18話　大罪の邪神龍　作：名無しのゴーレム

「「デュエル！！」」














ギルティ　LP8000 手札5
エクス LP8000 手札5


「お嬢ちゃん、アクションデュエルの説明は必要か？」
「要らないわ、もう何度もやったもの。そこら辺に散らばってるのがアクションカードって言うんでしょう？ ほら、あなたも取りに行けば？」
「へぇ……随分余裕かましてくれるじゃねえか。ま、それじゃ遠慮なく使わせてもらうぜ。さ、ターンを始めろよ」
「ええ、もちろん。私のターン！ 手札の『天罪姫の双魔メイドキャストル』と『天罪姫―色欲のスドゥア』をペンデュラムスケールにセット！」
「さっそくペンデュラム召喚か？」
「いいえ、まだよ。速攻魔法『揺れる眼差し』発動！ ペンデュラムスケールにセットされているキャストルとスドゥアを破壊！ 相手に500ダメージを与えて、デッキからペンデュラムモンスター1体を手札に加えるわ」


スプリント　LP8000→7500


「チッ……」
「破壊されたキャストルの効果発動！ デッキから『天罪姫の双魔メイドポルカ』を手札に加えるわ。続けてスケール6のポルカとスケール11の『天罪姫―嫉妬のレヴィタン』をペンデュラムスケールにセット！ 天より舞い降りなさい、罪を背負いし乙女たち！ キャストル、スドゥアをペンデュラム召喚！」
「一気に大型モンスターを……！」
「特殊召喚したスドゥアの攻撃力は1900に下がるんだけどね。キャストルは1体で2体分のリリースにできる！ キャストルをリリースして、『天罪姫―強欲のノーム』をアドバンス召喚！ ノームの効果発動！ 手札を全てデッキに戻して、相手の手札の枚数より2枚多くドローする！」
「俺の手札は5枚、つまり……7枚ドローだと！？」
「その通り！ そして装備魔法『神殺しの魔剣・レーヴァリバー』をスドゥアに装備。レーヴァリバーを装備したスドゥアの攻撃力は500アップする」


天罪姫―嫉妬のレヴィタン　攻撃力1900→2400


「さらにカードを1枚セットして、ターンエンドよ」


ギルティ　LP8000 手札5 ペンデュラムゾーン　天罪姫の双魔メイドポルカ、天罪姫―嫉妬のレヴィタン　モンスターゾーン　天罪姫―強欲のノーム、天罪姫―色欲のスドゥア　魔法・罠ゾーン　伏せカード1枚
スプリント LP7500 手札5


とんでもない手札増強に大型モンスターを並べてきた……やっぱりあいつは、ただならない相手のようだ。スプリントは勝てるのか……？


「俺のターン、ドロー。手札からフィールド魔法『エクスプリンター・カタパルト』を発動！ このカードが存在する限り俺のエクスプリンターモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚は無効化されず、さらに俺のフィールドにモンスターが存在しないとき、手札からエクスプリンターを特殊召喚できる。来い、『エクスプリンター・シャドーダッシュ』！ シャドーダッシュの効果発動、このカードの特殊召喚に成功した時、デッキからエクスプリンターカード1枚を手札に加える。続けて『エクスプリンター・ジャックラピッド』を召喚。ジャックラピッドを召喚したターン、俺はもう一度召喚できる。チューナーモンスター、『エクスプリンター・リニアーミー』を召喚。エクスプリンターを召喚したとき、俺のフィールドのモンスターの数がそのレベルより高いことで、手札の『エクスプリンター・ロケットキャリー』を特殊召喚！」
「低レベルモンスターにチューナー……明らかにシンクロ召喚狙いね。じゃあリバースカードオープン！ 通常罠『神逆の刃』！ ノームをリリースして、あなたのフィールドのリニアーミーとジャックラピッドを破壊する！」
「っ……」
「さらにリリースされたノームの効果発動！ カードを1枚ドロー。さあ、これでシンクロ召喚は封じたわよ？」


