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第55話:たとえ、この命が終わっても 作:湯
譲の召喚したSモンスター「冽灼の水盾 ナルディエル」は、遊次のモンスターの攻撃と効果を無効にする強力な効果を持っていた。
しかし遊次は父との記憶を呼び醒まし、時間は大切な人を苦しめてしまうことを思い出す。
ここで敗北すれば、次に願いを叶えられるのは4年後。
その間も、ドミノタウンの人達は、コラプスの爪痕に苦しさと哀しさを抱える続けることとなる。
遊次はそれを許すことはできなかった。
そして数多のカードを繋ぎ、ついに遊次は譲の完璧と思われた盤面を崩す。
遊次の最終盤面には、儀式・融合・エクシーズ・シンクロ・リンク・ペンデュラム…あらゆる種類のモンスターが立ち並んでいた。
対する譲は目の前の光景に高笑いを上げた。
彼は命の懸ったデュエルの中でも、楽しさを見出さずにはいられなかった。
そしてそれは遊次も同じだ。
勝つのは、多くの人の願いを背負い、仲間と歩もうとする遊次か。
それとも、幼い頃に描いた未来のために、孤独に闘ってきた譲か。
この決闘は、もうじき幕を下ろす。
--------------------------------------------------
【譲】
LP4500 手札:3(ファリナ)
①冽灼の環紗 ネアス DEF1600
EXデッキ(表):ナムリオ、ヴォルヴ、ネアス、ネリュス、ソリグナ、ナルディエル
Pゾーン:冽灼の燐珠 ピオナ
【遊次】
LP3800 手札:2(ジロキチ)
①妖義賊-ゴエモン ATK2500
②妖義賊-快傑ゾロ ATK2800
③妖義賊-山嵐のユライ DEF4800
④妖義賊-怪盗ルパン DEF3000
⑤冽灼の赫鎧 バルグレン ATK3100
⑥冽灼の織灘 ルナイラ ATK2400
永続魔法:妖義賊の連携陣
Pゾーン:妖義賊-誘惑のカルメン、妖義賊-夜駆けのシチベエ
伏せカード:冽灼の噴濫
EXデッキ(表):ナンゴウ、アカホシ、プロメテ
--------------------------------------------------
遊次のフィールドには魔法・罠カードを1度無効にするゾロと、モンスターに対象耐性を与えるゴエモンがいる。
攻撃を自分に誘導するユライは、相手から奪ったカードの枚数まで破壊されない。
さらに守備表示であるユライとルパンの守備力は永続魔法「妖義賊の連携陣」によって倍になっている。
譲はこの強力な盤面に挑まなければならない。
譲はカードをドローする前、手札にあるモンスターを見つめていた。
そのカードはビックリボー。譲の相棒と言えるカードだ。
このカードはずっと譲の手札の中に存在していた。
しかし直接攻撃宣言時に発動する効果ゆえ、まだ出番が来ていなかったのだ。
(どんなにピンチでも、いつも君が勇気をくれる。
君がいれば、僕は負けない)
譲はデッキトップに指をかける。
「僕の…ターン!」
譲は祈るようにカードを引く。
「手札から『冽灼の澪装 エルダム』をPスケールにセッティング!」
譲の頭上に、流水の薄衣を纏った水のモンスターが浮かび上がる。
遊次は一瞬の逡巡を見せるも、ゾロの魔法無効効果は使用しなかった。
「エルダムのP効果発動。デッキから炎属性Pモンスター1体を手札に加える。加えるのは『冽灼の踊焔 カグシア』」
「『冽灼の環紗 ネアス』の効果発動!手札の炎属性Pモンスターを特殊召喚できる!
おいで、『冽灼の踊焔 カグシア』」
フィールドに火焔が帯状に交差して形作られた炎の流動体のモンスターが現れる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/OxGwGTh
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
「さらに手札の『冽灼の舞姫 ファリナ』を召喚」
そのモンスターは華麗な姿をした炎のモンスター。
上半身が淡く透けた炎のヴェールのような布に覆われ、腰から下には、炎が布のように分かれた状態で垂れ下がっている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/SJNv1es
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
「手札から魔法カード『冽灼同盟』発動。
EXデッキに炎属性・水属性のPモンスターがそれぞれ2体以上表側で置かれている時、デッキから炎属性・水属性Pモンスターをそれぞれ1体ずつ特殊召喚する」
遊次は目を見開いて"まさか"という表情をする。
「2枚目の『冽灼同盟』…!万が一これがあると思ったからゾロの効果を残しといたんだ!
『妖義賊-快傑ゾロ』の効果発動!相手から奪ったカードが場にある時、相手の魔法・罠を無効にして破壊する!」
ゾロは横一文字にサーベルを振ると、発動された魔法カードは破壊される。
「フフ…本当に目ざといね。
僕にP召喚させないために、エルダムをスケールにセットした時点で無効にするかと思ったけど、君は最悪の負け筋を防ぐ道を選んだ。さすがと言わざるを得ないね」
譲はさぞ満足げな笑みを浮かべる。
もし「冽灼同盟」が通っていれば譲のフィールドにはさらにモンスターが2体増えていたことになる。
それは遊次にとって致命的なものだったと2人は考えているようだ。
これは一手間違えれば敗北へ繋がる戦いだ。
「でも、次の一手は、君でも予想できないだろう。
僕はファリナ、ネアス、カグシアの3体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!」
3体のモンスターはそれぞれ、炎と水の渦となるように、アローヘッドへと入ってゆく。
(ルナイラをまたリンク召喚するのか?いや、でも…)
遊次はフィールドに現れたサーキットを見つめ思考を巡らせる。
「燃え渡る河は壁を穿ち、いま熱き奔流が唸りを上げる。
リンク召喚!リンク3『冽灼の燎河 フェルナード』!」
■冽灼の燎河 フェルナード
リンクモンスター
リンク3/火/炎/攻撃力2500
【リンクマーカー:左下/下/右下】
属性が異なる「冽灼」モンスター2体以上
このカード名の②③④の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は「水」としても扱う。
②:このカードが特殊召喚に成功した場合、自分のPゾーンのカードの数まで、相手フィールドのカードを対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る。
③:このカードのPゾーンにモンスターがP召喚された場合に発動できる。
そのモンスターの攻撃力は400アップする。
④:このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時、手札を1枚捨てて発動できる。
このカードの攻撃力を500アップし、もう1度続けて攻撃できる。
現れたモンスターは、左右で赤と青に分かれた半身を持つモンスターでありながら、ルナイラとは異なるリンクモンスターだった。
左半身は紅蓮の炎に包まれ、燃え盛るような刃の大鎌を握っている。
右半身は深い蒼に染まり、冷ややかな水気を纏った三叉槍を構えている。
胸の中心には菱形の結晶が輝き、背からは炎と水流が翼のように広がっていた。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/HWvqK8I
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
「リンク素材となったファリナの効果発動。
さらにチェーンして『冽灼の燎河 フェルナード』の効果発動!
フェルナードが特殊召喚された場合、自分のPゾーンのカードの数まで、相手フィールドのカードを墓地へ送る!」
「なに…!?」
予測できなかった譲の新たなエースに、遊次もたじろぐ。
「でもゴエモンの効果で、俺のモンスターは効果の対象にならないぜ」
「わかっている。墓地へ送るのは君の永続魔法『妖義賊の連携陣』とPゾーンの『妖義賊-誘惑のカルメン』だ」
フェルナードは両手の武器を交差させた。
赤き大鎌からは灼熱の炎が奔り、青き三叉槍からは冷徹な水流が解き放たれる。
二つの奔流は渦を巻きながらフィールドを覆い、遊次の永続魔法を飲み込んで消し去った。
さらにその余波は頭上のPゾーンへと伸び、浮かぶカルメンの姿を炎と水に呑み込んだ。
「チェーン1のファリナの効果発動。リンク素材になった時、カードを1枚ドローする」
「ここにきて虹野選手、まだ奥の手が残っていたぁ!!神楽選手の永続魔法が除去されたことで、守備力の倍化はなくなりました!守備力4800で攻撃を誘導する厄介なユライの強さが半減されたといえる!」
勢いを増してきた譲にチームの子供達は不安げな表情を見せている。
「これで虹野さんのPスケールが揃ってしまいました。大丈夫でしょうか…」
観客席の治はメガネを指で上げながら警戒した声色で話す。
「大丈夫だよ。ユライは相手から奪ったカードの数だけ破壊されないから、3回攻撃しなきゃユライは越えられない。遊次のライフには届かないはずだよ」
灯は励ましの言葉をかけるも、それをわかった上で譲はあのリンクモンスターを呼び出したという事実に、胸がざわつく。
譲はまるで指揮者のように両手を大きく広げる。
「さあ、饗宴を始めよう。僕のスケールは1~9。よってレベル2~8のモンスターを同時に召喚可能」
「紅蓮の猛りは命を灼き、蒼き激流は心を凍らす。相克の力よ、終焉をもたらすうねりとなれ。
P召喚!現れよ、僕のモンスター達!」
譲の頭上で振り子が大きく揺れ、その中央の輝きから4つの光がフィールドへと落ちる。
「EXデッキから『冽灼の宴陽 ソリグナ』『冽灼の深淵 ナムリオ』『冽灼の響輪 ヴォルヴ』!手札から『冽灼の爆腕 バリウ』!」
ソリグナは3つの眼を持った火炎の流動体だ。
翼のような炎を背負っており、頭には王冠のような炎が浮かんでいる。
ナムリオは、ソリグナと対を成す水のモンスターだ。
その身体全体が波のように渦巻いており、頭には天使の輪のように水輪が浮かんでいる。
ヴォルヴは脚部が車輪のように渦巻いている炎のモンスター。
バリウは全身が赤く焼けたような炎の体をした屈強なモンスターだ。
「この瞬間、P召喚したヴォルヴの効果発動。さらにチェーンして『冽灼の燎河 フェルナード』の効果を発動。
リンク先にP召喚されたモンスターの攻撃力を400アップする」
冽灼の宴陽 ソリグナ ATK3100
冽灼の深淵 ナムリオ ATK2900
冽灼の響輪 ヴォルヴ ATK2600
「チェーン1のヴォルヴの効果。特殊召喚時、デッキから『冽灼』魔法カードを手札に加える。
加えるのは永続魔法『冽灼協定』。そしてこのカードを発動する」
■冽灼協定
永続魔法
このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分の「冽灼」モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0となる。
②:自分の「冽灼」モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。
③:相手がモンスターを特殊召喚する際に、自分フィールドの炎属性・または水属性モンスター1体をリリースして発動できる。
その特殊召喚を無効にして破壊する。
「この永続魔法は、冽灼モンスターが守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える。
これで準備は整ったよ」
--------------------------------------------------
【譲】
LP4500 手札:2
①冽灼の燎河 フェルナード ATK2500
②冽灼の宴陽 ソリグナ ATK3100
③冽灼の深淵 ナムリオ ATK2900
④冽灼の響輪 ヴォルヴ ATK2600
⑤冽灼の爆腕 バリウ ATK2200
永続魔法:冽灼協定
Pゾーン:冽灼の燐珠 ピオナ、冽灼の澪装 エルダム
EXデッキ(表):ネアス×2、ネリュス、ナルディエル、カグシア、ファリナ
【遊次】
LP3800 手札:2(ジロキチ)
①妖義賊-ゴエモン ATK2500
②妖義賊-快傑ゾロ ATK2800
③妖義賊-山嵐のユライ DEF2400
④妖義賊-怪盗ルパン DEF1500
⑤冽灼の赫鎧 バルグレン ATK3100
⑥冽灼の織灘 ルナイラ ATK2400
Pゾーン:妖義賊-夜駆けのシチベエ
伏せカード:冽灼の噴濫
EXデッキ(表):ナンゴウ、アカホシ、プロメテ
--------------------------------------------------
「バトル!『冽灼の深淵 ナムリオ』で
『妖義賊-山嵐のユライ』に攻撃!」
ナムリオが腕を振り上げると、その水流の身体から鋭い波動が放たれ、ユライへと襲いかかった。
だがユライは怯まず、両手で構えた巨大な斧を正面に突き出す。
「ユライは相手から奪ったカードの数だけ破壊されない!」
水の刃は斧の刃に叩きつけられ、激しい飛沫が弾け散る。
衝撃を受け止めたユライの身体は一歩も退かず、その一撃を防ぎきった。
「だがダメージは通る!」
「ッ…!」
遊次 LP3800 → 3300
「『冽灼の燎河 フェルナード』でユライに攻撃!」
フェルナードが赤き半身を振りかざし、炎を纏った大鎌を大きく薙ぎ払う。
灼熱の刃が弧を描き、ユライへと迫った。
しかしユライはその攻撃を斧で防ぐ。
遊次 LP3300 → 3200
「これでユライの破壊耐性は使い切った!
