
■RUM-リラプス・フォース
速攻魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:LPを半分払い、自分の墓地の「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターよりランクが1つ高い「スチームアーミー」Xモンスター1体を
X召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚し、このカード及び対象のモンスターをそのX素材とする。
②:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「スチームアーミー」Xモンスターが存在する場合、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
自分のフィールド・墓地の「スチームアーミー」モンスター1体を
対象のモンスターに装備カード扱いとして装備する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
それは怜央が初めのターンから持っていた魔法カード。
遊次「墓地のモンスターを素材にX召喚…
これなら、1体しか召喚できなくても関係ねえ!」
怜央「墓地の『爆焔鉄甲 炎機公子(エクスプロード)』を対象に、
ランクアップエクシーズチェンジ!」
怜央の前に、燃え盛る炎に包まれたエクスプロードが現れる。
そして地面に現れた黒い渦に、エクスプロードが飲み込まれてゆく。
怜央「焼け焦げた鎧は血戦の証。燻る執念を憤怒の白煙へと昇華せよ」
怜央「エクシーズ召喚!ランク5、『爆焔鉄甲 蒸機焼軍(デトネイト)』!」
■爆焔鉄甲 蒸機焼軍(デトネイト)
エクシーズモンスター
ランク5/炎/機械/攻撃力2800 守備力2600
レベル5モンスター×3
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがX召喚した場合に発動できる。
相手フィールドの全てのモンスターの効果を無効にする。
②:このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
この効果で破壊したモンスターが「スチームアーミー」モンスターを装備していた場合、
相手フィールドのカードをもう1枚破壊できる。
このカードが炎属性モンスターをX素材としている場合、この効果は相手ターンでも発動できる。
③:このカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
自分の墓地の「スチームアーミー」Xモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚し、
その後、墓地の「スチームアーミー」モンスター1体をそのモンスターのX素材とする。
逆巻く黒い渦から勢いよく火柱が立つ。
火柱の中から蒸気と共に現れたモンスターは、黒く焼け焦げた鉄の鎧で全身を覆っている。
鎧の各部から絶え間なく蒸気が噴き出し、周囲に熱気を放っている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/RLUlao2
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ギャリガン「何よ…これ…」
その圧倒的な風格にギャリガンはたじろぐ。
怜央のモンスターゾーンの上に6つに分裂して浮いているフィールド魔法「デーモンシーリング」の内
その5つが怜央の残りのモンスターゾーンに落ちてゆく。
モンスターゾーンを塞がれ、
ギャリガンのモンスターの数を超えるモンスターを召喚することはできない。
だが今の怜央にはもう関係のないことであった。
怜央「エクスプロードと『RUM-リラプス・フォース』はデトネイトの素材となる」
デトネイトの周囲には2つの光球が漂っている。
怜央「デトネイトの効果発動。X召喚時、相手の全てのモンスターの効果を無効にする」
ギャリガン「な、なんですって…!」
この効果は対象を取らない全体無効。
効果の対象にならないヴェイルクランチャーもこれには抗えない。
デトネイトが放つ蒸気はフィールド全体を包み込む。
その蒸気がヴェイルクランチャーから全ての力を奪う。
蒸気が晴れた後、フィールドには
効果を失い、攻撃力が元の1500に戻ったヴェイルクランチャーがいた。
ギャリガン「そんな…!ありえない!!ありえないわこんなの!!
そんな…カード1枚で、アタシの最強のフィールドを…!」
遊次「これでギャリガンを守るものはなくなった。
アイツのフィールドにはただの攻撃力1500のモンスターがいるだけだ。
それに…」
遊次は怜央が持つ手札に視線を移す。
怜央「速攻魔法『爆焔鉄甲加速纏炎(スチームアーミー・ブーストフレイム)』を発動!
スチームアーミーXモンスター1体は素材の数につき500ポイント攻撃力をアップし、
2回の攻撃が可能となる!
