第2話：妖義賊（ミスティックラン）　作：湯

遊次・ギロ「デュエル！」

遊次とギロのオースデュエルが開始された。
灯・イーサンと、トミー・マイカ兄弟もそのデュエルを見守る。
みんな自分達のデッキが懸っているため、嫌でも固唾を飲まざるを得ない。

先行・後攻はデュエルディスクによりランダムで選択される。
先行はギロだ。
手札5枚、LP8000からスタートする。

ギロ「俺のターン！俺は手札から『処刑人 ギロチン』を召喚！」


・処刑人 ギロチン
　効果モンスター
　レベル4/闇/機械族/攻撃力1800
　このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
　手札から「罪人」モンスターを1体、守備表示で特殊召喚する。
　(2)：自分フィールドの「罪人」モンスターを1体選択して発動できる。
　そのモンスターを破壊し、カードを1枚ドローする。


ギロ「『処刑人 ギロチン』の効果発動！
このモンスターが召喚に成功した場合、手札から罪人モンスターを特殊召喚できる！
俺は手札から『罪人 アーソン』を特殊召喚する！」


・罪人 アーソン
　効果モンスター
　レベル2/炎/悪魔/攻撃力1000
　このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
　デッキから「罪人」モンスターを1体墓地へ送る。
　(2)：このカードが「処刑人」カードの効果によって破壊された場合に発動できる。
　デッキから「善悪融合」を1枚手札に加える。


ギロ「更に特殊召喚された『罪人 アーソン』の効果発動！
こいつが特殊召喚された場合、デッキから罪人モンスターを墓地へ送る！
俺はデッキから、『罪人 ビルク』を墓地へ送る」

ギロ「そして『処刑人 ギロチン』の効果発動！
フィールド上の罪人を1体選択して処刑、つまり破壊し、カードを1枚ドローできる！」

遊次「自分のモンスターを破壊？」

遊次はギロのデッキの独特の動きに警戒心を強める。

ギロ「俺はこの効果で『罪人 アーソン』を選択し、1枚ドローする！」

ギロ「更に破壊された『罪人 アーソン』の効果発動！
こいつが処刑人モンスターの効果で破壊された場合、デッキから『善悪融合』を手札に加える！」

灯「融合…」

マイカ「それがアイツのデッキの軸だ。あんなカード見たくもねえ！」

マイカは自分が敗北しデッキを奪われた時の記憶を思い出し、それをかき消すように頭を振る。

イーサン「しかも見てみろ、今のあいつの手札は5枚。
デュエル開始時から枚数が変わってない。きっちりアドバンテージを取ってきてる」

灯「大口叩くだけのことはあるのかもね」

ギロ「さあ行くぜ！俺は手札から『善悪融合』を発動！
フィールド・手札から融合素材となる『処刑人』『罪人』モンスターを墓地へ送り、
融合召喚を行う！」


・善悪融合
　通常魔法
　このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：自分の手札・フィールドから、
　「処刑罪人」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
　その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
　(2)：自分のターンにこのカードを墓地から除外して発動できる。
　墓地から「処刑罪人」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
　この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
　


ギロ「俺はフィールドの『処刑人 ギロチン』と手札の『罪人 アサルト』で、融合！」

ギロ「悪意に呑まれし処刑人よ、その鋭き刃にて本能のままに断罪せよ！
融合召喚！現れろ！『処刑罪人 ディカピテ』！」

・処刑罪人 ディカピテ
　融合モンスター
　レベル7/闇/悪魔/攻撃力2400
　「処刑人」モンスター＋「罪人」モンスター
　このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：このカードの攻撃力は自分の墓地の「罪人」モンスターの数×200ポイントアップする。
　(2)：相手モンスターが効果を発動した場合、自分の墓地の「罪人」モンスターを除外して発動できる。
　その発動を無効にして破壊する。