ダメージステップ終了時、フェルナードの効果発動!
手札を1枚捨て、フェルナードの攻撃力を500アップし、もう1度攻撃できる!再びユライに攻撃!」
フェルナードは水の三叉槍を突き出すと、ユライは防ぎきれず、槍が体を貫き、破壊される。
「くっ…!」
遊次 LP3200 → 2600
「続いて『冽灼の響輪 ヴォルヴ』で、君が僕から奪った『冽灼の織灘 ルナイラ』に攻撃!」
ヴォルヴが全身を炎に変じ、渦巻く火柱を巻き上げながら突進する。
灼熱の奔流はルナイラを正面から呑み込み、赤と青の揺らめきを炎の渦に押し潰した。
ルナイラは炎の奔流に呑まれ、破壊された。
遊次 LP2600 → 2400
モンスターは1体ずつ減ってゆき、じわじわと遊次のライフが削れてゆく。
その様子を観客席の灯たちは不安げな眼差しで見つめる。
「『冽灼の爆腕 バリウ』で『妖義賊-怪盗ルパン』に攻撃!」
バリウが燃え上がる両腕を振りかざし、灼熱の拳を叩き込む。
烈火の衝撃は一直線にルパンを捉え、その身体を炎の奔流に包み込んだ。
「ぐああああ!」
遊次 LP2400 → 1900
「バリウが相手モンスターを破壊した時、効果発動!相手の墓地のカード1枚を除外できる!
『妖義賊-脱出のシェパード』を除外!」
(クソッ…コイツを墓地から回収して展開するつもりだったってのに…!)
遊次は墓地からシェパードを除外し、譲の抜け目なさを再認識する。
「これが最後の一撃だ!『冽灼の宴陽 ソリグナ』で、君の『冽灼の赫鎧 バルグレン』に攻撃!」
ソリグナが炎を揺らめかせながら突き進む。
「しかし、ソリグナとバルグレンの攻撃力は同じ!このままでは相打ちです!」
実況者が攻撃の間際に解説を挟む。
「ダメージステップ、『冽灼の爆腕 バリウ』の効果発動!
冽灼モンスターが相手モンスターとバトルする時、自分フィールドの水属性Pモンスターをリリースすることで、その元々の攻撃力の半分だけ、相手モンスターの攻撃力を下げる!
『冽灼の深淵 ナムリオ』をリリースして、バルグレンの攻撃力を1250下げる!」
バリウが腕を掲げると、ナムリオの身体が水流となり前方へ解き放たれた。
その水は炎の鎧を纏うバルグレンを覆い、燃え盛る力を鈍らせる。
蒸気が立ち昇り、赤き巨躯はその勢いを削がれて膝を沈めた。
冽灼の赫鎧 バルグレン ATK1850
その隙を逃さず、ソリグナが燃え盛る腕を振り抜く。
烈火の奔流が一直線に叩きつけられ、弱った鎧ごとバルグレンを焼き砕いた。
そしてその炎は遊次をも襲う。
「ぐあああああっ!」
遊次 LP1900 → 650
破壊されたバルグレンは譲のもとへと戻る。
バルグレンはPゾーンを破壊することで、自身をPゾーンに置く効果があるが、譲はそれを使わなかった。
譲のPゾーンには対象耐性を与えるピオナがいるため、守りを優先したのだろう。
「僕はこれでバトルを終了する」
譲の猛攻が終わり、なんとか命を繋いでいる遊次に灯は安堵の息を漏らす。
「神楽選手、大きなダメージを受けました!しかしフィールドには依然、相手の墓地からカードを奪うゴエモンと、魔法・罠カードを無効にできるゾロが残っています!」
遊次の場には切り札が残っている。
観客達にもまだ遊次に希望があるように見えた。
だが遊次はフィールドを見つめ、何かを考えている様子だ。
観客席のシャンリンは、譲のプレイについて考えている。
(ルナイラとバルグレンを優先して破壊し、ゴエモンとゾロを残すか…。
奪われたカードを破壊することを優先したから?
だとしても、相手モンスターを奪うルパンを破壊して、ゴエモンを残したのは何故?
ルパンのフィールドのモンスターを奪う効果は、対象耐性がある今、意味を成さないはず…)
譲のプレイに多少の違和感を覚えたシャンリンであったが、Pゾーンのピオナが何かしらの手段で排除されれば、ルパンで譲のモンスターが奪われる可能性もある。
それを警戒した可能性も残る以上、その違和感に答えが出ることはなかった。
「EXデッキの『冽灼の環紗 ネアス』の効果発動。自分の場に炎属性モンスターがいる時、このカードをEXデッキから特殊召喚できる」
フェルナードのリンク先に、藍色の水流が絡まり合って人型を成す仮面をつけたようなモンスターが現れる。
メインフェイズ1ではEXモンスターゾーンとリンク先は全て埋まっていたため、特殊召喚できなかったのだ。
「メインフェイズ2。『冽灼の宴陽 ソリグナ』の効果発動。自分のPカード1枚をデッキに戻して、名称の異なる冽灼Pカードを、Pゾーンにセットする。エルダムをデッキに戻し『冽灼の泡紋 メルダ』をPゾーンにセットする」
譲の頭上に水滴のような小さなモンスターが浮かび上がる。
「Pゾーンのピオナとメルダによって、僕のモンスターは効果の対象にならず、メルダ以外の魔法・罠カードは相手の効果で破壊されない。そしてご存じの通り、ソリグナは相手のモンスター効果を無効にして破壊できる」
「永続魔法『冽灼協定』は、冽灼モンスターの戦闘で発生する僕へのダメージを0にする。
さらに自分の炎属性・水属性モンスターをリリースすることで、チェーンブロックを作らない特殊召喚を無効にできる。これでターンエンドだ」
--------------------------------------------------
【譲】
LP4500 手札:1
①冽灼の燎河 フェルナード ATK3000
②冽灼の宴陽 ソリグナ ATK3100
③冽灼の響輪 ヴォルヴ ATK2600
④冽灼の爆腕 バリウ ATK2200
⑤冽灼の環紗 ネアス DEF1600
永続魔法:冽灼協定
Pゾーン:冽灼の燐珠 ピオナ、冽灼の泡紋 メルダ
EXデッキ(表):ネアス×2、ネリュス、ナルディエル、カグシア、ファリナ、ナムリオ、バルグレン
【遊次】
LP650 手札:2(ジロキチ)
①妖義賊-ゴエモン ATK2500
②妖義賊-快傑ゾロ ATK2800
Pゾーン:妖義賊-夜駆けのシチベエ
伏せカード:冽灼の噴濫
EXデッキ(表):ナンゴウ、アカホシ、プロメテ
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「ユライのおかげでなんとか耐えきったな。それでもライフはかなり削られたが」
「炎と水のシンクロモンスターが並んだ時みたいな絶望感はないけど…ここで遊次が攻め切れなかったら、貫通ダメージと数の力で押し切られちゃう」
観客席のイーサンと灯は、フィールドを見つめながら状況を整理する。
「何をそんなにしょげてんだい。こういう状況を打開できるカードがあるじゃないか」
ダニエラは灯やイーサンとは違い、あっけらかんと言い放つ。
「『爆炎の予告状』だな。譲のフィールドは全体破壊への耐性がねえ。
フィールドを全部ブッ潰しちまえば、後はゴエモンとゾロで攻撃するだけだぜ」
ドモンが屈強な腕を組み、得意げに言う。
「確かにそうだけど…」
ドモンの言うことは正しかったが、灯とイーサンは言葉に言い表せない不安を覚えていた。
怜央は腕を組みながら、黙っている。
その脳裏には、自分が譲との対戦で敗北したその瞬間…
手札から突如現れた"あるモンスター"によって一瞬で逆転された時の記憶がフラッシュバックしていた。
「怜央、お前がビビってんのはビックリボーとかいうモンスターだろ。
でもあれは自分自身と、手札・EXデッキ・墓地のもう1体のモンスターでS召喚して、攻撃してきたモンスターと強制的にバトルさせる効果だ」
「お前がやられたバルグレンって炎のSモンスターはレベル9。
レベル1のビックリボーとシンクロするには、EXデッキの表側か手札・墓地にレベル8の炎属性が必要だ。
でもそのレベル8のソリグナは譲のフィールドにしかいねえ」
「まあEXデッキには水属性レベル8のナムリオがいるから、ビックリボーの効果で水のレベル9シンクロのナルディエルを呼び出される可能性はあるけど…あれはスタンバイフェイズにしか効果を発揮できないさね。
ゴエモンで相手モンスターを奪った後にソイツをリリースして攻撃力を上げれば、ナルディエルが壁として出てきても譲のライフは削り切れるってわけさ」
ドモンの言葉をダニエラがさらに補足する。
「つまり、ダイレクトアタックしても、遊次の負けはねえってわけだ」
「…だといいがな」
ドモンとダニエラの理路整然とした言葉を受けてもまだ、怜央は表情を変えなかった。
遊次は譲のフィールドを見つめ、未だ考えを巡らせていた。
譲はその姿に余裕の視線を送る。
(『冽灼協定』がある以上、いくら攻撃力を上げて僕のモンスターを攻撃しても、僕へのダメージは0だ。
相手モンスターの攻撃力を下げるバリウもいる以上、僕のモンスターをバトルで全て破壊した上で、僕に傷を負わせるのは不可能に近い…)
(君のライフは残り僅か。僕にターンを渡すことが命取りなのはわかるはずだ。
ならば君は、僕のフィールドを無理やりこじ開けるか、モンスターを無視して攻撃するかで、次のターンに決着をつけるしかない。それこそが…僕の定めた"たった1つの道"だ)
譲は何重にもなる狡猾な罠を仕掛けていた。逃げ道を塞ぎ、相手を一つの道に誘導する。彼の得意技だ。
譲は手札に残ったビックリボーに、一瞬だけ視線を移す。
(待ってて、ビックリボー。
もうすぐ、君に最高の勝利を見せてあげるから)
譲がターンを終えたから、すでに数十秒が経過している。
それでも遊次は、思考を続けていた。
(この俺のターンで決めきるしかねえ。
俺に残された道は…"1つ"だ)
遊次はついに顔を上げ、前を見る。
譲と視線が交差する。
両者ともが確信していた。
このターンで、全てが決まると。
遊次がデッキトップに置いた指先に力を込める。
「俺の…ターン!」
遊次はカードを引く。
「ゴエモンの効果発動!相手の墓地からカードを奪う!『冽灼の織灘 ルナイラ』をまた奪わせてもらう!」
炎と水の半身を持つモンスターが遊次のフィールドに現れる。
「手札から『妖義賊-戴火のプロメテ』をセッティング!」
遊次の頭上に火の玉のモンスターが浮かび上がる。
「いくぜ!俺のスケールは2~8、よってレベル3~7のモンスターが同時に召喚可能!
ペンデュラム召喚!来い、俺のモンスター達!」
遊次の頭上の振り子が大きく揺れ、2つの光がフィールドへと落ちる。
「EXデッキから『妖義賊-美巧のアカホシ』!
手札から『妖義賊-駿足のジロキチ』!」
2つの光がフィールドに達した瞬間、譲が右手を掲げる。
「永続魔法『冽灼協定』の効果発動。僕のフィールドから『冽灼の環紗 ネアス』をリリースして、その特殊召喚を無効にする!」
フィールドに注いだ2つの光は、泡へと消える。
「あまりにも無慈悲な効果だぁーー!!貴重なペンデュラム召喚が、あっけなく無効にされてしまったぁ!神楽選手に次なる策はあるのでしょうかぁ!?」
「まだまだぁ!『妖義賊-夜駆けのシチベエ』のP効果発動!デッキから妖義賊カードを1枚墓地に送る!
罠カード『妖義賊の見参』を墓地へ!