■爆焔鉄甲加速纏炎(スチームアーミー・ブーストフレイム)
速攻魔法
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの「スチームアーミー」Xモンスター1体を対象として、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●そのモンスターの攻撃力はそのモンスターのX素材の数×500アップし、
1度のバトルフェイズに2回攻撃できる。
また、そのモンスターとの戦闘で破壊されなかった相手モンスターはダメージステップ終了時に破壊される。
●そのモンスターはこのターン、戦闘・効果で破壊されず、
そのモンスターと戦闘を行った相手モンスターはダメージステップ終了時に破壊される。
怜央「デトネイトのX素材は2つ…よって攻撃力は1000アップし、3800となる!」
デトネイトは炎のオーラに包まれその力を上昇させる。
ギャリガン「(あの速攻魔法は前のターンにモンスターの効果で手札に加えていたカード…。
もしかしてあの時から、こうなることを見越していたというの…!)」
怜央はメルト・コーポラルの特殊召喚時効果によってブーストフレイムを手札に加えた。
その時にはヴェイルクランチャーもフィールドにおらず、
ギャリガンのフィールドに3体のモンスターが並んでいた時だ。
ギャリガンは前の怜央のターンの怜央のプレイを振り返りその真意に気付く。
そして、常に冷静で余裕を崩さなかった理由にも考えが及ぶ。
ギャリガン「(フィールド魔法も罠カードも、手札に加えた時点でアイツに効果は見られてる。
ヴェイルクランチャーを呼び出した時点で、
アタシのカードは全部アイツに割れたことになる。つまり…)」
ギャリガン「あの時点で…アタシがヴェイルクランチャーを呼び出した時点で、
すでにアタシの敗北は確定していた…?」
ギャリガンは途方に暮れた表情で自ら残酷な真実を口にする。
それを少し遠くの車の中から遊次が見つめる。
遊次「怜央のモンスターを効果で全て破壊してダイレクトアタックする…
それがあの時ギャリガンに出せる最大火力だ。
それでもライフを削り切れないのは、効果を読んでちょっと計算すりゃわかる。
前のターンの時点ですでに、怜央の中ではこの光景が見えてたんだ」
ギャリガンの視点から手札に隠し持っていたRUMで盤面を覆せることは読めるはずもなく、
怜央のモンスターを全て破壊してダイレクトアタックするという選択は当然の判断だ。
フィールド魔法のデメリットにより毎ターン2000のライフを失う以上、
あえてモンスターを残してデュエルを長引かせることはギャリガンにはできない。
怜央のモンスターを1体だけ残すといったプレイをしていても、
怜央自身が戦闘で自分のモンスターを破壊した後にRUMでデトネイトを呼び出すことも可能だ。
灯「(怜央にはギャリガンの墓地のモンスターの効果も見えてたから、
自分のモンスターの攻撃力が400になることも、伏せカードを破壊されることも読もうと思えば読める。
RUMが破壊されて墓地に行って、
それを利用して自分のモンスターにスチームアーミーを装備して守備表示に変える…
前の怜央のターンでそこまで見えてたとしたら…)」
怜央が当たり前のようにやってのけたプレイの異質さを、灯は改めて思い知らされる。
怒りを滾らせながらも頭の中は常に冷静で、瞬時に何手も可能性も読んだ上のプレイ。
だからこそ彼はピンチに陥っても、常に取り乱すことなくデュエルに臨めるのだ。
ライフさえ守り切れば、伏せていたRUMか、手札のRUMでデトネイトを呼び出し効果を全て無効にできる。
その上で連続攻撃をすれば、おそらくギャリガンを倒せるであろうことまで読んでいただろう。
怜央が爆弾によって破壊の連鎖を行ったことによって、
ギャリガンは手札を全て捨ててモンスターを並べるしかなくなった。
そこでリソースを失ったことで、怜央のライフを削るまでには至らなかったのだ。
怜央の一手一手がギャリガンを追い詰めていたことに、ギャリガン自身も今になって気が付く。
怜央「バトルだ。『爆焔鉄甲 蒸機焼軍(デトネイト)』でヴェイルクランチャーに攻撃!」
炎を纏ったデトネイトが右手をヴェイルクランチャーに向ける。
デトネイトは将軍たる堂々とした立ち姿で、その炎を一気に放出する。
燃え盛る炎はヴェイルクランチャーの後ろのギャリガンを巻き込む。
ギャリガン「ぐああああああ!!!」
LP 6200 → 3900
ギャリガン「くっ…墓地の『グレムリフト・ランブル』の効果…。
グレムリフトが破壊される代わりに墓地のこのカードを除外する…!」
ギャリガンは縋る思いで必死に怜央の攻撃を耐えようとする。