ギロが口上を唱えると、巨大なギロチンを持った一つ目の悪魔が姿を現した。

トミー「あのモンスターは…」
マイカ「あぁ、俺が苦しめられたモンスターだ…」

マイカは拳を強く握り、奥歯を食いしばる。

イーサン「いきなり融合モンスターのご登場か。気合入れていけよ遊次」

ギロ「『処刑罪人 ディカピテ』の効果！
こいつは自分の墓地の罪人モンスター×200ポイント攻撃力を上げる！
俺の墓地に罪人は3体！よって600ポイント攻撃力をアップし、
攻撃力は3000となる！」


遊次「なるほど、高い攻撃力に効果無効ね…。これはちょいと厄介そうだ…」
遊次はデュエルディスクを使用し、召喚されたモンスターの効果を確認している。

ギロ「カードを1枚伏せてターンエンドだ。
さあ、お手並み拝見と行こうか、なんでも屋さんよぉ」


【ギロ】
LP8000　手札:2枚
伏せカード:1

・処刑罪人 ディカピテ ATK3000


遊次「行くぜ、俺のターン、ドロー！」

遊次「処刑人だかなんだか知らねえが、そんなモンスター怖くねえよ！
今から召喚する俺のモンスターの効果に驚くんだな！」

遊次は自信満々にギロを煽ってみせる。

ギロ「フン、ならば見せてみろお前のモンスターを！
まあ、俺のモンスターの前には手も足も出ないはずだがな」

ギロもそれを受け、煽り返してみせる。

遊次「俺は手札から『妖義賊 - 駿足のジロキチ』を召喚！」


・妖義賊 - 駿足のジロキチ
　効果モンスター
　レベル4/地/獣/攻撃力1600
　このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
　デッキから「妖義賊」モンスターを1枚手札に加える。
　(2)：このカードがリリースされた場合、
　相手フィールドの表側表示のモンスターを1体を対象として発動できる。
　その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。



遊次が召喚したのは妖義賊(ミスティックラン)と名の付くモンスターだ。
遊次は幼少からこの妖義賊デッキを愛用している。

遊次「ジロキチの効果発動！このカードの召喚時、デッキから妖義賊モンスターを1枚手札に加える！
だがこいつはそれだけじゃないぜ、もっと恐ろしい効果があるからなぁ～」

ギロ「恐ろしい効果…？」

ギロが召喚された「妖義賊 - 駿足のジロキチ」の効果を確認する。
今発動した妖義賊モンスターをサーチする効果の他にもう1つ効果があった。

ギロ「リリースされた時に俺のモンスターを奪う効果か。確かにめんどくさそうだな」

ギロ「どうせ対処しなきゃいけねえなら、今の内に潰しておくとするか。
フィールドの『処刑罪人 ディカピテ』の効果を発動！
墓地の『罪人 アーソン』を除外することで、相手モンスターの効果を無効にし、破壊する！」