さらに今墓地に送ったこのカードを除外して効果発動!墓地の妖義賊を手札に加える!ジロキチを手札に戻す!」
「今手札に戻したジロキチを召喚だ!」
遊次のフィールドにほっかむりを被ったネズミが現れる。
「ジロキチが召喚された時、効果発動!デッキから妖義賊モンスターを1体、手札に加える!」
譲は少し考えた様子を見せた後、手を前にかざす。
「『冽灼の宴陽 ソリグナ』の効果発動。
『冽灼の響輪 ヴォルヴ』をリリースして、その効果を無効にし、破壊する」
ヴォルヴが風に吹かれたように消えると、ソリグナの3つの眼が光る。
その瞬間、ジロキチは苦しみ、破壊される。
遊次は追い詰められたような表情を浮かべる。
だが、まだ遊次には希望が残っている。
遊次は頭上にゆらりと浮かぶモンスターを見つめる。
「プロメテのP効果発動!相手から奪ったカードがある時、デッキの上から5枚めくって、その中の妖義賊カードを1枚手札に加えられる」
■妖義賊-戴火のプロメテ
ペンデュラムモンスター/チューナー
レベル4/火/炎/攻撃力1000 守備力200 スケール2
【P効果】
このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドに「ミスティックラン」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを効果を無効化して自分フィールドに特殊召喚する。
②:自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在する場合に発動できる。
自分のデッキの上からカードを5枚めくり、
その中から「ミスティックラン」カード1枚を選んで手札に加える。
残りのカードは好きな順番でデッキの一番下に戻す。
【モンスター効果】
このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
②:自分フィールドの「ミスティックラン」モンスター1体をリリースし、
相手の除外状態のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
③:このカードがフィールドからEXデッキに表側表示で加わった場合に発動できる。
このカードをPゾーンに置く。
遊次はデッキトップから5枚を手に取り、扇状に広げて表にする。
その中のカードに、譲や灯・イーサン…そして空蝉やシャンリンなど、一部のデュエリスト達は目を見開く。
遊次は一瞬迷いを見せたものの、1枚のカードを手札に加える。
「俺は、魔法カード『妖義賊の即日決行』を手札に加える」
(そうだ。君にはその道しか残されていない)
譲はまるで意思を送るように、遊次が手札に加えたカードを見つめる。
(今手札に加えたカードは、予告状をデッキから墓地へ送り、そのまま除外するカード。
『爆炎の予告状』を除外すれば、虹野譲のフィールドは全て破壊され、残るは直接攻撃をするのみ)
観客席の空蝉も、腕を組みながら遊次の勝ち筋を模索する。
(直接攻撃をするとなると、やはり警戒すべきはビックリボーによるシンクロと、強制戦闘。
しかし、EXデッキ・墓地にレベル8のソリグナがいないことから、炎シンクロのバルグレンは来ぬ。
水シンクロのナルディエルもただの壁にしかならない以上、脅威ではない…)
(もはや迷う猶予はないぞ、神楽遊次。そなたに次のターンは無いのだ)
空蝉の思考も、譲の思惑通りに構築される。
当然の思考回路だ。他の全ての逃げ道が塞がれ、通るべき道が一つしかないのだから。
しかしその道を進んだ先に何があるかは、全てを仕組んだ虹野譲だけが知っていた。
(君が僕のフィールドを破壊してダイレクトアタックしてきた時…君の"最期"を飾るのは、この会場の誰もが知らないカードだ)
譲の脳内に、白いカードが1枚浮かぶ。
その星の数は10。
その名は「冽灼の皇鎧 バルグレンディア」。
バルグレンの進化系といえるモンスターであった。
このバルグレンディアの姿はさらに鎧そのものが炎と同化しており、赤熱した金属が脈動するかのように輝いている。右腕に握るのは大槌のごとき戦鎚。
バルグレンが「炎を纏った戦士」だったなら、この進化系はまさに炎そのものを操る巨躯の破壊者だった。
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(バルグレンディアは、EXデッキの全てのPカードの攻撃力分、攻撃力が上がる。
ビックリボーでこのモンスターをS召喚し、君のモンスターと強制的にバトルさせれば…
このデュエルは結する)
全ての逃げ道を潰した先…逃げ込んだ袋小路で、相手を圧死させる。
それこそが虹野譲のデュエル。
そして遊次も、1歩1歩と、その袋小路へと足を踏み入れていた。
遊次は手札の速攻魔法「妖義賊の即日決行」を見つめる。
その目にはかすかな迷いが生じていた。
遊次は目の前の譲に視線を移す。彼の眼は強い覇気を放っていた。まるでそれは殺気のようだった。
しかしそれは勝利への渇望か、それとも相手を威圧し、迷いを生じさせるためのものなのか、観客達にはわからなかった。
しかし、遊次にはわかった。
その表情には微かな…安らぎが浮かんでいることに。
再び遊次の視線は手札に移る。
しばらく手札の"速攻魔法"を見つめた後、遊次は前を見据える。
その瞳に、もう迷いはなかった。
--------------------------------------------------
【譲】
LP4500 手札:1
①冽灼の燎河 フェルナード ATK3000
②冽灼の宴陽 ソリグナ ATK3100
③冽灼の爆腕 バリウ ATK2200
永続魔法:冽灼協定
Pゾーン:冽灼の燐珠 ピオナ、冽灼の泡紋 メルダ
EXデッキ(表):ネアス×2、ネリュス、ナルディエル、カグシア、ファリナ、ナムリオ、バルグレン
【遊次】
LP650 手札:2(妖義賊の即日決行)
①妖義賊-ゴエモン ATK2500
②妖義賊-快傑ゾロ ATK2800
③冽灼の織灘 ルナイラ ATK2400
Pゾーン:妖義賊-戴火のプロメテ、妖義賊-夜駆けのシチベエ ATK2100
伏せカード:冽灼の噴濫
--------------------------------------------------
遊次は大きく息を吐き、少し儚い笑みを浮かべながら、譲へ話す。
「わかってるよな。次の一手が、この勝負を決めるって」
遊次と譲の視線が交わる。
相反する"願い"と、共鳴する"デュエルを楽しむ心"。
複雑に混ざり合う決闘の中で、2人は、2人にしか抱くことのできない感情を共有した。
たった一手で、人生が変わる。
それは良いようにも、悪いようにも。
そんな熾烈な戦いを、2人は己の願いを胸に、戦い抜いてきた。
「もし失敗しちまったら…俺はまた4年後、出直しだ。
負ければ、俺の大事な人たちを、哀しみの中に突き落としちまう」
「…でもさ。
それでも…俺は何年後も、何十年後も、思うだろうな」
「この一手に、"後悔"はないって」
遊次は手札から、1枚の速攻魔法を手にする。
「速攻魔法…発動!『妖義賊の早業』!」
■妖義賊の早業
速攻魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分のPゾーンの「ミスティックラン」Pカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを特殊召喚する。
②:墓地のこのカードを除外して発動できる。
元々の持ち主が相手となるモンスターを手札から特殊召喚する。
「なっ…!」
誰もが予想せぬカードに、譲も、観客も、声にならない声を上げた。
なぜ、"妖義賊の即日決行"ではないのか。
その答えは、すぐにわかる。
「このカードは、俺のPゾーンのモンスター1体を特殊召喚する効果がある。
特殊召喚するのは、『妖義賊-夜駆けのシチベエ』!」
遊次が自分の右上の頭上に天高く指を突き立てる。
その合図と共に、Pゾーンから青いマントを翻し、兎の獣人はフィールドに降り立つ。
「『妖義賊-夜駆けのシチベエ』の効果発動!
特殊召喚時、俺の手札の枚数が相手の手札以上の場合、俺と相手の手札を、全て入れ替える!」
■妖義賊-夜駆けのシチベエ
ペンデュラムモンスター
レベル5/地/獣/攻撃力2100 守備力1500 スケール8
【P効果】
このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの「ミスティックラン」Pモンスター1体を対象として発動できる。
そのカードを自分のPゾーンに置く。
②:自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在する場合に発動できる。
デッキから「ミスティックラン」カードまたは「予告状」魔法カード1枚を墓地へ送る。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できず、③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分の手札が相手の手札の枚数以上で、このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
自分・相手の手札を全て入れ替える。
②:自分・相手の魔法&罠ゾーンにカードが存在し、このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
自分・相手フィールドの魔法&罠ゾーンのカードを全て入れ替える。
③:自分メインフェイズに発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。
シチベエが遊次の方を見ると、遊次は頷き、1枚の手札をシチベエに渡す。
それを持ってシチベエは、目にも止まらぬ速さで譲のもとへと向かう。
シチベエが譲の目の前で急停止すると、豪風が譲の背後で巻き起こる。
シチベエは譲に遊次から受け取った1枚の手札を手渡す。
呆然としていた譲は、その瞬間に譲ははっとした。
「び…ビックリボー…!!」
譲は、自分に残された最後の手札を強く握りしめる。
しかしシチベエは譲が握りしめる手札に指をかけ、譲の眼をじっと見つめる。
そして、譲の指から、その1枚はゆっくりと離れる。
シチベエは譲に背を向け、遊次の方へと素早く戻ってゆく。
その瞬間。
「ビックリボォオオオ!!」
車椅子から、譲の身体が浮いた。
ただ、前へ。前へ、手を伸ばした。
しかし、脱兎はさらに遠くへゆく。
譲の身体は車椅子から転落し、強くフィールドへ叩きつけられた。
観客達はただ絶句し、会場に静寂が訪れた。
譲は、手を伸ばしたまま、地に伏せている。
その足は、決して動くことはなかった。
「虹野選手ッ!!」
フィールドに2名のスタッフが現れ、譲の体を起こし、車椅子へと優しく戻す。
遊次は何も言わず、譲の姿をただ見つめていた。
「な…なん…で…。なんでだ…。
なんで僕の手札が…ビックリボーだって…」
譲は錯乱したまま言葉を吐く。
遊次は、真っ直ぐと言葉を返す。
「…理由はいっぱいある。
まず、爆炎の予告状があまりにも通り過ぎる盤面だった。
これは最初のターンでもお前が仕掛けた罠だけど、それを読まれようがお前には関係なかったんだ。
俺の取れる選択肢は1つだけだったんだからな」
遊次は言葉を紡ぎ続ける。
それは、混乱と絶望の最中でも"答え"を求める、デュエリストとしての譲に応えるためだ。
「お前のフィールドは何重にも耐性があって、簡単に突破できるもんじゃねえ。
でも守りを固めて様子を見ようにも、たった650のライフじゃ耐えられるわけねえ。
だから、俺には攻めるしか道がなかった。それが罠かもしれなくても、な」
「もし道が1つしかないなら…人は、その道が"大丈夫だ"って思い込もうとするんだ。
だからお前はわざと光を作って、その道を照らした。
この道は安全だ、進んでも大丈夫だ…そう思わせるためにな」
遊次の言葉に、観客達も、実況者でさえも耳を貸すしかなかった。
譲の意図を理解できるのは、やはり彼しかいないから。
「お前は今までレベル9のSモンスターを呼び出して来た。特に炎シンクロのバルグレンは、Pゾーンの攻撃力を集約して、とてつもねえ攻撃力で反撃してくる。でも今のお前の状況からは、ビックリボーの効果でバルグレンをS召喚できない。墓地にもEXデッキにも当然手札にも、バルグレンの必須条件のレベル8炎属性がいないからな」