怜央「『爆焔鉄甲加速纏炎(スチームアーミー・ブーストフレイム)』の効果。
このカードの対象となったXモンスターが戦闘で相手を破壊できなかった時、
そのモンスターは破壊される」
デトネイトの纏う炎のオーラがヴェイルクランチャーを襲い、破壊されるまで焼き尽くす。
デトネイトは無防備なギャリガンの姿をその赤き目に映している。
しかしギャリガンはここであることに気が付く。
ギャリガン「アタシのライフは3900…貴方のモンスターは攻撃力3800…。
じゃあアタシまだ…生きられる!生きられるじゃない!」
ギャリガンは怯えていた表情から一転し、花が咲いたような笑顔になる。
怜央は何も言わない。遊次と灯も、ただデュエルの行く末を見つめている。
「…ギャリガン様…」
そしてGREMRINZの部下までも、そのギャリガンの姿を憐れみの目で見つめていた。
怜央「ブーストフレイムの効果でデトネイトは2回の攻撃が可能。
…一発ブン殴ってやらねえと俺の怒りが収まらねえ。思いっきりやっちまえ」
怜央はデトネイトに命令すると、それに呼応するようにデトネイトは拳を炎に纏う。
かつて遊次と対峙した時はモンスターと心を通じ合わせるといった遊次をバカにしていたが、
今、怜央は無意識下でモンスターと心を通じ合わせている。
遊次「(急に奴隷契約を突きつけられて、何回もピンチに陥って…。
それでも怜央は当たり前みたいに逆転しちまって…)」
遊次はデトネイトに恐れ慄いているギャリガンの姿を見つめる。
遊次「(この程度のこと…超えるべき"壁"ですらなかったんだ。
怜央にとっては、ただの1歩目。アイツが見据えてる未来は…もっと先にあるから)」
その時、遊次の頭には、ある映像がイメージとして浮かんだ。
それは、背の伸びたチームの子供達が、眩い光へと歩んでいく姿だ。
怜央「『爆焔鉄甲 蒸機焼軍(デトネイト)』でダイレクトアタック!」
デトネイトは炎を纏った拳でギャリガンに向かう。
もちろんソリッドヴィジョンであるが、その迫力と熱気はまるで実態を持っているようだった。
デトネイトは拳をギャリガンの顔面に叩き込む。
ギャリガン「ぐわああああああ!!!」
LP3900 → 100
ギャリガンの体は後方へ吹き飛ばされる。
ソリッドヴィジョンといえど攻撃時は一定の衝撃を受けるようになっている。
怜央「お前の負けだ。二度とこの町に現れんな。ターンエンド」
怜央は倒れるギャリガンを見下ろし吐き捨てると、背を向けて灯の車の方へと歩いてゆく。
ギャリガン「ちょっと!どこ行くのよ!デュエルはまだ終わってないわ!
アタシにはライフが残ってる!このアタシのターンできっと逆転してみせるわ!
アタシのターン、ドローーーーー!!!!」
ギャリガンはありったけの叫びと共にカードを引く。
その瞬間、ギャリガンの周囲に陰が落ちる。
ギャリガン「…ん…?」
見上げると、彼の頭上には
フィールド魔法「デーモンシーリング」の悲しき鬼の顔がくっきりと描かれていた。
ギャリガン「あ…。あ、あ、あァァア…!!」
ギャリガンは自分が生き残った嬉しさのあまり、重要な事実を見逃していた。
この場でただ1人、ギャリガンだけが。
怜央は車の後部座席のドアを開けながら、ギャリガンへ最後の言葉を送る。
怜央「スタンバイフェイズ、お前はフィールド魔法の効果で2000のライフを失う。
ここはお前の町じゃねえ。これまでも、これからもだ」
青き鬼の天井は、ギャリガンにめがけて勢いよく落下してゆく。
ギャリガンは見開いた目で天井を見つめながら、その刹那に思う。
(負けが確定しているのに散々1人で喋って…。
挙句、最後は自分のカードの効果まで忘れるなんて…。
恥ずかしいのは、アタシの方じゃない…)
LP100 → 0
DDAS「勝者、鉄城怜央。
オースデュエルにより、チームGREMLINZ対し、ドミノタウンへの干渉と立ち入りを禁じます」
灯の真っ赤なスポーツカーは遊次と怜央を乗せて走り去る。
倉庫には、デュエルディスクから流れるオースデュエルの結果だけがこだましていた。
第23話「壁に非ず」 完
Nextは更なる大きな仕事を求めて、首都「メインシティ」へ。
首都では来年、
デュエルの世界的大会「ヴェルテクス・デュエリア」の第10回大会、その本戦が行われる。
それは『優勝者のどんな願いも叶う』という、世界でも類を見ぬ常軌を逸した大会。
Nextの面々はそれぞれの願いを胸に、約半年後に開会を控える本大会へ参加を表明する。
そしてその裏では、1年以上に渡り、
政府・ニーズヘッグがそれぞれ策謀を張り巡らせ、暗躍していた。
その計画は、世界に秘匿されている、ある"真実"を起因としていた。
次回 第24話「滅亡へのカウントダウン」
物語は核心へ。
遊戯王Nextはここから始まる。
