七夕記念企画：前夜祭　作：名無しのゴーレム

スター「…………さて。みんな集まったね！ それじゃあ…………明日から始まる『織姫vs彦星、七夕血戦七番勝負』、その前夜祭を今から始めるよ！！」





「「「お〜〜！！！」」」





マッハ「…………なあ、今真昼なんだけど前夜さ」

スター「シャラップ！！」

マッハ「ゲブハァッ！？」

ユージ「マッハ！？ ……よかった、息はしてる……」

スター「さてさて、空気の読めない発言をした奴はほっといて……まずは全員の自己紹介から始めよっか！ 簡単でいいから、名前とどうしてこのお祭りに参加しようと思ったのか……あとは各自適当にお願い！」

プリンセス（色々雑ね……）

ユージ「えっと、順番はどうするの？」

スター「そうだね……参加を表明してくれた順にしよっかな。ということで一番バッターはフローラ、よろしく！」

フローラ「え、ええ！？ ……コホン、私の名前はフローラよ。今はミネルバで日々デュエルの腕を磨いているわ。ここに来たのも強いデュエリストとデュエルするため。……いい経験になることを期待しているわ」

虎徹「強さを追い求める、か……気が合いそうだ。私も武者修行中の身でな」

フローラ「へぇ、武者修行……見た所強そうだし、あなたとのデュエルならいい修練になりそうだわ」

爆「へっ、強いと言ったら忘れちゃいけねえ存在がここにいるぜ。俺様は……」

スター「次、クリムお願い！」

クリム「……クリムなのです。ここに来たのは、多くのデュエリストと交流していずれ訪れる災厄に立ち向かう戦士を……」

スター「はい終わり〜。えっと、次は……」

クリム「ま、待つのです！ どうして途中で打ち切ったのですか！？」

スター「言ってなかったっけ？ このお祭り中はシリアス展開ご法度だから。しんみり系はギリギリセーフとしても、完全にアウトって判断したら状況に関係なく私がぶった切るから、そこんところよろしく！」

