第５２話 小さな来訪者のお話④　作：ハカラメ

注）ｓｓ初心者です！二次設定その他もろもろにご注意ください。
ミネルバって、女神の名前らしいですね。というわけで、謎の侵入者編、完結です！


前回のあらすじ、２人のミネルバ。


ざわざわ...
ジェイン「おいおい本当かよ、あの女の子がミネルバ様の娘なのか？」
ガロス「ていうか、あの人結婚してたのか」
ライラ「先を越されていたとは・・・」
エイリン「へ～、そんな感じには見えなかったけどね～」
ウォルフ「私やケルビムですら知らなかった事だ・・・むぅ、ミネルバ様は自由な方だとは思っていたが、まさかそこまでとは・・・」
ルミナス「シー、みんな静かに！聞こえないから！」


神殿内、ケルビムの仕事部屋にて。

ケルビム「・・・改めて聞くが、あなたの母親、というのは・・・」

メイデンミネルバ「・・・はい、母の名前はセイントミネルバです」

ケルビム「・・・はぁ、何ということだ・・・ミネルバ様、いつの間に結婚されて、それに子供まで・・・私には何も・・・うわあああぁぁぁっ、ミネルバ様という人はこれだから・・・どこまで自由な方なんだ・・・！？」
メイデンミネルバ「ひぃっ！　な、なんか母が、その、すみません・・・」
ケルビム「はっ、つ、つい愚痴ってしまった。いや、あなたに非があるわけじゃない。こちらが知らないことが多すぎて、少し混乱しているだけだ」
メイデンミネルバ「うぅ・・・なんかすみません、ホントすみません・・・」

ケルビム「それで、どのような経緯で、ライトロードに入ろうと思ったんだ？」
メイデンミネルバ「はい。ある日母が・・・」

～～～

セイントミネルバ「あなたがこれから成長していくためには、たくさんの努力と、たくさんの経験、そしてたくさんの知識が必要だわ」
メイデンミネルバ「え～、ご本ならお母さんが持ってるのいっぱい読んだよ！魔法の練習だって頑張ってるし・・・」
セイントミネルバ「いいえ、それだけでは駄目よ。もっとたくさん、新しい世界を自分の目で見なきゃ・・・そうだ、あなた、今から旅に出なさい」
メイデンミネルバ「・・・えぇ！？ひ、１人で！？」
セイントミネルバ「もちろん！大丈夫、私だってお父さんだって、いっつも１人で旅してるんだから、あなたもきっとできるわ！私の子供なんだから、間違いないわ！」
メイデンミネルバ「え、えぇ～・・・」

～～～

メイデンミネルバ「・・・そんな訳で、私は色々な国を渡り歩く旅に出たんです」
ケルビム「ミネルバ様・・・自分の娘にまでそんな無茶ぶりを・・・」
メイデンミネルバ「私はその旅の中で、たくさんの魔法や知識を得ました。特に、風の国の竜の渓谷に住む人たちからは、ドラゴンたちと会話する方法や、竜操術なんかを習ったりして・・・それから、ドラゴンが好きになったんです！」
ケルビム「なるほど、だからさっきグラゴニスに乗っていたわけだな。ミネルバ様の娘なら、グラゴニスが乗せるのも納得がいくしな・・・」
メイデンミネルバ「それで、旅も順調にいってたある日、母から手紙が来て・・・これなんですけど・・・」
ケルビム「どれどれ・・・」


『愛しい娘へ♡
旅が順調みたいで、私とってもうれしいわ～！じゃあ、次はライトロードに入って、そこでたくさん修行しなさい。大丈夫、私の職場だから、みんなきっと優しくしてくれるわ。それじゃあ、頑張ってね！
世界一かわいい母より♡』


