七夕記念企画：お疲れ様会、織姫組編　作：名無しのゴーレム

スター「……よーっし！ それじゃあこれから、織姫組のお疲れ様会を始めるよ！ みんな、コップは持った？ それじゃあ……かんぱ〜い！！」







「「「かんぱ〜い！！！」」」







スター「いや〜、負けちゃったねー！ 残念残念！」

プリンセス「……その割には、ずいぶん楽しそうじゃない」

スター「うん！ だって楽しかったもん！ みんなもそうだよね！」

ソラ「ああ。おかげで、普段は出来ないような体験ができたよ」

プリカ「…………♪」（ホンマに楽しかったわぁ♪）

スター「だよねだよね！ 他のみんなは？」

クリム「久しぶりに、デュエルを楽しんだ気がするのです。……それ以上に、疲れる相手でしたが」

フローラ「……色々と学ぶことは出来たわね」

ミトラ「……疲れた……」

サキ「あはは……ミトラは、こんな大人数と長い間一緒にいるのも初めてでしょうからね。私も『アヴェンジャー』での部下との共同生活には苦労もありましたし……でも、振り返ってみればいいものでした」

プリカ「…………」（ええなぁ〜、みんなと一緒にいられるって。ウチ、ずっと一人暮らしで滅多に人に会わんからなぁ……）

プリンセス「……それは、あんな人気のないところに住んでるからでしょう？ もっと街中に住めばいいんじゃない」

プリカ「…………」（……でも、あの家にはあの家で思い出があるんよ。やから引っ越すのはちょっと……）

ソラ「……それなら、今度プリカの家に行ってみようか。話によると、中々楽しいところらしいからな……」

プリカ「…………？」（……それ、どういう意味なん？）

ソラ「いや、幽霊屋敷のようだとプリンセスが言っていてな……」

プリカ「…………」（もう、失礼な話やわぁ。ちょっと古いだけやんか〜）

プリンセス（あれが、ちょっと……？）

プリカ「…………」（でも、来てくれるとウチも嬉しいわぁ。何時でもええからな？）

ソラ「そうか。それなら、またいつか……みんなもどうだ？」

サキ「そうですね……面白そうですし、私も行きたいです」

クリム「……何も用事がなければ、私は構わないのですよ」

フローラ「わ、私は……行けたらね」

プリカ「…………！」（みんな……ありがとうな！）

ミトラ「…………」

スター「……あれ、ミトラは行かないの？」

ミトラ「…………」

プリンセス「もしかして、悩んでるの？」

ミトラ「…………ｺｸﾘ」

プリンセス「……まあ、森に戻ってから考えればいいんじゃない？ 今すぐ決めなきゃいけないって話でもないし」

ミトラ「……じゃあ、そうする……」

プリカ「…………♪」（来てくれると嬉しいなぁ♪）

ミトラ「…………考えて、おく……」

スター「さて、それじゃご飯でも食べよっか！ いっぱい用意したから、好きなものを食べてね！」

フローラ「本当にすごい量ね……これ、全部あなたが？」

スター「うん！ 七夕パワーでね！」

フローラ（七夕パワーって一体……）

ソラ「……うん、美味しいな。ミトラもどうだ？」

ミトラ「……ﾊﾟｸﾘ……！ ……美味しい」

ソラ「ふふ、そうだろう？」

プリカ「…………」（うわぁ……見たことない料理がいっぱいや）

クリム「これは……！！ 確か、数年前に世から姿を消したという幻のスープなのです。スター、あなたはこのスープを作れるのですか……！？」

スター「え？ それはこの前本で見て美味しそうだなって思ったから出してみたんだけど……そんなにすごい料理だったの？」

クリム「工程を知らずに、実物を生み出す……まさに神の所業なのですよ」

スター「えっへん、七夕の私は神様にだって負けないよ！」

プリンセス「……その割には、ユージにデュエルで負けてたけどね」

スター「まあ、あれはあれで良かったでしょ？ 少なくとも私とユージ君は楽しかったしさ！」

プリンセス「……別に、とやかく言うつもりもないわよ」