クリム「ぐむっ……」

サキ「ま、まあまあ……交友関係を広めるということはいいことですし、それ以上はこのお祭りが終わってからでいいのでは？」

クリム「……なら、そうさせてもらうのですよ……」

スター（ありゃ、拗ねちゃったかな？）「次は……プリカだね！」

プリカ「…………」（ウチはプリカっていうんよ。ここには遊びに来たから、みんなで楽しくしよな♪）

ユージ「！？ い、今のは……？」

プリカ「…………」（ああ、ウチは基本こうやって喋るから。慣れへんかもしれんけど、許してな？）

ユージ「う、うん……」

マッハ「……なあプリカ。お前って幽霊だったりするのか？ なんかこう、生気を感じないっていうか……」

プリカ「…………」（もう、幽霊ちゃうよ〜。お姉さんたちにも聞かれたけど、ウチはれっきとした人間やで？）

マッハ「……ふーん」（困ったな、これじゃゴースが幽霊だって言っても大して驚かないんじゃないか……？）

スター「はいはい、続けるよ！ ミトラ、よろしく！」

ミトラ「……ミトラ。……よろしく」

ソラ「……え、それだけなのか？」

プリンセス「はぁ……彼女、普段は森で幻獣たちと暮らしてるから人間を相手にするのは慣れてないのよ」

プリカ「…………！」（幻獣と暮らしてるん！？ ……いいなぁ、面白そうやなぁ……）

ミトラ「……そんなこと、ない。……色々、大変……」

プリカ「…………」（でも、大勢で暮らしてるってのは羨ましいわぁ。ウチ、あんまり人と会わんからなぁ）

ミトラ「……それは、私も同じ……」

プリカ「…………」（そういうことじゃなくて……人でも幻獣でも、友達がいっぱいおるってのがいいんよ）

ミトラ「……友達じゃない。……家族、みたいなもの……」

プリカ「…………？」（家族……？）

スター「長くなりそうだから、続きは自己紹介が終わった後にして！ 引き続いて、お次はサキ！」

サキ「私の番ですか？ ……私はサキと申します。元【XD】……『Unknown ’’X’’ Destroyer』の司令官です」

マスクドドラグーン「……『Unknown ’’X’’ Destroyer』？ 聞いたことのない名だが……どういう集団なんだ？」

サキ「ええと……簡単に言えば、宇宙船に乗って宇宙人と闘う部隊……といったところでしょうか」

マッハ「何だよそれ、メチャクチャカッコいいじゃねえか！ なあなあ、どうやって宇宙人と闘うんだ？」

サキ「戦闘方法自体は、単純なものとなりますが……彼らに対抗するため、我々が扱う武器も技術の粋を結集させて作られています。例えばこのピストルは……」

ユージ「お、おお……！ SF映画みたいでカッコいいです！」

サキ「あんなちゃちな作り物と一緒にしないでもらいたいのですが……」

マッハ「おい、宇宙人ってどんな姿なんだ！？」

サキ「そうですね、種族ごとに異なりますが……」




スター「……男の子って、やっぱりこういうのが好きなのかな？」

プリンセス「そうなんじゃない？ 子供っぽい気もするけど……」




ソラ「……宇宙に行ったということは、他の惑星にも着陸したということなのですか？」

サキ「え？ ……そのようなことはあまりありませんでしたが、何回かは……」

ソラ「その話を聞かせていただきたい！ 前々から宇宙には興味があったんです！」

スター「……あ、それは私も聞きたいかも。ねえ、サキは天の川には行ったの？」

サキ「天の川？ いいえ、さすがにそこまでは……でも、ある時に……」

プリンセス「…………はいはい、宇宙トークは一旦やめなさい。じゃあ織姫組の最後は、ソラになるけれど……」

ソラ「……ん、私か。……私はソラだ。あいにく、他の方々のような個性的なものは持ち合わせていないが……あえて言うなら空、宇宙が好きだな。私も普段から宇宙のような広い心でいるように心掛けている」

サキ「宇宙のような、広い心……美しい表現ですね」

ソラ「そう言ってもらえるのは嬉しいが、まだまだ道は遠そうだ……このお祭りを通して、私自身が成長できるようにしていきたいと思っている」

プリンセス（……本当、常識的過ぎて逆に扱いに困るわね……）

スター「……よっし、これで織姫組はお終い！ 彦星組の自己紹介、お願いね！」

ユージ「……えっと、最初は……」

爆「ついに俺様の出番か！ ……俺様の名は爆、最強のデュエリストだ！」

クリム（……自分で最強なんて名乗る奴が実際にそうだった試しはないのですよ）

フローラ（何というか……ミネルバによくいるチンピラと同じ雰囲気ね）

爆「……フッ、どうやら俺様のオーラにあてられて声も出せねえようだな！ 俺様がこの祭りに来た理由、それは……」

スター「爆君、久しぶり！ 元気にしてた？」

爆「！？」



ﾊﾞｧｧｧﾝ!!!