遊次の自信満々な煽りも空しく
「妖義賊 - 駿足のジロキチ」はあっけなく破壊されてしまった。

遊次「クッ…」

ギロ「墓地の罪人モンスターが1枚除外されたことで、
ディカピテの攻撃力は200下がり、2800となる」

ギロ「フン、さんざん煽っておいてその程度か！
俺のモンスターを奪うのが恐ろしい効果とやらの正体か？
だが、まんまと俺のモンスターによって破壊されちまったな！」

細い男「ヘヘヘー！あいつ、意気揚々と飛び込んできたくせに！」
小さい男「ギロ様に手も足も出ねえでやんのー！」

遊次「ク、クソ…なんて恐ろしいモンスターだ…。
通常召喚権ももう使っちまった。これじゃ俺に打つ手なんてない…」

遊次が俯き、呟く。

ギロ「フフ…」

ギロや子分はもう勝利したかのようにニタニタと笑みを浮かべている。
トミーとマイカは不安そうな目で灯とイーサンを見つめている。

トミー「ね、ねえお姉ちゃん…、本当に大丈夫なの…？」
マイカ「そうだ！このままじゃ負けちまうぞ！」

しかし灯とイーサンは余裕そうな表情をしている。

灯「大丈夫よ。遊次のことだもん」
イーサン「まあ見とけって少年達」


遊次「…なーんちゃって。」
俯いていた遊次が顔を上げ、にやりと笑う。

ギロ「何…？」

遊次「自分フィールドの妖義賊モンスターが破壊された場合、
手札から『妖義賊 - 助太刀のサルバトーレ』を特殊召喚できる！」


・妖義賊 -助太刀のサルバトーレ
　効果モンスター
　レベル4/地/獣/攻撃力1700
　このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：自分フィールドの「妖義賊」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合、
　このモンスターを手札から特殊召喚できる。
　この方法で特殊召喚した場合、
　相手の墓地のモンスターを1体選択し、自分フィールドに特殊召喚できる。
　(2)：自分フィールドに元々の持ち主が相手となるカードが存在する場合に発動できる。
　デッキから『予告状』魔法カード1枚を手札に加える。


遊次「この効果でサルバトーレが特殊召喚された時、
相手の墓地からモンスターを1体、俺のフィールドに特殊召喚できる！」

ギロ「な、何！」

遊次「お前の墓地から『処刑人 ギロチン』をいただくぜ！」

ギロ「クソ、俺のモンスターを…」

遊次「お前のモンスターが効果を無効にする効果を持ってることはわかってたさ。
だからこそ、ジロキチの効果を大袈裟に表現することで、
お前はジロキチに無効効果を使ってくれると踏んだ。ビンゴだったみたいだな」

遊次はニヤリと笑う。
ギロは手のひらで踊っていたような気分になり、悔しそうな表情を浮かべる。
ギロの制圧効果を1度使わせた上で、遊次のフィールドには2体のモンスターが並んでいる。

イーサン「やっぱり策があったな」

トミー「遊次さんはギロを騙したってこと？」

灯「騙したっていうより、ブラフっていう感じかな」

イーサン「遊次は手札のサルバトーレの効果を使う作戦をあらかじめ考えていて、
だからこそ、ジロキチを相手に破壊してもらいたかった。
そのためにジロキチの効果を大袈裟に煽ることによって、それをより確実にしたってわけだな」

トミー「なるほど…そんなプレイ考えたこともなかった…」


ギロ「フン…粋がるのはいいが、お前のフィールドをよく見てみろ。
しょせん下級モンスターが2体並んでいるだけだ！
俺のモンスターを突破することはできない！」

遊次「焦んなって。俺のターンはまだまだこれからだ。
サルバトーレのもう1つの効果を発動！
元々の持ち主が相手となるカードが自分フィールドにある場合、
デッキから『予告状』魔法カードを手札に加える！
俺のフィールドにはお前の処刑人 ギロチンがいるため、
デッキから『爆炎の予告状』を手札に加えるぜ」

遊次「そして手札に加えた『爆炎の予告状』を発動！」

・爆炎の予告状
　通常魔法
　このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：このカードは発動後、墓地に送られる。
　このカードの発動後2回目の自分メインフェイズに、このカードを墓地から除外できる。
　(2)：このカードが墓地から除外された場合に発動できる。
　相手フィールドのカードを全て破壊する。



遊次が魔法カードを発動するが、フィールドには何も変化がない。

ギロ「……あ？何も起きねえじゃねえか！」

遊次「予告状だって言ってんだろ。このカードは発動直後は何も起きない。
発動から2ターン後にその予告状を墓地から除外することで、
ようやく効果が発揮されるのさ」

遊次「2ターン後、墓地から『爆炎の予告状』が除外された時に、
お前のフィールドのカードを全て破壊できるってわけさ！」

ギロ「つまり2ターンのラグがある分、効果は強力ということか
だがデュエルにおける2ターンをナメちゃいけねえぜ。
要するに次の次のお前のターンにようやく発動ってわけだ
それまでにお前のライフを0にしちまえば何の問題もない」