フローラ「でも、あのデュエルはすごかったわ。スターはもちろん、彼も……」

サキ「驚ました。まさかあんな男の子が、あそこまで強いなんて……」

プリンセス「あ、それは私も思ったわ。……もしかするとユージって、元の世界では名の知れた凄腕のデュエリストなのかもね」

クリム「……そう言えば、彼は異世界の人間なのでしたか。それならば、彼のデッキも異世界のものなのですか？」

プリンセス「いえ。あれは『水面写しの鏡』でユージが手に入れたものらしいけれど……」

サキ「水面写しの鏡？」

クリム「……この世界における3つの宝、その内の1つとされているものなのです。……ということは、あのデッキにも元の所有者がいたのですか？」

プリンセス「どうかしら……あ。ユージが言うには、『アルム』って女の子が力を貸してくれている……って」

クリム「アルム……どこかで、その名を聞いたような気がするのですが……」

スター「はいはい、真面目な話はそれくらいに！ ……ねえねえ、みんなに聞きたいことがあるんだけどさ！」

ソラ「……？ なんだ、スター？」

スター「それがね！ ええと……今日って七夕でしょ？ だからさ、みんなの願い事を言い合おうよ！」

フローラ「……それを、あなたが叶えてくれるの？」

スター「いやぁ、さすがにそれは無理かな。全員分の願い事を叶えるって結構キツいし……それに、私が叶えるってのも何か違うでしょ？」

サキ「……その通りですね。努力を積み重ねて得たものだから意味がある、とでも言いますか」

スター「そうそう、それ！ ……でもさ、ここで宣言しておいたらその願い事に向かって頑張ろう！ みたいな気にならない？」

プリンセス「発想が雑な気もするけど……別にいいんじゃない？」

ソラ「ああ、私も構わないぞ」

スター「よーっし、じゃあ始めようか！ まずは誰からにする？」

プリンセス「……いや、こんな状況で自分から言い出す人なんている訳ないでしょうが。何か順番を作ったら？」

スター「あ、そっか……なら時計回りで行こう！ 私は最後に言うから、最初はプリンセスからで！」

プリンセス「え、私？ そうね…………今まで屋敷から出たことがなかったから、色んなところを見て回りたい……かな。今現在、ユージやマッハと旅をしている最中ではあるけれど……」

ソラ「旅、か。私もいつかはしてみたいものだ……」

クリム「……そんなにいいものではないのですよ。特に最近は、各地の治安も悪くなっていますから……」

スター「ミネルバみたいに？」

クリム「あれは極端な例なのです。最も、あそこは土地柄上ああいう輩が出るのも仕方ないのですが……」

ミトラ「……土地柄……？」

フローラ「……ミネルバは、古くからデュエルの腕を磨くために世界中からデュエリストが集まる場所なのよ。強くなりたい理由は人それぞれだけど……色んな理由で一部の連中がチンピラみたいになっちゃうの。手当たり次第にデュエルを仕掛けるなんて可愛い方、酷いのだと闇討ちしたりするのもいるから……そんなだから、私も外を出歩く時には剣を手放せないって訳」

プリカ「…………」（なんか、怖い場所やなぁ……）

フローラ「でもね、私たちだって何の対策もしていない訳じゃないのよ？ 有志を募って自警団を組織しているし……」

クリム「……それであんな様子なのですか？」

フローラ「ううっ、努力はしてるのよ……」

スター「よしよし、そろそろ次に行こう！ 次はっと……」

サキ「……ああ、私の番ですね。願い事、ですか……願わくば、この星がいつまでも私たちのものであって欲しいものです」

スター「うおぉ、スケールが急激に大きくなったね……」

ソラ「宇宙人の侵略……サキさんには申し訳ないが、少し胸が躍る響きだ」

サキ「……まあ、私もそのくらいの気持ちでいられる方が幸せだと思います。しかし、またいずれ戦わなければいけなくなった時は……私は再び命を賭して、この星を守ると誓いましょう」

