第39話　夏休み　作：風鼠

8月
佳澄「今学期は今日で終わりだが、勉強はしっかりしとけよ～。事故にあうなよ～」

葵「ということで･･･夏だ！」

杏奈「海だ！」

椿「夏休みでぇす！」

葵、杏奈、椿の3人は、部屋の中心で、戦隊物ヒーローのようなポーズをとり、大声で叫ぶ

瑞樹「もう･･･部屋で叫ばないの。」

葵「だって、夏休みなんだもん！だからこれで、あそｂ」
茜「稽古し放題だね。」

葵「･･･わかってた。わかってたよぉ･･･」

葵は現実を突きつけられ、四つんばいになって、涙を流す

茜「そこまで、へこむことないんじゃ･･･」

瑞樹「でも、葵。歌舞伎役者を目指す以上、長期休みこそ、真剣に稽古できるのよ？」

葵「うぅ･･･」

瑞樹に指摘され、葵は不満げたっぷりながらも、諦め気味にその場で体育座りをする

茜「まぁ、数日だけど遊ぶ時間もちゃんとあるからさ。」

葵「ホントですか、茜先輩！」

茜が優しく葵の頭を撫でながら、笑顔で話すと葵は目を輝かせる

茜「うん。少しぐらい家族と合いたいでしょ？」

葵「･･･やったぁ♪大好きです茜先輩♪」

茜「ははは、葵ちゃんはホント抱きつくのすきだなぁ」

葵「あ、今日の茜先輩、オレンジの匂いする～♪」

葵は茜に勢いよく抱きつく。

カンナ「そういえば、8月に座長の桔梗さんが、海に連れてってくれるって言ってたような･･･」

杏奈「そういえばそうだったね。」

芹「テスト･･･の時の約束･･･だったよね」

詩音「合宿も兼ねるのでしょうか･･･」

カンナが思い出しながら話すと、杏奈と芹は思い出したように嬉しそうな表情を浮かべる。

瑞樹「きっとね。」

クロエ「これは水着の出番デスね♪」

葵「うん♪久しぶりの海、たのしみだなぁ♪」

詩音「はうぅ･･･（泳ぐの苦手だなぁ･･･）」

カンナ「詩音ちゃん、一緒に泳ぎましょう。泳ぎ方、教えてあげますので･･」

杏奈「僕も手伝うよ」

詩音「カンナちゃん、神原さん･･･ありがとうございます」

詩音が少し悩んでいると、カンナと杏奈が優しく手を握ると詩音は安心したように肩を落とす

楓「なになに～？海に行くって？私も行きたい♪･･･ぐふふ･･･ぐぇ！」

彩愛「楓が行くなら、監視のために私も行くわ」

楓が下品な笑顔を浮かべると、彩愛が首をつかむ。

スイレン「･･･海に･･･猫ちゃん･･･いるかな･･･。私も･･･いきたい･･･」

葵「もっちろん、皆でいきましょ～♪」

噂を聞きつけた楓、スイレン、彩愛達も各々の欲望を胸に部屋に集まり始める

桔梗「･･･皆様、お集まりのようですね。先日のお約束の件ですが･･･」

葵「はい！もう準備できてます！」

桔梗「準備が早くて、よろしいですわ。国内ではありますが、旅行の券を少し多めに用意しておきました。」

桔梗が旅行の件で部屋を訪れると葵の元気のよさに、すこし戸惑いながら話を進める

葵「ほえ？一座だけでいくんじゃないんですか？」

茜「最初はその予定だったんだけど･･･皆、呼びたい人とかいるでしょ？」

葵「はい、一杯います♪お母さんとか、菫ちゃんたちとか～♪あ、部長達も呼ぶ～♪」

瑞樹「もうこの子は･･･。でも、お母様もたまにはゆっくりしてもらいたいわね･･･」

カンナ「そうですね～。花梨とも久しく会ってませんね。」

茜「今回は楽しい旅行になりそうだね」

スイレン「うん･･･」

桔梗「旅行は2週間後の月曜日から1週間程。出発は月曜日の8時ですので、よろしくおねがいいしますね」

葵「は～い♪分かりました♪早速皆に連絡しよ～♪まずはお母さん達と菫ちゃん達に連絡する～♪」

瑞樹「そうね。じゃあ、私は部長達に連絡するわ」

葵母「え、旅行?!もっちろん、行くにきまってるじゃない♪」

菫「旅行ですか！行きます行きます♪藍も行くよね？」

藍「う、うん。(瑞樹先輩の水着･･･あうぅ･･･想像しただけで赤くなっちゃうぅ)」

沙月「旅行ですか？いいですけど、行く期間はどれくらいですか？･･･一週間ですか。いいですよ。行きます。」

柚子「旅行ですか～？沙月ちゃんも行くみたいだけど薺、どうします？」

薺「いく･･･」

柚子「じゃあ私もいきますぅ～♪」

瑞樹母「旅行ですか･･･。確かに、瑞樹と行ってないわね。行かせてもらうわ。」

カンナ母「あら、カンナ。久しぶり。･･･え、旅行？行きたいけど、海に行くけど花梨どうする？」

花梨「あ、行きたい。自由研究で海水のこと調べるから、そのサンプル取るから･･･」

カンナ母「じゃあ、花梨と私も追加でおねがい♪」

花梨「お願いね、お姉ちゃん。」

アザミ「･･･む？静原か。どうした？･･･何？旅行のお誘いだと？どこに行くのだ？･･･なに？海に･･･1週間も？行きたいが･･･むしろいいのか？私たちまで誘ってくれても･･･」