「呼び出せるとしたら水属性Sのナルディエルだけど…あのカードはS召喚したその時には効果を使えねえ。
もしビックリボーで呼び出されても壁にしかならねえし、ゴエモンの効果で俺のモンスターの攻撃力を上げれば突破できる。
そのためにお前はゴエモンを残したんだろ」
ビックリボーでバルグレンをS召喚できる可能性はなく、ナルディエルは壁にもならない。
ならば、直接攻撃をしても問題ない。
それこそが、譲の用意した、一本の道を照らす"灯り"。
故に、ドモンやダニエラ、そして空蝉でさえも、その道が安全であると確信した。
その道を"進むしかない"のなら、人は進んでもよい"理由"を探す。
譲は、わざとその理由を創り上げ、道を進ませた。
それが遊次の考えだ。
「それは…道を進んでもいいという根拠だろ。
なのに君は『妖義賊の即日決行』で『爆炎の予告状』を除外して、僕のフィールドを破壊する選択肢を捨て、僕の手札のビックリボーを奪うという"一点"に賭けた。なんでだ…なんで…」
譲は、心底納得できない様子でまくし立てる。
「一番の理由は、前のターン、お前がナルディエルをS召喚しなかったことだ。
チューナーとチューナー以外を並べれば、お前はナルディエルをまたS召喚できた。
ナルディエルがいれば、お前のPゾーンのピオナの攻撃力900以上のモンスターは攻撃できない。
もしお前が本当に俺の直接攻撃に打つ手がないなら、ナルディエルで俺の攻撃を止めるべきだろ」
実際、ヴォルヴの効果で水属性モンスターをリリースすることで、水属性の非チューナーをデッキから特殊召喚し、ヴォルヴとその非チューナーでナルディエルをS召喚することができた。
しかし譲はその選択を取らなかった。
「…ナルディエルをS召喚したところで、爆炎の予告状があれば結局は僕のモンスターは破壊される。
君は前のターンでもナルディエルの制圧を破ってみせたじゃないか。
永続魔法『冽灼協定』も、ソリグナも、効果発動のためにリリースを要する。
だから僕はモンスターの頭数を増やすことを優先したまでさ」
譲は余裕を見せながら返すも、遊次は静かに首を振る。
「それだけじゃ、ナルディエルを呼ばない理由としてはちょっと弱いな。
ナルディエルの広範囲のモンスター効果無効がありゃ、
ソリグナのモンスター効果無効は最悪なくたっていい。
なのにソリグナのリリース要因のためにモンスターを用意する必要があったってのは、おかしな話だよな?」
遊次は普段と違って、論理的な解を的確に返す。
「だから思ったんだ。呼ばなかったんじゃなくて…"呼べなかった"んだってな」
譲は言葉を詰まらせる。
「そっから逆算したら、だんだんお前の真の狙いが見えてきた。
ナルディエルは相手の魔法・罠カードを一掃する効果を持ってるよな。
でも、お前はその効果を使うわけにはいかなかった。
それは"PゾーンのシチベエがEXデッキに送られちまうから"だ」
譲は思わず目を見開く。
遊次の読みは図星のようだ。
「ナルディエルを呼んでおいて、魔法・罠破壊の効果を使わなきゃ、当然俺に違和感を持たれる。
だからお前はナルディエルを呼ぶこと自体できなかったんだ」
しかし遊次だけはそれこそが違和感であると見破った。
「お前が嫌がってたのは、EXデッキからシチベエをP召喚されて、手札を交換されること。
その理由は、手札のビックリボーこそ、お前の切り札だからだ。
だからPゾーンにさえシチベエを残せば、P召喚を防げると思った。
まさかPゾーンから特殊召喚する魔法カードがあるなんて、思ってもねえだろうしな」
「フェルナードがL召喚した時、俺のカードを2枚墓地に送る効果が発動した。
ゴエモンでモンスターは対象に取れなかったから、選べるのは永続魔法とPゾーンの2枚だ。
そこで墓地に送られたのは、永続魔法とPゾーンのカルメン。シチベエだけが残ったんだ。
そのことも踏まえれば、お前がシチベエの"手札交換"を嫌がってたと読めるわけだ」
譲は俯き、拳を強く握りしめる。
「相変わらずの決闘眼(デュエル・インサイト)だぜ」
怜央はふっと笑い、呟く。
「お前がビックリボーを頼りにしてるなら、EXデッキにレベル8の炎属性がいなくても、シンクロできるモンスターがいるってことだ。バルグレンとシンクロしてレベル10のモンスターを呼び出すとかな」
(…全てお見通しというわけか)
譲の体から、少しずつ力が抜けてゆく。
「でも、最後の一押しになったのは…お前の顔かな」
「顔…?」
「あぁ。お前、ずっとどっか安心した顔してるから。
俺が即日決行を引いてピンチのはずなのに、何も不安を感じてなかった。
その理由は、頼れる相棒がいるからだろ」
譲はあっけに取られるが、その表情はすぐに和らぐ。
「…信頼は、隠せなかったみたいだね」
しかしその表情は、どこか寂しげでもあった。
遊次は手札のビックリボーを見つめる。
(このままじゃ終わらせられねえ)
遊次は墓地から1枚のカードを掴む。
「墓地の『妖義賊の早業』を除外して効果発動。
手札の相手から奪ったモンスターを特殊召喚する。
来い、ビックリボー」
フィールドに、ビックリ箱から飛び出る小さな悪魔が現れる。
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「ビックリボー…」
譲は、その姿を見て途端に手を伸ばす。
ビックリボーもそんな譲を見て浮かない表情をしている。
「悪いな、ビックリボー」
ビックリボーの目を見て話しかける遊次に、ビックリボーは強い眼差しで返す。
しかし、遊次にはその瞳に宿る意思がすぐにわかった。
「…そっか。強いヤツだな、お前」
遊次はビックリボーに優しい声色で話す。
譲はまるでモンスターと心を通わせるかのような遊次を、驚きの表情で見つめていた。
「ビックリボーは、この闘いに文句はねえってさ。
デュエルは、真剣勝負だから面白いんだって、そう言ってる」
「ほ、本当にビックリボーの声が聞こえてるとでも言うのか!?」
心底信じられないと言った様子の譲に、遊次は落ち着いた声で返す。
「あぁ、なんでかわかんないけどな。
お前も、ビックリボーがこういうヤツだってわかってると思うぜ」
譲は否定しなかった。
ビックリボーは、いつも自分と一緒にデュエルを楽しんでいた。
(だから僕は…君にもっと面白い世界を見せてあげたいと思ったんだ)
しかし、その願いも、もう。
「ビックリボーは、諦めてねえぞ」
遊次は真剣な表情で言う。
「諦めて…ない?」
「お前の、命を」
譲は、はっとした。
遊次の言葉に呼応するように、ビックリボーも真剣な眼差しで譲を見つめていたからだ。
(君は、本当に…)
「俺は、お前を超えて本戦に進む!
でも、お前のことも絶対に救ってみせる!」
「不可能なんてねぇんだ!
俺がこのデュエルで証明してやる!」
遊次は高く腕を伸ばす。
「俺はレベル7『妖義賊-快傑ゾロ』に、レベル1『ビックリボー』をチューニング!」
ビックリボーが光の輪となり、ゾロがその中に飛び込んでゆく。
「亡霊の囁きが幻影の賢者を呼び覚ます。光なき檻より甦り全てを欺け」
「シンクロ召喚!現れよ!
『妖義賊-幽玄のカリオストロ』!」
■妖義賊-幽玄のカリオストロ
シンクロモンスター
レベル8/闇/悪魔/攻撃力2700 守備力1000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが元々の持ち主が相手となるモンスターをS素材としている場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
②:相手フィールドのモンスターが効果を発動した場合、
自分フィールドの元々の持ち主が相手となるカード1枚を墓地へ送って発動できる。
その効果は「このカードのコントロールを相手に移す」となる。
それは全身を幾重にも巻かれた黒布に覆われ、
まるで意志を持つかのように、布が風もなく舞い踊る姿。
眼孔の奥で鈍く輝く紅き両目が、瞬時に空気を凍らせた。
左右の腕には鋭く湾曲した双刃を携えている。
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「ゴエモンの効果発動!相手から奪ったモンスターをリリースして儀式召喚されている場合、相手から奪ったモンスターをリリースして、その元々の攻撃力分、全てのモンスターの攻撃力を上げる!
ルナイラをリリースして、その攻撃力を俺のモンスターに加える!」
妖義賊-ゴエモン ATK4900
妖義賊-夜駆けのシチベエ ATK4500
妖義賊-幽玄のカリオストロ 5100
「カリオストロは相手から奪ったモンスターを素材としている時、相手にダイレクトアタックできる」
「勝利は、俺が頂いたぜ」
これが、常人を逸する思考の果てに辿り着いた、遊次の答え。
譲のデッキにはレベル3のチューナーはなく、奪ったカードでシチベエとのシンクロ召喚を行うことはできない。
そしてレベル1チューナーはビックリボーだけだ。
速攻魔法「妖義賊の早業」を発動してシチベエの効果で手札を交換するという条件で遊次が勝利するには、譲の手札がビックリボーであるというただ一つの条件を満たすしかない。
シチベエの手札交換の効果発動には、自分の手札が相手の手札の枚数以上でなければならない。
遊次のもう1枚の手札は「妖義賊の即日決行」であり、「譲の手札がビックリボーでない」または「手札のビックリボーから有効なSモンスターを召喚できない」場合は、即日決行の方を使って「爆炎の予告状」を除外し、譲のフィールドを破壊した後に、直接攻撃するのが勝利のルートだ。
しかしこのルートを選んでいれば、ビックリボーの効果でバルグレンディアがS召喚され、遊次は敗北していた。
仮に全て読めていたとしても、手札のビックリボーに抗うすべは少ない。
だが遊次は、迷い込んだ袋小路に無理やり穴をぶち空け、道を作り出したのだ。
譲は脱力し、車椅子にもたれかかる。
その顔は、空を向いている。
雲一つない、真っ青な空だった。
「まったく…呆れるよ。
もし僕の手札がレベル1チューナーのビックリボーじゃなければ、君は負けていたんだよ」
「俺は、俺が進む道を信じただけだ。
こんな最高の戦いを、悔いが残るデュエルにはしたくなかったからな」
遊次は無邪気に笑ってみせる。
その言葉を聞いた譲の頭の中で"彼女"の言葉が反響する。
(残された命をどう使うかすら考えたことないヤツが、生きたいなんて喚くな。
そんな命なら、私によこせッ…!)
そうか。
君は、こういう気持ちになれる瞬間を望んでいたんだ。
譲はふっと笑う。
「終わらせてくれ、君の手で」
譲は遊次に言う。
しかし、その表情には諦めや絶望といった感情はない。
まるで、子供に戻ったような笑顔だった。
遊次は胸の前で拳を握り目を瞑ると、意を決して前を向く。
「バトル!『妖義賊-幽玄のカリオストロ』でダイレクトアタック!」
カリオストロは立ち塞がるモンスター達をすり抜け、譲に迫る。
(遊次クン…君は、いつも僕の予想を超えるデュエルを見せてくれた)
その刹那、譲の中に、次々と記憶が飛び込んでくる。
「妖義賊の予定変更」で予告状をキャンセルする場面。
オイレンシュピーゲルが放つ星の光が大きくなり、ナルディエルを突破する場面。
そして、唯一の希望であったビックリボーを奪われた場面。
カリオストロが、スローモーションで自分に斬りかかる中、
まるでそれは、映画のフィルムのように、譲の頭の中で流れた。
次に思い出したのは、初めてテレビでデュエルチャンピオン「天王寺高貴」を見た時の記憶だ。
譲は感じた。「こんな人に勝てるわけがない」と。
あの時と…同じ感覚だ。
初めて天王寺さんを見た、あの時と。
譲は思わず、優しい笑みを浮かべる。
今、やっとわかった。
僕は、君とデュエルするために、生きてきたんだ。
カリオストロが二つの刃を振り下ろし、一瞬で譲の背後に回り込む。
「生きてほしい」という母さんの願いを叶えるために、
ビックリボーに、"頂上"で面白い世界を見せるために、
僕は生きてきた。
遊次クンは、僕の願いを背負い、僕を救う道を探すという。
その言葉に、疑いはない。
僕も、君に託してみようと思っている。
それでも、僕は言おう。
たとえ、この命が終わっても…
君と戦って死ぬのなら、悔いはないと。
譲 LP4500 → 0
「しょ…勝者、神楽遊次ッ!!
