七夕記念企画：フィナーレ　作：名無しのゴーレム

ユージ「えっと……ここで、合ってるんだよね？」

マッハ「そのはずだけどな。さて、向こうの奴らはいつ来るのやら……」

マスクドドラグーン「……それにしても、こうして見るとあの流星群もなかなか綺麗なものだな」

虎徹「確かに。だが、相変わらず降り注ぎ続けているのはどうかとは思うが……」

マッハ「……お、あいつらが来たんじゃないか？」

ユージ「え？ …………」







スター「おーい、みんなー！！ 待たせてごめんねー！！」






マッハ「……どうやら、向こうの連中も来たみたいだな」

爆「遅えぞ！ ったく、どんだけ待ったと思ってんだ……」

バニシングD「……俺たちがここに着いてから、まだ5分しか経っていないが」

爆「っ……！？」

クリム「……まったく、せっかちにも程があるのですよ」

ユージ「ま、まあまあ……それで、今から何をするの？」

スター「うん！ それじゃあね……これからこのお祭りの、フィナーレを行うよ！」

プリカ「…………」（……で、フィナーレって何するん？）

スター「ふっふっふ……すっごく盛り上がった今回のお祭り、その終わりもド派手にしないといけないよね！」

龍門「……まさか、この流星群以上に何かするつもりなのか？」

ソラ「それはまた……まあ、面白そうではあるが」

スター「七夕と言えば短冊に願い事……だけど、今回はちょっと趣向を変えることにしたよ！」

プリンセス「趣向を……変える？」

スター「願い事と言えば、やっぱり流れ星！ つまり……この流星群に、みんなで願い事をするの！」

サキ「……ああ。だから先程、私たちに願い事を聞いていたのですか？」

スター「その通りだよ！」

ミトラ「……でも、向こうのチームは……？」

ゴース「……あ、こっちも願い事について話してたっけ〜……すごい偶然だねぇ〜……」

スター「あ、そうなの？ ……なら、願い事を考える時間はいらないね！ じゃあ早速……っと、忘れるところだった。……ねぇ、ユージ君！」

ユージ「……？ スターちゃん、どうかした？」

スター「マッハから聞いてるよね？ ……ユージ君にはいっぱい楽しませてもらったからさ。そのお礼じゃないけど、ユージ君の願い事、何でも1つ叶えてあげる！ どう、もう決まってる？」

ユージ「…………うん」

スター「……さて、ユージ君は何を願うのかな？ 七夕の化身の名に懸けて、大抵のことは叶えてみせるよ！」

ユージ「うん、じゃあ……」











ユージ「…………次の七夕でも、そうじゃなくてもいい。…………スターちゃんと、また遊びたいな」











マッハ「…………へ？」

プリンセス「……まったく。せっかくの願い事を、そんなことに使うの？」

スター「…………ユージ君。本当に、それでいいの……？」

ユージ「うん。……僕も、スターちゃんとデュエルして楽しかったからさ。そりゃあ他に願い事はあるけど、それは僕たちがこれから頑張って叶えるものだし……だから、このお願い事にしたんだ。駄目……かな？」

スター「…………あはは。ホントにお人好しだなぁ、ユージ君って…………」

ユージ「え、そうかな？」

フローラ「……でも、そう言えるのも一つの強さ、よね」

マスクドドラグーン「中々やるじゃないか、ユージ。……まったく、とんだエンタメだよ」

プリカ「…………？」（結局、エンタメって何なん……？）

爆「……はっ、馬鹿な奴だなぁ。わざわざスターとまた会うことを願うなんざ……だがまあ、その馬鹿さは嫌いじゃねえぜ」

ユージ「は、ははは……まあ、そういうことなんだけど。叶えてもらえる、かな……？」

スター「…………うん、もちろんだよ！！ さあって、と……そろそろ七夕もお終い。その最後は……よし、行っくよーー！！！」

爆「はぁ？ 一体何を……っ！？」

プリンセス「ど、どうなってるの、スター……！？」

虎徹「スター殿が、輝いている……」

ソラ「……まるで、本物の星みたいだな」

ミトラ「……眩しい……でも、綺麗……」

ユージ「な、何が起きてるの！？」

スター「……流れ星が流れている間に3回願い事を言ったらその願い事が叶う、でしょ？ でもさ、実際そんなの無理だよね。なので……私が流れ星になって、みんなの願い事を叶えることにしてみましたー！！」