桃「いいじゃないの♪せっかくだし、ね？」

蘭花「うむ♪気が回る後輩でよかったの♪桃、支度を始めるぞ♪」

桃「はい、部長♪」

アザミ「･･･ということで、私たちも行かせてもらうことになったぞ。頼んだぞ、静原。」

由里「こ、今度は海への旅行ですの?!･･･あ、貴方がそこまで頼むのでしたら、仕方ありませんわね。」

葵「皆くるって～♪」

瑞樹「こっちもよ。まさか皆OKとわね･･･」

葵達が電話を掛け終わり、瑞樹は少し頭を抱えたものの、どこかうれしそうに微笑む

杏奈「にぎやかな旅行になるね」

詩音「い、いろいろ準備しないとですね」

カンナ「よ、酔い止めや傷薬とかも沢山もっていかないと･･･」

芹「遊ぶ･･･ゲームも･･･」

葵「だね♪旅行楽しみだなぁ♪」

瑞樹「今から楽しみにしてたら、疲れるわよ？」

葵「わかってる～♪」

2週間後･･･
出発の日

葵「あ、おか～さん、こっちこっち♪」

葵母「お待たせ～♪」

瑞樹母「もう･･･出発5分前よもう･･･」

葵母「めんごめんご♪いろいろ準備したら･･･ね♪」

葵「なにもってきたの～？」

葵母「ひみつ♪」

葵の母親は大量の荷物を詰め込んだリュックとカバンをもち、集合場所に訪れる

カンナ母「可愛いカンナ～♪今日も可愛いわね～♪」

カンナ「むぐぐ･･･ぷは！お、お母さん、苦しいですよぉ」

カンナ母「あ、ごめん！久しぶりすぎて･･･」

カンナの母親はカンナに抱きつき、頭をなでる

花梨「もう･･･お母さんは･･･。ひゃあ？!」

菫「かりんちゃ～ん♪ひっさしぶり～♪」

花梨「ちょ!?す、菫ちゃん、急に、抱きついちゃだめ！」

藍「あうぅ･･す、すみれ、急にだきついちゃだめだよぉ･･･」

そんな光景にため息を吐き、あきれる花梨に菫は背後から抱きつき、胸を鷲づかみにしてもみ始める

菫「あぁ～･･･気持ちいい～♪この感触がまた･･･あう！」

沙月「もうこの子は･･･この子が、ごめんなさい。え～と･･･はじめまして、よね。私、沙月。よろしくね」

花梨「私、花梨。よ、よろしく。(よかったぁ･･･良い子がいて･･･)」

菫は沙月に無理やり花梨から剥がされ、花梨に自己紹介をしつつ謝罪する

薺「･･･にゃー」

スイレン「･･･にゃー」

柚子「にゃ～ですね～♪」

桃「そうそう、にゃ～なのよ～♪」

アザミ「･･･(な、なんなのだ、この状況は･･･)」

蘭花「猫好きの変わり者の集会じゃな。」

薺、スイレンたちが猫語による会話を続ける光景をアザミが呆然としてその光景を眺める

由里「(わたしだけ、浮いてるきがしますわね･･･)」