ヴェルテクス・デュエリア 本選への切符を手にしたのは、神楽遊次ーー!!!」
スタジアムは、熱狂と歓声に包まれた。
灯とイーサンは立ち上がって喜びを露わにし、
子供達は次々と怜央に抱き着き、怜央はその中に埋もれながら、必死に手を伸ばしている。
その姿を見て、ドモンとダニエラは指をさして笑い、
アキトは歓声の中、堂々とスタジアムに立つ友人に誇らしさを覚えた。
そしてもう1人、遊次の姿を涙ながらに見つめる人が1人。
遊次が"おばちゃん"と呼ぶ女性だ。
(みんな、アンタを見てるよ…遊次。
この町のために、1人で抱えきれないぐらいのもん背負って、それでも必死で立って。
そんな背中に、みんな救われてるんだよ)
(アンタはもう、この町の光だ)
遊次が、観客席を見上げると、おばちゃんと目が合った。
遊次は、笑顔で親指を立てた。
そして、すぐに譲の方へ向き直り、歩いてゆく。
譲の前に立った遊次は、右手を差し出す。
「楽しかったぜ。また、やろうな」
「…あぁ!」
譲は、遊次の右手を握った。
第55話「たとえ、この命が終わっても」 完
譲、そしてマルコスや空蝉。
遊次は、彼らの願いを背負うことを改めて伝える。
Nextは余命1年の譲を救う方法を探すことに。
一方、ニーズヘッグはセカンド・コラプス計画の達成のため、パラドックス・ブリッジの最後の鍵を探し求めていた。
そしてオスカーが目を付けたのは、パラドックス・ブリッジ開発者である神楽天聖の息子を任された、イーサン・レイノルズだった。
そんな中、Nextにある依頼が舞い込む。
それは幽霊が見たいという、若い研究者の女性だった。
しかしこの依頼が、彼らをとある巨大な運命へと誘うこととなる。
葛藤し苦悩するイーサンは、やがてある決断をする。
そして明かされる、隠された真実。
モンスターワールドという異世界。
空間に裂け目を入れるパラドックス・ブリッジなる装置。
14年前、黄金の鎧のモンスターが町を破壊した大災害「コラプス」。
激昂する怜央。
現れた依頼人に心当たりのある灯。
衝撃の事実を知った遊次は…。
「今までどのツラ下げて、俺達と一緒にいたんだよ、テメェは!!」
次回 第56話「交わる運命」
しかし遊次は父との記憶を呼び醒まし、時間は大切な人を苦しめてしまうことを思い出す。
ここで敗北すれば、次に願いを叶えられるのは4年後。
その間も、ドミノタウンの人達は、コラプスの爪痕に苦しさと哀しさを抱える続けることとなる。
遊次はそれを許すことはできなかった。
そして数多のカードを繋ぎ、ついに遊次は譲の完璧と思われた盤面を崩す。
遊次の最終盤面には、儀式・融合・エクシーズ・シンクロ・リンク・ペンデュラム…あらゆる種類のモンスターが立ち並んでいた。
対する譲は目の前の光景に高笑いを上げた。
彼は命の懸ったデュエルの中でも、楽しさを見出さずにはいられなかった。
そしてそれは遊次も同じだ。
勝つのは、多くの人の願いを背負い、仲間と歩もうとする遊次か。
それとも、幼い頃に描いた未来のために、孤独に闘ってきた譲か。
この決闘は、もうじき幕を下ろす。
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【譲】
LP4500 手札:3(ファリナ)
①冽灼の環紗 ネアス DEF1600
EXデッキ(表):ナムリオ、ヴォルヴ、ネアス、ネリュス、ソリグナ、ナルディエル
Pゾーン:冽灼の燐珠 ピオナ
【遊次】
LP3800 手札:2(ジロキチ)
①妖義賊-ゴエモン ATK2500
②妖義賊-快傑ゾロ ATK2800
③妖義賊-山嵐のユライ DEF4800
④妖義賊-怪盗ルパン DEF3000
⑤冽灼の赫鎧 バルグレン ATK3100
⑥冽灼の織灘 ルナイラ ATK2400
永続魔法:妖義賊の連携陣
Pゾーン:妖義賊-誘惑のカルメン、妖義賊-夜駆けのシチベエ
伏せカード:冽灼の噴濫
EXデッキ(表):ナンゴウ、アカホシ、プロメテ
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遊次のフィールドには魔法・罠カードを1度無効にするゾロと、モンスターに対象耐性を与えるゴエモンがいる。
攻撃を自分に誘導するユライは、相手から奪ったカードの枚数まで破壊されない。
さらに守備表示であるユライとルパンの守備力は永続魔法「妖義賊の連携陣」によって倍になっている。
譲はこの強力な盤面に挑まなければならない。
譲はカードをドローする前、手札にあるモンスターを見つめていた。
そのカードはビックリボー。譲の相棒と言えるカードだ。
このカードはずっと譲の手札の中に存在していた。
しかし直接攻撃宣言時に発動する効果ゆえ、まだ出番が来ていなかったのだ。
(どんなにピンチでも、いつも君が勇気をくれる。
君がいれば、僕は負けない)
譲はデッキトップに指をかける。
「僕の…ターン!」
譲は祈るようにカードを引く。
「手札から『冽灼の澪装 エルダム』をPスケールにセッティング!」
譲の頭上に、流水の薄衣を纏った水のモンスターが浮かび上がる。
遊次は一瞬の逡巡を見せるも、ゾロの魔法無効効果は使用しなかった。
「エルダムのP効果発動。デッキから炎属性Pモンスター1体を手札に加える。加えるのは『冽灼の踊焔 カグシア』」
「『冽灼の環紗 ネアス』の効果発動!手札の炎属性Pモンスターを特殊召喚できる!
おいで、『冽灼の踊焔 カグシア』」
フィールドに火焔が帯状に交差して形作られた炎の流動体のモンスターが現れる。
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「さらに手札の『冽灼の舞姫 ファリナ』を召喚」
そのモンスターは華麗な姿をした炎のモンスター。
上半身が淡く透けた炎のヴェールのような布に覆われ、腰から下には、炎が布のように分かれた状態で垂れ下がっている。
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「手札から魔法カード『冽灼同盟』発動。
EXデッキに炎属性・水属性のPモンスターがそれぞれ2体以上表側で置かれている時、デッキから炎属性・水属性Pモンスターをそれぞれ1体ずつ特殊召喚する」
遊次は目を見開いて"まさか"という表情をする。
「2枚目の『冽灼同盟』…!万が一これがあると思ったからゾロの効果を残しといたんだ!
『妖義賊-快傑ゾロ』の効果発動!相手から奪ったカードが場にある時、相手の魔法・罠を無効にして破壊する!」
ゾロは横一文字にサーベルを振ると、発動された魔法カードは破壊される。
「フフ…本当に目ざといね。
僕にP召喚させないために、エルダムをスケールにセットした時点で無効にするかと思ったけど、君は最悪の負け筋を防ぐ道を選んだ。さすがと言わざるを得ないね」
譲はさぞ満足げな笑みを浮かべる。
もし「冽灼同盟」が通っていれば譲のフィールドにはさらにモンスターが2体増えていたことになる。
それは遊次にとって致命的なものだったと2人は考えているようだ。
これは一手間違えれば敗北へ繋がる戦いだ。
「でも、次の一手は、君でも予想できないだろう。
僕はファリナ、ネアス、カグシアの3体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!」
3体のモンスターはそれぞれ、炎と水の渦となるように、アローヘッドへと入ってゆく。
(ルナイラをまたリンク召喚するのか?いや、でも…)
遊次はフィールドに現れたサーキットを見つめ思考を巡らせる。
「燃え渡る河は壁を穿ち、いま熱き奔流が唸りを上げる。
リンク召喚!リンク3『冽灼の燎河 フェルナード』!」
■冽灼の燎河 フェルナード
リンクモンスター
リンク3/火/炎/攻撃力2500
【リンクマーカー:左下/下/右下】
属性が異なる「冽灼」モンスター2体以上
このカード名の②③④の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は「水」としても扱う。
②:このカードが特殊召喚に成功した場合、自分のPゾーンのカードの数まで、相手フィールドのカードを対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る。
③:このカードのPゾーンにモンスターがP召喚された場合に発動できる。
そのモンスターの攻撃力は400アップする。
④:このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時、手札を1枚捨てて発動できる。
このカードの攻撃力を500アップし、もう1度続けて攻撃できる。
現れたモンスターは、左右で赤と青に分かれた半身を持つモンスターでありながら、ルナイラとは異なるリンクモンスターだった。
左半身は紅蓮の炎に包まれ、燃え盛るような刃の大鎌を握っている。
右半身は深い蒼に染まり、冷ややかな水気を纏った三叉槍を構えている。
胸の中心には菱形の結晶が輝き、背からは炎と水流が翼のように広がっていた。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/HWvqK8I
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
「リンク素材となったファリナの効果発動。
さらにチェーンして『冽灼の燎河 フェルナード』の効果発動!
フェルナードが特殊召喚された場合、自分のPゾーンのカードの数まで、相手フィールドのカードを墓地へ送る!」
「なに…!?」
予測できなかった譲の新たなエースに、遊次もたじろぐ。
「でもゴエモンの効果で、俺のモンスターは効果の対象にならないぜ」
「わかっている。墓地へ送るのは君の永続魔法『妖義賊の連携陣』とPゾーンの『妖義賊-誘惑のカルメン』だ」
フェルナードは両手の武器を交差させた。
赤き大鎌からは灼熱の炎が奔り、青き三叉槍からは冷徹な水流が解き放たれる。
二つの奔流は渦を巻きながらフィールドを覆い、遊次の永続魔法を飲み込んで消し去った。
さらにその余波は頭上のPゾーンへと伸び、浮かぶカルメンの姿を炎と水に呑み込んだ。
「チェーン1のファリナの効果発動。リンク素材になった時、カードを1枚ドローする」
「ここにきて虹野選手、まだ奥の手が残っていたぁ!!神楽選手の永続魔法が除去されたことで、守備力の倍化はなくなりました!守備力4800で攻撃を誘導する厄介なユライの強さが半減されたといえる!」
勢いを増してきた譲にチームの子供達は不安げな表情を見せている。
「これで虹野さんのPスケールが揃ってしまいました。大丈夫でしょうか…」
観客席の治はメガネを指で上げながら警戒した声色で話す。
「大丈夫だよ。ユライは相手から奪ったカードの数だけ破壊されないから、3回攻撃しなきゃユライは越えられない。遊次のライフには届かないはずだよ」
灯は励ましの言葉をかけるも、それをわかった上で譲はあのリンクモンスターを呼び出したという事実に、胸がざわつく。
譲はまるで指揮者のように両手を大きく広げる。
「さあ、饗宴を始めよう。僕のスケールは1~9。よってレベル2~8のモンスターを同時に召喚可能」
「紅蓮の猛りは命を灼き、蒼き激流は心を凍らす。相克の力よ、終焉をもたらすうねりとなれ。
P召喚!現れよ、僕のモンスター達!」
譲の頭上で振り子が大きく揺れ、その中央の輝きから4つの光がフィールドへと落ちる。
「EXデッキから『冽灼の宴陽 ソリグナ』『冽灼の深淵 ナムリオ』『冽灼の響輪 ヴォルヴ』!手札から『冽灼の爆腕 バリウ』!」
ソリグナは3つの眼を持った火炎の流動体だ。
翼のような炎を背負っており、頭には王冠のような炎が浮かんでいる。
ナムリオは、ソリグナと対を成す水のモンスターだ。
その身体全体が波のように渦巻いており、頭には天使の輪のように水輪が浮かんでいる。
ヴォルヴは脚部が車輪のように渦巻いている炎のモンスター。
バリウは全身が赤く焼けたような炎の体をした屈強なモンスターだ。
「この瞬間、P召喚したヴォルヴの効果発動。さらにチェーンして『冽灼の燎河 フェルナード』の効果を発動。
リンク先にP召喚されたモンスターの攻撃力を400アップする」
冽灼の宴陽 ソリグナ ATK3100
冽灼の深淵 ナムリオ ATK2900
冽灼の響輪 ヴォルヴ ATK2600
「チェーン1のヴォルヴの効果。特殊召喚時、デッキから『冽灼』魔法カードを手札に加える。
加えるのは永続魔法『冽灼協定』。そしてこのカードを発動する」
■冽灼協定
永続魔法
このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分の「冽灼」モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0となる。
②:自分の「冽灼」モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。
③:相手がモンスターを特殊召喚する際に、自分フィールドの炎属性・または水属性モンスター1体をリリースして発動できる。
その特殊召喚を無効にして破壊する。
「この永続魔法は、冽灼モンスターが守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える。
これで準備は整ったよ」
--------------------------------------------------
【譲】
LP4500 手札:2
①冽灼の燎河 フェルナード ATK2500
②冽灼の宴陽 ソリグナ ATK3100
③冽灼の深淵 ナムリオ ATK2900
④冽灼の響輪 ヴォルヴ ATK2600
⑤冽灼の爆腕 バリウ ATK2200
永続魔法:冽灼協定
Pゾーン:冽灼の燐珠 ピオナ、冽灼の澪装 エルダム
EXデッキ(表):ネアス×2、ネリュス、ナルディエル、カグシア、ファリナ
【遊次】
LP3800 手札:2(ジロキチ)
①妖義賊-ゴエモン ATK2500
②妖義賊-快傑ゾロ ATK2800
③妖義賊-山嵐のユライ DEF2400
④妖義賊-怪盗ルパン DEF1500
⑤冽灼の赫鎧 バルグレン ATK3100
⑥冽灼の織灘 ルナイラ ATK2400
Pゾーン:妖義賊-夜駆けのシチベエ
伏せカード:冽灼の噴濫
EXデッキ(表):ナンゴウ、アカホシ、プロメテ
--------------------------------------------------
「バトル!『冽灼の深淵 ナムリオ』で
『妖義賊-山嵐のユライ』に攻撃!」
ナムリオが腕を振り上げると、その水流の身体から鋭い波動が放たれ、ユライへと襲いかかった。
だがユライは怯まず、両手で構えた巨大な斧を正面に突き出す。
「ユライは相手から奪ったカードの数だけ破壊されない!」
水の刃は斧の刃に叩きつけられ、激しい飛沫が弾け散る。
衝撃を受け止めたユライの身体は一歩も退かず、その一撃を防ぎきった。
「だがダメージは通る!」
「ッ…!」
遊次 LP3800 → 3300
「『冽灼の燎河 フェルナード』でユライに攻撃!」
フェルナードが赤き半身を振りかざし、炎を纏った大鎌を大きく薙ぎ払う。
灼熱の刃が弧を描き、ユライへと迫った。
しかしユライはその攻撃を斧で防ぐ。
遊次 LP3300 → 3200
「これでユライの破壊耐性は使い切った!
ダメージステップ終了時、フェルナードの効果発動!