ケルビム「・・・これはひどい」
メイデンミネルバ「・・・というわけで、私はライトロードの聖域、ジャスティス・ワールドを目指してまた旅をして・・・それで、やっとたどり着いたときはもう２、３日何も食べてなくて・・・あの時助けてもらわなかったら、どうなっていたことか・・・本当にありがとうございます！」
ケルビム「感謝ならあとでエイリンに・・・おや？」

バサッバサッ
フクロウ「ホー」

ケルビム「あ、このフクロウは・・・」
メイデンミネルバ「あっ、お母さんの召喚獣(フクロウ)だ！」
フクロウ「ホー、ホー」
ケルビム「あ、足に手紙が・・・どれどれ」


『ケルビムへ♡
もうそろそろそっちへ娘が行くと思うので、どうか優しくしてやってね！　というのは冗談で、どうかビシバシ修行をつけてやってね。よろしく～！
永遠のアイドル、セイントミネルバより♡』


ケルビム「・・・これはひどい・・・はっ、そういえばこの前来た時にっ！」


セイントミネルバ『その内ここにある人が訪ねてくるから、その時はよろしくね～・・・』


ケルビム「そういえば、そんな事言ってたな！そうか、この事だったのか・・・」
メイデンミネルバ「？」
ケルビム「い、いや、何でもない。こっちの話だ・・・なるほど。これで大体の事情は分かった。だが、ライトロードに入るとなると、色々大変なことも多い。外の世界との関わりは減るし、修行も生易しいものではない。それでも、ライトロードに入りたいか？」
メイデンミネルバ「はい！私、お母さんの事とか、ライトロードの事とか、よく分かってなかったんです。でもここは、お母さんの言ってた通り、たくさんの自然があって、綺麗な町があって、優しい人達がたくさんいて・・・私、ここで修行がしたいんです！お願いします、私をライトロードに入れてください！！」


ケルビム「そうか・・・よし、分かった。今日からお前は、ライトロードの仲間だ。ミネルバ様の娘だからといって、手加減はしないぞ？」
メイデンミネルバ「・・・！　あ、ありがとうございます！！！」

バタンッ
ルミナス「おめでとう、ミネルバちゃん！」
エイリン「いや～、良かったな。これからよろしくな！」
ケルビム「お前たち、いつからそこに・・・！？」
メイデンミネルバ「わわっ、皆さん・・・本当に、ありがとうございます！」

ウォルフ「ううむ、だがそうなると、お前の事はミネルバ、と呼べばいいのか・・・？何だが、ミネルバ様と混ざってしまいそうだが・・・」
ケルビム「う～ん、言われてみれば何だが、ミネルバ様を呼び捨てにしているようで、気が引けるな・・・」
ジェイン「確かに」
ガロス「そもそも、どうして同じ名前なんだ？」
メイデンミネルバ「あ、えっとそれは・・・」


ルミナス「・・・そうだっ！　メイデンミネルバだから、『メイ』ちゃんって呼ぶのは、どう！？」


メイデンミネルバ「！」
ウォルフ「なるほど、メイか・・・いいじゃないか！」
ライラ「あらあら、ルミナスにしては、珍しくネーミングセンスがいいわね」
ルミナス「ちょっと、珍しくってどういうことよ！」プンプン

メイデンミネルバ「・・・メイ・・・」

～～～

？？？「ほらメイ、行くぞ～！」
セイントミネルバ「早く支度しないと、置いてっちゃうわよ、メイ～！」
メイデンミネルバ「待ってよお母さん、お父さ～ん！」タタタッ

～～～

メイデンミネルバ「・・・」
ルミナス「あ、あれ。もしかして、気に入らなかった？」汗
メイデンミネルバ「い、いいえ！　ただ、ちょっと懐かしくなっちゃって・・・」
ルミナス「？」


ウォルフ「それじゃあ、これからよろしくな、メイ！」
一同「よろしくね、メイちゃん！」



メイデンミネルバ「はい！　私、精一杯頑張りますっ！！！」



小さな来訪者のお話、完

第５３話に続く