第６７話 裁きの龍のお話②　作：ハカラメ

天使隊から送られてきた映像は、すぐさまケルビムの元にも送られてきた...


ケルビム「・・・っ！？」

シャイア「け、ケルビム様、何なんですかこの映像・・・あの天使隊が、一瞬でやられるなんて、そんなの・・・」
ケルビム「・・・あり得ない」
シャイア「で、ですよね！」
ケルビム「あの龍は、間違いなく・・・でも、まさかそんな・・・」
シャイア「け、ケルビム様・・・？」
ケルビム「・・・シャイア、すぐにメイを呼んできてくれ。映像の事は他の者にはまだ知らせるなよ、いいな？」
シャイア「は、はい！！」ﾀﾀﾀｯ


～～～


メイデンミネルバ「あ、あの、ケルビムさん、お話って何でしょうか？」

ケルビム「メイ、すぐにミネルバ様と連絡をとりたいんだ。ミネルバ様に至急聖域へ戻ってくるように伝えてくれないか？」
メイデンミネルバ「な、何かあったんですか！？」
ケルビム「・・・あぁ。メイには、みんなより先にこれを見せてもいいかもしれないな・・・シャイア、映像を再生してくれ...」


・・・


メイデンミネルバ「・・・何てこと...」

ケルビム「・・・メイ、私が昔お前に教えた事を覚えているか？」
メイデンミネルバ「え？」
ケルビム「かつてこの世界に、この世の悪を裁くために現れた龍の話だ」
メイデンミネルバ「それって裁きの・・・えっ、じゃあまさかこの龍が！？」
ケルビム「あぁ、ほぼ間違いないとみていいだろう。だが...おかしい。ライトロードに伝わる伝承によれば、裁きの龍はある１人の勇者によって討伐されてしまったと書かれている。実際、それ以降に裁きの龍が現れたという話は一つも残っていないんだ。それがなぜ今になって現れたんだ・・・？」

メイデンミネルバ「でも・・・」
ケルビム「ん？」
メイデンミネルバ「でも、この龍・・・すごく苦しそう...」
ケルビム「！　そうか、メイは龍の気持ちが分かるんだったな」
メイデンミネルバ「ほんの少しだけですけど・・・。でも、この龍はとても辛そうで、苦しんでるような感じがして・・・」


ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

ｶﾞﾁｬ
オネスト「失礼するよ。ケルビムいるかい？」

ケルビム「お前は、オネストじゃないか！ 久しぶりだな」
オネスト「久しぶりだねケルビム。こんな状況じゃなければ、ゆっくり話をしたい所なんだが・・・」
ケルビム「その武装・・・まさか、これから現場へ向かうのか！？」
オネスト「あぁ。残った天使たちを引き連れて、大天使様が天使隊の救出に向かうんだ。それで大天使様が、ケルビムも一緒に同行させろって言うもんだからさ・・・」
ケルビム「いや、これはライトロードの問題でもある。私も行かねばならないと思っていた所なんだよ」
シャイア「ケルビム様・・・！？」


メイデンミネルバ「あのっ、ケルビムさん。私も連れて行ってくださいっ！！」

ケルビム「それは駄目だ。さっきの映像を見ただろう？ メイが手に負える相手じゃない」
メイデンミネルバ「私は竜操術も使えるし、少しだけなら龍とも話せます！ それに、本当はお母さんが行かなくちゃならないのに・・・」
ケルビム「いや、私はミネルバ様に代理として長を任された身だ。長代理として、メイを危険な目にあわす訳には・・・」
メイデンミネルバ「私だって、ライトロードの一員としてお役に立ちたいんです！ お願いしますケルビムさん、私も一緒に連れて行ってくださいっ！！」

ケルビム「・・・分かった。だが、くれぐれも無茶はするなよ...いいな？」
メイデンミネルバ「はっ...はいっ！ ありがとうございます！！」

シャイア「ケルビム様っ、だったら私も・・・！」
ケルビム「シャイア。お前はここに残って、天界との連絡を取り合ってくれ。あと、他のライトロード達が動揺しないように、よく説明してやってほしいんだ」
シャイア「でっ、でも！・・・ケルビム様が危険な目にあっているのに、私は、お傍にいられないなんて・・・うぅ...」ﾎﾟﾛｯ
ケルビム「シャイア・・・」ｶﾞｼｯ
シャイア「ケルビム様ぁ...」
ケルビム「安心して留守を任せられるのは、お前しかいないんだ。頼んだぞ、シャイア...」
シャイア「・・・はいぃ...」ｸﾞｽﾝ


・・・


オネスト「それじゃあ、出発の準備は出来たかい？」
ケルビム「あぁ、ばっちりだ。さぁ、行くぞメイ！」
メイデンミネルバ「はいっ！！」

ﾊﾞｻｯﾊﾞｻｯ




シャイア「ケルビム様、メイ、どうか気を付けて・・・！」





第６８話に続く