ユージ・マッハ「「爆（さん）！！」」

その他「「「！！？？」」」

バニシングD「……今、爆発しなかったか……？」

マスクドドラグーン「爆、無事か！？」

マッハ「……心配はいらねえよ、ほら……」

爆「……ハッ！？ くっ、反射的に爆発しちまった……」

スター「あはは、やっぱり爆君っておもしろ〜い♪」

プリンセス「……スター、知り合いなの？」

スター「うん♪ 結構前の話だけどね、ご近所さんだったの！ 毎日遊んでたな〜……」

爆「毎日お前が俺を命の危険に晒してたの間違いだろうが！ 何回死にかけたと思ってやがる！？」

プリンセス「……スター。遊ぶって、どんな風に……？」

スター「えっとねえ……色々！」

プリンセス「……もういいわ」

爆「ともかく、俺様がこの祭りに参加した理由は……俺様の強さのアピールと、スターにこれまでの復讐をするためだ！」

スター「……復讐？ 何の？」

ユージ（スターちゃん、やっぱり分かってないんだ……！！）

爆「……ハッ、言ってろ。リアルファイトなら逆立ちしても勝ち目はねえが、デュエル……しかもスター以外となら負ける気はしねえ！」

マッハ（さらっと最低なこと言ってる気がするが……）

スター「ふふん、でもうちのチームはみんな実力派揃いだよ？」

プリンセス（…………え？）

爆「関係ねえ！ 全部まとめて俺様がぶっ倒してやるぜ！」

ユージ（このお祭りのルールを理解してないの！？）

マッハ「……収拾つかなさそうだから、もう次に行くぞ。虎徹、任せた」

虎徹「……承知した。私は虎徹、先ほども述べたが現在武者修行中の身だ。此度も自らの腕を磨くために参加した。よろしく頼むぞ」

龍門「武者修行、か……懐かしい響きだ」

虎徹「む？ 龍門殿も、以前に武者修行を？」

龍門「ああ、若い頃にな……最も、あの頃は争いが絶えない乱世の最中であったが。旅というのは己の視野を広げるのに役に立つ。……行き倒れては意味がないがな」

マッハ「ぐっ、昔の話はやめろよ……」

虎徹「何を言っている。ついこの前、森の中で迷子になっていたのは誰だったかな？」

マッハ「…………もうこれくらいでいいだろ。龍門、自己紹介してくれ」

龍門「……龍門だ。このところは自然の中で修行を重ねていたが、この馬鹿が儂の実力を疑ったことからこの大会への参加を決めた。目的は己の力を示すこと、そして真のデュエルというものを世に知らしめることだ」