遊次「あぁ、やってみろ！
絶対に2ターン持ちこたえて、2ターン後に予告状の効果を使ってやるぜ！」

ギロ「で？結局お前のフィールドには何も変化がない。
どうやって俺のフィールドを突破してみせるんだ？」

遊次「それを今から見せてやる。
俺のフィールドにはレベル4のサルバトーレと、
お前の墓地から奪ったレベル4の処刑人 ギロチンがいる」

ギロ「同じレベルのモンスターが2体…まさか！」

灯「エクシーズ召喚…！」

遊次「俺は、レベル4『妖義賊 -助太刀のサルバトーレ』と、
レベル4『処刑人 ギロチン』で、オーバーレイネットワークを構築！」

フィールドに黒い渦が現れ、遊次のモンスターがその中に取り込まれる。

遊次「夜に這い寄る不敵な魔の手、その技巧で勝利を奪い取れ！
エクシーズ召喚！現れよ！ランク4　妖義賊 - 怪盗ルパン！」

口上を唱えると、黒い渦の中から、
黒いハットを被りマントを纏った被った怪盗の姿が現れた。

・妖義賊 - 怪盗ルパン
　エクシーズモンスター
　ランク4/闇/戦士/攻撃力2100
　元々の持ち主が相手となるモンスターを
　このカードのＸ召喚の素材とする場合、そのレベルを4として扱う。
　このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：エクシーズ素材を一つ取り除き、相手フィールドのモンスターを1体を対象として発動できる。
　そのモンスターの効果を無効にし、コントロールを得る。
　(2)：このカードが元々の持ち主が相手となるモンスターを素材としている場合、以下の効果を得る。
　自分の墓地の「予告状」カードを1枚選択して発動する。そのカードを除外する。
　この効果は相手ターンでも発動できる。


遊次「怪盗ルパンの効果発動！エクシーズ素材を1つ取り除き、
相手フィールドのモンスター1体を、効果を無効化して奪うことができる！」

ギロ「な、なんだと！！！」

遊次「ルパンで奪うのは当然、『処刑罪人 ディカピテ』！」

ルパンが素早く相手フィールドへ移動すると、マントをディカピテに被せた。
次の瞬間には、ディカピテはギロのフィールドから遊次のフィールドへ移動していた。
してやられたギロは苦悶の表情を浮かべている。

細い男「ギロ様のモンスターが！！」
小さな男「いとも簡単に奪われちまった！」

ギロ「…さっきから1つ言いたいことがあるんだがいいか？」

遊次「あぁ、なんだ？サレンダーか？」

遊次はとぼけた表情で問い返す。

ギロ「お前…俺がガキからデッキを奪ったことをボロクソ言っといて、
お前は人のモンスター盗んでばっかりじゃねえか！！
この泥棒が！！！」

遊次「なっ！！」
灯「あっ…」
イーサン「あぁ…痛いところ突かれたね」

細い男「そうだそうだ！」
小さい男「この泥棒野郎ー！」

遊次「泥棒じゃねえ！義賊だ！
義賊は悪い奴からしか物を盗まねえの！だからセーフだ！」

ギロ「苦し紛れだな…」

遊次「うるせえ！バトルフェイズだ！
お前のフィールドはガラ空き！
お前から奪った「処刑罪人 ディカピテ」でダイレクトアタック！！」

「処刑罪人 ディカピテ」の巨大な刃が元の主であるギロを切り裂く。

ギロ「ぐあああああ！」
LP8000 → 5600

マイカ「ハッ！ざまあみやがれ！自分のモンスターに攻撃されてやがる！」
トミー「いけー遊次さーん！」


ギロ「チッ…だが俺もタダじゃやられん！
罠カード発動！『反撃の執行』！


・反撃の執行
　カウンター罠
　このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：自分が戦闘によってダメージを受けた場合に発動できる。
　受けた戦闘ダメージ以下の攻撃力を持つ「処刑人」モンスターを1体デッキから特殊召喚する。
　(2)：自分のターンにこのカードを墓地から除外して発動できる。
　除外されている自分の「罪人」モンスターを1体選択し、自分フィールドに特殊召喚する。
　この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。