チューナーモンスターを潰された今、スプリントのフィールドにはレベル1モンスターしか残っていない、このまま相手にターンを回してしまえば、猛攻を仕掛けられるのは必至だ。


「スプリント！」
「いいや、まだ俺は止まらないぜ。通常魔法『エクスプリンター・サプライ』発動！ このターンに俺が手札から召喚・特殊召喚したエクスプリンターの数だけドローする。よって4枚ドロー！ 速攻魔法『アクセラレイテッド・エクスプリンター』発動！ 手札のエクスプリンターを特殊召喚する。チューナーモンスター、『エクスプリンター・レックレスプレス』を特殊召喚！」


もう1回チューナーモンスターを展開した。これなら……！


「レベル1のシャドーダッシュ、ロケットキャリーにレベル3のレックレスプレスをチューニング！ 俊足の英雄よ、戦場を駆け抜けろ！ シンクロ召喚、『エクスプリンター・瞬足神アキレウス』！」
「シンクロ召喚……でもレベル5？ なぁんだ、大したことないじゃない。攻撃力だってスドゥアの方が……」
「そいつはどうかな？ アキレウスの効果発動！ こいつのシンクロ召喚に成功した時、チューナー以外のシンクロ素材の数だけこのカードにスプリントカウンターを乗せる。そしてこのカードの攻撃力はスプリントカウンターの数×300アップだ！」


エクスプリンター・瞬足神アキレウス　攻撃力2200→2800


「これでスドゥアの攻撃力を上回った。さらにアキレウスの効果発動、スプリントカウンターを1つ取り除くことで、相手フィールドのカード1枚を破壊する。俺が破壊するのはスドゥア！」
「なっ！？」


エクスプリンター・瞬足神アキレウス　攻撃力2800→2500


「これでお前のフィールドはがら空き！ バトルだ、アキレウスでダイレクトアタック！」


ギルティ　LP8000→5500


「へっ、思ったよりは大したことないじゃねえか」
「…………」


相手を挑発し返すスプリント。しかしそれに対する返事はない。いや……


「なんだ、様子がおかしいぞ……？」
「おい、どうした？ 舐めてた相手に大ダメージを食らわされたのがよっぽど堪えたか？」
「……ゆるさない、許さない許さない許さない！！ よくも私に傷をつけてくれたわね！！ あんただけは、泣いて謝ったって許さない！！」
「……おいおい、思ってたよりもイカれてんなぁ。このガキは……バトル終了、アキレウスの効果でペンデュラムゾーンのポルカを破壊するぜ」


エクスプリンター・瞬足神アキレウス　攻撃力2500→2200


「無尽蔵の展開がウリのペンデュラム召喚だって、要となるペンデュラムスケールを崩せば怖くねぇ……そして！」


その瞬間、アキレウスの姿が消えた。


「！？一体、どこに……」
「悪いな、目で追える速さじゃなかったか？ ほれ、ここだここ」
「……いつの間に、私の後ろに！？」
「アクションカードを見つけたんで拾った、それだけだぜ。カードを1枚伏せる。俺はこれでターンエンドだ」


ギルティ　LP5500 手札6 ペンデュラムゾーン 天罪姫―嫉妬のレヴィタン
スプリント LP7500 手札3 モンスターゾーン　エクスプリンター・瞬足神アキレウス　魔法・罠ゾーン　エクスプリンター・カタパルト、伏せカード1枚


「私のターン、ドロー！ ……あはは！ どうやら私のデッキも、あなたを許さないみたいね！」
「別に許してもらうつもりもないけどな。さあ、かかってきな」
「その余裕がどこまで保てるか見せてもらうわよ……墓地のレーヴァリバーの効果発動！ エクストラデッキに表側表示の天罪姫が3種類以上存在するとき、このカードを手札に加えることができる。手札の『天罪姫―暴食のベルーブ』をペンデュラムスケールにセット。これで再びペンデュラム召喚が可能！ 舞い降りなさい、キャストル、ポルカ、スドゥア、ノーム！ そして儀式魔法『邪神龍の紋章』発動！ 私のフィールドからスドゥアとノームをリリースする！」
「儀式召喚だと……しかも、なんだこの感じは……！？」
「罪を背負いし乙女たちの祈りを受け降臨せよ、嘲笑する虐殺者！」














