第11話　委員決め　作：風鼠

由里「まさか、貴方とここで再会することになるとはね…」

葵「久しぶり～百合ちゃん♪」

由里「だから、漢字が違うって言ってるでしょ！」

葵「?」

…この子気づいてないわね

由里「まったく、貴方はホント馬鹿…ですわね。」

瑞樹「葵この子ってまさか…」

葵「うん♪あの百合ちゃんだよ♪百合ちゃんにも紹介するね。私の幼馴染の瑞樹♪」

瑞樹「よ、よろしく。」

葵「で～こっちが椿ちゃん♪」

椿「よ、よろしくでぇす」

由里「(もう指摘するのも面倒…ですわ)…よろしくですわ。貴女達もたしか選考会で見かけたわね。」

瑞樹「えぇ‥この子の付き添いで一緒に受けたのよ。」

椿「私も葵ちゃんの付添いで…」

瑞樹「貴女は違うでしょ」

椿「はう」(ビク)

私は椿ちゃんの頭にポンと手を乗せ、驚いたように体を震わせる。

由里「…貴方達選考受かったみたいね…一応おめでとう…と言っておくわ」

葵「へへありがと～♪…で由里ちゃんは落ちちゃったみたいだけど…大丈夫？」

由里「…貴方痛いところ直ぐ突くわね…でも一応大丈夫よ。他の所も念の為受けてそっちで受かったから」

葵「ホント?!おめでと～どこに受かったの？」

由里「あなた…顔近いわよ。」

葵は由里さんの机に手を付き、顔を由里さんの顔に興味深く近づける

葵「あ、ごめんごめん♪」

由里「…ハァ…この子いつもこの調子なのかしら？」

瑞樹「えぇそうよ…」

由里「…疲れるわ。」

由里さんはたのしそうな葵の姿を見て呆れる様につぶやく

葵「ねぇねえどこ受かったの？」

由里「…【宝花一座】よ」

葵「えあの宝花？」

宝花一座
四季纏花神一座と肩を並べ、歌舞伎界でも同様な影響力を持つ一座。
伝統的に引き継いできた忠実な劇を主体とする四季纏花神一座と違い
宝花一座は、完全オリジナルの劇を主体とし、演出も非常に豪勢な一座である。

葵「おめでと～♪」

瑞樹「…すごいわね。宝花も倍率高かったでしょうに…」

由里「ワタクシにとっては造作もない事…ですわ。」

葵「すごいよ由里ちゃん♪」

由里「こ、こんな事で喜ぶなんて…やはり、凡人ですわね。」

葵「む～…私だって花神に受かったもん」

葵は由里さんの言葉を聞き、拗ねる様に言い、頬を膨らませる

瑞樹「まったく葵は…」

葵「ううだってぇ～」

その直後‥
キーン…コーン…カーン…コーン

???「…ホームルーム始めるぞ～お前ら全員席につけ～」

時計の鐘が鳴り、その直後教室に先生らしき女性が入ってくる

瑞樹「…葵、話しの続きは休憩時間にしましょ。」

葵「むぅ～由里ちゃん後でね～」

由里「え、えぇ…」

私は膨れる葵を席へと促した後、私も自身の席に座る

???→佳澄「全員、席についたか～？…着いたな～。入学式でも自己紹介したが私がこのクラスの担任になった村雨佳澄だ。よろしくな～」

その人物は少し気だるそうに、軽い自己紹介を行う。

佳澄「まず今日の午前中は自己紹介やら学級委員やら決めてくぞ～」

自己紹介
由里「ワタクシの名前は黒木由里ですわ。趣味は…盆栽や、華道、書道等々…ですわ」

佳澄「意外と渋い趣味だな。」

由里「ええ、親の影響を受けた、という事だけおっしゃりときますわ。以上ですわ」


葵「私の名前は桜木葵です♪好きなのはスポーツも好きだし～パフェとか～モンブランとか～♪」

佳澄「…長くなりそうだから好きなものは一つにしろ～」

…先生、ナイスです

葵「え、一つ？ひとつかぁ～難しいよぉ～」

葵は困ったように顔を浮かべる

佳澄「まとめられないなら後からゆっくり時間やるから考えとけ～」

葵「うう～分かりましたぁ～」

瑞樹「私の名前は静原瑞樹です。…趣味は、映画鑑賞や読書等…ですかね。」

佳澄「そうなのか～先生におすすめの本を教えてくれ～」


瑞樹「…そうですね私のお勧めだと…本だと【天使と悪魔】や【ダブルコード:ダヴィンチ】、映画だと【セブン】や【沈黙の羊たち】などですかね?」

葵(うう…難しそうな名前だよぉ～)