スター「……どうしようプリンセス。宇宙戦争とか、あんまりにも話の規模が大きすぎてどう反応していいか分からないよ……」

プリンセス「七夕の化身がそれ言うの？」

サキ「……さて、私はこれで終わりです。では次、お願いしますね」

クリム「……私の願いは、世界に本当の意味での平和を取り戻すことなのです」

ミトラ「……本当の……意味？」

クリム「はいなのです。……今はまだその方法は見つかってはいないのですが、いずれは必ず……」

フローラ「クリム……」

スター「……えっと、シリアス入りそうだから次行くよー。フローラ、よろしく！」

フローラ「…………私は、強くなりたい。今よりもっと強くなって、そして……」

プリカ「…………？」（……そして？）

フローラ「……いえ、何でも。だから、今回のお祭りはいい経験になったと思うわ。本当に、誘ってくれてありがとう」

スター「ど、どういたしまして……うーん、そろそろ明るい話が聞きたい！ 次、ミトラ！」

ミトラ「…………願い、事…………」

スター「……あれ、ミトラ？」

サキ「……まあ、急に願い事が思い浮かばないということもありますよ。なら次へ……」

ミトラ「…………たい」

サキ「……え？」

ミトラ「……ずっと、みんなと一緒にいたい……」

ソラ「ミトラ……！？」

ミトラ「……森の、みんなと……」

スター「……って、そっち！？」

プリンセス「まあ、やっぱりそうでしょうね……」

サキ「……ミトラは、森の幻獣たちに育てられたんですよね。仲間……いや、『家族』と一緒にいたいというのは、尊い願いだと思います」

フローラ「……私も、同感よ。今一緒に居るからといって、この後もそうだとは限らないのだから……」

スター「……え、なんでまたしんみりムードに？ もー、お祭りだよ？ もっと盛り上がっていかなきゃ！」

フローラ「……そうね、ごめんなさい。早く次に……」

プリカ「…………」（次はウチやな。ウチの願いはなぁ……こうやってみんなと一緒に遊ぶこと！ だから、この時間がずっと続くとええんやけど……）

スター「……それ、私も同じだなぁ。ずっと七夕が続けばいいのに……」

プリンセス「……大げさね、七夕なんてまた来るでしょうに」

スター「そう、なんだけどさ……」

プリンセス（……？ どこか、スターの様子がおかしいような……）

ソラ「でも、お祭りは終わりがあるからこそ楽しいものだろう？ ……楽しい時間が終わった後は、次の楽しいことを探せばいいんだ」

プリカ「…………」（……そう、やな。みんながウチの家に来るの、楽しみに待ってるで♪）

ソラ「ああ。……では、私の番だな。私の願い事は……月並みではあるが、こんな穏やかな日々がずっと続くことを願っているよ」

サキ「ソラ……」

フローラ「……ソラの言う通りね。争いのない、平和な世界がずっと続けばいいのに……」

プリンセス「……でも、現実はそうはいなかいわ。今だって、どこかで誰かが争って……」









ﾊﾞｧｧｧﾝ!!!








プリンセス「…………今のって？」

ミトラ「……爆発、した……」

クリム「爆発……まさか、爆が？」

プリカ「…………」（……向こうで何が起きてるんやろうなぁ）

スター「分かんないけど、きっと盛り上がってるんだと思うよ。……だから、こっちも負けないくらい盛り上がっていかないとね！」

ソラ「……ふふ、そうだな。私はこれで終わりだ。最後はスターだが……」

スター「待ってました！ 私の願い事はね…………来年の七夕も、いっぱいいっぱい楽しく遊ぶことだよ！！」

プリンセス「……はぁ。なんというか、あなたらしいわね」

サキ「しかし、ずいぶん気が早い話のような気もしますが……」

スター「そうかなぁ？ 1年って割とあっという間な気もするけどなぁ……」

クリム「1年……それだけあれば、多くのものが変わっていくのです」

ソラ「……でも、変わらないものだってあるんじゃないか？ 例えば……このお祭りが、本当に楽しかったということとか」

プリカ「…………♪」（その通りやな。ウチ、このお祭りに参加出来てよかったわ♪）

スター「みんな……ありがとう！！ そう言ってもらえて、とっても嬉しいよ！！」

プリンセス「……よかったわ。これまでスターに色々と付き合わされて大変だったけど……まあ、これなら悪くない、かな……」

スター「プリンセス、それにみんな……ありがとね！ みんなのおかげで、ここまで楽しい七夕が過ごせたよ！」

フローラ「こちらこそ。……ありがとう、スター」

ミトラ「……ありがとう……」

サキ「また今度、【XD】の元部下たちにも自慢します。……素晴らしいお祭りに参加出来た、と」

クリム「……確かに、非常に有意義な機会だったのです。だから……あなたには感謝するのです」

スター「…………あはは。ああ、楽しいなぁ……」

プリンセス「…………スター？」

スター「…………さて！！ 実はこれから、彦星組も合流してこのお祭りのシメを行うことになってるの！ だから、合流場所に行こっか！」

ソラ「……シメ？ スター、何をするんだ？」

スター「エヘヘ、秘密だよ〜。……ほらほら、早くしないと七夕が終わっちゃうよ！」

フローラ「え？ ……あ、もうすぐ日が変わるってこと……？」

スター「そうそう！ あんまりのんびりしてられないし……あの丘の上まで、レッツゴー！！」