龍門「…………」

フローラ「…………」

マッハ「……いやごめんやっぱ何言ってんのk」

スター「シャラップ！！」

マッハ「ゴバッ！？」

爆「マッハ！ ……おい、しっかりしろ！！」

マッハ「……ぐ、なんて容赦ねえ、蹴りだ……」

爆「マッハ！ マッハァァ！！」

バニシングD「……さっそく1人、願い事が言えなくなったな」

スター「いいのいいの、気にしない！」

サキ「いや、それでいいのですか！？」

プリンセス「……放っておきなさい。何言っても無駄よ」

サキ「え、えぇ……？」

スター「……みんな、準備はいい？ 始めるよーっ！！」




ｷﾗｷﾗｷﾗ…………




プリカ「…………」（うわぁ、浮いてる……）
スター「……みんな、本当にありがとうね！ 私とっても楽しかったよ！ ……じゃあまた、次の七夕に！！」








ﾋﾞｭ-ﾝ…………








マッハ「本当に、星になっちまった……」

ゴース「……たぶん、あれだよね〜。他の流れ星よりもずっと遅いし〜……」

マスクドドラグーン「……なら、願い事をしないといけないな」

フローラ「そうね。…………」

クリム「……フローラ、願い事は口に出さないと叶わないのですよ」

フローラ「あら、そうだった？ ……『 』に、また会えますように……」

クリム「…………」

虎徹「……武者修行が、より実りあるものに……」

マスクドドラグーン「エンタメデュエルが、世界に伝わるように……」

ゴース「…………zzz」

バニシングD（……どうして、このタイミングで眠ったんだ……？）

龍門「…………」

サキ「龍門さん、もう願い事は？」

龍門「……己が望みとは、自らの力で叶えるとの。何者かに頼るものではない」

サキ「……でも、本当に叶えたいことならどんなものにでも縋るものですよ？ 私も、経験がありますから……」

龍門「……そうか」

プリカ「…………」（みんなと、いっぱい遊べますように……）

ミトラ「…………」

プリカ「…………？」（ミトラは、お願い事せえへんの？）

ミトラ「……もう、した……」

プリカ「…………」（ちゃんと口に出して？）

ミトラ「……あなたも、口には出してない……」

プリカ「…………♪」（あ、確かにそうやなぁ。……でも、きっと叶えてくれるやろ♪）

ソラ「……しかし、楽しいお祭りだった。今度は君も参加出来るといいな、プリンセス」

プリンセス「ええ、そうね……そういえば、ソラは天体観測が趣味だったわよね。なら、これまでに流星群を見たことはあるの？」

ソラ「まあ、何回かは。……それでも、ここまでのものは初めてさ。……しっかりと目に焼き付けておかないとな」






ユージ「…………」

アルム『願い事、しないの？』

ユージ「……いや、きっと僕の願い事はもう叶えてくれるかなぁって。これ以上願うのも……」

アルム『別にいいじゃない。欲張ることは悪いことではないわ。どうせ無謀な願いなんだから、この機会に少しは助力を求めておきなさい』

ユージ「無謀って……はぁ、分かったよ。…………アルムは、願い事ってあるの？」

アルム『ないわ』

ユージ「即答？ ……あはは。それも君らしい、のかな……？」

アルム『あえて言うならゆっくりしていたいけれど。それが無理なことは、あなたも理解しているでしょう？』

ユージ「……そうだよね。……僕、頑張るよ……」






爆「……へへっ、スター！ 俺様の願い事、叶えられるモンなら叶えてみやがれ！ いいか、俺様の願い事はな……」




ﾋﾞｭ--ﾝ…………ﾊﾞｧｧｧﾝ!!!




プリンセス「……消えたわね、流れ星」

爆「はぁ…………ハァ！？ ふざけんな、まだ願い事言ってねえぞ！！」

龍門「勿体ぶって言わなかったお主が悪いのだろうが」

爆「ぐ、ううっ……！！」

ユージ「というか、今……凄い音がしなかった？」

バニシングD「……まるで、どこかに墜落したような音だっが……」




ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ、ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…………




爆「……あん？ なんで今携帯が……俺だ、なんだよ？」

取り巻きA『爆さん、大変です！！』

爆「大変だとぉ？ 俺様だって、今酷い目に遭って……」

取り巻きA『本当に大変なんすよ！ 今さっき空から何かが降ってきて、それが爆さんの家に直撃したんす！ それで見に行ったら……』

爆「…………おい。おい、それってまさか！？」

取り巻きA『……スターの、姉御が……屋根を突き破って爆さんの家にいるんすよ！！』

爆「！！？」



ﾊﾞｧｧｧﾝ!!!



取り巻きA『爆さん！！』

爆「う、嘘だ……嘘だと言えよチクショオぉぉぉ！！！」

ユージ「は、爆さん！？」

爆「こうしちゃいられねぇ！ 早く俺ん家に戻らねえと……何されるか分かったモンじゃねえ！！」




ﾀﾀﾀﾀｯ!!




ユージ「……行っちゃった……」

バニシングD「……流星群も消えたか。……もう解散、ということだろう。……俺も、帰るとする。……行くぞ、ゴース」

ゴース「…………zzz……また、ね〜……」

フローラ「……じゃあ、私たちもミネルヴァに戻るとしましょうか」

クリム「はい。……さようならなのです」

龍門「……さらばだ」

虎徹「達者でな。……そこでのびているマッハを任せたぞ」

プリカ「…………！」（また会おな！ バイバーイ！）

ミトラ「……バイバイ……」

マスクドドラグーン「今回のお祭り、とても楽しかったよ。俺の故郷に来てもらえれば、本物のエンタメデュエルを見せることが出来るのだが……よければ、足を運んでくれると嬉しいな」

サキ「……では、私もこれで。この度は、本当にありがとうございました……」

ソラ「さて、私も帰るとしよう。……もし機会があれば、ウチに寄ってくれるとありがたい。プリンセスの屋敷の近くだ、そう難しいことではないはず……その時は、精一杯もてなさせてもらうよ」







プリンセス「これで、あとは私たちだけね」

ユージ「……おーい。マッハ、生きてる……？」

マッハ「…………ハッ！？ ここは……って、他の奴らは！？」

プリンセス「もう帰ったわ。……私たちも、旅に戻りましょう」

マッハ「……ああ、そうだな。行こうぜ、ユージ！」

ユージ「う、うん！」

















––––七夕記念企画、これにて完結––––