現在のイイネ数 | 34 |
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同シリーズ作品
イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
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68 | 第1話:なんでも屋「Next」 | 776 | 2 | 2023-03-25 | - | |
84 | 第2話:妖義賊(ミスティックラン) | 599 | 0 | 2023-03-25 | - | |
66 | 第3話:相棒 | 594 | 0 | 2023-03-25 | - | |
61 | 第4話:動き出す影 | 507 | 0 | 2023-03-26 | - | |
71 | 【カードリスト】神楽 遊次 | 764 | 0 | 2023-03-26 | - | |
63 | 第5話:大災害「コラプス」 | 636 | 0 | 2023-03-27 | - | |
73 | 第6話:2000万のプライド | 537 | 0 | 2023-03-27 | - | |
71 | 第7話:悪しきを挫く至高の剣士 | 685 | 0 | 2023-03-29 | - | |
56 | 第8話:解き放たれた猟犬 | 496 | 0 | 2023-03-29 | - | |
58 | 第9話:陸・空・海を統べる者 | 453 | 0 | 2023-03-31 | - | |
65 | 第10話:悪しき魂を塗り潰す彩 | 481 | 0 | 2023-04-01 | - | |
90 | 【カードリスト】花咲 灯 | 653 | 0 | 2023-04-02 | - | |
67 | 第11話:番犬の尾を踏んだ日 | 531 | 0 | 2023-04-02 | - | |
67 | 第12話:雷の城塞 | 628 | 0 | 2023-04-04 | - | |
67 | 第13話:平穏を脅かす者に裁きを | 462 | 0 | 2023-04-06 | - | |
59 | 【カードリスト】イーサン・レイノルズ | 512 | 0 | 2023-04-07 | - | |
88 | 第14話:決戦前夜 | 682 | 0 | 2023-04-09 | - | |
79 | 【お知らせ】お久しぶりです。 | 1624 | 2 | 2024-02-09 | - | |
42 | 第15話:爆焔鉄甲(スチームアーミー) | 512 | 2 | 2025-01-06 | - | |
47 | 第16話:魂の衝突 | 500 | 2 | 2025-01-13 | - | |
43 | 第17話:EDEN TO HELL | 429 | 0 | 2025-01-22 | - | |
54 | 第18話:憤怒の白煙 | 510 | 1 | 2025-01-29 | - | |
34 | 第19話:天に弧を描く義の心 | 366 | 2 | 2025-02-05 | - | |
33 | 第20話:To The Next | 403 | 1 | 2025-02-12 | - | |
37 | 【カードリスト】鉄城 怜央 | 324 | 0 | 2025-02-12 | - | |
35 | 第21話:踏み出す1歩目 | 345 | 0 | 2025-02-19 | - | |
27 | 第22話:伸し掛かる天井 | 386 | 0 | 2025-02-26 | - | |
34 | 第23話:壁に非ず | 356 | 0 | 2025-03-05 | - | |
23 | 第24話:滅亡へのカウントダウン | 440 | 0 | 2025-03-12 | - | |
23 | セカンド・コラプス編 あらすじ | 398 | 0 | 2025-03-12 | - | |
36 | 第25話:アクセラレーション! | 424 | 0 | 2025-03-19 | - | |
26 | 第26話:虹色のサーキット | 374 | 3 | 2025-03-26 | - | |
20 | 第27話:ふたりの出会い | 231 | 0 | 2025-04-02 | - | |
32 | 第28話:親と子 | 238 | 0 | 2025-04-09 | - | |
27 | 第29話:心の壁 | 300 | 0 | 2025-04-16 | - | |
28 | 第30話:無償の愛 | 284 | 0 | 2025-04-23 | - | |