手札を1枚捨て、フェルナードの攻撃力を500アップし、もう1度攻撃できる!再びユライに攻撃!」
フェルナードは水の三叉槍を突き出すと、ユライは防ぎきれず、槍が体を貫き、破壊される。
「くっ…!」
遊次 LP3200 → 2600
「続いて『冽灼の響輪 ヴォルヴ』で、君が僕から奪った『冽灼の織灘 ルナイラ』に攻撃!」
ヴォルヴが全身を炎に変じ、渦巻く火柱を巻き上げながら突進する。
灼熱の奔流はルナイラを正面から呑み込み、赤と青の揺らめきを炎の渦に押し潰した。
ルナイラは炎の奔流に呑まれ、破壊された。
遊次 LP2600 → 2400
モンスターは1体ずつ減ってゆき、じわじわと遊次のライフが削れてゆく。
その様子を観客席の灯たちは不安げな眼差しで見つめる。
「『冽灼の爆腕 バリウ』で『妖義賊-怪盗ルパン』に攻撃!」
バリウが燃え上がる両腕を振りかざし、灼熱の拳を叩き込む。
烈火の衝撃は一直線にルパンを捉え、その身体を炎の奔流に包み込んだ。
「ぐああああ!」
遊次 LP2400 → 1900
「バリウが相手モンスターを破壊した時、効果発動!相手の墓地のカード1枚を除外できる!
『妖義賊-脱出のシェパード』を除外!」
(クソッ…コイツを墓地から回収して展開するつもりだったってのに…!)
遊次は墓地からシェパードを除外し、譲の抜け目なさを再認識する。
「これが最後の一撃だ!『冽灼の宴陽 ソリグナ』で、君の『冽灼の赫鎧 バルグレン』に攻撃!」
ソリグナが炎を揺らめかせながら突き進む。
「しかし、ソリグナとバルグレンの攻撃力は同じ!このままでは相打ちです!」
実況者が攻撃の間際に解説を挟む。
「ダメージステップ、『冽灼の爆腕 バリウ』の効果発動!
冽灼モンスターが相手モンスターとバトルする時、自分フィールドの水属性Pモンスターをリリースすることで、その元々の攻撃力の半分だけ、相手モンスターの攻撃力を下げる!
『冽灼の深淵 ナムリオ』をリリースして、バルグレンの攻撃力を1250下げる!」
バリウが腕を掲げると、ナムリオの身体が水流となり前方へ解き放たれた。
その水は炎の鎧を纏うバルグレンを覆い、燃え盛る力を鈍らせる。
蒸気が立ち昇り、赤き巨躯はその勢いを削がれて膝を沈めた。
冽灼の赫鎧 バルグレン ATK1850
その隙を逃さず、ソリグナが燃え盛る腕を振り抜く。
烈火の奔流が一直線に叩きつけられ、弱った鎧ごとバルグレンを焼き砕いた。
そしてその炎は遊次をも襲う。
「ぐあああああっ!」
遊次 LP1900 → 650
破壊されたバルグレンは譲のもとへと戻る。
バルグレンはPゾーンを破壊することで、自身をPゾーンに置く効果があるが、譲はそれを使わなかった。
譲のPゾーンには対象耐性を与えるピオナがいるため、守りを優先したのだろう。
「僕はこれでバトルを終了する」
譲の猛攻が終わり、なんとか命を繋いでいる遊次に灯は安堵の息を漏らす。
「神楽選手、大きなダメージを受けました!しかしフィールドには依然、相手の墓地からカードを奪うゴエモンと、魔法・罠カードを無効にできるゾロが残っています!」
遊次の場には切り札が残っている。
観客達にもまだ遊次に希望があるように見えた。
だが遊次はフィールドを見つめ、何かを考えている様子だ。
観客席のシャンリンは、譲のプレイについて考えている。
(ルナイラとバルグレンを優先して破壊し、ゴエモンとゾロを残すか…。
奪われたカードを破壊することを優先したから?
だとしても、相手モンスターを奪うルパンを破壊して、ゴエモンを残したのは何故?
ルパンのフィールドのモンスターを奪う効果は、対象耐性がある今、意味を成さないはず…)
譲のプレイに多少の違和感を覚えたシャンリンであったが、Pゾーンのピオナが何かしらの手段で排除されれば、ルパンで譲のモンスターが奪われる可能性もある。
それを警戒した可能性も残る以上、その違和感に答えが出ることはなかった。
「EXデッキの『冽灼の環紗 ネアス』の効果発動。自分の場に炎属性モンスターがいる時、このカードをEXデッキから特殊召喚できる」
フェルナードのリンク先に、藍色の水流が絡まり合って人型を成す仮面をつけたようなモンスターが現れる。
メインフェイズ1ではEXモンスターゾーンとリンク先は全て埋まっていたため、特殊召喚できなかったのだ。
「メインフェイズ2。『冽灼の宴陽 ソリグナ』の効果発動。自分のPカード1枚をデッキに戻して、名称の異なる冽灼Pカードを、Pゾーンにセットする。エルダムをデッキに戻し『冽灼の泡紋 メルダ』をPゾーンにセットする」
譲の頭上に水滴のような小さなモンスターが浮かび上がる。
「Pゾーンのピオナとメルダによって、僕のモンスターは効果の対象にならず、メルダ以外の魔法・罠カードは相手の効果で破壊されない。そしてご存じの通り、ソリグナは相手のモンスター効果を無効にして破壊できる」
「永続魔法『冽灼協定』は、冽灼モンスターの戦闘で発生する僕へのダメージを0にする。
さらに自分の炎属性・水属性モンスターをリリースすることで、チェーンブロックを作らない特殊召喚を無効にできる。これでターンエンドだ」
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【譲】
LP4500 手札:1
①冽灼の燎河 フェルナード ATK3000
②冽灼の宴陽 ソリグナ ATK3100
③冽灼の響輪 ヴォルヴ ATK2600
④冽灼の爆腕 バリウ ATK2200
⑤冽灼の環紗 ネアス DEF1600
永続魔法:冽灼協定
Pゾーン:冽灼の燐珠 ピオナ、冽灼の泡紋 メルダ
EXデッキ(表):ネアス×2、ネリュス、ナルディエル、カグシア、ファリナ、ナムリオ、バルグレン
【遊次】
LP650 手札:2(ジロキチ)
①妖義賊-ゴエモン ATK2500
②妖義賊-快傑ゾロ ATK2800
Pゾーン:妖義賊-夜駆けのシチベエ
伏せカード:冽灼の噴濫
EXデッキ(表):ナンゴウ、アカホシ、プロメテ
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「ユライのおかげでなんとか耐えきったな。それでもライフはかなり削られたが」
「炎と水のシンクロモンスターが並んだ時みたいな絶望感はないけど…ここで遊次が攻め切れなかったら、貫通ダメージと数の力で押し切られちゃう」
観客席のイーサンと灯は、フィールドを見つめながら状況を整理する。
「何をそんなにしょげてんだい。こういう状況を打開できるカードがあるじゃないか」
ダニエラは灯やイーサンとは違い、あっけらかんと言い放つ。
「『爆炎の予告状』だな。譲のフィールドは全体破壊への耐性がねえ。
フィールドを全部ブッ潰しちまえば、後はゴエモンとゾロで攻撃するだけだぜ」
ドモンが屈強な腕を組み、得意げに言う。
「確かにそうだけど…」
ドモンの言うことは正しかったが、灯とイーサンは言葉に言い表せない不安を覚えていた。
怜央は腕を組みながら、黙っている。
その脳裏には、自分が譲との対戦で敗北したその瞬間…
手札から突如現れた"あるモンスター"によって一瞬で逆転された時の記憶がフラッシュバックしていた。
「怜央、お前がビビってんのはビックリボーとかいうモンスターだろ。
でもあれは自分自身と、手札・EXデッキ・墓地のもう1体のモンスターでS召喚して、攻撃してきたモンスターと強制的にバトルさせる効果だ」
「お前がやられたバルグレンって炎のSモンスターはレベル9。
レベル1のビックリボーとシンクロするには、EXデッキの表側か手札・墓地にレベル8の炎属性が必要だ。
でもそのレベル8のソリグナは譲のフィールドにしかいねえ」
「まあEXデッキには水属性レベル8のナムリオがいるから、ビックリボーの効果で水のレベル9シンクロのナルディエルを呼び出される可能性はあるけど…あれはスタンバイフェイズにしか効果を発揮できないさね。
ゴエモンで相手モンスターを奪った後にソイツをリリースして攻撃力を上げれば、ナルディエルが壁として出てきても譲のライフは削り切れるってわけさ」
ドモンの言葉をダニエラがさらに補足する。
「つまり、ダイレクトアタックしても、遊次の負けはねえってわけだ」
「…だといいがな」
ドモンとダニエラの理路整然とした言葉を受けてもまだ、怜央は表情を変えなかった。
遊次は譲のフィールドを見つめ、未だ考えを巡らせていた。
譲はその姿に余裕の視線を送る。
(『冽灼協定』がある以上、いくら攻撃力を上げて僕のモンスターを攻撃しても、僕へのダメージは0だ。
相手モンスターの攻撃力を下げるバリウもいる以上、僕のモンスターをバトルで全て破壊した上で、僕に傷を負わせるのは不可能に近い…)
(君のライフは残り僅か。僕にターンを渡すことが命取りなのはわかるはずだ。
ならば君は、僕のフィールドを無理やりこじ開けるか、モンスターを無視して攻撃するかで、次のターンに決着をつけるしかない。それこそが…僕の定めた"たった1つの道"だ)
譲は何重にもなる狡猾な罠を仕掛けていた。逃げ道を塞ぎ、相手を一つの道に誘導する。彼の得意技だ。
譲は手札に残ったビックリボーに、一瞬だけ視線を移す。
(待ってて、ビックリボー。
もうすぐ、君に最高の勝利を見せてあげるから)
譲がターンを終えたから、すでに数十秒が経過している。
それでも遊次は、思考を続けていた。
(この俺のターンで決めきるしかねえ。
俺に残された道は…"1つ"だ)
遊次はついに顔を上げ、前を見る。
譲と視線が交差する。
両者ともが確信していた。
このターンで、全てが決まると。
遊次がデッキトップに置いた指先に力を込める。
「俺の…ターン!」
遊次はカードを引く。
「ゴエモンの効果発動!相手の墓地からカードを奪う!『冽灼の織灘 ルナイラ』をまた奪わせてもらう!」
炎と水の半身を持つモンスターが遊次のフィールドに現れる。
「手札から『妖義賊-戴火のプロメテ』をセッティング!」
遊次の頭上に火の玉のモンスターが浮かび上がる。
「いくぜ!俺のスケールは2~8、よってレベル3~7のモンスターが同時に召喚可能!
ペンデュラム召喚!来い、俺のモンスター達!」
遊次の頭上の振り子が大きく揺れ、2つの光がフィールドへと落ちる。
「EXデッキから『妖義賊-美巧のアカホシ』!
手札から『妖義賊-駿足のジロキチ』!」
2つの光がフィールドに達した瞬間、譲が右手を掲げる。
「永続魔法『冽灼協定』の効果発動。僕のフィールドから『冽灼の環紗 ネアス』をリリースして、その特殊召喚を無効にする!」
フィールドに注いだ2つの光は、泡へと消える。
「あまりにも無慈悲な効果だぁーー!!貴重なペンデュラム召喚が、あっけなく無効にされてしまったぁ!神楽選手に次なる策はあるのでしょうかぁ!?」
「まだまだぁ!『妖義賊-夜駆けのシチベエ』のP効果発動!デッキから妖義賊カードを1枚墓地に送る!
罠カード『妖義賊の見参』を墓地へ!