「儀式召喚！『邪神龍ニーズヘッグ・ジ・エンド』！！」














天空から現れたその龍……いや、邪神は、ただ存在するだけで周囲に瘴気を撒き散らしていた。その威圧感は、明らかに他のモンスターとは異なっている。


「……そのモンスター、ただのモンスターじゃあねえな」
「当たり前じゃない。神と凡俗のモンスターを同類に扱っていいとでも？ ニーズヘッグは魔法・罠の効果を受けない！ さらにバトルフェイズ中はあらゆるモンスターの効果を無効化し、攻撃・効果の対象になったときに手札を3枚捨てることで無効にすることが出来る。そして戦闘で相手モンスターを破壊したら相手モンスター1体を攻撃表示で相手フィールドに蘇生する。さあ、神の力に絶望しなさい！」
「ご丁寧に解説どうも。ま、絶望する気はこれっぽっちも無いけどな」
「言ってなさい。リリースしたスドゥア、ノームの効果発動！ スドゥアの効果でアキレウスの攻撃力を1000ダウン、ノームの効果で1枚ドロー！」


エクスプリンター・瞬足神アキレウス　攻撃力2200→1200


「アキレウスが効果の対象になったことで効果発動。墓地のエクスプリンターカード1枚を手札に加えるぜ。リバースカードオープン！ 通常罠『スキル・サクセサー』！ アキレウスの攻撃力を400アップする」


エクスプリンター・瞬足神アキレウス　攻撃力1200→1600


「アキレウスの効果で墓地のエクスプリンターを回収。そしてさらにアキレウスを対象にアクションマジック『不撓不屈』を発動！ このターン、アキレウスは戦闘で破壊されない。さらにアキレウスの効果で墓地のエクスプリンターを回収させてもらう」
「ハンッ、無駄な足掻きをするわね！ バトル、ニーズヘッグでアキレウスを攻撃！」


邪神龍から放たれた一撃はアキレウスを貫く。……ただの攻撃のはずなのに、その衝撃は周囲の街を破壊し、スプリントを大きく吹き飛ばした。


「ガハッ……」


スプリント　LP7500→5100


吹き飛ばされたスプリントは、その場に倒れ伏して動く気配を見せない。


「スプリント！ ……おい、返事をしろ！！」
「無駄よ、邪神龍の攻撃を受けて無事で済むわけないじゃない。さあニーズヘッグ、もう一度アキレウスに攻撃よ！」
「なっ……やめろぉ！」


俺の静止も構うことなく、再度攻撃がアキレウス、そしてスプリントを襲う。


スプリント　LP5100→2700


「…………」
「あははっ！！ これが私を馬鹿にした罪への罰よ！！ 立ち上がれるものなら立ち上がってみなさいな！」
「ス、スプリントぉぉ！！」





















「うる、せぇよ……」
「「！！」」















土埃にまみれ、ボロボロになりながらもスプリントは立ち上がった。しかしどう見ても満身創痍、とてもデュエルを行える身体じゃ……


「さあ、デュエルを続けるぞ。お前のターンはこれで終わりか……？」
「っ、無駄なやせ我慢しちゃって……私はこれでターンエンドよ」


ギルティ　LP5500 手札6 ペンデュラムゾーン 天罪姫―嫉妬のレヴィタン、天罪姫―暴食のベルーブ　モンスターゾーン　邪神龍ニーズヘッグ・ジ・エンド、天罪姫の双魔メイドキャストル（表側守備表示）、天罪姫の双魔メイドポルカ（表側守備表示）
スプリント LP2700 手札5 モンスターゾーン　エクスプリンター・瞬足神アキレウス　魔法・罠ゾーン　エクスプリンター・カタパルト