33 | 第31話:開幕 ヴェルテクス・デュエリア | 392 | 0 | 2025-04-30 | - | |
36 | 第32話:究極の難題 | 475 | 0 | 2025-05-07 | - | |
34 | 第33話:願いの炎 | 342 | 0 | 2025-05-14 | - | |
41 | 第34話:ただそれだけ | 381 | 0 | 2025-05-21 | - | |
30 | 第35話:シークレット・ミッション | 247 | 0 | 2025-05-28 | - | |
32 | 【カードリスト】七乃瀬 美蘭 | 362 | 0 | 2025-05-28 | - | |
33 | 第36話:欲なき世界 | 326 | 0 | 2025-06-04 | - | |
37 | 第37話:禅問答 | 343 | 0 | 2025-06-11 | - | |
27 | 第38話:紅と蒼の輪舞 | 191 | 0 | 2025-06-18 | - | |
25 | 第39話:玉座 | 201 | 0 | 2025-06-25 | - | |
30 | 第40話:"億"が動く裏世界 | 334 | 0 | 2025-07-02 | - | |
24 | 第41話:生粋のギャンブラー | 189 | 0 | 2025-07-09 | - | |
30 | 第42話:運命のコイントス | 251 | 0 | 2025-07-16 | - | |
30 | 第43話:王選(レガルバロット) | 212 | 0 | 2025-07-23 | - | |
27 | 第44話:願いの芽を摘む覚悟 | 262 | 2 | 2025-07-30 | - | |
23 | 第45話:答え | 194 | 0 | 2025-08-06 | - | |
21 | 第46話:潜入作戦 | 186 | 0 | 2025-08-13 | - | |
26 | 第47話:心の象徴 | 191 | 0 | 2025-08-20 | - | |
21 | 第48話:繋ぐ雷電 | 278 | 0 | 2025-08-27 | - | |
23 | 第49話:帳が上がる時、帳は下りる | 245 | 3 | 2025-09-03 | - | |
17 | 第50話:影を焼き尽くす暁光 | 162 | 0 | 2025-09-10 | - | |
3 | 第51話:夜明け | 73 | 0 | 2025-09-17 | - |
更新情報 - NEW -
- 2025/09/12 新商品 LIMITED PACK GX -オシリスレッド- カードリスト追加。
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- 09/17 19:32 評価 7点 《魔獣の大餌》「見るだけので保守で点数7にする ある實況主は《…
- 09/17 19:22 評価 8点 《エクソシスターズ・マニフィカ》「その固着なる經路はTERMINALの…
- 09/17 17:57 評価 9点 《幻魔の扉》「デュエル中1度のみで自分ライフをコストで半減。 …
- 09/17 15:21 評価 8点 《天岩戸》「星6《威光魔人》のそれ、永續などで[召喚に成功した…
- 09/17 11:56 SS 第51話:夜明け
- 09/17 09:45 評価 9点 《バイオレンス・ウィッチ》「《バイオレット・ウィッチ》のリメイ…
- 09/17 08:41 評価 1点 《戦士抹殺》「 剣を構えた戦士が、今正にスナイパーの標的になり…
- 09/17 01:52 評価 9点 《竜の精神》「(2)の墓地からセット効果が強い万能無効カウンター…
- 09/17 01:23 評価 8点 《停戦協定》「 対リバースモンスター殲滅兵器の罠カード…と思い…
- 09/17 01:05 一言 昔のカードのカード画像みてノスタルジックになってからのカード評価見…
- 09/17 00:43 評価 1点 《古代のトカゲ戦士》「 《ストーン・アルマジラー》の色違いとの…
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- 09/17 00:18 評価 1点 《破壊のゴーレム》「 まんまド直球なネーミングセンスが草である…
- 09/16 23:11 デッキ ジェムナイトティアラメンツ
- 09/16 20:38 デッキ シンクロ・フェローズ
- 09/16 20:27 評価 6点 《次元幽閉》「 シャークニキがアニメで使用したカードにして、普…
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