さらに今墓地に送ったこのカードを除外して効果発動!墓地の妖義賊を手札に加える!ジロキチを手札に戻す!」
「今手札に戻したジロキチを召喚だ!」
遊次のフィールドにほっかむりを被ったネズミが現れる。
「ジロキチが召喚された時、効果発動!デッキから妖義賊モンスターを1体、手札に加える!」
譲は少し考えた様子を見せた後、手を前にかざす。
「『冽灼の宴陽 ソリグナ』の効果発動。
『冽灼の響輪 ヴォルヴ』をリリースして、その効果を無効にし、破壊する」
ヴォルヴが風に吹かれたように消えると、ソリグナの3つの眼が光る。
その瞬間、ジロキチは苦しみ、破壊される。
遊次は追い詰められたような表情を浮かべる。
だが、まだ遊次には希望が残っている。
遊次は頭上にゆらりと浮かぶモンスターを見つめる。
「プロメテのP効果発動!相手から奪ったカードがある時、デッキの上から5枚めくって、その中の妖義賊カードを1枚手札に加えられる」
■妖義賊-戴火のプロメテ
ペンデュラムモンスター/チューナー
レベル4/火/炎/攻撃力1000 守備力200 スケール2
【P効果】
このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドに「ミスティックラン」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを効果を無効化して自分フィールドに特殊召喚する。
②:自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在する場合に発動できる。
自分のデッキの上からカードを5枚めくり、
その中から「ミスティックラン」カード1枚を選んで手札に加える。
残りのカードは好きな順番でデッキの一番下に戻す。
【モンスター効果】
このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
②:自分フィールドの「ミスティックラン」モンスター1体をリリースし、
相手の除外状態のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
③:このカードがフィールドからEXデッキに表側表示で加わった場合に発動できる。
このカードをPゾーンに置く。
遊次はデッキトップから5枚を手に取り、扇状に広げて表にする。
その中のカードに、譲や灯・イーサン…そして空蝉やシャンリンなど、一部のデュエリスト達は目を見開く。
遊次は一瞬迷いを見せたものの、1枚のカードを手札に加える。
「俺は、魔法カード『妖義賊の即日決行』を手札に加える」
(そうだ。君にはその道しか残されていない)
譲はまるで意思を送るように、遊次が手札に加えたカードを見つめる。
(今手札に加えたカードは、予告状をデッキから墓地へ送り、そのまま除外するカード。
『爆炎の予告状』を除外すれば、虹野譲のフィールドは全て破壊され、残るは直接攻撃をするのみ)
観客席の空蝉も、腕を組みながら遊次の勝ち筋を模索する。
(直接攻撃をするとなると、やはり警戒すべきはビックリボーによるシンクロと、強制戦闘。
しかし、EXデッキ・墓地にレベル8のソリグナがいないことから、炎シンクロのバルグレンは来ぬ。
水シンクロのナルディエルもただの壁にしかならない以上、脅威ではない…)
(もはや迷う猶予はないぞ、神楽遊次。そなたに次のターンは無いのだ)
空蝉の思考も、譲の思惑通りに構築される。
当然の思考回路だ。他の全ての逃げ道が塞がれ、通るべき道が一つしかないのだから。
しかしその道を進んだ先に何があるかは、全てを仕組んだ虹野譲だけが知っていた。
(君が僕のフィールドを破壊してダイレクトアタックしてきた時…君の"最期"を飾るのは、この会場の誰もが知らないカードだ)
譲の脳内に、白いカードが1枚浮かぶ。
その星の数は10。
その名は「冽灼の皇鎧 バルグレンディア」。
バルグレンの進化系といえるモンスターであった。
このバルグレンディアの姿はさらに鎧そのものが炎と同化しており、赤熱した金属が脈動するかのように輝いている。右腕に握るのは大槌のごとき戦鎚。
バルグレンが「炎を纏った戦士」だったなら、この進化系はまさに炎そのものを操る巨躯の破壊者だった。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/9X0t1w7
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(バルグレンディアは、EXデッキの全てのPカードの攻撃力分、攻撃力が上がる。
ビックリボーでこのモンスターをS召喚し、君のモンスターと強制的にバトルさせれば…
このデュエルは結する)
全ての逃げ道を潰した先…逃げ込んだ袋小路で、相手を圧死させる。
それこそが虹野譲のデュエル。
そして遊次も、1歩1歩と、その袋小路へと足を踏み入れていた。
遊次は手札の速攻魔法「妖義賊の即日決行」を見つめる。
その目にはかすかな迷いが生じていた。
遊次は目の前の譲に視線を移す。彼の眼は強い覇気を放っていた。まるでそれは殺気のようだった。
しかしそれは勝利への渇望か、それとも相手を威圧し、迷いを生じさせるためのものなのか、観客達にはわからなかった。
しかし、遊次にはわかった。
その表情には微かな…安らぎが浮かんでいることに。
再び遊次の視線は手札に移る。
しばらく手札の"速攻魔法"を見つめた後、遊次は前を見据える。
その瞳に、もう迷いはなかった。
--------------------------------------------------
【譲】
LP4500 手札:1
①冽灼の燎河 フェルナード ATK3000
②冽灼の宴陽 ソリグナ ATK3100
③冽灼の爆腕 バリウ ATK2200
永続魔法:冽灼協定
Pゾーン:冽灼の燐珠 ピオナ、冽灼の泡紋 メルダ
EXデッキ(表):ネアス×2、ネリュス、ナルディエル、カグシア、ファリナ、ナムリオ、バルグレン
【遊次】
LP650 手札:2(妖義賊の即日決行)
①妖義賊-ゴエモン ATK2500
②妖義賊-快傑ゾロ ATK2800
③冽灼の織灘 ルナイラ ATK2400
Pゾーン:妖義賊-戴火のプロメテ、妖義賊-夜駆けのシチベエ ATK2100
伏せカード:冽灼の噴濫
--------------------------------------------------
遊次は大きく息を吐き、少し儚い笑みを浮かべながら、譲へ話す。
「わかってるよな。次の一手が、この勝負を決めるって」
遊次と譲の視線が交わる。
相反する"願い"と、共鳴する"デュエルを楽しむ心"。
複雑に混ざり合う決闘の中で、2人は、2人にしか抱くことのできない感情を共有した。
たった一手で、人生が変わる。
それは良いようにも、悪いようにも。
そんな熾烈な戦いを、2人は己の願いを胸に、戦い抜いてきた。
「もし失敗しちまったら…俺はまた4年後、出直しだ。
負ければ、俺の大事な人たちを、哀しみの中に突き落としちまう」
「…でもさ。
それでも…俺は何年後も、何十年後も、思うだろうな」
「この一手に、"後悔"はないって」
遊次は手札から、1枚の速攻魔法を手にする。
「速攻魔法…発動!『妖義賊の早業』!」
■妖義賊の早業
速攻魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分のPゾーンの「ミスティックラン」Pカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを特殊召喚する。
②:墓地のこのカードを除外して発動できる。
元々の持ち主が相手となるモンスターを手札から特殊召喚する。
「なっ…!」
誰もが予想せぬカードに、譲も、観客も、声にならない声を上げた。
なぜ、"妖義賊の即日決行"ではないのか。
その答えは、すぐにわかる。
「このカードは、俺のPゾーンのモンスター1体を特殊召喚する効果がある。
特殊召喚するのは、『妖義賊-夜駆けのシチベエ』!」
遊次が自分の右上の頭上に天高く指を突き立てる。
その合図と共に、Pゾーンから青いマントを翻し、兎の獣人はフィールドに降り立つ。
「『妖義賊-夜駆けのシチベエ』の効果発動!
特殊召喚時、俺の手札の枚数が相手の手札以上の場合、俺と相手の手札を、全て入れ替える!」
■妖義賊-夜駆けのシチベエ
ペンデュラムモンスター
レベル5/地/獣/攻撃力2100 守備力1500 スケール8
【P効果】
このカード名の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの「ミスティックラン」Pモンスター1体を対象として発動できる。
そのカードを自分のPゾーンに置く。
②:自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在する場合に発動できる。
デッキから「ミスティックラン」カードまたは「予告状」魔法カード1枚を墓地へ送る。
【モンスター効果】
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できず、③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分の手札が相手の手札の枚数以上で、このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
自分・相手の手札を全て入れ替える。
②:自分・相手の魔法&罠ゾーンにカードが存在し、このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
自分・相手フィールドの魔法&罠ゾーンのカードを全て入れ替える。
③:自分メインフェイズに発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。
シチベエが遊次の方を見ると、遊次は頷き、1枚の手札をシチベエに渡す。
それを持ってシチベエは、目にも止まらぬ速さで譲のもとへと向かう。
シチベエが譲の目の前で急停止すると、豪風が譲の背後で巻き起こる。
シチベエは譲に遊次から受け取った1枚の手札を手渡す。
呆然としていた譲は、その瞬間に譲ははっとした。
「び…ビックリボー…!!」
譲は、自分に残された最後の手札を強く握りしめる。
しかしシチベエは譲が握りしめる手札に指をかけ、譲の眼をじっと見つめる。
そして、譲の指から、その1枚はゆっくりと離れる。
シチベエは譲に背を向け、遊次の方へと素早く戻ってゆく。
その瞬間。
「ビックリボォオオオ!!」
車椅子から、譲の身体が浮いた。
ただ、前へ。前へ、手を伸ばした。
しかし、脱兎はさらに遠くへゆく。
譲の身体は車椅子から転落し、強くフィールドへ叩きつけられた。
観客達はただ絶句し、会場に静寂が訪れた。
譲は、手を伸ばしたまま、地に伏せている。
その足は、決して動くことはなかった。
「虹野選手ッ!!」
フィールドに2名のスタッフが現れ、譲の体を起こし、車椅子へと優しく戻す。
遊次は何も言わず、譲の姿をただ見つめていた。
「な…なん…で…。なんでだ…。
なんで僕の手札が…ビックリボーだって…」
譲は錯乱したまま言葉を吐く。
遊次は、真っ直ぐと言葉を返す。
「…理由はいっぱいある。
まず、爆炎の予告状があまりにも通り過ぎる盤面だった。
これは最初のターンでもお前が仕掛けた罠だけど、それを読まれようがお前には関係なかったんだ。
俺の取れる選択肢は1つだけだったんだからな」
遊次は言葉を紡ぎ続ける。
それは、混乱と絶望の最中でも"答え"を求める、デュエリストとしての譲に応えるためだ。
「お前のフィールドは何重にも耐性があって、簡単に突破できるもんじゃねえ。
でも守りを固めて様子を見ようにも、たった650のライフじゃ耐えられるわけねえ。
だから、俺には攻めるしか道がなかった。それが罠かもしれなくても、な」
「もし道が1つしかないなら…人は、その道が"大丈夫だ"って思い込もうとするんだ。
だからお前はわざと光を作って、その道を照らした。
この道は安全だ、進んでも大丈夫だ…そう思わせるためにな」
遊次の言葉に、観客達も、実況者でさえも耳を貸すしかなかった。
譲の意図を理解できるのは、やはり彼しかいないから。
「お前は今までレベル9のSモンスターを呼び出して来た。特に炎シンクロのバルグレンは、Pゾーンの攻撃力を集約して、とてつもねえ攻撃力で反撃してくる。でも今のお前の状況からは、ビックリボーの効果でバルグレンをS召喚できない。墓地にもEXデッキにも当然手札にも、バルグレンの必須条件のレベル8炎属性がいないからな」
「呼び出せるとしたら水属性Sのナルディエルだけど…あのカードはS召喚したその時には効果を使えねえ。
もしビックリボーで呼び出されても壁にしかならねえし、ゴエモンの効果で俺のモンスターの攻撃力を上げれば突破できる。
そのためにお前はゴエモンを残したんだろ」
ビックリボーでバルグレンをS召喚できる可能性はなく、ナルディエルは壁にもならない。
ならば、直接攻撃をしても問題ない。
それこそが、譲の用意した、一本の道を照らす"灯り"。
故に、ドモンやダニエラ、そして空蝉でさえも、その道が安全であると確信した。
その道を"進むしかない"のなら、人は進んでもよい"理由"を探す。
譲は、わざとその理由を創り上げ、道を進ませた。
それが遊次の考えだ。
「それは…道を進んでもいいという根拠だろ。
なのに君は『妖義賊の即日決行』で『爆炎の予告状』を除外して、僕のフィールドを破壊する選択肢を捨て、僕の手札のビックリボーを奪うという"一点"に賭けた。なんでだ…なんで…」
譲は、心底納得できない様子でまくし立てる。
