第８５話 新たな出会いのお話④　作：ハカラメ

『ふてーき、こーしん、もーしわけない...』
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聖域内、ケルビムの部屋にて...



ウォルフ「・・・で、あの少年はどうするんだ？」

ケルビム「記憶がない少年を、聖域の外に放り出すわけにもいかないだろう...」

ケルビム「それに...」

ウォルフ「この聖域内に入ってこれたということは、何らかの『光の力』を持っている...ということになるな」

ケルビム「ひとまず、彼の記憶が戻って詳しいことが分かるまでは、ここにいてもらうことにしよう」

ウォルフ「そうだな...」



ウォルフ「だが、一つ問題がある」

ケルビム「何だ？」


ウォルフ「名前・・・あの少年を、我々は何と呼べばいいんだ？」





～～～






医務室にて...


少年「・・・」

メイ「・・・」
メイ（な、なんだか気まずいです...）
メイ（この子、記憶がないみたいだし...そりゃショックだよね...）
メイ（わ、私がなんとかこの沈んだ空気を変えないと...!?）

メイ「ﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂ...」
少年「あ、あの～・・・」

メイ「ひゃうっ！？」

少年「大丈夫？」
メイ「あ、はい、大丈夫ですッ！」

メイ（うぅ...何で私が気をつかわれてるんだろ...恥ずかしい...）


少年「君が、俺を助けてくれたのか？」
メイ「あー、見つけたのは私だけど、山から担いでここまで運んでくれたのはエイリンさんだよ」
少年「そうか・・・すまない、迷惑をかけた」
メイ「い、いえ迷惑だなんて...」

メイ（私とあんまり見た目が変わらないのに、しっかりしてる子だなぁ...）

メイ「何か、思い出せたこととかあった？」
少年「いや、何も...」
メイ「そっか...」

少年「でも・・・」

メイ「でも？」




少年「俺には...やらなくちゃいけないことがある...」

メイ「えっ...？」

少年「それが何だったのかは、思い出せないけど・・・」




ｶﾞﾁｬ

ケルビム「入るぞ」

メイ「あっ、ケルビムさん。それにウォルフさんも」

ウォルフ「少年よ、とりあえずだが、君の記憶が戻るまではこの聖域で過ごすといい」
少年「いいんですか？」
ウォルフ「当然だ。時が経てば、何かしら思い出すこともあるだろう。それに、そんな状態で君を外の世界へ帰しても、危険なだけだからな」

少年「ありがとうございます...」
メイ「よかったね...！」



ウォルフ「それでは、今日からよろしく頼むぞ。『アノン』！」


少年「・・・えっ？」
メイ「アノン...？」

ウォルフ「名前がないのでは、我々も呼ぶのに困るからな。ひとまず記憶が戻るまでの『仮の名』、ということだ」

少年「アノン・・・アノンか・・・」

ケルビム「それじゃあメイ、後のことは頼んだぞ」
メイ「は、はい！」

ｶﾞﾁｬﾝ



アノン「アノン...いい名前だな」
メイ「・・・ふふっ」
アノン「？」
メイ「あ、ごめんなさい...やっと、笑顔が見れたから...」
アノン「・・・」


アノン「そういえば、君の名前は...？」

メイ「私はライトロード・メイデンミネルバ...メイでいいよ」

アノン「そうか...これから、よろしく、メイ」

メイ「うん...！ よろしくね、アノン君！」











ケルビム「unknown（不明）かつanonymous（名無し）だから『アノン』か...流石ウォルフ、名付け名人と呼ばれるだけのことはある」

ウォルフ「一体いつ、そんな名で呼ばれたことがあるんだ...！？」

ケルビム「以前にも、拾ってきた犬に名前をつけたじゃないか」

ウォルフ「まぁ、確かにそうだが...」


ライコウ「・・・ワォン？」





こうして、アノン君は、私たちと一緒に生活することになったのです...











～～～









闇の国にて...


（・・・やはり、この国も変わってしまったのね...）


（まさか、暗黒界が政権から退いていたなんて...いや、正しくは『消された』かしら）

（あの『グラファ』がやられたとは考えにくいけどね～...）



（でも、これで何となく分かってきたわ）

（ここ最近の異変はやはり『奴ら』の仕業ね...）



セイントミネルバ「影を操る者・・・『シャドール』・・・」



？？？「おやおや、こーんな所で出会うとは、誠に奇遇ですなぁ！」

セイントミネルバ「・・・ハァ、その無駄にデカイ声、なんとかならないのかしらねぇ...」

セイントミネルバ「それで、光の国の王様が、何で闇の国にいるのかしら？」



クリスティア「それはこっちのセリフだぞミネルバ殿！ アッハッハッハ！！！」









新たな出会いのお話、完

第８６話に続く