佳澄「そ、そうか。」

その後も淡々と自己紹介を軽く行っていく。


佳澄「…全員終わったな～次は‥学級委員を…」
キーン…コーン…カーン…コーン

佳澄先生が次の段階へ進めようとした瞬間授業を終えるチャイムが鳴る

佳澄「…10分間休憩な～次の時間は学級委員決めてくから考えとけよ～」

先生は、そういって教室を退出する

モブ1「ね、ねぇ、葵ちゃん」

葵「ん?どうかしたの～」

葵の机の廻りに2人の女子生徒が駆け寄ってくる。

モブ2「さ、先ほど花神一座に受かったと聞こえて…」

葵「うん、受かったよ～♪」

モブ1「えぇ～すごいね～」

葵「えへへ～それほどでもないよ～♪」

モブ2「私自信なくて選考受けてないけど…ねぇ葵ちゃん合格法見たいのあるかな？」

葵「そうだなぁ～」

瑞樹「…」

…葵は、性格的にもすぐクラスの女子の中心になりやすく、交友関係も非常に広い。

どんな新しい環境でも、すぐに友人を作ってしまう

私には無い才能…そんな所に私は憧れてしまう。

葵「み～ずき♪」

瑞樹「!…何よ」

葵は急に自身のイスを私の方向に向けて話しかけてくる。

葵「この子達がね合格法しりたいって聴かれたんだけど～でも私、選考で楽しくやっただけだから～」

瑞樹「はぁ…で私の合格法を知りたいってわけね」

葵「うんうん♪」

葵は私の言葉に明るい笑顔を浮かべ、元気に頷く。

モブ1「その…葵ちゃんと瑞樹さんとの関係って…」

葵「瑞樹とはね～幼稚園からの幼馴染なんだ～♪」

葵はうれしそうに、私との関係を喋る。

モブ2「そうなんですか?」

瑞樹「ええ、ほんと長い付き合いよまったく。…で、合格法ね。」

葵「あ、そうだったね～♪」

葵は思い出したように、目を輝かせる。

瑞樹「…そうね。私は…有名な劇のDVDを借りたり実際に劇場を足を運んで劇を見て、劇団毎に特徴は得意な劇を比較したレポートを…」

モブ1「え、え?」

葵「あうう…瑞樹～難しいよ～」

葵は両手で頭を掻き、2人の少女も困惑した表情を浮かべる。

瑞樹「…そんなに難しい…かしら?」

葵「難しいよ～」

瑞樹「そ、そう‥」

そ、そうかしら…そんなに難しい事かしら…

由里「…まったく…ワタクシ…対策なしの少女に負けたのね」

葵「あ、百合ちゃん!」

由里さんが話を聞き、会話に入ってくる

モブ1「え…由里ちゃんって…」

モブ2「あの大物の?」

この子達も気付いたように、視線を由里さんに移す。

由里「ええそうですわよ。…で、合格法の話でしたわね。」

瑞樹「ええ、そうなのよ。どうやら私の方法では参考にならなくて…」

由里「…研究する事も非常に大切ですわ。その研究から入る一座で自分がどう演じる事ができるかをイメージする事も大切ですわ。」

モブ1＆2「イメージ…」

由里「ま、参考にして合格するかどうかは知りませんが…少なくても今よりは合格する確率は高くなりますわよ。」

モブ1＆2「は、はい!分かりました」

葵「えへへ～百合ちゃんって意外といい子なんだね～♪」

由里「…!?そ、そんなことは無いですわよ。今後役者になッた時足を引っ張って欲しくないだけですわ!」

キーン…コーン…カーン…コーン

佳澄「お前ら～学級委員決めてくぞ～」

その直後チャイムが鳴り、先生も入ってくる。

由里「ま、また…後で本格的に話をしましょ」

葵「またあとでね～百合ちゃん♪」

由里さんは、そういって自分の席へと戻る。

佳澄「そうだな～まずは委員長決めてくぞ～立候補いるか～」

葵「はい!私は瑞樹ちゃんが良いと思います!」
瑞樹「えぇ?!」

あ、葵何いいだすのよ…

佳澄「…それは立候補じゃなくて、推薦な気がするぞ～」

葵「てへ♪」

葵は、舌を少しだし笑顔を私に見せる。

佳澄「…本人はどうなんだ」

瑞樹「私は…別に構いませんが(葵まったくなにしてくれるのよ)」

佳澄「…他に立候補いるか～」

先生が他の皆に伺うと、クラスは他の立候補も無く静寂に包まれる。

佳澄「じゃあ、委員長は静原で決定だな～次は副委員長だな」

瑞樹「その推薦なのですが…葵を副委員長にしたいのですが…」

葵「ふぇえ?!」

佳澄「…そうだなぁ～委員長の推薦だからな…桜木、皆の為に頑張れよ～」

葵「えぇ～…うう～がんばります～」

葵は観念したように机に突っ伏する。

佳澄「これで副委員も決定だな～次は…」

その後淡々と推薦や立候補により、組の委員が決定する

佳澄「よし…これでクラスの委員決定だな～(案外早く決まったなぁ～)」
キーン…コーン…カーン…コーン
佳澄「10分休憩だぁ～次の時間は少し、午後の事とか喋るからなぁ～」


椿「まさか、葵が副委員長になるとは思ってなかったでぇす。」

葵「ホントだよぉ～みぃ～ずぅ～きぃ～!」(うるうる)
葵は涙目で私の方を見つめる

瑞樹「悪かったわよもう…」

葵「あうう～わたしが副委員長か～…推薦とはいえ、決まったんだから頑張んないとね～…一緒に頑張ろうね瑞樹♪」

瑞樹「え、えぇ…」