ギロ「自分が戦闘ダメージを受けた時、
デッキから戦闘ダメージ以下の処刑人モンスターを特殊召喚できる！
受けたダメージは2400、よってデッキから、
攻撃力2400の『処刑人 エレキチェア』を特殊召喚！」


・処刑人 エレキチェア
　効果モンスター
　/レベル6/闇/機械族/攻撃力2400
　このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：自分フィールドにモンスターが存在しない時、
　このカードは手札から特殊召喚できる。
　(2)：自分フィールドの「罪人」モンスターを1体選択して発動できる。
　そのモンスターを破壊し、その後、相手フィールドのカードを1枚選択して破壊する。


罠カードの発動後、大きな電気椅子の傍らに立つ機械のモンスターが現れた。

ギロ「お前の怪盗ルパンは攻撃力2100、俺のモンスターを越えられん
これ以上戦闘は続けられないだろう！」

遊次「………そうだな。俺はこのままバトルフェイズを終了する」

少し考える様子を見せたが、遊次は戦闘を終了した。

遊次「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」


イーサン「そう簡単に2回もダイレクトアタックは通してくれないか…」

マイカ「ちくしょう…」

一時は遊次が優勢に見えたが、結局大きくライフは削れなかった。
安心できる瞬間のないデュエルに、皆手に汗を握る。


【ギロ】
LP5600　手札:2枚
伏せカード:0

・処刑人 エレキチェア ATK2400

【遊次】
LP8000　手札:3枚
伏せカード:1

・妖義賊 - 怪盗ルパン ATK2100
・処刑罪人 ディカピテ ATK2400


ギロ「ようやく俺のターンだな！ドロー！
フッ、このカードは…」

ギロはドローしたカードに目を向け、にやりと笑う。


ギロ「俺は墓地から罠カード『反撃の執行』を除外し、効果発動！
除外されている罪人モンスターを1体特殊召喚できる！
『罪人 アーソン』を特殊召喚！
特殊召喚成功時、アーソンの効果でデッキから
『罪人 トレイター』を墓地へ送る」


ギロ「さあ再び悪夢を始めるぞ！
俺は処刑人 エレキチェアの効果…」

遊次「ちょっと待ったぁ！」

ギロ「な、なんだ…？今いいところだろうが！」

遊次「『処刑人 エレキチェア』の効果は、
罪人モンスターを破壊することで、相手フィールドのカードを破壊する効果だよな？」

ギロ「あぁ…そうだが」

遊次「じゃあ、ここいらでやっとかないとダメみたいだな」

ギロ「ああ…？」

遊次「エレキチェアの効果を使われる前に、こっちから先手を打たせてもらう！
『妖義賊 - 怪盗ルパン』の効果を発動！」

ギロ「な、何！」

遊次「ルパンは元々の持ち主が相手となるモンスターを素材としている時、
好きなタイミングで墓地から『予告状』魔法カードを除外することができる！」

ギロ「…お前の墓地にある爆炎の予告状は2ターン後に俺のフィールドを全て破壊するんだろ？
除外してどうする！」

遊次「ハハ、やっぱり気づいてないか。
まあ気づかせないように"2ターン後"ってのをやたら強調したわけだけど」

遊次「もう1回爆炎の予告状のカードの効果をよーく見てみろ。
あくまでも2ターン後に行われるのは、予告状カードを墓地から除外するだけ！
お前のフィールドを破壊する効果は、除外された瞬間に起動する効果だ！」