フローラ「……真のデュエル？」

マッハ「……この爺さんは変わり者でな。『エクストラデッキなんて邪道、真のデュエルは己の魂を込めた山札だけで闘う』なんてことを大真面目に言ってるんだよ」

プリンセス「それはまた、極端なことを言うのね……」

龍門「フン、軟弱者には分からぬだろうが……儂が直接その目に焼き付けてやるとしよう。……小僧、儂の番は以上だ」

ユージ「え？……じゃあ次、ゴース……？」


ゴース「…………zzz」


ユージ「…………」

バニシングD「……さっきからずっとこうだ。……というか、こいつを背負ってここまで連れて来たのは俺だ」

ユージ「そ、そうだったんですか…………ゴースさん、起きてください……」

ゴース「…………ん、なぁにぃ〜…………」

ユージ「自己紹介、してくれませんか？」

ゴース「…………僕、ゴース…………」

スター「……え、今ので終わり！？」

ゴース「……あ、僕幽霊だから……」

プリンセス「へぇ、幽霊……！？」

スター「うわー、本物の幽霊連れて来るとは……やるね、ユージ君……」

ユージ「僕だって、こうなるとは思ってなかったんだよ……」

マッハ「なんで悲壮感漂わせてんだ……ゴースはもう言うこと無さそうだから、次だな」

バニシングD「……となると、俺か。……俺は『デュエル特化型人型アンドロイド‐D』、通称バニシングDだ。……よろしく」

プリカ「…………」（幽霊の次はロボットて……向こうは随分個性的なんが揃ってるなぁ）

マッハ（いや、お前たちには……というかお前には言われたくないんだが）

バニシングD「……俺はプロトタイプ、現在は外を出歩いて実地データを集めている最中だ。デュエルデータ収集の一環としてここに来た……以上だ」

サキ「まさか、ここまで高度なアンドロイドを作り上げる技術があるなんて……驚きです」

スター「ホントだよね〜……アンドロイドってことはさ、やっぱり色んな機能が付いてたりするの？」

バニシングD「……いや、俺にはあまり余分な機能は搭載されていない。プロトタイプということもあるが……少ないエネルギーで長時間行動するためでもある」

マッハ「……なるほど、ヴァルキリオンの欠点を補ったってことか」

バニシングD「……だから、俺が人間と異なる箇所は身体能力面がほとんどになる。センパイとは違って人間大のサイズだから、町中でも高速で移動出来る。他にも……」

爆「……おいおい、プロトタイプってことは未完成なのか？ そんな奴がデュエルで勝てるってのかよ？」

バニシングD「……確かに、難しいかもしれないな。だが……やるからには、全力を尽くす」

爆「……チッ、嫌味を言っても顔色一つ変えやがらねえ……」

バニシングD「……事実は事実だからな」

マッハ「よし、この辺でいいだろう。ラスト、頼んだぜ」

マスクドドラグーン「ああ、頼まれた。……この度はこのような祭りに招待いただき、誠に感謝している。俺はマスクドドラグーン、しがない大道芸人だ。しかし人を笑顔にするという気持ちでは誰にも負けるつもりはない。俺のエンタメデュエル、とくとご覧あれ……」

フローラ「……エンタメデュエル？ 聞いたことがないんだけど……」

マスクドドラグーン「……やはり、知名度は低いのか……悲しくはあるが、それでこそ広めがいがあるというものだ。口で説明するよりも、実際に見てもらったほうが分かりやすいだろう。是非、その時をお待ちいただきたい……」

フローラ「……楽しみにしているわ」









スター「……自己紹介も終わったところで、このお祭りの概要を説明するね！ みんな知ってると思うけど、このお祭りは彦星組と織姫組に分かれて七番勝負……1人1回、計7回デュエルするの！ そうして勝ち越したチームが勝利！ 分かりやすいでしょう？」

爆「……このルールなら、スターに負けても他の奴らに勝てば問題ないってことだな。……よし、これなら勝ち目はあるぜ！」

ユージ（さらりと僕が負けることを前提にしないでよ……）

スター「それで、組み合わせだけど……最終日は各チームの大将、つまり私とユージ君のデュエルになってるの！ でもその他は一切決まってない、だから……他の6戦は、直前に私が引いたくじで決めるから！」

爆「…………おい！ お前が引いたら不公平だろうが！」

クリム「……別に、くじくらい誰が引いても変わらないのですよ」

爆「俺だって普段はそう言うが、こいつだけは駄目だっての！ 洒落にならねえ！」

スター「むーっ、私が信用出来ないのーっ？」

爆「当たり前だろうが！ くじはどっちのチームにも属してない第三者に引かせろ！」

スター「そんなこと言われても、第三者なんて……あ、そうだ！ ユージ君、ちょっとこっち来て！」

ユージ「え？ ちょっ、引っ張らないでよ〜！？」












ユージ「……ええと、なんで僕をここまで連れて来たの？」

スター「……それがね、ユージ君。くじを引いてもらう第三者だけど……アルムにお願いできない？」

ユージ「…………え、？ スターちゃん、どうしてアルムのことを……？」

スター「七夕パワーだよ！」

ユージ（意味が分からない……）「……でも、アルムは他の人には見えないし、そもそもくじが引けないよ？」

スター「その辺は大丈夫！ 私の七夕パワーでアルムにもくじが引けるようにはするし、組み合わせの発表は私がするからさ……お願い！」

ユージ「僕に言われても……アルム、聞いてた？」

アルム『ええ。確かに私なら中立性は保たれるわね。面倒だけど、今回は引き受けてあげる』

スター「ありがとう、アルム！ よーし、じゃあ会場に戻ろっか！」







〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜





スター「……ってな訳で、これでくじ引きの件は解決だね！」

爆「……まあ、俺としてはお前じゃなけりゃとやかく言うつもりはないからな」

スター「……これで説明も終わりかな。デュエルは1日1戦、明日から7日間で行うから！ ……それじゃあ、みんなでこのお祭りを盛り上げていこうね！！」










「「「お〜〜〜！！！」」」