第８４話 新たな出会いのお話③　作：ハカラメ

天空の聖域にて...


クリスティア「マズイことになったなぁ...」


ヴィーナス「何かあったのですか、大天使様？」
クリスティア「こいつを見てみろ」ﾎﾟｲｯ
ヴィーナス「わっ、これは手紙...？」
クリスティア「宛名を見れば分かるさ」
ヴィーナス「えぇと...」


ヴィーナス「ってこれ！ 炎の国の王様からじゃないですか！！」


クリスティア「ほれ」ﾎﾟｲﾎﾟｲｯ

ヴィーナス「こ、こっちは風の国の王様から...こっちは地の国の王様から！？」

クリスティア「・・・まいったなぁ...」
ヴィーナス「な、なんで各国の王たちが、大天使様宛に手紙を！？」
クリスティア「もう忘れたのか？ 半年前の出来事を...」
ヴィーナス「半年前・・・まさか、裁きの龍事件のことですか！？」
クリスティア「・・・」




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『裁きの龍事件』

ライトロードの象徴とされている裁きの龍が現れたことによる一連の騒動。
かつての古文書などにしか記述のない龍だったが、突如としてこの世界に現れた。
水の国周辺の陸地をことごとく破壊、水の国の兵士に多くの死亡者が出たとされるが、詳しい被害は不明。

我々光の国の天使隊も裁きの龍に遭遇し、大天使様が現場に出陣する大騒動となる。
しかし、天使隊への被害はほぼ無く、全員無事帰還した。

未だ謎多き事件であり、現在調査継続中である。



～光の国・秘蔵文献より～

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ヴィーナス「半年たった今、なんで各国の王たちが...！？」

クリスティア「恐らくは、未だに疑いが晴れていないのだろうな...」
ヴィーナス「疑い？」

クリスティア「裁きの龍は、我々光の国の管轄であるライトロードと関係が深い存在だ。そして、近くにいた光の国の兵たちには一切被害が出なかった...」
クリスティア「この事から、各国は光の国に疑念を持っているのだ...」



クリスティア「光の国が、裁きの龍を使って他国を侵略しようとしているのではないか・・・とな」



ヴィーナス「そんなっ・・・！ そんなの言いがかりじゃないですか！！」
クリスティア「確かにそうだな...だが、それほど他国も余裕がないということだ」
クリスティア「今はどの国も、水の国と闇の国の動向に肝を冷やしていることだろう。それに加えて光の国まで他国を侵略し始めたら・・・と恐怖しているのだ...」


ヴィーナス「それで、手紙の内容はどんなものだったのですか？」
クリスティア「うむ...各国とも、私とライトロードの長に公の場での説明を要求している」
ヴィーナス「大天使様は、どうなされるおつもりですか？」
クリスティア「・・・やるしかあるまい。ここで我々の疑念を晴らさねば、再び戦争が起こるやもしれんからな...」
ヴィーナス「ライトロードの長・・・ということはセイントミネルバ様を呼ぶ、ということでしょうか？」
クリスティア「・・・」





～～～

クリスティア「何！？ 正式に長になったのか！？」

ケルビム「公では、そういうことにしています」
クリスティア「それでは、ミネルバ殿はどうされたのだ？」
ケルビム「あの方は...ミネルバ様は、自分の道を見つけられたんだ...私は、ミネルバ様の意思に従う、それだけだ...」
クリスティア「・・・まぁ、お前らしいといえばお前らしいな。ガッハッハッ！！」

～～～




ヴィーナス「・・・大天使様？ どうなされたのです？」

クリスティア「ん？ いや、何でもないぞ！ ハッハッハッ...」



クリスティア（あいつに迷惑かけるわけにもいかん...さて、どうしたものか...）












～　～　～　～　～








ライトロードの聖域にて...


ケルビム「・・・それじゃあ、自分の名前は？」

少年「・・・」

ケルビム「・・・出身は、分かるか？」

少年「・・・」

ケルビム「・・・ここに来る前、何をしてたか、覚えてるか？」

少年「・・・ッ！」



少年「何も・・・思い出せない・・・ッ！！」













第８５話に続く