ギロ「つまりどういうことだ！」

遊次「要するに、今この瞬間『爆炎の予告状』を墓地から除外しちまえば、
お前のフィールドはたった今から、焼け野原になるってことだ！」

ギロ「なんだとぉ！！！どこが予告状だ！んなもんズルじゃねえか！！」


遊次「スケジュールが早まったんだよ、ただそれだけさ。義賊にも都合があんの。
ルパンの効果により墓地の『爆炎の予告状』を墓地から除外する！」

遊次「そして、墓地から除外された『爆炎の予告状』の効果発動！
お前のフィールドの全てのカードを破壊する！」

その瞬間、ギロのフィールドは燃え盛る炎に包まれ、
ギロのフィールドのモンスターは全て破壊される。

トミー「すごい！ギロのターンなのに、ギロがどんどん不利になってる！」
マイカ「その調子だ！やっちまえ遊次ぃ！」

イーサン「いいぞ遊次、発動するタイミングも完璧だ。」

灯「ここを逃したら自分のモンスターが破壊されちゃうからね」

かつてない勝機に、Nextサイドの者たちにもようやく笑顔が戻る。

ギロ「ククク…やってくれたな…」

しかし、ギロも再び笑みを浮かべていた。

ギロ「人のモンスターを盗んで、挙句の果てにゃ予告も守らねえ。
俺なんかよりもよっぽど卑怯なやり口だ。驚いたぜ」

細い男「そうだそうだインチキ野郎！」
小さい男「ギロ様を見習え！」

遊次「うるせー！これも戦術なんだよ！」

ギロ「だがなぁ。お前は運が悪かった。
いや、俺の運がよかったのか？」

遊次「何…？」

ギロ「引いちまってんだよ、この状況を覆すカードをな」

遊次「何だと！？」


ギロ「俺のフィールドのモンスターが効果で破壊されたこの瞬間、
手札の『カウンタービースト・ライドライオ』の効果を発動する！」

遊次「ライドライオ…？その名前どこかで…」

灯「ライドライオって、まさか…」

その瞬間、隣にいたマイカが叫ぶ。

マイカ「俺のカードだ！ライドライオは俺の！」

その言葉を聞いた瞬間、事務所にトミーとマイカが来た時のマイカの言葉が脳裏に蘇る。

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
昔から俺と一緒に戦ってきた宝物なんだよ！
俺のライドライオ…。このままお別れなんて絶対にイヤだ！
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ギロ「その通りだ！これはそのガキから頂いたカード！
ライドライオの効果！
自分モンスターがカードの効果で破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚し、
破壊されたモンスターの元々の攻撃力の合計分、このカードの攻撃力に加える！」


・カウンタービースト・ライドライオ
　効果モンスター
　/レベル8/光/獣族/攻撃力3000
　このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
　(1)：自分フィールドのモンスターが相手の効果で破壊された場合に発動できる。
　このカードを手札から特殊召喚し、破壊された自分のモンスターの元々の攻撃力の合計分、
　このモンスターの攻撃力に加える。
　(2)：相手フィールドのモンスター1体を対象として発動する。
　このカードの攻撃力を1000ポイント下げ、そのモンスターを破壊する。


ギロ「よってライドライオの攻撃力は
3000 + 2400 + 1000 = 6400となる！」

メタリックな赤き装甲を纏った獅子が高く雄たけびを上げ、咆哮する。

灯「攻撃力…6400…」

マイカ「クソッ！！俺のライドライオ！」

遊次「これがマイカのエースモンスター…」

遊次は目の前の巨大な獅子をただ見つめることしかできなかった。


第2話　完。

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～あとがき～

初めてのデュエル回です。
SSも初めてだしデュエルを考えるなんてなおさらないので、ちょっとセリフがくどいかもしれませんが…。
1回目のデュエルなのでちょい説明は丁寧に作ってます。

最初のデュエルなのでけっこうあっさり勝たせたかったのですが、
作ってる内になんか普通にギロがやり手デュエリストみたいになってしまってる…。
思ったより長引いたので、次回まで持ち越します。

何かミスがあったら教えてください。速攻直します。
効果処理ミスとかプレミとかでも、気になる事があればコメントください。

ストーリー的な構想はあっても、デュエルの内容はほとんど決まってないので、
デュエル構成考えるのが一番時間がかかると思います。
今回も1話投稿後に1から考えたので、これを何10回も繰り返している他の投稿者さんは尊敬します…。

SSで使用したカードはオリカ掲示板の方にも投稿します。
10時間空けないと投稿できないので、めっちゃゆっくりになりますが。