芹「･･･だれ？」

由里「きゃ!?だ、だれですの？」

芹「･･･私･･･芹･･･君は･･･だれ？」

由里「わ、私は由里と申します。本当は別の一座ですが、今回はご招待されたので、来ましたわ」

芹「そう･･･zzz･･･」

由里「え!きゅ、急にね、寝ないでもらえます!ちょっと！」

芹「zzz･･･」

詩音「あわわ･･･せ、芹がごめんなさいぃ･･･」

由里「･･･たく･･･変わった子ですわね･･･」

田中「･･･で、なんで脈絡もなく、俺達も呼ばれてるんだ？」
中田「さぁ？」

杏奈「ご、ごめんね。人数増えちゃったから、荷物持ちがほしくって･･･」

田中「まぁ･･･部活も休みで暇だったからいいけど･･･(ハーレムで海なんて最高じゃねえかよ！)」

中田「海にも最近いってないし･･･なぁ･･･(海といったら水着だよなぁ！)」

椿「2人とも、荷物持ちがんばるでぇすよ」
田中、中田「おう、任せとけ！」
彩愛「(この子達下心丸出しね。)」

茜「どうやら、皆そろったみたいだね。じゃあ、バスに乗って～」

葵「は～い♪」

瑞樹「席は自由ですか？」

茜「うん。自由だよ～」

菫「じゃあ葵先輩、隣同士になりましょ～♪」

葵「うん♪」

沙月「もう･･･菫は･･･藍、一緒に座りましょ」

藍「は、はいぃ･･･」

柚子「薺、どうします？」

薺「･･･柚子と座る･･･」

カンナ「じゃあ･･･花梨、一緒に座りましょう」

花梨「うん、お姉ちゃん。」

カンナ母「じゃあ、お母さん組みは固まりましょうか。」

瑞樹母「そうですね。」

葵母「お母さんトークに花咲かせましょうね♪」

杏奈「椿ちゃん、窓側がいい？」
椿「もちろんでぇす！」

芹「詩音･･･膝枕･･･して」
詩音「せ、せりちゃん･･･。着くまでですからね？」
芹「･･･わかった･･･zzz」

楓「(ぐふふ･･･今年の夏は、撮影し放題じゃい♪)」
スイレン「･･･海の･･･猫ちゃん･･･」


彩愛「茜、一緒にすわりましょ」
茜「う、うん。」
葵「あれ、座長は？」
茜「座長なら、先に行ってホテルとかの最終確認するって」
葵「どんなホテルかな？」
瑞樹「着いてみてのお楽しみね。」


田中「まぁ･･･俺達は、当然のように隣同士だな」
中田「こればっかりはなぁ･･･」
クロエ「帰りはシャッフルにするです♪」
葵「うん♪そうしよ♪」
茜「皆座ったね～。出発するよ～」
茜が全員がシートベルトを締め、席に座ったことを確認した後、運転手に報告する。
その後、運転手がバスのエンジンをかけ、一座の門の前から出発する

こうして、葵たちの数日間に及ぶ稽古合宿兼慰安旅行が始まる
･･･