「一番の理由は、前のターン、お前がナルディエルをS召喚しなかったことだ。
チューナーとチューナー以外を並べれば、お前はナルディエルをまたS召喚できた。
ナルディエルがいれば、お前のPゾーンのピオナの攻撃力900以上のモンスターは攻撃できない。
もしお前が本当に俺の直接攻撃に打つ手がないなら、ナルディエルで俺の攻撃を止めるべきだろ」
実際、ヴォルヴの効果で水属性モンスターをリリースすることで、水属性の非チューナーをデッキから特殊召喚し、ヴォルヴとその非チューナーでナルディエルをS召喚することができた。
しかし譲はその選択を取らなかった。
「…ナルディエルをS召喚したところで、爆炎の予告状があれば結局は僕のモンスターは破壊される。
君は前のターンでもナルディエルの制圧を破ってみせたじゃないか。
永続魔法『冽灼協定』も、ソリグナも、効果発動のためにリリースを要する。
だから僕はモンスターの頭数を増やすことを優先したまでさ」
譲は余裕を見せながら返すも、遊次は静かに首を振る。
「それだけじゃ、ナルディエルを呼ばない理由としてはちょっと弱いな。
ナルディエルの広範囲のモンスター効果無効がありゃ、
ソリグナのモンスター効果無効は最悪なくたっていい。
なのにソリグナのリリース要因のためにモンスターを用意する必要があったってのは、おかしな話だよな?」
遊次は普段と違って、論理的な解を的確に返す。
「だから思ったんだ。呼ばなかったんじゃなくて…"呼べなかった"んだってな」
譲は言葉を詰まらせる。
「そっから逆算したら、だんだんお前の真の狙いが見えてきた。
ナルディエルは相手の魔法・罠カードを一掃する効果を持ってるよな。
でも、お前はその効果を使うわけにはいかなかった。
それは"PゾーンのシチベエがEXデッキに送られちまうから"だ」
譲は思わず目を見開く。
遊次の読みは図星のようだ。
「ナルディエルを呼んでおいて、魔法・罠破壊の効果を使わなきゃ、当然俺に違和感を持たれる。
だからお前はナルディエルを呼ぶこと自体できなかったんだ」
しかし遊次だけはそれこそが違和感であると見破った。
「お前が嫌がってたのは、EXデッキからシチベエをP召喚されて、手札を交換されること。
その理由は、手札のビックリボーこそ、お前の切り札だからだ。
だからPゾーンにさえシチベエを残せば、P召喚を防げると思った。
まさかPゾーンから特殊召喚する魔法カードがあるなんて、思ってもねえだろうしな」
「フェルナードがL召喚した時、俺のカードを2枚墓地に送る効果が発動した。
ゴエモンでモンスターは対象に取れなかったから、選べるのは永続魔法とPゾーンの2枚だ。
そこで墓地に送られたのは、永続魔法とPゾーンのカルメン。シチベエだけが残ったんだ。
そのことも踏まえれば、お前がシチベエの"手札交換"を嫌がってたと読めるわけだ」
譲は俯き、拳を強く握りしめる。
「相変わらずの決闘眼(デュエル・インサイト)だぜ」
怜央はふっと笑い、呟く。
「お前がビックリボーを頼りにしてるなら、EXデッキにレベル8の炎属性がいなくても、シンクロできるモンスターがいるってことだ。バルグレンとシンクロしてレベル10のモンスターを呼び出すとかな」
(…全てお見通しというわけか)
譲の体から、少しずつ力が抜けてゆく。
「でも、最後の一押しになったのは…お前の顔かな」
「顔…?」
「あぁ。お前、ずっとどっか安心した顔してるから。
俺が即日決行を引いてピンチのはずなのに、何も不安を感じてなかった。
その理由は、頼れる相棒がいるからだろ」
譲はあっけに取られるが、その表情はすぐに和らぐ。
「…信頼は、隠せなかったみたいだね」
しかしその表情は、どこか寂しげでもあった。
遊次は手札のビックリボーを見つめる。
(このままじゃ終わらせられねえ)
遊次は墓地から1枚のカードを掴む。
「墓地の『妖義賊の早業』を除外して効果発動。
手札の相手から奪ったモンスターを特殊召喚する。
来い、ビックリボー」
フィールドに、ビックリ箱から飛び出る小さな悪魔が現れる。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/v7osMuG
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
「ビックリボー…」
譲は、その姿を見て途端に手を伸ばす。
ビックリボーもそんな譲を見て浮かない表情をしている。
「悪いな、ビックリボー」
ビックリボーの目を見て話しかける遊次に、ビックリボーは強い眼差しで返す。
しかし、遊次にはその瞳に宿る意思がすぐにわかった。
「…そっか。強いヤツだな、お前」
遊次はビックリボーに優しい声色で話す。
譲はまるでモンスターと心を通わせるかのような遊次を、驚きの表情で見つめていた。
「ビックリボーは、この闘いに文句はねえってさ。
デュエルは、真剣勝負だから面白いんだって、そう言ってる」
「ほ、本当にビックリボーの声が聞こえてるとでも言うのか!?」
心底信じられないと言った様子の譲に、遊次は落ち着いた声で返す。
「あぁ、なんでかわかんないけどな。
お前も、ビックリボーがこういうヤツだってわかってると思うぜ」
譲は否定しなかった。
ビックリボーは、いつも自分と一緒にデュエルを楽しんでいた。
(だから僕は…君にもっと面白い世界を見せてあげたいと思ったんだ)
しかし、その願いも、もう。
「ビックリボーは、諦めてねえぞ」
遊次は真剣な表情で言う。
「諦めて…ない?」
「お前の、命を」
譲は、はっとした。
遊次の言葉に呼応するように、ビックリボーも真剣な眼差しで譲を見つめていたからだ。
(君は、本当に…)
「俺は、お前を超えて本戦に進む!
でも、お前のことも絶対に救ってみせる!」
「不可能なんてねぇんだ!
俺がこのデュエルで証明してやる!」
遊次は高く腕を伸ばす。
「俺はレベル7『妖義賊-快傑ゾロ』に、レベル1『ビックリボー』をチューニング!」
ビックリボーが光の輪となり、ゾロがその中に飛び込んでゆく。
「亡霊の囁きが幻影の賢者を呼び覚ます。光なき檻より甦り全てを欺け」
「シンクロ召喚!現れよ!
『妖義賊-幽玄のカリオストロ』!」
■妖義賊-幽玄のカリオストロ
シンクロモンスター
レベル8/闇/悪魔/攻撃力2700 守備力1000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが元々の持ち主が相手となるモンスターをS素材としている場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
②:相手フィールドのモンスターが効果を発動した場合、
自分フィールドの元々の持ち主が相手となるカード1枚を墓地へ送って発動できる。
その効果は「このカードのコントロールを相手に移す」となる。
それは全身を幾重にも巻かれた黒布に覆われ、
まるで意志を持つかのように、布が風もなく舞い踊る姿。
眼孔の奥で鈍く輝く紅き両目が、瞬時に空気を凍らせた。
左右の腕には鋭く湾曲した双刃を携えている。
モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/k8GA3wQ
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能
「ゴエモンの効果発動!相手から奪ったモンスターをリリースして儀式召喚されている場合、相手から奪ったモンスターをリリースして、その元々の攻撃力分、全てのモンスターの攻撃力を上げる!
ルナイラをリリースして、その攻撃力を俺のモンスターに加える!」
妖義賊-ゴエモン ATK4900
妖義賊-夜駆けのシチベエ ATK4500
妖義賊-幽玄のカリオストロ 5100
「カリオストロは相手から奪ったモンスターを素材としている時、相手にダイレクトアタックできる」
「勝利は、俺が頂いたぜ」
これが、常人を逸する思考の果てに辿り着いた、遊次の答え。
譲のデッキにはレベル3のチューナーはなく、奪ったカードでシチベエとのシンクロ召喚を行うことはできない。
そしてレベル1チューナーはビックリボーだけだ。
速攻魔法「妖義賊の早業」を発動してシチベエの効果で手札を交換するという条件で遊次が勝利するには、譲の手札がビックリボーであるというただ一つの条件を満たすしかない。
シチベエの手札交換の効果発動には、自分の手札が相手の手札の枚数以上でなければならない。
遊次のもう1枚の手札は「妖義賊の即日決行」であり、「譲の手札がビックリボーでない」または「手札のビックリボーから有効なSモンスターを召喚できない」場合は、即日決行の方を使って「爆炎の予告状」を除外し、譲のフィールドを破壊した後に、直接攻撃するのが勝利のルートだ。
しかしこのルートを選んでいれば、ビックリボーの効果でバルグレンディアがS召喚され、遊次は敗北していた。
仮に全て読めていたとしても、手札のビックリボーに抗うすべは少ない。
だが遊次は、迷い込んだ袋小路に無理やり穴をぶち空け、道を作り出したのだ。
譲は脱力し、車椅子にもたれかかる。
その顔は、空を向いている。
雲一つない、真っ青な空だった。
「まったく…呆れるよ。
もし僕の手札がレベル1チューナーのビックリボーじゃなければ、君は負けていたんだよ」
「俺は、俺が進む道を信じただけだ。
こんな最高の戦いを、悔いが残るデュエルにはしたくなかったからな」
遊次は無邪気に笑ってみせる。
その言葉を聞いた譲の頭の中で"彼女"の言葉が反響する。
(残された命をどう使うかすら考えたことないヤツが、生きたいなんて喚くな。
そんな命なら、私によこせッ…!)
そうか。
君は、こういう気持ちになれる瞬間を望んでいたんだ。
譲はふっと笑う。
「終わらせてくれ、君の手で」
譲は遊次に言う。
しかし、その表情には諦めや絶望といった感情はない。
まるで、子供に戻ったような笑顔だった。
遊次は胸の前で拳を握り目を瞑ると、意を決して前を向く。
「バトル!『妖義賊-幽玄のカリオストロ』でダイレクトアタック!」
カリオストロは立ち塞がるモンスター達をすり抜け、譲に迫る。
(遊次クン…君は、いつも僕の予想を超えるデュエルを見せてくれた)
その刹那、譲の中に、次々と記憶が飛び込んでくる。
「妖義賊の予定変更」で予告状をキャンセルする場面。
オイレンシュピーゲルが放つ星の光が大きくなり、ナルディエルを突破する場面。
そして、唯一の希望であったビックリボーを奪われた場面。
カリオストロが、スローモーションで自分に斬りかかる中、
まるでそれは、映画のフィルムのように、譲の頭の中で流れた。
次に思い出したのは、初めてテレビでデュエルチャンピオン「天王寺高貴」を見た時の記憶だ。
譲は感じた。「こんな人に勝てるわけがない」と。
あの時と…同じ感覚だ。
初めて天王寺さんを見た、あの時と。
譲は思わず、優しい笑みを浮かべる。
今、やっとわかった。
僕は、君とデュエルするために、生きてきたんだ。
カリオストロが二つの刃を振り下ろし、一瞬で譲の背後に回り込む。
「生きてほしい」という母さんの願いを叶えるために、
ビックリボーに、"頂上"で面白い世界を見せるために、
僕は生きてきた。
遊次クンは、僕の願いを背負い、僕を救う道を探すという。
その言葉に、疑いはない。
僕も、君に託してみようと思っている。
それでも、僕は言おう。
たとえ、この命が終わっても…
君と戦って死ぬのなら、悔いはないと。
譲 LP4500 → 0
「しょ…勝者、神楽遊次ッ!!
ヴェルテクス・デュエリア 本選への切符を手にしたのは、神楽遊次ーー!!!」
スタジアムは、熱狂と歓声に包まれた。
灯とイーサンは立ち上がって喜びを露わにし、
子供達は次々と怜央に抱き着き、怜央はその中に埋もれながら、必死に手を伸ばしている。
その姿を見て、ドモンとダニエラは指をさして笑い、
アキトは歓声の中、堂々とスタジアムに立つ友人に誇らしさを覚えた。
そしてもう1人、遊次の姿を涙ながらに見つめる人が1人。
遊次が"おばちゃん"と呼ぶ女性だ。
(みんな、アンタを見てるよ…遊次。
この町のために、1人で抱えきれないぐらいのもん背負って、それでも必死で立って。
そんな背中に、みんな救われてるんだよ)
(アンタはもう、この町の光だ)
遊次が、観客席を見上げると、おばちゃんと目が合った。
遊次は、笑顔で親指を立てた。
そして、すぐに譲の方へ向き直り、歩いてゆく。
譲の前に立った遊次は、右手を差し出す。
「楽しかったぜ。また、やろうな」
「…あぁ!」
譲は、遊次の右手を握った。
第55話「たとえ、この命が終わっても」 完
譲、そしてマルコスや空蝉。
遊次は、彼らの願いを背負うことを改めて伝える。
Nextは余命1年の譲を救う方法を探すことに。
一方、ニーズヘッグはセカンド・コラプス計画の達成のため、パラドックス・ブリッジの最後の鍵を探し求めていた。
そしてオスカーが目を付けたのは、パラドックス・ブリッジ開発者である神楽天聖の息子を任された、イーサン・レイノルズだった。
そんな中、Nextにある依頼が舞い込む。
それは幽霊が見たいという、若い研究者の女性だった。
しかしこの依頼が、彼らをとある巨大な運命へと誘うこととなる。
葛藤し苦悩するイーサンは、やがてある決断をする。
そして明かされる、隠された真実。
モンスターワールドという異世界。
空間に裂け目を入れるパラドックス・ブリッジなる装置。
14年前、黄金の鎧のモンスターが町を破壊した大災害「コラプス」。
激昂する怜央。
現れた依頼人に心当たりのある灯。
衝撃の事実を知った遊次は…。
「今までどのツラ下げて、俺達と一緒にいたんだよ、テメェは!!」
次回 第56話「交わる運命」
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